アメリカ大統領選にかかる費用は?資金はどう集めてる?

アメリカ大統領選挙 費用

世界や日本の経済に大きな影響を与えるアメリカの大統領選挙。

4年に1度、大統領選挙が始まると共和党、民主党各大統領候補が熾烈な戦いを繰り広げます。

日本に居ながら、その規模の大きさが伺える大統領選挙ですが、一体、選挙自体にどれくらいの費用がかかっているのでしょうか?

大統領選の費用や資金集めの仕組みについて解説をしていきます。

アメリカ大統領選挙は数千億円規模の費用がかかる!

大統領選では、各候補が自身の得票獲得に向けて多額の資金を集めることになります。

「政治に必要なものは2つある。1つはお金、2つ目は何だったか思い出せない。」これは第25代アメリカ大統領を当選に導いたマーク・ハンナ議員の言葉です。

アメリカ大統領選では資金力がどれほどモノをいうかを物語っていますね。

実際に近年の大統領選にかかったコストをみていきます。

2008年〜2016年の大統領選挙費用の推移

2008年、2012年、2016年の大統領選で各候補が使った資金が以下になります。

民主党共和党両陣営合計
2008オバマ:約836億円マケイン:約418億円約1,254億円
2012オバマ:約1,235億円ロムニー:約1,100億円約2,335億円
2016クリントン:約1,309億円トランプ:約704億円約2,013億円

(1ドル110円換算)

アメリカ大統領選挙史上最も費用がかかったのは、2012年のオバマ・ロムニーの年で、両陣営の総コストは2,335億円

なお、トランプ氏が当選した2016年は、史上初めて資金集めが劣勢だった候補者が勝利した回となっています。

日本、イギリス、フランスなど世界各国と比べても桁違い

参考までに、2017年に行われたイギリス総選挙では、75の政党、15の選挙活動団体が支出した合計資金は、4,160万ポンド、日本円で約578億円

2017年フランス大統領選挙で使われた選挙費合計は、1657万ユーロ、日本円で約208億円になります。

日本では、2017年の衆議院選挙を開催するにあたり国から支出された費用は約600億円でした。

こうした各国の選挙費用と比較しても、アメリカの大統領選挙は群を抜けて高いことが分かります。

これにはいくつかの理由がありますが、1つはアメリカという広大な国土を移動して選挙活動をしなければいけない点、2つ目が、長い選挙機関。各州の予備選挙や党員集会から計算すると2年間の活動をしなければなりません。

そして最後が広告宣伝費の多様化。以前まではテレビCMなど限られた広報ツールを使用していましたが、最近では、SNSなどネット広告をはじめ、各候補の宣言PRのための手段が多様化しました。

それによって、各候補の宣伝広告費が高騰したことが挙げられます。

オバマ氏のインターネット戦略が勝因に繋がったことは記憶にも新しいですね。

アメリカ大統領候補は選挙費用をどうやって集めてる?

世界的にも高い選挙資金を必要とするアメリカ大統領候補ですが、各候補は選挙資金をどのように集めているのでしょうか。

大統領選を支える「スーパーPAC」という仕組み

大統領選の資金調達方法は、個人や企業、団体からの寄付や政治資金パーティの実施、そして自身の資金などが挙げられます。

この内、特に資金集めに大きな影響を与えているのが、2010年からスタートしたスーパーPACという団体です。

元々、PACとは政治活動委員会と呼ばれる、政治資金団体のことを指します。

以前は、PACへの献金は一人5,000ドルまでの上限額が設定されていましたが、2010年アメリカ最高裁で、候補者から独立した政治団体への献金に上限を設けてはいけないという判決がでました。

つまり、大統領候補は、スーパーPACによって富裕層や企業から無制限に巨額資金を得ることができるようになったのです。

スーパーPACは、支持する政治家の対立候補へのネガティブキャンペーンなどの広告を実施し、選挙活動に大きな影響を与えています。

日本では企業献金の上限が決まっている

一方で日本では、政党や政治資金団体への企業献金には上限が定められています。

また、企業から政治家個人への献金は禁止されているものの、実質的には、政治資金団体経由で特定の政治家へお金を流すことが可能なため、企業癒着の温床であると揶揄されています。

アメリカでは、前述したスーパーPACによって企業は自由に政治家に寄付を行うことが認められています。

こうした献金に対するルールの違いは、日本とアメリカの政治参加方法への意識の違いともいえるかもしれませんね。

大統領選は資金争いにも注目してみよう

2020年には、トランプ氏とバイデン氏の大統領選挙が実施されます。

トランプ氏優先とみられていた資金力争いですが、2020年春以降に突入してからバイデン氏がトランプ氏の資金残高に迫る勢いで献金を獲得しています。

前回大統領選挙のトランプ氏のように、資金力の差がそのまま結果に繋がるというわけではありませんが、各候補者の広告宣伝戦略などに大きな影響を与えることは間違いありません。

資金面からアメリカ大統領選挙をみてみると普段と違う気づきや発見があるかもしれませんね。

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