脱税・申告漏れ・所得隠しの違いは?どのような罰則がある?

申告漏れ 所得隠し 脱税

「○億円分の法人税を脱税した疑いで逮捕」「○千万円の所得隠しで追徴課税」などのニュースはいつになっても無くなりません。

そもそも、申告漏れ・所得隠し・脱税のそれぞれの違いはご存知でしょうか?

何かと線引きが難しい税金の話。似ているようにみえて、それぞれの罰則の厳しさは全く異なります。

今回は、申告漏れや所得隠し、脱税の違いや罰則について詳しく解説していきます。

税金の脱税・申告漏れ・所得隠しの違いは?どんなペナルティーがある?

基本的に、申告漏れ→所得隠し→脱税の順に深刻度や悪質度は上がっていきます。

それぞれの違いを簡潔にまとめると次のようになります。

  • 申告漏れ・・・単純な計算ミスや表記ミスによって意図せず本来よりも納税額を少なく申告してしまうこと
  • 所得隠し・・・売上の隠蔽、架空経費の計上など故意的に所得を少なく見せようとすること
  • 脱税・・・所得隠しのうち、悪質性が高く金額が大きいもので、国税局の強制捜査を受けて刑事罰の対象となったもの

つまり、申告漏れと所得隠しについては、故意に税金を少なく払おうとしたか否か、がポイントになり、所得隠しと脱税は、刑事罰の対象となったかどうか、がポイントになります。

それぞれの詳しい罰則を解説します。

申告漏れ

悪意がなく、税金の計算ミスなどによって過少に納税を済ませてしまったり、申告をしていなかったケースです。

申告漏れの場合に受ける罰則は主に以下の3つです。

  1. 過少申告加算税・・・期限内に申告したものの、申告税額が本来納めるべき税額よりも少なかった場合に課される罰則。税率は、追加納税金額の10%。ただし、「もともと申告していた金額」もしくは「50万円」と比較して多い金額を超える部分には追加で15%が課税されます。
  2. 無申告加算税・・・そもそも申告をしていない、1円も納税をしていない場合に課されます。申告額「50万円」までは15%、「50万円を超える部分」は20%追加で課税されます。
  3. 不納付加算税・・・法人、個人事業主などが源泉所得税を払わなかった場合に課される税金。本来の納税額の10%が追徴されます。

いずれも所轄税務署からの指摘を受ける前に自らミスに気づき、申告・納税をした場合、各加算税の金額はそれぞれ納税額の5%に軽減されます。

また、再度正しい納税額を計算して、納税し直すことを修正申告と呼びます。修正申告は納期限後に新たに追加で税金を支払うことになるので、これに関しては延滞税と呼ばれる加算税がかかります。

延滞税は、本来の税額に対して、納期限翌日から2ヶ月までは年率7.6%、2ヶ月目以降は年率14.6%が追徴されます。

②所得隠し

売上改ざんなど意図的に所得を少なく見せて納税額を減らした場合、上記で紹介した過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税等の加算税が課された状態に加えて、重加算税というプラスαの追加金を支払わなければなりません。

重加算税は、追加の納税の必要が事実の隠蔽や仮装により意図的な行為によって発生した場合や、意図的に申告しなかった場合に発生する加算税のことです。

重加算税で追加で加算される税金の金額は、過少申告加算税の加算に代わって本来の納税額の35%、無申告加算税に代わって納付すべき税額の40%、不納付加算税の代わりに納付すべき税額の35%がそれぞれ加算され、金額的な負担はかなり大きくなります。

③脱税

申告漏れ、所得隠しは、所轄税務署による事前通告ありの任意調査によって発覚となりますが、より悪質なものは国税局査察部(いわゆるマルサ)による強制調査が行われます。

報道などで、脱税!と言われた場合には、国税局が悪質だと判断し検察庁に告発したものを指します。例えば、チュートリアル徳井さんの場合には、悪質性は低いとして、申告漏れによる追徴課税となっているため、脱税ではありません。

脱税の場合、法人税法違反、所得税法違反などによって、「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれを併科」に処されます。

刑事罰に加えて、申告漏れ同様に重加算税も課税されますので経済的な負担もかなり大きくなります。

従来の目安では3年間で脱税金額が1億円を超えると本格的に国税も動き出すと言われていましたが、近年ではお金の流れが比較的掴みやすくなっていることから金額が1億円未満でも調査がスタートするとも言われています。

ただし、所得隠しと脱税は、明確に法律によって区別がされているわけではなく、あくまでマルサが告発するかどうかという点がポイントになります。

税金にも時効があるが、実質的には存在しないのと一緒

実は、税金には時効が設定されています。

税金の時効には3年5年7年の3つのパターンがあり、状況や悪意の有無などによって期間が異なります。

時効が3年のケース

申告の期限内に提出した場合の時効で、申告期限の翌日から3年となります。

例えば,2018年分の所得税の確定申告の場合には、申告期限である2019年3月15日の翌日から3年後に時効を迎えるので、2022年の3月15日が時効となります。

ただし、その過程で脱税の意思が発覚した場合には時効期間が7年になります

時効が5年のケース

申告の期限内に提出していない場合の時効期間で、申告期限の翌日から5年となります。

例えば,2018年分の所得税の確定申告の場合には、申告期限である2019年3月15日の翌日から5年後に時効を迎えるので、2024年の3月15日が時効となります。

ただし、その過程で脱税の意思が発覚した場合には時効期間が7年になります

時効が7年のケース

申告内容に虚偽の記載や脱税の意図があった際には,申告期限の翌日から7年となります。

また5年のものに脱税の意図があった際には,申告の有無にかかわらず7年に延長されます。

時効はリセットされるので実際にはほとんど逃げ切れません

こうした時効は税務署が督促状を送ったり差押えを行うと、カウントがリセットされます。

そのため、実質的には時効はないのと同じ。国民の納税義務から逃れることはできないのです。

脱税は絶対にNG。合法的に税額を減らすなら節税を。

脱税は違法ですが、法律で認められている範囲や方法で、課税される所得を小さくする節税は合法です。

ここでは、主に会社員・パート主婦など、一般の方々が使える以下の節税対策をサクッとご紹介していきます。

  • ふるさと納税
  • iDeCo(個人型確定拠出型年金)の活用
  • 所得控除の利用(医療費控除・住宅ローン控除等)

①ふるさと納税

ふるさと納税は厳密にいえば節税ではありませんが、家計を助けてくれる制度です。

ふるさと納税は、各自治体に寄付金を贈った場合に実質負担2000円でその地方の特産品などの返礼品を受け取ることができます。

具体的には、10万円の寄付をした場合にはその年の所得税と住民税から9万8000円が控除されて課税がなされます。

つまり、税金として納めている金額自体は変わりませんが、家庭としては2000円の負担で何倍もの金額の返礼品が受け取れるというメリットがあります。

感覚としては、お買い物として支払ったお金が納税としてもカウントされるというイメージですね。

利用できる金額には次のような上限があります。

ふるさと納税を行う本人の給与収入ふるさと納税を行う方の家族構成
独身又は共働き夫婦又は共働き+子1人(高校生)共働き+子2人(大学生と高校生)夫婦+子2人(大学生と高校生)
300万円28,000円19,000円7,000円
400万円42,000円33,000円21,000円12,000円
500万円61,000円49,000円36,000円28,000円
600万円77,000円69,000円57,000円43,000円
700万円108,000円86,000円75,000円66,000円
800万円129,000円120,000円107,000円85,000円
900万円151,000円141,000円128,000円119,000円
1000万円176,000円166,000円153,000円144,000円
1200万円242,000円232,000円219,000円200,000円
1400万円355,000円343,000円277,000円267,000円
1600万円424,000円412,000円396,000円384,000円
1800万円493,000円481,000円465,000円453,000円
2000万円564,000円552,000円536,000円524,000円
2500万円849,000円835,000円817,000円804,000円

家族構成や年収によってかなり利用上限に差があるのが印象的ですね。

iDeCo(個人型確定拠出型年金)

2つ目に紹介するのは最近何かとCMなどでも目にするようになったイデコです。

最近では若い世代が年金を十分に受け取ることができないのではないか、ということがニュースになっています。こうした状況に備えて、公的年金とは別に自力で年金を積み立てておくのがイデコです。

イデコでは、大きな所得控除が受けられるので強い節税効果が魅力となっています。

なお、イデコにはふるさと納税のように加入者によってそれぞれ限度額があります。

加入者別の拠出限度額は以下の表の通りです。

加入者拠出限度額
①自営業者81万6000円/年(6万8000円/月)
②厚生年金の被保険者他の企業型年金も確定給付型の年金も実施していない(中小企業などの勤務など)場合27万6000円/年(2万3000円/月)
他の企業型年金のみを実施している(大企業勤務など)場合24万円/年(2万円/月)
確定給付型の年金を実施している場合14万4000円/年(1万2000円/月)
公務員等14万4000円/年(1万2000円/月)
③専業主婦等27万6000円/年(2万3000円/月)

ただし、一度拠出したお金は定年まで受け取ることができないので長い目で見て取り組む必要のある投資方法といえます。

③所得控除

住宅ローン控除や医療費控除などを利用することで、サラリーマンの方でも控除の金額を増やし、課税所得を減らしていくことは可能です。

ここでは簡単ではありますが、住宅ローン控除・医療費控除・生命保険料控除・地震保険料控除を解説していきます。

  •  住宅ローン控除

マイホームを購入して、住宅ローンを支払っている方が利用できるのが、住宅借入金等特別控除、いわゆる住宅ローン控除(減税)です。

毎年、年末の住宅ローン残高の1%、最大40万円までが所得税額から控除されます。この控除は10年間利用することができるので最大で400万円もの税金が還ってくるとてもお得な制度です。

この住宅ローン控除は税額控除と呼ばれ、最終的に算出された納付金額から直接差し引くことができて、節税メリットが大きいです。

例えば、1年間の所得税が16万円で、年末のローン残高が2,500万円だった場合、控除額は25万円。

まず、所得税16万円分が丸々戻り、さらに残りの9万円はその年に払う住民税からも差し引かれます。

実際に住宅ローン控除を受けるには、ローンを組んだ初年度に確定申告が必要です。

その際には、建物・土地の登記事項証明書や、土地・建物の売買契約書など、多くの書類が必要ですので、あらかじめ準備しておくと便利です。

なお、会社員の方であれば、2年目以降は、会社が年末調整で処理してくれるので、特に手続きは不要となります。

  • 医療費控除

医療費控除とは、その年に支払った医療費のうち、一定額(10万円)を超えた分が控除される仕組みです。

大きな病気をした場合や出産の際の診察費用や入院費用などまとまった支出があった年には忘れずに申請するべきですね。

  • 生命保険料控除

生命保険料を払っていると、その払った額の一部、または全額が控除されます。

生命保険料控除の対象となるものは、生命保険、介護医療保険、個人年金保険の3つです。

生命保険料控除の控除額は以下の通りです。

年間の支払生命保険料等控除額
2万円以下支払生命保険料等の全額
2万円超4万円以下支払生命保険料等×1/2+1万円
4万円超8万円以下支払生命保険料等×1/4+2万円
8万円超一律4万円
  • 地震保険料控除

地震保険料控除の控除額は以下の通りです。

年間の支払地震保険料控除額
5万円以下支払地震保険料の全額
5万円超一律5万円

 

所得隠しや脱税は絶対にNG。合法的に税金を減らす方法はたくさんあるので、ぜひ各制度を理解して実際に利用してみてください。

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