銀行融資の審査を通す3つのポイント!満額融資を受けるには?

赤沼 慎太郎 行政書士 経営コンサルタント 

たった少しの努力をするだけで融資の金額が何百万円も変わるかも?

これから銀行融資を受けようと思っている中小企業へ、融資の審査通過率をあげるためのコツを解説していきます。

どれだけ良いサービスや組織を持っていても、銀行担当者にその魅力や将来性を知ってもらえなければ、希望通りの融資は実現しません。

今回は、資金調達・資金繰りのプロに銀行融資の審査を通すポイントや金融機関との関係の築き方などを伺ってみました。

赤沼 慎太郎 先生|アクティス株式会社 代表 行政書士赤沼法務事務所 行政書士/経営コンサルタント 

1978年神奈川県生まれ。行政書士としては数少ない事業再生・事業承継の専門家。そのコンサルティングは分かりやすく実践的な指導と定評がある。

2010年より行政書士、税理士などの士業や経営コンサルタント向けの財務コンサルティングの勉強会『赤沼創経塾』を主宰。

数々の講演、書籍執筆等も取り組み、2020年からYouTubeチャンネルにて、中小企業の資金繰り、資金調達に役立つ情報を発信している。

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銀行融資の審査を通すためにやるべきアクション3点

-銀行融資を成功させるために中小企業が覚えておいた方がいいことはありますか?

  1. 自ら試算表や事業状況などを開示しに行く
  2. アピールポイント等をまとめた追加書類を添付する
  3. 融資の専門家にサポートを依頼する

①:自ら試算表や事業状況などを開示しに行く

赤沼先生:これまでの銀行融資は、担保や保証、業績に重きをおいていたのですが、数年前から過去の数字だけではなく、会社の将来性を評価して融資していくことも必要ではないか?という流れになっています。

そうした会社の将来性を評価することを専門用語で「事業性評価」というのですが、それを上手く活用していくと数字が多少悪くても融資を受けやすくなることがあります。

ただ、銀行も何十社と融資先がある中で、1つ1つの会社の将来性なんて分からないじゃないですか。そこで、中小企業が自ら情報開示していくということをおすすめします。

例えば、年に1回の決算報告だけではなく、税理士さんに毎月試算表を作成してもらって3ヶ月に1回位のペースで銀行へ提出するなどです。

「今の会社の状況はこれです」「業界的にこのような動きがあります」とかそういう情報をどんどん共有して、自社の強みや伸び代を伝えるんです。

銀行の担当者も業界の大まかなトレンドはわかっていますが、その中で各社が何をしているかっていうのはこちらから教えないと分からないんですね。

そこの努力をすると借りやすくなるし、審査のスピードが上がってきます。

普段から密に情報を共有できているので、場合によっては、こちらから言わなくとも銀行の方から先回りして「この時期って融資必要になりませんか?」と提案してくれることもでてきます。

-自社の財務状況が悪い時でも情報共有はした方がいいのでしょうか?

赤沼先生:した方がいいですね。業績が良い時はすごく言いやすいし楽しいけど、悪くなった途端皆さん嫌がるんですよね。

絶対担当者に突っ込まれる・・・とか、今借りてる融資全部引き上げられたらどうしようとかって心配なので。

でも、融資担当者も会社の財務諸表をみたら業績が悪化しているというのは遅かれ早かれ気付くことなので、であれば、こちらから先回りして「ここの業績が悪化しています。で、それを踏まえて今後はこういう取り組みをしていきます」と伝えたらいいんです。

数字が悪い時にもしっかり事実とその対策を伝えてあげるというのは、債権者としては安心しますよね。

良い時ばかりで悪い時は黙るってなったら、信用できないなってなるじゃないですか。人間関係と一緒なので、悪い時こそ丁寧に伝えると言うのが大事ですね。

②:アピールポイント等をまとめた追加書類を添付する

もう一つ、これはぜひ融資を受けようとする皆さんやった方が良いと思うんですけど、申請書類とは別に自社の強みやPRを分かりやすくまとめた紙の資料を渡してください。

融資の流れってまず担当者が話を聞いて、その稟議書を上司に回して最終的に支店長や本部が決裁するわけです。

なので、目の前の担当者が決裁者ではないんですね。

だから、口頭ベースで目の前の担当者にいくら自己アピールしても、それを持ち帰って稟議書に書く時に担当者が「あれ?何の話してたっけ?」となってしまっては元も子もない。

こちらが100伝えても、担当者が2〜3割しか書けずにいたら、結局会社の魅力は20%くらいしかアピールできないわけです。

そこが原因で審査落ちすることもありえるので、そこは他人任せにせず、自分で稟議書を書くくらいの気持ちでポイントをまとめるべきです。

そうすれば、銀行の決裁者にも伝えたいことをしっかりと伝えられますからね。

多くの社長さんは面倒くさいからって理由でやらないんですけど、融資が受けられなければ意味がないのでぜひやって頂きたいです。

③:融資の専門家にサポートを依頼する

このような対策を自分でやろうとすると「銀行に伝えるべきことは何か?」「どんな資料だと分かりやすいのか?」など立ち止まってしまうケースもあります。

そんな時は、やはり融資の専門家に相談するのが一番だと思います。

事業の強みを話せる社長は多いと思いますが、銀行担当者にどのような言葉でどのポイントを訴求すればいいのか分からなくなる方も多いです。

例えば、技術系の会社だと専門用語が伝わらずに意思疎通できないケースも見受けられます。

専門家がいれば、素人にも分かりやすく噛み砕いて説明したり、必要な資料をアドバイスできますので、結果として融資も通りやすくなります。

逆に審査に落ちてしまった時にも、私などの専門家が銀行担当者と話して否決理由をなんとなく把握することで、次の申請に向けた改善や別の資金調達方法に取り組むことができます。

特にお金が借りられない時は切羽詰まってるので社長も精神的に余裕がないんですよ。その辺を第三者として、冷静にアドバイスできるという効果はあると思います。

銀行融資で審査落ちする主な理由

-融資審査に落ちてしまう主な理由は何でしょうか?

赤沼先生:大きく分けると次のような原因があります。

  1. 財務状況が悪い
  2. 融資対象の業種ではない
  3. 資金使途が不明瞭
  4. 信用情報に傷がある
  5. 公共料金や家賃の支払い遅延

①:財務状況が悪い

基本的には、財務内容が悪いというのが一番大きな審査落ちの理由です。

審査の内、決算書の内容が7割くらいのウェイトを締めていると言われています。

逆にそこが悪いと、いくらやる気があって将来性のあるマーケットでビジネスをしていても定性面だけではカバーできない状況になってしまいます。

②:融資対象の業種ではない

日本政策金融公庫や信用保証協会の保証付き融資のような公的融資って、対象の業種がある程度決まっています。

例えば、一部の金融業や風営法の一部の事業をやっている方は対象になりません。

また、会社規模に関して、資本金、従業員数が条件に合致していなければ使えないというものもあります。条件に合致しているかどうかという基本的なところではありますが。

③:資金使途が不明瞭

融資で得たお金の使い道をよくよく聞いたら、社長個人の生活費じゃないの?ということも稀にあります。

事業成長のためにお金を貸すわけなので、私的な用途や投資目的の資金では受けられません。

事業のための資金であっても、具体的に何に使うのかはっきりと示さなければなりません。

④:信用情報に傷がある

日本政策金融公庫だと個人信用情報をチェックするので、過去に破産歴があるとか個人的な借金で延滞してるなどのブラックな情報が出てくると断られるケースもあります。

口頭では個人的な借り入れは一切ありませんと伝えたところで、公庫では個人信用情報を調べるので、最終的にはバレてしまいます。そのように事実と違うことを伝えて、後から信用を失ってしまう人も稀にいます。

⑤:公共料金や家賃の支払い遅延

創業融資などまだ実績がない中で審査する場合に多いのですが、社長自身がお金にきちんとしているか、という点は結構見られます。

通帳や支払い明細書を見て、家賃の振込がしょっちゅう遅れてるだとか、水道光熱費の支払いが遅れ遅れになってるとかを確認するわけです。

公共料金・家賃等の遅延があると、お金にだらしないという印象になってしまうので、それが理由で借りられないということもあります。

どれかに該当したら即NGというわけではない

ただし、これらは本当に状況次第なので、過去に延滞があるから即NGという訳ではないんですよ。

公共料金の支払いも1、2回たまたまちょっと理由があって遅れてしまった、すごい昔に1回何かの事情があって延滞したけど、ここ数年はちゃんと払ってます、とかであれば大目に見ようかななんてこともありますね。

なので、一概にすぐ審査落ちというわけではなく、あくまでシチュエーションによるということです。

融資審査の難易度が低いのは日本政策金融公庫?信用保証協会の保証付き融資?

-公庫や信用保証協会の融資など、借り先によって審査の難易度は変わるんですか?

赤沼先生:中小企業の主な資金調達方法でいうと、日本政策金融公庫の国民生活事業、信用保証協会の保証付き融資、このどちらかの公的融資かなと思います。

両者はそこまで大きな違いはないのですが、強いていうなら公庫の国民生活事業の融資の方がハードルは低いです。

というのは、保証付き融資の場合は、保証協会が良いといったけど、銀行がNGを出したりするケースがあります。

創業融資だと保証付き融資って保証協会が100%保証してくれるんですが、原則的には80%保証なんです。

つまり、銀行も2割のリスクを負っているので、保証協会がOK=銀行もOKというわけではありません。

また、中小企業でも銀行や信用金庫のプロパー融資は可能ですが、銀行側も100%リスクを追うので先の2つに比べるとハードルは高いです。

まとめると、日本政策金融公庫→信用保証協会の保証付き融資→プロパー融資、という順番かなと思います。

ま、でも、日本政策金融公庫と信用保証協会の保証付き融資は、どちらも公的な融資ですので、大きくは違いません。

銀行融資が通らなかった時に使える資金調達方法

-銀行融資が受けられなかった時に利用できる資金調達方法はあるんですか?

赤沼先生:基本的には、資金調達をしようと思ったら方法は大きく3つあります。

  1. 借りる
  2. 出資してもらう
  3. 資産を現金化する

ノンバンク融資

その中で一番やりやすいのは当然、借りるということです。

銀行がダメだったら、いわゆる貸金業者、ノンバンクからお金を借りる方法もあるのですが、やはり金利が高くなってくるので、使うならあくまでスポットがいいかと思います。

一時的な資金難を乗り切るためにノンバンクを使うのなら良いですが、慢性的な赤字を埋めるということになると、やはり高い金利がボディブローで効いてきます。

少人数私募債

金融機関以外からお金を借りるという意味では、「少人数私募債」という中小企業が使える社債があります。

社債を買ってくれる人を募るんですけど、少人数私募債と言うのは50人未満の縁故者の方々に直接募集をするんです。

これを使って、知り合いや取引先から調達すると言う方法はありますね。

ただ、出してくれる相手がいなければ成立しないですし、万が一返済できなくなった時が結構ヘビーですね。

少人数私募債って出資者は縁故者ですので、友達や親戚からお金借りるのと一緒なんですもし返せなかったらその街にもう住めない、みたいなことになりかねません。

簡単に使えると勘違いしている社長さんもいらっしゃいますが、実際に使う際は慎重に考える必要があるかと思います。

リスケジュール

逆に借りずに返さないと言う方法で資金調達的な効果を得ることもあります。

いわゆる、リスケジュール。返済の条件を変えるということです。

例えば、毎月100万円ずつ分割返済してたけど、資金繰りが厳しいから借りようと思ったけど借りられない、その100万円を半年とか1年に限り返済猶予してください、みたいな交渉を行います。

返済を1年間待ってもらえたら1200万円借りたのと同じ効果を得られるので、ニューマネーではないけど、資金繰り改善という意味では使える方法です。

ただし、当然ながら信用が落ちますので、リスケジュールする際には慎重に判断するべきです。

保険の契約者貸付制度

保険会社の契約者貸付という制度があります。

積立型の保険で解約返戻金があるものに加入していれば、それを担保に保険会社からお金を借りられる制度です。

ルールは各社色々ありますが、要は万が一の時は生命保険の解約金の範囲で返してもらいますということになっています。

突発的に資金が必要になった際などには、使い勝手も良く重宝します。

不動産などの資産の売却

資産の売却ということでは、不動産や車を売ったりして現金化することもあります。

売却する対象は、モノに限らず、後は事業を売るなんてケースもありますね。

飲食店だと、一部の店舗だけ売却するみたいな感じで資金調達することもあります。

-ありがとうございました。専門家の方に相談するかしないかで資金調達の可能性は大きく変わりそうですね。

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