学生時代からITエンジニアとして、様々なWebサービス開発を手掛けてきたというモノリス法律事務所の代表弁護士・河瀬先生。
モノリス法律事務所では、河瀬先生のIT事業経験を強みに、IT・インターネットビジネスに特化したサービス提供を行なっています。また、最近ではYouTubeで、YouTuber向け法律相談チャンネルを開設するなど多様な取り組みを実施。
今回は、そんな河瀬先生に、事務所の強みやYouTube市場の裏側、弁護士選びのポイントなど様々なお話を伺ってみました。
弁護士法人モノリス法律事務所 代表弁護士 河瀬 季 先生
大学在学中からIT関連フリーランスのエンジニア、ライターとして活躍。その後、東京大学 法科大学院を卒業し、弁護士へ。
モノリス法律事務所の代表弁護士としてIT企業の顧問弁護などを行う一方、イースター株式会社の代表取締役、株式会社KPIソリューションズ監査役。株式会社BearTail最高法務責任者等も務める。
その経歴を活かし、NHK土曜ドラマ「デジタル・タトゥー」原案を担当。「元ITエンジニアで企業経営経験のある弁護士」として幅広く活躍中。
モノリス法律事務所はどんな事務所?
インタビュアー:まず河瀬先生が弁護士になるまでのご経歴を教えてください。
河瀬先生:子供の頃からプログラミングやシステム開発が好きで、大学の頃には、フリーITエンジニアのような形でHP制作やWebサービス開発などを手掛けていました。
19歳から27歳くらいまでIT関連事業を行なっていたのですが、そこから一転、東京大学の大学院に入り法律の勉強をはじめ、司法試験を経て弁護士になりました。
インタビュアー:弁護士に転身されようと思ったきっかけって何だったんですか?
河瀬先生:よく聞かれるので答えを考えているのですが、あまり明確な答えはないんですよね。
単純に、弁護士はロースクールという制度があるので、頑張れば3年ちょっとでなれるんです。対して、医者は6年間は必要なので、医者に比べるとなりやすいなと思ったんです。
インタビュアー:サラっとすごいことを仰いますね。笑 それからモノリス法律事務所を立ち上げられたとのことですが、事務所の特徴や強みを教えて頂けますか?
河瀬先生:どんな業界でもそうなんですけど、BtoBとBtoCの2種類がある訳です。
法律事務所のBtoCというと、離婚や交通事故などの領域ですね。
当事務所は、BtoBに特化しているタイプの事務所で、かつIT・インターネットビジネスというキーワードに注力しています。
弁護士に限らず、何でもそうだと思うのですが、世の中一番良いものしか売れないですよね。
だから、何の領域であれば一番良いサービスを提供できるか考えた結果、知見のあるIT・インターネットビジネスの分野を選びました。
インタビュアー:お客様はどういった方が多いですか?
河瀬先生:IT・ベンチャー企業から東証一部上場企業まで様々ですが、基本は法人のお客様が中心です。
私がITの経営経験があったことから、弁護士になる遥か前から知り合いだった人がクライアントになってくれるケースもよくあります。
例えば、高校生くらいの頃からのインターネット繋がりの後輩が経営している会社がクライアントだったりします。
お互い立場が変わっても付き合いがずっと続いているので、そういうのは有難いなと思っています。
後、当社は風評被害対策なども行なっているので、そちらは個人のお客様もいらっしゃいます。典型的な例でいうと、いわゆるデジタル・タトゥーの問題などですね。
インタビュアー:NHKドラマ「デジタル・タトゥー」の原案も担当されましたよね。
河瀬先生:はい。そのあたりの領域はずっとやっています。
世の中には色々な分野で経験豊富な弁護士の先生がたくさんいらっしゃいますが、デジタル・タトゥーの問題を解決できるIT知識を持った弁護士はほとんどいらっしゃいません。
結局インターネット領域というのが前提にあるのですが、そこは私たちの強みといえると思います。
インタビュアー:新型コロナが拡大して以降、増えてきた相談って何かありますか?
河瀬先生:テレワークの時代になって、ウィズコロナ、アフターコロナっていう風に言われていますが、その中で、新たに新規事業をやろうという風潮が色々な会社で出てきています。
この時代に何かしら新規事業をやろうとすると、大体インターネットに絡んでくるんですね。そこで、いわゆる事業会社さんの新規事業を手伝うという案件が増えてきています。
例えば、外食チェーンがインターネット経由で宅配サービスを受付できるようにしたい、というケースでは、ネット経由で注文を受けてお客様にお弁当を届けるという流れになりますよね。
では、サービス内にどういう利用規約を作成して、そもそもサイトをどういう風に外注に出せばいいかという話になってくるんです。
元来の外食チェーン事業であれば、IT・インターネットに強い法律事務所というのはあまり必要が無かったのですが、こういう時代になり、非IT企業からのご相談が増えてきたというのはありますね。
インタビュアー:非IT企業がインターネット関連のビジネスを始める際にあたって、弁護士の観点から何かアドバイスはありますか?
河瀬先生:結局、どの分野においても専門性が重要です。
社内メンバーやお得意先、顧問弁護士がいたとしても、そのメンバーがIT・インターネット領域に強いかというとそうではないケースは多いですよね。それだと、必ず問題が起きてしまいます。
逆のパターンでいうと、ITベンチャーがうまく儲かってきて、社長の趣味で店舗ビジネスをしようかなという時に、ITに強いチームだけだと不動産トラブルが発生するかもしれません。
要は、やりたいビジネスがあった時に、しっかり専門性の高いメンバーを揃えるというのは大切だと思います。
YouTuber向けの法律相談チャンネルを開設!
インタビュー:貴社では、「YouTuberが並ぶ法律相談所」というYouTubeチャンネルを開設されましたよね。どういうキッカケで始められたのですか?
河瀬先生:元々弁護士事務所として、YouTuber関連の仕事が多かったんです。
結局、YouTuberも「ITを使うビジネス」なので、どうしてもIT特有の専門性が必要なんですよ。
例えば当事務所は、いわゆるYouTuber事務所さんのクライアントが複数います。YouTuber事務所さんとYouTuberさんの間の契約書というのは、基本的には、芸能事務所と芸能人の間の契約書に近いものなのですが、しかし、インターネット、YouTubeであるが故の特殊性もあります。
また、VTuberさんやその運営会社さんの案件も、「VTuber」という文化が登場して以来、様々な会社さん等からご依頼を頂いています。
VTuberは、そもそもテクノロジーによって生み出された存在ですし、その権利関係等を整理し、問題がないような契約関係を作っていくには、どうしてもITというものに関する知識が必要不可欠になるんです。
さらに最近増えているのは、元々はITとは関係がない、いわゆる事業会社さんが、YouTubeのチャンネルを開設し、その際に当事務所が、YouTube担当の弁護士として相談を頂く、というパターンですね。
YouTubeチャンネルの運営などにはどうしてもITやインターネットの知識が必要になるのですが、元々はITと関係がない会社なので、メインの顧問弁護士の先生はITやインターネットには強くない。そこで当事務所が相談を頂く、という構図です。
こういった経緯もあって、当事務所のYouTubeチャンネルはBtoBで、YouTuberや事業会社のYouTube担当者を対象にしています。
インタビュアー:YouTube市場は急拡大していますし、かなりニーズがありそうですね。
河瀬先生:少し話が逸れますが、VTuberのM&Aというのも実は結構盛んに行われています。
顔出しでやっているチャンネルは、属人性の高いのであまり売買の対象にはならないのですが、VTuberだと、いわばwebサイトの譲渡みたいな感じで、そこまで属人性が高くないんです。
買う側からすると、0から作ってチャンネル登録者数増やすより、ある程度まで他の個人が伸ばしてくれたチャンネルの方が時間が買えるというのはありますよね。
インタビュアー:全く知りませんでした。それだけビジネスとして注目されているということですね。YouTuberが顧問弁護士をつけるべきタイミングって何かあるんですか?
河瀬先生:YouTuberに限らずですが、一番最初に気を付けることはそんなにないと思います。
ベンチャー企業も設立した当初から顧問弁護士を入れたら動きが遅くなってしまいますよね。
ベンチャーでいえば、まずは売り上げ増やす、資金調達するってところまで全力で走るしかないですし、YouTuberも同じである程度チャンネル登録数が増えるまでは全力で走るのが一番だと思います。
基本、私はエクイティ的な意味でも売上げ的な意味でも、規模の小さい会社に顧問弁護士は不要だとう考え方なので。
強いて言うなら、YouTuberは、企業案件がある程度回り始めたタイミングでは弁護士をつけた方がいいかもしれないですね。
企業からお金もらってやっている以上、自己責任で終わりという訳にはいかないので。
ベンチャー企業でいうと、守るべき雇用が発生した時が1つ。社長が投資家に頭下げれば済むという話ではなくなってくるというタイミングですね。
自社にあった弁護士の見つけ方とは?
インタビュアー:河瀬先生が弁護士として大切にしてることを教えてください。
河瀬先生:クライアントのニーズをちゃんと理解して、それに対する解決策を掲示するということですかね。
結局、弁護士に相談にくる人はなんらかの問題を抱えていて、それに対する解決策を求めているわけです。
弁護士というと裁判やったり契約書作ったりというイメージがあるかもしれませんが、別に裁判や契約書というのは、1個のプロダクトでしかないんですよね。
相談者にとっては、問題が解決されれば、本当は手段は何でも良いはずなんですけど、とにかく問題をどうにかしたいという課題を持っていて、自分なりに考えたその課題の解決策が裁判なのかなと思って、裁判をしてほしいと言うわけなんです。
それはつまり、専門家ではない人間が考えた解決策なので、本当にそれがベストかって言うところは常に検討した方が良いですよね。
向こうが求めるニーズに対して、正しく対応するような解決策をちゃんとプランニングしてあげる、そう言うことは常に必要かなと思っています。
ちゃんと分析していくと、実はそんなに難しい複雑な解決策は必要なくて、むしろ、単純な解決策の組み合わせで解決できたりするケースもあるので、そういうところは意識していますね。
例えば一つだけ具体的な例を挙げると、ITベンチャーの資金調達したいというニーズとの関係でたまにアドバイスするのは、簡単にキャッチコピー的にいうと「その資本政策の実現のために、そんなに複雑な設計のストックオプション要らなくない?」ということです。
先端的なストックオプションを導入したと言ったら、一瞬は話題になるし、そういったTwitterで自慢できるかもしれませんが、それは本当にニーズを満たした話なのかというところはありますよね。
インタビュアー:同じ案件でも弁護士の考え方によってソリューションが変わってくることもあるということですね。
河瀬先生:はい。ちゃんとソリューションの中身を考えないと、お客様から指定されたプロダクトを使わないといけなくなっちゃう。それって本当に正しい解決策なのかということです。
インタビュアー:そうすると弁護士選びも非常に重要になってくるかと思うのですが、自社にあった弁護士の見つけるコツって何かありますか?
河瀬先生:弁護士に限らずの話ですが、人によって専門分野があるので、自分にとって必要な分野に強い専門家をどう見つけるかということになると思います。
少し話はそれますが、例えば、契約書を1つ作るにしても、契約書って現実世界を規律するプログラムな訳です。こういうことになったらこういう風にする、みたいな。IF構文なんかが使われているプログラムなんですよね。
どんなプログラムもそうなのですが、プログラムそれ自体は非常に抽象的です。単にこうなったらこうなる、という条件と効果が設定されているだけで、現実的に何かが発生した場合はこうするというのが常に明確に書かれているわけではありません。
つまり、将来どんなことが発生するかという個別事象の話は契約書に書いていないし、契約書を作成する人間が自分で色々なものを想定するしかないんです。
なので、どの弁護士もそうだと思いますが、自分が分からない分野の契約書のチェックってすごく怖いんですよ。
私でいうと、IT周りの話は何が起きるか全部わかりますが、全く経験値のない領域だと本当のところ何が起きるか100%想定できるわけではないです。もちろん、頑張りますけど。
そういう意味で、なるべく自社が普段行なっている事業と相性の良い専門家を選ぶのは大事かなと思います。
もしIT・インターネットビジネスの分野でお困りごとがあれば、お役に立てると思うので、お気軽に相談してきてもらえたらと思います。
弁護士法人モノリス法律事務所
所在地:東京都千代田区大手町2丁目6-1朝日生命大手町ビル21階
電話番号:03-6262-3245
HP:https://monolith-law.jp/
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