相続した土地の評価額を大きく下げる方法【不動産鑑定士が解説】

西原崇 西原不動産鑑定

土地の相続税を知るには、その土地が一体どれだけの評価があるのか調べるための土地の相続税評価額を知る必要があります。

今回は、土地に相続に関するプロフェッショナルである不動産鑑定士の西原先生へ、土地の相続税評価額を大きく下げる方法を聞いてみました。

相続した土地の税金って一体いくらくらいかかるの?相続税を下げる方法はある?とお悩みの方へ役立つ内容になっています。

西原 崇 先生|株式会社西原不動産鑑定 代表取締役、不動産鑑定士

1970年生まれ、明治大学商学部卒業。1997年、不動産鑑定士試験合格。2001年不動産鑑定士事務所を立ち上げ。不動産鑑定士、相続診断士、宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナーなどの資格を保有。

「スッキリ」「めざましテレビ」「報道ステーション」「Nスタ」などテレビ出演をはじめとして、多数のメディアで活躍。

賃貸マンション・アパート、底地のオーナーなど、個人の相続対策・不動産売買の相談に貢献。不動産の遺産分割、節税評価に関しては、過去1,000件以上の実績を誇る。

相続した土地の評価はどうやって決まる?

Q.最初に、相続における土地の評価はどのように決まるのでしょうか?

西原:相続税法第22条では、

  • 相続、遺贈または贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価による

と定められています。

ただ、土地の時価を評価するって難しそうですよね。ということで、市街地の土地を評価する際には、「路線価方式」という方法を使って評価を行うのが通例です。

インターネットで「路線価」と調べていただくと、国税庁のHPが出てきます。

そこで、自分の調べたい地域をクリックすると、道路に一本ずつ値段が書いてあります。例えば「400C」と書いてあったら、その道路に接する標準的な宅地の価格は1平米あたり40万円、ということです。

土地の価格にはいくつか種類がありまして、1つは、実際の相場に基づく「実勢価格」、もう1つが「公示価格」。

公示価格は、毎年1月1日時点の土地の価格を国土交通省が発表していますね。「銀座の土地の価格がいくら上がりました」というニュースのことです。

路線価は、この公示価格の80%の水準に設定されています。公示価格が1平米あたり10万円であれば、路線価は1平米あたり8万円になります。

Q.なぜ路線価と公示価格で金額に違いがあるのでしょうか?

公示価格と路線価が同じだと不都合なことが起きるからです。

例えば、年始に1平米10万円の公示価格だった土地が、1年間で10%地価が下落したとします。路線価は、一度決まると1年間ずっと同じ路線価になります。そのため、公示価格と一緒だと、路線価も10万円ということになります。

1月1日に亡くなった方は、路線価は公示価格と同じ10万円なのでとくに文句はありません。

しかし、同じ年の12月31日に亡くなった方は、実質的な土地の値段は1平米あたり9万円しかないのに、路線価は10万円になる。実際に売れる値段よりも高い値段で相続税評価がされてしまいます。

そうした不満を避けるために、最初から「この年の路線価は公示価格の80%」と保守的に見積もろうというのが理由です。

つまり、路線価40万円・100平米の土地は、標準的な画地であれば、相続税評価額は4,000万円ですが、公示価格の水準は5,000万円ということ。土地がいびつな形をしているなどのマイナス要因がなければ、実際には5,000万円の値段で売れるということです。

こうした背景が理由で相続トラブルに発展するケースもあります。

例えば、長男は4,000万円の現金、次男は相続税評価額4,000万円の土地を相続しました。でも、次男の土地は5,000万円以上の値段で売れる可能性がある、それが後々になって分かって「平等じゃない!」と親族から不満が出るようなケースですね。

遺産分割の際は、土地の相続税評価額ではなく、「実際に売れる値段はいくらなのか」という点をハッキリさせておくことが重要です。

こんな土地は要チェック!相続税の評価額を下げる方法

Q.土地の相続税評価は「路線価で行う」ということでしたが、相続税を下げる方法はあるのでしょうか?

はい、あります。「こんな土地誰が買うの?」といった山奥の山林や地形がいびつで使えない土地については、相続税の評価額を大きく下げられる可能性があります。

例えば、同じ相続税評価額5億円であれば、田園調布にある500平米の土地と奥多摩にある50,000平米の山林、どちらが欲しいと思いますか?

おそらくほとんどの方は田園調布の土地を選ぶと思います。

逆に、50,000平米の山林は、売れたとしても5億円で売れる可能性は非常に少ないと思います。

そのような土地の場合、不動産鑑定士に依頼していただき、「不動産鑑定士書」を作ってもらうことで、この土地は実際にはそんなに高く売れないですよ、という証明ができるんですね。

それによって、相続税評価額を大きく下げられます。

例えば、私が実際に担当したケースでは、普通の宅地なら1平米15万円の土地なのですが、完全に道路から崖地になっており、どうにも使いようがない土地がありました。

もし土地開発して戸建分譲などにして売る場合、相当な工事費用がかかります。

試算すると、新たに建てた住宅が売れる金額よりも工事費用の方が大きくなってしまうことが分かりました。この土地は買った瞬間、赤字確定の土地だったんです。

結果的に、この土地は1平米15万円から1平米500円まで評価額が下がりました。

Q.崖地の他に相続税評価額を下げられる可能性がある土地には、どのようなものがあるでしょうか?

色々なものがありますが、代表的なものでいうと、急傾斜地の宅地・山林・原野や周辺にマンションやビルが多い地域で著しくいびつな土地、間口2メートル未満または無道路の土地などがあります。

Q.実際にそのような土地を相続したら、不動産鑑定士に依頼をするべきなのでしょうか?

それもできますが、多くの場合はまず税理士の先生にご相談いただくことになるかと思います。

税理士の先生が相続税をいくらか計算して、その後に、「この土地の相続税は減らないか?」と税理士経由で私など不動産鑑定士に依頼をしてもらうケースがほとんどです。

ここで1つ注意点があります。税理士の先生が全員相続に詳しいわけではないということです。

本当は相続税を大きく下げられる可能性があったにも関わらず、税理士さんが不慣れなばかりにそこに気付かず納税してしまうというケースも少なくありません。

とくに昔から付き合いのある税理士さんに相談される場合は、その方が相続案件の経験があるかないかには注意が必要です。

相続税の申告は、過去5年間遡って還付請求できる!

Q.もし相続税を納付をしてしまった後に、土地の評価額をもっと下げられることが分かっても手遅れでしょうか?

相続税の申告期限から5年以内であれば、還付請求をすることができます。

もし当時相談した先生が相続に強くなかったみたいで心配になった・・・、ということであれば、相続税の申告内容をセカンドオピニオンとしてチェックしますという先生がいらっしゃるので、そうした先生に相談して、可能であれば還付手続きをすると良いと思います。

Q.ありがとうございます。最後に、土地の相続をする上で覚えておいた方がいいポイントがあれば教えてください。

土地の相続に関する相談は早ければ早い方がいいです。

相続対策というのは主に3つの柱があります。

  1. 分割対策・・・どうやって財産を分けるか
  2. 納税対策・・・納税資金をどうやって確保するか
  3. 節税対策・・・税金をいかに安くするか

相続人が亡くなってからでは、これらの対策でできることは非常に少なくなります。土地を相続する可能性があるとわかった段階でなるべく早く専門家へ相談にしていくことをおすすめします。

株式会社 西原不動産鑑定

相続した不動産の評価、生前の同族間売買、不動産の法人化、現物出資による法人設立等の際に、税理士や司法書士などの専門家と連携しながら相続対策をサポートしている。

テレビ出演、セミナー講師経験が豊富な不動産鑑定士が在籍し、わかりやすい説明に定評がある。

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