春から新しいアルバイトを始めてみようという人も多い季節でもあり、「今年は旅行に行きたいからたくさんバイトして稼ごう」と意気込んでいる人もいるのではないでしょうか?
もちろん親から経済的に自立することは良いことですが、あまりに張り切り過ぎてしまうと思わぬ落とし穴に引っかかってしまうことがあります。
いっぱいお金が欲しくてアルバイトに精を出した結果、税金を取られて損をしてしまうといった事例はまだまだ税金の知識が浅い学生に起こりがちな失敗です。
今回は、そんな大学生のアルバイトではどのくらい稼げば損をしなくて済むのか、またアルバイトで得られた収入に対してどのように課税がなされるのかを紹介して行きます。
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そもそも扶養控除ってなに!?対象者や受けるメリットは?
扶養控除の対象となる人はどんな人?
納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができ、この制度を扶養控除と言います。
簡潔に説明すると、「税金を納めている人に自分以外に養っている家族がいる場合には、支払うべき住民税や所得税が一定額だけ控除される」と言う仕組みです。
ここで言う控除対象扶養親族の条件は、下の4つの条件を全て満たすような人を指します。
(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
(2) 納税者と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
(国税庁より引用)
つまり、納税者に小さな子供がいる場合や、働けなくなってしまった親などがいる場合には扶養控除を受ける要件を満たしていることとなります。
また注意して欲しいのは、扶養控除の対象はあくまで「配偶者以外」の親族なので、夫や妻といった配偶者に対しては配偶者控除という別の仕組みが適用されるので注意が必要です。
扶養親族の注意点!子供が扶養親族に該当するのは16歳から!!
先ほどの条件には記載がなされていませんでしたが、子供が扶養親族として認定されるのは12月31日時点で16歳以上という条件が付いています。
以前は年少の子供も扶養控除の対象となっていましたが、2011年に開始された子供手当の実施に合わせて、現在は対象外となっています。
控除される金額は年齢によって違う!?
納税者が控除される金額は、扶養親族の年齢によって異なります。なので、多くの大学生は特定扶養親族として扱われるので、控除額は、控除額38万円に25万円上乗せされた63万円が所得税から控除されることとなるのです。
区分 | 控除額 |
控除対象扶養親族 (12月31日時点で16歳以上の者) | 38万円 |
特定扶養親族 (12月31日時点で19歳以上23歳未満の者) | 63万円 |
重複して控除の申請はできない!!
配偶者控除を受ける際に気をつけなければならないもう一つの点が、「重複して申請することができない」という点です。
そのため、共働きの家庭では子供が父母の両方の扶養親族となるよう申請することはできません。
また離婚した結果、元夫婦が共同して子供を養育してる場合も同様で、仮に申請が重複してしまった場合には遅れて出した方が追徴税を払うこともあるので、しっかりと話し合った上で申請することが必要ですね。
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103万円や130万円の壁とは!?バイト収入にかかる税金や社会保険料は?
ここまで見てきて、扶養親族のいる家庭はかなり税金面で優遇されていることがわかりました。
しかし、学生もアルバイトで稼ぎ過ぎると扶養される立場ではなくなってしまい、納税者が控除を受けられなくなるのです。
そうした税制面などでの優遇がなくなってしまう基準として、「103万円の壁」と「130万円の壁」の二つを紹介します。
103万円の壁を越えるとどうなる!?
まずは103万円の壁を超えてしまった場合について説明していきます。
103万円をアルバイト収入が超えてしまった場合には、学生自身の所得に対して所得税が課税されることになります。
それに加えて、その学生は扶養親族としての要件を満たさなくなってしまうので、扶養者(父親や母親など養っている人)に対して課税される税金も増加してしまいます。
つまり収入103万円は「扶養から外れるかどうかの境目」と定義できるのです!
この103万円を越える収入を得た場合には、自分に対して税金が発生することはもちろんですが、親御さんに対する税金も上がってしまうので、よく相談の上で103万円を越えるべきかは判断することが大切です。
学生は103万円を超えても大丈夫!?勤労学生控除とは!?
学生の中には「アルバイトで103万円以上稼がなければ生活していけない」といった人もいるかもしれません。
こうした状況を対処するために、日本では勤労学生控除という仕組みが設けられています。
これは上で示した103万円の壁にさらに年間27万円分を上乗せして、学生に対しては所得税の課税基準を緩めるということを意味しています。
この勤労学生控除を受ける条件は下の3つのいずれかを満たしていることとされています。
1. 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など
2. 国、地方公共団体、学校法人等により設置された専修学校又は各種学校のうち一定の課程を履修させるもの
3. 職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの
また勤労学生控除の申請には、源泉徴収票が必要なので、アルバイトを一箇所だけでしている人はバイト先から源泉徴収票を発行してもらい、年末調整を行なってもらいます。
複数のアルバイトを掛け持ちしている場合には、最も収入が多いバイト先で年末調整を行なってもらった上で、全てのアルバイト先からの源泉徴収票が必要となるので、しっかりと保管しておきましょう。
こうしてみると、130万円を超えなければ良いのでは!?と思う人も多いかもしれませんが、勤労学生控除で免除されるのは学生自身への所得税の課税であり、扶養親族から外れることには変わりありません。
よって親の税金は103万円を超えた段階から増えていくので、親の年収にもよりますが、概ね113万円以上を稼がなければ家族単位で見た場合には損をすると考えると良いでしょう。
また126万円を超え段階から数千円〜1万円程度の住民税の納税も必要になるので、所得税と合わせて注意が必要ですね。
130万円を越えるとどうなる!?社会保険料ってなに!?
では130万円を越えるとどうなってしまうのでしょうか。
当然、勤労学生控除の対象外となるため、学生自身に所得税・住民税を支払う義務が発生します。
そうした税金に加えて、健康保険料や年金を自分で払わなくてはならなくなります。
国民年金と健康保険料は合わせて月額2万円程度かかってしまうので、130万円を越える以前と同様の水準に戻すには170万円近く稼がなくてはなりません。
そのため安易に130万円を超えてしまうとかえって損をしてしまうので、130万円を越えるようならば早いうちから収入に見込みがあるような場合だけにとどめておくのが身のためです。
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まとめ
アルバイトは学生ならではのものですが、しっかりと税金の仕組みを理解していないと大きく損をしてしまう難しいものです。
せっかくの学生生活の大切な時間を働いて過ごしたのに、結局損をしてしまって無駄になった、というのではあまりにも勿体ありません。
そうならないためにも、アルバイトをする際にはしっかりと計画性を持って、税金の仕組みをよく理解した上でやっていただければ良いかと思います。
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