法人税はあまり事業者以外の人には馴染みのない税金の種類かもしれませんが、法人における個人で言うところの所得税のような税金が法人税です。
所得税との違いは、所得(利益)応じて税率が変化する累進課税制度を所得税は採用しているのに対して、法人税では法人税実効税率という固定の税率の課税がなされます。
最近では、この法人税実効税率が外国よりも高いため、日本企業が租税回避のために「タックスヘイブン」へ流出する事例が発生しています。
それに伴って日本でも法人税率の引き下げに関する法案が国会で可決しました。
今回は、そんな日本の法人税が世界と比べて高いのか低いのかをランキング形式にして紹介していきます!
日本の消費税を世界と比較!税率の高い国・低い国
日本の法人税率引き下げの背景は!?
具体的にはどのくらい税率が下がる?
安倍政権成立以降の「アベノミクス」政策の一環として、法人税率は引き下げられました。
2013年度の実効税率は37%でしたが、2016年度に29.97%まで引き下げられました。
2017年の法人税実効税率は29.97%ですが、これを最大20%前後まで引き下げることが検討されています。
では、こうした法人税率の引き下げの要因となったのはどのようなことなのでしょうか?
背景① アメリカでは既に法人税減税法案が成立!
理由の一つはアメリカの税制改革です。
アメリカではトランプ政権が進めている約30年ぶりの税制改革の議論が大詰めを迎えています。
トランプ大統領は選挙中から大規模な減税を公約として掲げてきました。
改革の内容には個人の所得税率の引き下げや相続税の廃止など多岐にわたりますが、焦点の一つが法人税の引き下げです。
2017年12月には法人税を35%から20%に引き下げる法案が議会で採決されました。
アメリカは先進国の中でも法人税率が高い国でしたが、今回の減税で一気に先進国の平均を下回る税率になる見通しです。
アメリカではアップルやグーグルなどのグローバル企業が課税をアメリカ本国での課税を回避していることが問題になってきました。
今回の減税によりアメリカは税制面での競争力を取り戻し、多くのグローバル企業がアメリカに拠点を移す可能性が指摘されています。
背景② 企業の争奪戦が世界中で勃発
アメリカだけでなく、世界的に法人税は引き下げられいる方向にあります。
下のグラフは主要先進国の法人税率の推移です。
法人税率の国際比較(1980~2015)
政府税制調査会資料より
1980年代から一貫して税率は低下していることが分かります。
経済のグローバル化が進むなかで、企業の拠点を誘致しようと世界的に法人税の引き下げ競争が起きているのです。
税率を低くすることで外資企業を誘致れば新たな雇用がうまれ、消費も増え結果的に国内の経済成長につなげることを狙っているのです。
反対に法人税が高いままだと国内企業が海外に移転するリスクが大きくなります。
上でも書きましたが、アメリカは法人税率を35%から20%へと引き下げることになりました。
フランスでもマクロン政権が現在33.33%の実効税率を段階的に引き下げ2022年に25%を目指す方針を発表しています。
イギリスの実効税率も現在19%で10年間で11%引き下げられています。
個人は税率が高くてもなかなか外国に移住するという選択肢を取りづらいですが、企業は世界中でビジネスを行っているため、税率を含めてよりビジネスがしやすい環境を求めて移動していきます。
この世界的な流れの中で日本の競争力を維持するためにも法人税の引き下げは急務だと言えます。
法人税率引き下げによって起業がしやすい環境になる?
今回の減税でより大きな恩恵を受けるのは大企業になると予想されます。
それでも中小企業や起業を考える方にとって大きなチャンスでしょう。
減税の恩恵を受けることができるだけでなく、革新技術の導入によって生産性を上げ、一層ビジネスを飛躍させることが期待できます。
また、社会が新しい技術を導入に前向きになれば新しいビジネスチャンス、市場が誕生することになります。
なにか新しいビジネスがないか考えてみてもいいかもしれません。
税金が少なくお金持ちの移住に最適な国まとめ
世界の法人税率を紹介!
では世界の法人税率はどのくらいなのか見ていきます!
今回は、TAX FOUNDATIONによる「CorporateIncomeTaxRates around the World,2017」でのデータを利用して分析していきます!
法人税率が高い国ランキング!
国名 | 税率 |
アラブ首長国連邦 | 55% |
コモロ | 50% |
プエルトリコ | 39% |
アメリカ | 38.91% |
スリナム | 36% |
アルゼンチン | 35% |
チャド | 35% |
コンゴ | 35% |
ギニア | 35% |
グアム | 35% |
ギニア | 35% |
キリバス | 35% |
マルタ | 35% |
北マリアナ諸島 | 35% |
スーダン | 35% |
バージン諸島 | 35% |
ザンビア | 35% |
インド | 34.61% |
サンマテン | 34.50% |
フランス | 34.43% |
石油産出やリゾートで有名がUAEが法人税率が高い国ランキング第1位となりました。
ここは租税回避地(タックスヘイブン)としても有名なので、あれと思った人もいるかもしれません。
アラブ首長国連邦は、ランキング上では1位となっていますが、実際のところ法人税という制度自体は存在していても、特定の業種しか法人税は徴収されていないのが現状です。
ただ、今後は法人税の課税対象の拡大するかどうかが検討されているので注目ですね。
日本はこれをみるとそれほど税率は高くはないのかなと思ってしまうほどですね。
では、続いて法人税率が低い国ランキングを見ていきましょう!
法人税率が低い国ランキング!
国名 | 税率 |
ウズベキスタン | 7.50% |
トルクメニスタン | 8.00% |
ハンガリー | 9.00% |
モンテネグロ | 10.00% |
アンドラ | 10.00% |
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ | 10.00% |
ブルガリア | 10.00% |
ジブラルタル | 10.00% |
コソボ | 10.00% |
キルギスタン | 10.00% |
マケドニア | 10.00% |
パラグアイ | 10.00% |
カタール | 10.00% |
東ティモール | 10.00% |
マカオ | 12.00% |
モルドバ | 12.00% |
オマーン | 12.00% |
キプロス | 12.50% |
アイルランド | 12.50% |
リヒテンシュタイン | 12.50% |
こちらのランキングでは、ほとんどがあまり有名ではない小国がランクインしています。
これはグローバル化の流れを利用して、海外企業を誘致しようという意図から低めの法人税を設定しているのです。
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まとめ
今回は日本の法人税率引き下げの背景や、世界的に見た法人税率の水準を比較していきました。
最近ではタックスヘイブンという言葉もしばしばニュースや新聞でも見受けられるようになってきたので、なんとなく聞いたことはあるという人も多かったと思います。
今後も継続した法人税率の引き下げが検討されているようなので、これからも注目していきたいですね。
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