補助金は助成金と違って、一定の要件を満たしただけで貰えるものではありません。
どのような補助金を申請するにせよ、審査を通り抜けて採択されるためにはポイントを押さえておく必要があります。
ここでは、数々の補助金支援実績を持ち、自身も審査員をしたことのある中小企業診断士の越沼先生に補助金申請のコツを伺ってみました。
越沼 康明 先生|有限会社ブランドシップ 代表、中小企業診断士
上智大学理工学部電気電子工学科卒業。大手広告代理店系列のシステム開発会社、ベンチャー向けの資金調達コンサルティング支援会社、外資系ネット広告会社、モバイル系のCRMクラウド会社などで経験を積み、2016年に開業。
現在は、小規模事業者を中心に数多くの補助金申請サポートを手がけている。
小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金、事業所系補助金、インバウンド補助金など多様な補助金を取り扱っており、平均採択率の2倍〜2.5倍の採択率を誇る。
補助金の審査を通過するためのコツ3点
-補助金の審査を通すためのポイントを教えてください。
①:公募要綱に書いてあることは漏れなく記載する
各補助金ごとに公募要領といういわゆる説明書的なものが付いてくるんですね。
その説明書の中に審査のポイントっていうページが必ずあって、この補助金はこうゆう視点で審査をしますよというのが抽象的なんですけど書いてあるんですよ。
審査員も公募要領に書かれている項目毎に点数を付けてくださいみたいに審査をしていくので、そこで漏れがあると減点になってしまいます。
基本的なことですが、まず公募要領をよく読み、漏れなく書くと言うところが最低限のことになります。
②:論理性だけではなく感情面も伝えた方がいいケースもある
あと補助金額の大きいものづくり補助金とかですとロジカルな説明が重要です。
どういう課題をどう解決して、どんな目標を立てるか、競合他社と比べてどういった点が強みか、といった点をロジカルに書いていくことが必要になります。
逆に、小規模事業者補助金という1人でやっている個人事業主のための補助金があって、そういう補助金ではあえてロジカル性を崩してエモーショナルな文章というか、こんな熱い想いを持って事業やってますという感じで変に専門家ぶった文章じゃなく、経営者視点の熱い文章の方が共感してもらえることもあります。
この辺りは専門家によって書き方は変わってくると思うんですが、僕の場合は、補助金の制度によっては、あえてちょっとはみ出した文章にしたり、その経営者ならではのキーワードを使ったりしています。
まず社長なり、事業主さんのお話をしっかり聞くと言うか憑依できるくらいの感じで過去の経歴を聞いてみたり、基本は成り代わって書く気持ちでするようにしてます。特に小規模事業主さんの方は本人視点みたいな所を強く出すと言う感じですね。
やっぱり少ない時間の中で会社なり事業をアピールして、こうゆう事業で社会の役に立ちます、こうやってお金を使ってお客さんを増やしていきますという内容になるので、謙虚であまり語らない社長だと多少難しかったりすることはありますね。
③:審査員の視点を忘れずに!旬なキーワードを入れる
幅広い業種から申請がくるような補助金だと、審査員の視点でみると個々の事業内容って詳しくは分からないと思うんです。
でも審査員の方でもその時旬なキーワードだけは知ってると言う方が多いと僕は思っていて。今では当たり前になりましたけどAIやロボットみたいなキーワードを入れたり、去年は働き方改革とか。
そういうキーワードをポツポツ入れていくと、審査員もこのワードは知っているぞみたいに結構ノって読めるのかな、と思います。
僕も2017年に補助金の審査員の第一次審査をやらせていただいたことがあって、皆さんこんな感じで書いてくるんだというなんとなく広く勉強させてもらったみたいなことがあったんです。
その時に自分が審査員だったら全く未知数の事業だと点数つけようがないな、知らない業界でもキーワードとか入れながら分かりやすく書いてあったら点数つけやすい、という審査員の視点の考え方みたいなところも経験しているので、そこから言えることですね。
小規模事業者・個人事業主におすすめの補助金は?
-コロナの影響で色々な補助金が出てきていますが、小規模事業者におすすめの補助金はありますか?
そうですね。補助金って時期物なのでコロナ関連の補助金も今はひと段落しているので、それでいうと最新でおすすめというのはなかったりします。
強いていうなら、一番個人事業主とか小規模事業者が使いやすいのが、小規模事業者持続化補助金っていう補助金で通常枠だと補助上限50万円なのが、コロナ枠で100万円に上がるような枠はまだ募集が続いています。(2020年11月時点)
-具体的にはどんな制度ですか?
小さい事業者が大手企業に負けずに新しいお客さんを掴んでいこうという取り組みに対して補助していこうという補助金で、例えば、チラシやパンフレット作りますとか広告打ちますとか展示会出ますみたいな取り組みが対象になります。
従業員数は5人以下の事業者が対象 で、本人だけでやってますという事業者も含めて申請できます。
イメージとしては、ものづくり補助金のマーケティング版みたいな形で、こんなお客さんに対して、こういう営業で販売していこうとしているので、これにお金を使いたいという申請書を提出します。
ものづくりみたいに5年計画までいかなくても、来年の目標はこれくらいですみたいなレベルで大丈夫なと場合も結構あります。数値というよりは気持ち面で勝負みたいなところがあるというのが持続化補助金ですね。
-なるほど、小規模事業者でも獲得しやすい補助金なんですね。
あと、小規模事業者の中でも文化芸能系の事業、お芝居や執筆、撮影関係のお仕事の方々ってコロナで仕事がなくて大変という状況で。
そうした文化芸能関連の仕事をされている方々がコロナ対策万全にしてまた事業を再開しようみたいな取り組みに対しての補助金が文化庁主催でありました。文化芸能の継続支援事業という補助金です。
今は一旦募集が終わってるんですけど、今後また同じような仕掛けで募集があると思います。
比較的申請書の内容も難しくなく、よほど外れていない限りは合格するんじゃないかと言われているので、そうゆうお仕事の人はチャレンジしてみるといいかなと思いますね。
自社に合った補助金制度の探し方
-数ある補助金の中で、自社が使える補助金制度ってどうやって探せばいいのでしょうか?
個人的には、中小企業診断士や行政書士、税理士に聞いてもらうのが一番ピンポイントでいけるかなと思います。
もしご自身で探すのであれば、ミラサポというサイトが中小企業庁が作ってるサイトやJ-Net21という中小企業支援のサイトがあります。どちらも公的機関のサイトです。
これらのサイトで補助金検索の機能があるので、目的やエリアで絞って検索すると、一覧で出てきます。ただ、補助金の名称ともそうなんですけど、募集要件とか普通の人が見たら非常に分かりづらく書いてあるので、少し大変かもしれません。国だけじゃなくて市区町村単位でやっている補助金もあるので。。
我々みたいに補助金サポートをしてる人だと、来年度の中小企業庁の経産省で予算概要がで始めたタイミングで、中小企業支援の予算はこういう構成になっていて、今年はこの辺に力を入れそうだねというのを読み取っていくんですけど、通常の事業者だと時間が勿体無いと思うので、やはり専門家に聞いてみるとか聞けるような関係を増やしていく方がいいのかなと思いますね。
補助金も決して遠い存在じゃなくて、国や自治体の政策に沿って頑張っていこうとする事業者に付与されていくものなので、「うちは無理だなー」とか思わずにとりあえず進めてみようと色々ご相談いただけるとよろしいのかなと思います。
有限会社ブランドシップ
所在地:東京都中央区日本橋1-2-10
電話番号:080-5026-9550
HP:http://brand-ship.jp/
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