「人生100年時代」と言われるように、近年では平均寿命や高齢者の健康寿命が伸びたことによって、退職後に過ごす時間が長くなってきました。
少子高齢化の深刻化から、年金の給付額の減額や給付年齢の引き上げは今後も行われていく可能性は高くなっています。
こうしたことから、老後に備えて働けるうちにいかに貯蓄していくか、ということが大切になります。
今回は、一体老後に備えてどのくらいの貯蓄をしていくと安心なのか、また効率的に貯蓄をしていく方法や老後資金作成の注意点を紹介していきます!
老後資金はいくら必要!?3000万円が目安?公的年金はアテにできない?
定年退職は60歳!?高年齢者雇用確保措置とは?
定年退職というと「60歳」というイメージが一般的ですよね。
これは、法律で定年を定める年齢として60歳未満の年齢は指定できない決まりがあるからなのです。
(定年を定める場合の年齢)
第八条 事業主がその雇用する労働者の定年(以下単に「定年」という。)の 定めをする場合には、当該定年は、六十歳を下回ることができない。
ただし、 当該事業主が雇用する労働者のうち、高年齢者が従事することが困難である と認められる業務として厚生労働省令で定める業務に従事している労働者に ついては、この限りでない。
ですから、定年を30歳にして新陳代謝が良い企業にしようと考えても、それを実行することは法律で禁止されているのです。
その反面、定年の年齢は60歳以上の年齢であれば、企業が自由に設定でき、そもそも定年退職というシステムを設けるかどうかも企業次第なのです。
その一方で、仮に60歳で定年退職してしまうと年金給付開始の65歳まで無収入の状態になってしまうという問題もありました。
こうした対策として、高年齢者雇用確保措置として以下のような措置を取ることが企業に義務付けられました。
第九条 定年(六十五歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇 用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」 という。)のいずれかを講じなければならない。
一 当該定年の引上げ
二 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢 者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入
三 当該定年の定めの廃止
これによって、60歳〜65歳までに本人の希望があれば無収入の状態を防ぐことができる仕組みが確立されました。
老後は何年続く!?老後にかかる総額費用は?一人3000万円が目安?
では、退職後にはどのくらいのお金が必要になるのか実際に計算してみます。
一般的な定年退職年齢が60歳、平均寿命を80歳と仮定して考えます。
総務省の家計調査年報(家計収支編)平成28年度によれば、全ての世帯(単身・二人以上世帯合わせて)の家計消費額は1世帯当たり1か月平均242,425円となっており、この消費を20年間続けるとすると、
24万円×12ヶ月×20年間=5,760万円
が平均した退職後の1世帯あたりの平均消費額と考えられます。
単身者の場合にはこれよりは少なくなりますし、夫婦で老後を過ごす場合にはやや高い金額になると考えると良いでしょう。
なので、「一人当たり3000万円くらいが老後に必要となる」と考えておきましょう!
また、老後に時間ができるから旅行にたくさん行こうと考えている場合には、別に資金を貯めておく必要がありそうです。
退職後にもらえるお金は!?退職金や公的年金はいくら?
退職後には少しずつ貯金を切り崩して生活することが多くなります。
ですが、必ずしも先ほどの5000万円近くを働いている間に貯めておく必要はありません。
まずは、退職金がもらえるということを考慮に入れておきましょう。
退職金は、厚生労働省の退職給付(一時金・年金)の支給実態によると、勤続20年以上かつ45歳以上の労働者の場合は、大卒で平均2,280万円、高卒の場合は1,493万円の退職金が給付されていることがわかっています。
企業や勤続年数によって退職金の金額は異なり、企業によっては退職金制度のないところもあるので、しっかりと確認しておきましょう。
また、公的年金として、平成30年度は国民年金が月額16,340円、厚生年金はおよそ15万円前後となっています。
厚生年金は加入期間の長さと期間中の収入によって大きく異なります。
そのため、働けるうちにしっかりと働いて年金を納めておくことが将来に安定した収入を受け取る方法の一つとなります。
貯蓄を増やすには?保険の見直しや資産運用が有効?
では、老後に備えてどんな対策を取るのが有効なのかを紹介していきます。
①無難に貯蓄をする!
まずは王道の貯蓄です。
いきなり5000万円を貯めようと思うと心が折れてしまいますよね。
ですが、月に3万円の貯金を30年続ければ1080万円を貯めることができます。
月3万円なら外食を月に数回我慢するだけでも達成できそうですよね。
また、早いうちから貯蓄型保険に入っておくというのも大きな手です。
貯蓄型保険は、保険料は安くはないものの満期になると支払った保険料の総額以上のお金が返ってくるというものです。
ただし、貯蓄型保険の受け取りにはいくつか条件がある場合があるので、しっかりとした説明を受けておくのがおすすめです。
②生命保険や損害保険の見直し
毎月数千円の出費も積もり積もっていくと大きな出費になります。
今、加入している保険でしっかりカバーできているのか、もう少し保険料を下げても良いかどうかなどを見直すことで無駄な保険料を支払わずに済みます。
自分ではなかなか見直すことは難しいので、ファイナンシャルプランナーに相談してみるのがおすすめです。
保険の見直しをするなら、以下記事で紹介している無料保険相談サービスがおすすめです。
③資産運用
3つ目の方法は資産運用です。
株式や投資信託、不動産経営などが主な方法ですがこうした投資はやはりリスクがつきものです。
生活費を削ったりしてやることはおすすめできないので、余ったお金や趣味に使いはずだったお金から少しずつやるという程度にとどめておくのが良いかと思います。
持ち家を活用するというのも上手な方法の一つです。
一軒家を買ったものの、老後に過ごすには広すぎるから小さな家に引っ越すなんてことはよくあります。
持ち家を持っておくと、仮に済まなくなったとしても不動産として貸し出し、定期的な収入が確保できますし、ローンが完済していれば住宅費の支出もなくて済みます。
まとめ
今回は老後にどのくらいのお金が必要になるのかを調べていきました。
一人3000万円が大まかな目安ですが、老後には時間がたくさんできるので、趣味に使うお金も十分に残しておきたいところです。
貯蓄は一朝一夕にできるものではなく、何十年もかけて計画的に行うものなので、元気に働ける年代のうちにしっかりとした老後のプランを持っておくようにしましょう!
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