
原状回復工事の見積をみてびっくり!こんなに高いと思っていなかった!
オフィスや店舗の移転の際に必要な原状回復工事。思っていた以上に高額な工事費用を請求されて驚かれる方は多いようです。
原状回復工事はビルオーナーの指定業者に任せなきゃいけないし、専門家じゃないから、請求された額を支払わなきゃいけないと諦めていませんか?
実は、原状回復工事費用は指定業者の見積から削減できるケースが多くあります。。ここでは、原状回復工事のコンサルタントである株式会社JLA執行役員の小池様に、原状回復工事費用削減のポイントを聞いてみました。
小池 涼 様|株式会社JLA 執行役員
中央大学在学時当時設立間もない創業期に株式会社JLAにて長期インターンとして参画。親会社の新規事業立案のサポートや、経営陣のアシスタント業務を行う。
2012年、株式会社JLAへ入社。オフィス移転時の原状回復工事費用の削減コンサルタントとして、数々の企業をサポート。建築・不動産業界特有の情報格差を是正し、適正な取引の実現を目指す。
オフィス・店舗の原状回復工事費用、実は削減できるケースが多い?
工事費用が適正かどうか見極めるのは難しい
-そもそもオフィスや店舗の原状回復工事費用がよく問題になる背景って何ですか?
小池様:原状回復工事については賃貸借契約の中で「オーナ又はオーナーが指定する工事会社でしか工事することができない」と定められていることが多いんです。事業用の賃貸借契約であれば8割くらいそうなっていると思います。
そして、その原状回復工事費用は賃借人が負担するのが一般的です。
何が問題かというと、原状回復工事費用を負担するものの、負担する側であるテナント側が、その工事費用が適正かどうかを判断するのは非常に難しいということです。
例えば、飲み物がペットボトル1本500円ですって言われるとすごく高いじゃないですか。それなら、他で150円で売ってるから別のところで買いますってなりますよね。これは極端な例ですが、買い手には取引先の選択肢があり、金額に対する知識や経験則があるので、「適正ではないな」と判断することができます。
でも原状回復工事の場合、選択肢と知識がありません。原状回復工事は契約上、他の業者には依頼する事ができないですし、仮に1億円の工事費用が請求され、高いと感じたとしても相場や適正金額が分かりませんよね?そして他の業者に依頼する事もできないので、指定業者の提示する金額で負担せざるを得ない状況になるわけです。
つまり、業者とテナントの間に大きな情報格差があるんです。
この情報格差がトラブルの原因だと思っています。
なぜ指定業者が決められている?
-なぜオフィスやテナントの原状回復工事は業者が指定されているんですか?
小池様:自分がビルオーナーだったら、と考えてみてください。
原状回復工事では、空調や電源、防災設備など、テナント側が入居時に変更を加えた設備の復旧など、色々な工事が必要です。それをビルの設備の事を知らない会社が、自分の大切な資産であるビルを工事してたらすごく怖いですよね。
テナント側が知らない業者を呼んできて、こんな感じですよねって戻した後に設備不良が起こったら、次の入居者さんに迷惑がかかったり、重大な事故に繋がる可能性があるかもしれません。
でも、指定業者なら施工責任を一手に負いますし、工事が終わった後でも何かあったとしても対応してくれます。そのほうがビルオーナーは安心なんです。
なので、ビルオーナーの資産を守るために指定業者っていうのは存在意義があります。ゼネコンなどが請け負うので、倒産のリスクも少ないですし。
その一方で、テナント側としては、工事費用に対する競争原理がなく、価格が安くならない、情報格差があってそもそも価格が適正か分からないというデメリットになっているんです。
90%の原状回復費用は安くできる可能性がある
-原状回復工事費用はどれくらいの確率で安くできるものですか?
小池様:当社はこれまで1,000社以上の原状回復工事費用コンサルティングを行なってきましたが、9割程度の原状回復工事は適正化することができると思っています。
中にはもちろん、これは適正ですねっていうケースもあるので、その場合には問題はないんですけど。
- 明らかに工事費用が高すぎる
- 費用項目が一式でまとめられていて、明細が不透明
- 原状回復ではなくグレードアップになっている
- 原状回復工事には不必要な工事が含まれている
こうしたケースはよく出てきますね。
例えば、会議室とかを作るときに間仕切りを建てるケースってありますよね。床や天井にビスで留まってるんですけど。契約では「破損・汚損箇所を補修、復旧するする」、例えば、天井にビス穴が空いていれば補修程度で良いと記載があるのに、指定業者の見積では「補修する必要が無い天井部分も含めて、全面張り替え、復旧」になっていることがあります。
そういう場合は「契約では部分的な補修張り替えすればいいですよね?だから全面張り替えっていうのは適当ではないので、部分的な補修、復旧にすることで、テナント側の負担を減らしましょう」というのを弁護士さんや一級施工管理技師などと協力しつつ、ビルオーナーや指定業者と協議していくことになります。
原状回復工事費用の相場、ネット情報を参考にするのは危険!?
-実際、原状回復工事の相場っていくら位なんですか?
小池様:見積が出るまでにインターネットとかで「原状回復 相場」と検索して情報を探される方が多いのですが、実はそうした情報は全くあてにならないです。
まあ、全くというのは少し大袈裟ですが、そもそも原状回復に相場ってないんですよ。
なんでかというと、ビルによって「誰が施工するのか」「どんな施工をするのか」「どういう契約になっているのか」など、ビルによって前提条件が全部違うんです。
よく業界では一坪あたり5万円くらいが相場と言われていて、確かに100坪借りていれば500万円、1000坪借りてれば、5,000万円という大体の感覚値はあるのですが、そのオフィスが全く内装を施していないオフィスなのか、作り込まれたオフィスなのかで下手すると3倍くらい単価が変わってくることもザラにあります。
なので、ネット上の知識を鵜呑みにしていたら、移転の予算が大幅に超過。そもそも移転を見直さなければいけなくなっちゃうケースもあります。
原状回復工事費用を安くするポイントは「一人でやらない」こと
-原状回復工事費用を安くする方法を教えてください。
小池様:基本的なことですが、まずは契約書を読んで、どこにリスクがあって、どれ位交渉の余地があるのかというのを確認するために、顧問弁護士や私たちのような専門家に一度相談してほしいです。
社内に一級建築士の方や一級施工管理技士の方など相談できる人がいればいいですが、基本的にはそういった方がいない会社が多いと思いますので。
やはり専門知識を持たない方が、何もが知らずに交渉をしても門前払いされるので、私たちのような専門家に依頼していただくのが一番だと思います。
-御社ではどのようなサポートをしてくれますか?
小池様:既に見積書がある場合は、どのくらいの金額が適正化できそうか無料で見積の査定をさせていただきます。
査定では、見積書、賃貸借契約書、レイアウト図面、ビルの館内規則、ビルオーナーや管理会社との過去のやり取り等をヒアリングさせていただき、その上で適正金額はいくら位ですという査定を行なっています。
適正金額が定まったら、そこを目標に弊社のチームががビルオーナーや指定業者と協議をして、適正な金額まで落とし込んでいくというサポートをしています。
まだ見積もりが出てなくて、これから移転しようと思っている方であれば、ひとまず原状回復工事に関する全体像をお伝えできます。
スケジュールやタスク、費用、関係者などの全体像を知っておくことで、未然にトラブル等を回避できると思います。
費用だけじゃない!原状回復工事でよくあるトラブル例
-原状回復工事でよくあるトラブルを教えてください。
小池様:シンプルに『お金』と『時間』と『関係性』この3つのトラブルがあります。お金に関しては、ご説明したので割愛をします。
移転スケジュールが大きく狂う
オフィスの移転のスケジュールってちゃんと細かく日程が決められているんです。
今の物件をいつ解約するか?次の物件をいつから契約するか?いつ工事を始めていつから移転できる状態になるか?という細かいスケジューリングです。
結構複雑なのですが、例えば、原状回復工事の期間が1ヶ月だと想定して移転計画を進めていたテナントがいたとします。
いざ見積もりをとってみると、原状回復工事に2ヶ月かかるよと。そうすると、移転工事を1ヶ月前倒しにして、引っ越しを1ヶ月早めなければいけない。
もし工事の発注が間に合わず、解約日を過ぎてしまったら、違約金・損害遅延金として1日遅れる度に、日割り家賃の倍相当の金額がかかります。
さらに、もし次の入居者が決まっている場合、その会社のスケジュールまで全部めちゃくちゃになってしまうのでお金で解決できないトラブルに発展する可能性があります。
このスケジュールを見誤るテナントさんは結構います。「前回はこれくらいの期間で工事できたから、今回も数週間で終わるだろう」と。
それでいざ蓋を開けてみたら、工事時間の制限が多いビルで、工事期間が大幅に遅れちゃうという感じです。
ビルオーナーや指定業者と揉める
シンプルに言えば、素人が交渉すると絶対に揉めます。
自分が工事会社だとして、何も知識のない素人から「高いから料金下げて。こんなの話にならないよ」と言われたら「ん?」となりますよね。
専門性を持っている人が「ここの工事はこういう風にして、こういう施工の仕方をすれば、原価をこれだけ圧縮できるから、ここを一緒に目指しませんか」と伝えるのとは、結論は同じでも先方の受け取り方は絶対違うと思うんですね。
ここを配慮せずに自社で交渉しちゃうと、ただただ揉めるだけ。感情論になってしまって、全く生産的ではありません。
関係性が悪化すると、何か工事でトラブルが起こった時に協力してくれなくなるんですよ。1日だけ退去が遅れちゃった時、関係性が良ければ許してくれることもありますが、ものすごく険悪な関係の相手なら多分許さないですよね。
まとめると、
- 原状回復工事費用は高額になりがちというお金のトラブル
- スケジューリングのミスによって起こるトラブル
- お互いの立場を理解せずに交渉して関係が悪化するトラブル
これが原状回復工事に関するトラブルの大体のケースです。
実際にコロナ禍の影響でオフィスの縮小や統合、撤退などの動きが増えていく中で、実際に原状回復工事費用に関するご相談は増えてきています。
自社だけで解決しようとすると様々なトラブルが想定されるので、ぜひ専門家の力を頼って頂くことをおすすめします。
株式会社JLA
原状回復費の適正化コンサルティングサービスを手がけている。これまで1,000社以上のオフィス移転に伴う原状回復トラブルを解決。
- 所在地:東京都台東区下谷一丁目11番15号 ソレイユ入谷5階
- 電話番号:03-5827-0455
- HP:https://www.japanla.co.jp/
暮らしに役立つお金の情報を無料でお届けしています!