最近、ニュースなどでもよく耳にする「iDeCo」ですが、なんとなく興味があるけれど、具体的な内容がわからないという人も多いのではないでしょうか。
本記事ではiDecoとは何かということからiDecoの始め方やオススメの証券会社、年末調整のことなどの手続きに関する深いことまで扱っています。
iDecoについてあまり詳しくない方からiDecoについてもう少し詳しく知りたい方まで多くの方が知りたいことがここでわかります!
投資などについて怖さや不安を感じている人でもiDecoは始めやすく、メリットの大きいものであるということがお分かりいただけます!
最近話題のiDeCo(個人型確定拠出年金)って一体何?他の年金と何が違う?
iDeCoとは
iDeCoとは、一言でいうと、「自分で運用できる年金」です。別名を個人型確定拠出年金とも呼びます。
一般的に年金制度には、国民年金・厚生年金・企業年金などの種類がありますが、iDeCoは企業年金の一つです。
近年、少子高齢化や長寿化によって、老後生活に不安を抱える人が増えてきました。その中で「公的年金だけで老後生活を過ごすことができるのか」という不安の声も多く上がっています。
そこで、公的年金とは別に自分で年金を運用して、退職後に受け取る年金を増やすための施策として注目を浴びているのがイデコです。
政府もイデコの活用を積極的に応援しており、個人がイデコに掛けた投資金額(掛け金)を全額、税金から控除できるようにするなどのおまけをつけました。(こちらについては、後ほど詳しく説明します)
イデコを利用することで老後資金を積み立てられるだけではなく、今支払う税金の金額まで安くできる一石二鳥の投資制度とも呼べますね。
まずは、以下にiDeCoと他の年金の違いを簡単に説明します。
iDeCoと他の企業年金との違い
一般的に年金は、階段形式になっており、1階部分が国民年金、2階部分が厚生年金となります。
企業年金は、年金制度の3階建て部分にあたるもので、国民年金・厚生年金にプラスで行うことで将来多くの年金を受け取ることができます。
お伝えした通り、iDecoとは、企業年金のうちの一つの種類のことを言います。
企業年金には、大きく「確定給付型」と「確定拠出型」があります。
- 確定給付型・・・将来支払われる年金の額があらかじめ決まっているタイプの年金制度
- 確定拠出型(iDeCOはこちら)・・・一定の掛け金を加入者が拠出・運用し、その運用結果によって、将来の年金金額が決まるタイプの年金制度。企業型と個人型があり、iDecoは個人型です。
iDeCoは、「確定拠出型年金」の中でも、個人で行う年金制度になります。iDeco(イデコ・個人型確定拠出年金)が企業年金の中でどのような立場なのかを以下の表でまとめました。
企業年金 | |||
確定搬出型 | 確定給付型 | ||
個人型(iDeco(イデコ・個人型確定拠出年金)) | 企業型 | 規約型 | 基金型 |
60歳まで毎月資金を出して、定期預金・投資信託などの金融商品を運用することで、退職後にその資産を受けることができます。
iDeCo(イデコ)の加入対象者と拠出限度額
iDecoに加入できる人・できない人
加入対象者は60歳未満で、以下の3点のうちのどれかにあてはまる人です。
- 自営業者(第1号被保険者)
- 会社員や公務員などの厚生年金の被保険者(第2号被保険者)
- 専業主婦・主夫等(第3号被保険者)
以上のように、60歳未満である方のほどんどは加入対象者となります。多くのご家庭で加入対象となると思われるので、ぜひ自身のご家庭で利用できるのか確認してみてください。
逆に加入対象外となってしまう人は以下になります。
- 60歳以上の人
- 海外に住んでいる人
- 国民年金保険料を払っていない人(未納者・免除者・学生納付特例制度を利用している学生)
iDeCoの掛け金(搬出金)の限度額
iDeCoは自身が決めた一定額を毎月出資するもので、出資することを搬出とも言います。
その搬出額(出資額)は加入者によってそれぞれ限度額があります。
加入者別の拠出限度額は以下の表の通りです。
加入者 | 拠出限度額 | |
①自営業者 | 81万6000円/年(6万8000円/月) | |
②厚生年金の被保険者 | 他の企業型年金も確定給付型の年金も実施していない(中小企業などの勤務など)場合 | 27万6000円/年(2万3000円/月) |
他の企業型年金のみを実施している(大企業勤務など)場合 | 24万円/年(2万円/月) | |
確定給付型の年金を実施している場合 | 14万4000円/年(1万2000円/月) | |
公務員等 | 14万4000円/年(1万2000円/月) | |
③専業主婦等 | 27万6000円/年(2万3000円/月) |
iDeCo(イデコ)を使う7つのメリット
メリット①自分で年金を運用できる
近年、年金の支給額が減額されたり、年金受給開始年齢が繰り上げられたりするといった政策が採られています。
そんな中で、「国に支給される年金だけでは老後の生活費として十分にあてにはできない」と思う人が増えています。
そのような人にとって、iDeCoは最適な制度の一つです。
なぜなら、iDeCoは国に支給される年金とは別に各個人が年金を積み立て、運用することができる年金制度だからです。
運用は各金融機関が扱っている投資信託のうち自身が好きなものを選んで組み合わせることで行います。
この運用によって、投資した金額よりも多くの年金を得ることができる可能性もありますが、逆に投資した額よりも少ない額しか年金を受け取れなくなる可能性もありますので、慎重な運用をしましょう。
メリット②所得税を節税できる
イデコの掛け金は、所得税控除に算入することができます。この節税効果が大変大きいとしてニュース等でも多々取り上げられています。
前述した通り、運用にはリスクが伴い、出資額が目減りしてしまう可能性もあります。
しかし、iDeco(イデコ・個人型確定拠出年金)への拠出による控除は毎年拠出した額だけ受けられるので、手元のお金を増やすことができます。この点がその他民間投資信託などに投資したりするよりも優れた点です。
例えば、厚生年金の被保険者で、企業型年金のみを実施している会社員であれば、年収500万円のの場合、拠出限度額の24万円/年分を拠出すると、年間4万8000円節税することができます。
24万円(拠出額) × 20%(税率) = 4万8000円(節税できる額)
さらに、専業主婦の場合は年間27万6000円まで搬出することができます。また、課税所得額(給与所得控除を受けた後の収入)が195万円以下であれば、所得税は5%のため、おおよそ1万3800円の節税をすることが可能です。
上記の夫婦が、35歳から60歳まで25年間拠出限度額までiDeCoを搬出し続けた場合、少なくとも合計154万5000円の節税が可能になります。年をとるにつれて年収が上がるとすれば、より多くの節税効果が期待できます。
(夫の年間節税額:4万8000円 + 妻の年間節税額:1万3800円) × 25年間=154万5000円
メリット③運用益に税金がかからない(非課税)
iDeCoの運用中に発生した収益(利息、収益分配金、売却益)は非課税となります。
一般的に他の投資手法、(株式や投資信託)で利益が出た場合、年間20万円以上の利益に対して課税されてしまいます。また、課税対象となれば、確定申告が必要になります。
一方、iDecoは掛け金や収益がどれくらいであろうと課税されません。
メリット④掛け金5000円から始められる
iDeco(イデコ・個人型確定拠出年金)は毎月最低5000円から始めることが可能で、1000円単位で上乗せしていくことができます。また、掛け金は1〜12 月の間で年に1度変更可能です。
毎月5000円からなら多くのご家庭でもiDeCoを実践できそうですね。
また、家計に合わせて掛け金を変更できることも魅力的ですね。
メリット⑤搬出(出資)をいつでも停止・再開できる
iDeCoは毎月一定額を出資するものだと説明しました。
家計のやりくりの中で、マイホームの購入や自動車の購入、子供の教育費などで一時的に多くの出資が必要な時期があると思います。そのような時にiDeCoに今まで通り出資するのは厳しい時もあるでしょう。
そのような時、iDeCoでは出資を停止することができます。また、家計に余裕ができてから出資を再開することもできます。
今まで積み立てた分を引き出すことはできませんが、積み立てた分の運用ができなくなるわけでもないので、その点は心配不要です。
メリット⑥転職・退職時に他の年金資産を移すことができる
個人で運用・管理するため、転職や退職の際に年金資産(すでに拠出し、運用している資産)を移すことができます。
どういうことかというと、例えば、企業型年金を利用していた人が退職したら、個人型に、個人型年金を利用していた人が企業型年金実施企業に加入した時などのように年金を確定搬出年金内で移動させることができます。
また、厚生年金基金や確定給付企業年金の年金資産も確定型搬出年金に移動させることができるようになりました。
メリット⑦運用資産受け取り時も「公的年金控除」や「退職所得控除」で節税できる
iDeCoは、搬出をした際に所得税を節税することができると言うことは以上で説明しました。
iDeCoはそれだけではんかう、積み立てたお金を受け取る際にも税金を控除することができます。
iDeCoの受け取り方は大きく以下の3種類あります。
- 受給権利を得た後、70歳までに一時金として一括受け取り
- 5年以上20年以下の有期年金として分割受け取り
- 一時金と年金を組み合わせて受給
この時、一時金で受け取る場合には「退職所得控除」、年金として受け取る場合には、「公的年金等控除」を利用することができます。
掛け金の支払い時と貯めたお金の受け取り時のダブルで節税することができるので大変お得です。
iDeCo(イデコ)の3つのデメリット
デメリット①60歳までは運用資産を引き出せない
iDeCoに加入すると掛けたお金は、早くとも60歳までは受け取ることができません。
また、iDeCoの加入期間が10年未満の場合、最大65歳まで運用資産を受け取ることができません。特に、50歳以降にiDeCoを始めた方は必ず60歳よりも遅い時期から資産を受給可能となるので注意が必要です。
通算加入期間 | 運用資産受け取り開始年齢 |
10年以上 | 60歳 |
8年以上10年未満 | 61歳 |
6年以上8年未満 | 62歳 |
4年以上6年未満 | 63歳 |
2年以上4年未満 | 64歳 |
1ヶ月以上2年未満 | 65歳 |
デメリット②口座開設・維持に手数料がかかる
iDeCoを利用する際には、専用口座の開設費と運用管理費用がかかります。
- 口座開設費用:口座を開設する初回の時だけかかる費用です。安いところであれば、2700円台で、おおよそ3000円が相場のようです
- 運用管理費:運用期間中はずっとかかる費用で、安いところであれば、月額167円、年間約2140円かかります。
- その他費用:運用資産を給付される時、資産を他の運用方法に移動させるときなどに費用がかかります。
以上のように、iDeco(イデコ・個人型確定拠出年金)を運用するにあたり、諸費用がかかってしまいます。しかし、一般の投資信託運用費よりも安く済む上に所得控除などで受けられる恩恵の額を考えれば、比較的割安であると考えられます。
デメリット③将来受け取る年金額が不確定
iDeCoは金融商品を運用するため、将来の株価などによって資産が増減してしまい、受給額を完全に把握することはできません。
また、運用成績によっては予想よりも少ない額の年金しか受け取れない場合もあります。
ただし、リスクの低い金融商品を選んだり、組み合わせることで元本割れを予防することもできます。
iDeCoで運用できる金融商品の種類
iDeCoの商品は「元本確保型」と「価格変動型」があります。元本確保型と価格変動型の運用する組み合わせは自由であり、自身の運用目的に合わせてそれぞれの金融商品にかける資産の割合を決めましょう。
以下にそれぞれの解説をします。
元本確保型
元本確保型は名前の通り、元本を割るリスクを最大限避けて運用する一方で得られる収益が少ないものです。
代表的な商品は定期預金や保険商品があり、これらの利息や配当金が収益となります。
できる限り出資した額よりも受け取る年金の額が少なくなってしまうリスクを避けたい方は元本確保型の商品を選びましょう。
価格変動型
価格変動型は投資信託や債券などの金融商品を運用するものです。
株式や債券の価格変動リスクがあり、定期預金を運用する元本確保型に比べれば元本割れリスクが高くなってしまいます。
商品は投資信託やMMF(マネー・マネジメント・ファンド)があります。投資信託は色々な株式や債券を組み合わせて収益性や安全性を高めた金融商品。MMFは公社債を運用し、比較的価格変動が少なく、証券会社における定期預金のようなものです。
定期預金よりもリターンが大きく、比較的リスクも少ない金融商品です。
具体的な価格変動型の商品は、国内、先進国や新興国の株式や債券、REITと呼ばれる不動産投資信託などがあります。また、それぞれにインデックス型とアクティブ型があります。
- インデックス型:経済指標に連動して金融商品を売買するもの。経済指標と連動して売買するため、コストが安く、リターンは低いがリスクも少ない。多くの証券会社の金融商品の中でアクティブ型よりも種類が豊富で選択肢が広い。
- アクティブ型:各証券会社のトレーダーが運用するもの。トレーダーが売買に介入するため、インデックス型よりも手数料が高い。トレーダーは収益をあげようと取引するが、トレーダーの成績に資産が左右されるため、インデックス型よりも大きなリターンを得られる可能性もあるが、リスクも大きい。インデックス型よりも取り扱い銘柄が少なく、選択肢に制限がある。
各証券会社の商品を比較してみるとインデックス型の手数料は利益に対して0.1〜0.2%であるのに対してアクティブ型は1.1%と10倍近く手数料を多くとるようです。
運用リターンはどれくらい?
結論から言うと、運用リターンがどれくらいになるかを正確に予想することはできません。
それは、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)を通して、どの金融商品をどれくらい組み合わせるかによって収益結果が変わるうえ、それらの金融資産が将来的にどれくらいのリターンを生むのかは株価の予測同様に大変難しいものだからです。
iDecoの最大の特徴はその節税効果といえますので、リスクをできるだけ避けたい方は元本確保型の金融商品の割合を多くして元金を確保すると良いでしょう。
iDeCo(イデコ)の始め方と受給方法
iDeCoを始める手順
iDeCoを始める手順は以下の3ステップです。
- ステップ1 金融機関を選ぶ
- ステップ2 積み立てる金額を決める
- ステップ3 運用商品を決める
それほど難しくありませんね。ただし、ステップ1「金融機関を選ぶ」の時は注意が必要です。
前の章で述べたように口座開設手数料や管理維持費用が金融機関によって異なるため、出来るだけ費用がかからない金融機関を選んだ方がお得です。
iDeCoの受給方法
イデコで積み立てたお金を受け取る際は以下の4つの方法があります。
- 老齢給付金:満期を迎えて70歳までに受け取る方法
- 障害給付金:一定の障害の程度に該当する場合に受け取ることができる。
- 死亡一時金:加入者等が死亡した場合に遺族が受け取ることができる。
- 脱退一時金:iDeco(イデコ・個人型確定拠出年金)から脱退した際に運用資産を受け取ることができる。
管理手数料0円の証券会社を比較!取り扱い銘柄が多いのは?
運用管理費は毎月iDeCoを統括している国民年金基金連合会に103円(各社共通)、信託銀行に64円、合計167円を最低でも払わなければいけません。
今回は証券会社に個別にかかる管理手数料が0円の証券会社や銀行6社について比較してみます。
今回は取り扱い商品の本数と投資信託の商品として有名な「ひふみ投信」や「たわらノーロード」を扱っているかどうかを表にまとめてみました。
「ひふみ投信」は主に日本株に投資するアクティブファンドです。「たわらノーロード」はアセット・マネジメントONEというファンドが運用するインデックス型の商品で、国内外の株式や債券など幅広いラインナップがあります。
SBI証券 | 松井証券 | マネックス証券 | 大和証券 | イオン銀行 | 楽天銀行 | |
取り扱い銘柄本数 | 87 | 12 | 25 | 22 | 24 | 32 |
ひふみ投信 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
たわらノーロード | × | ○ | ○ | × | ○ | ○ |
以上の表からして圧倒的にSBI証券の取り扱い銘柄数が多いことがわかりました。なので、多くの銘柄を一つ一つ吟味して自分で商品の組み合わせをしっかりと考えたい方にはSBI証券をオススメします。
以上の6社はどれも手数料が安く、その他の面でも大きな違いはありませんでした。
ただ、各証券会社によって国内外の株式などの取り扱い銘柄の種類や数が少しずつ違います。そのため、各社の取り扱い銘柄を読者の方が見比べてみて、自身のニーズにあった商品のある証券会社を選ぶことをお勧めします。
所得税の還付を受けるための年末調整の仕方
iDeCoへの出資金の支払い方法として、「口座引き落とし」と「給料天引き」があります。
- 掛け金を給料から天引きしている会社員や公務員は年末調整をする必要がありません。
- 口座引き落としの場合は年末調整をしなければなりません。
iDeCoの年末調整のステップは大きく3ステップです。
ステップ①「小規模企業共済等掛金振込証明書」を用意する
iDeCoを利用している人に「小規模企業共済等掛金振込証明書」が毎年10〜11月にiDeCoを統括する国民年金基金連合会から届きます。
ただし、10〜12月の間にしかiDeCoをかけていない場合、小規模企業共済等掛金振込証明書が送られてくるのは翌年1月末になるので、年末調整ではなく確定申告が必要となります。
「小規模企業共済等掛金振込証明書」はiDecoに一年間(1〜12月)のうちにいくら掛けたのかを証明するものです。
ステップ②「給与所得者の保険料控除申告書」を記入する
「給与所得者の保険料控除申告書」を勤務先から受け取ります。
「給与所得者の保険料控除申告書」の右下に「小規模企業共済等掛金控除」の「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」と書かれている欄があります。そこにその年にiDecoに掛けた金額を記入します。
ステップ③「小規模企業共済等掛金振込証明書」を添付し、勤務先に提出
最後にステップ1で用意した「小規模企業共済等掛金振込証明書」を添付して勤務先に提出します。
その後、年末の給与受け取り時に所得税が還付されます。
iDeCoを活用して節税しながら老後資産を貯めよう
今回はiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)とは何か?メリット・デメリットは何かについて紹介してきました。
iDeCoについて詳しく分かって頂けたでしょうか?
以上でも述べた通り、iDecoの最大のメリットは節税効果にあります。
そのため、投資不安を感じている人でも、リスクを最大限回避した金融商品を選ぶことで想像していたよりもリスクを少なく大きな節税効果を受けることができます。
対象者も幅広いので、ぜひ本記事を参考にしながらiDeCoの活用をご検討ください!
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