出産費用の医療費控除のやり方!確定申告で還付金はいくら戻る?

親子

妊娠、出産、そして産後の期間は多くのお金がかかりますよね。

自治体の助成や出産手当一時金等の補助もありますが、それでも妊娠中の定期検診や分娩費などの医療費にかかる費用は少なくありません。

実はこの出産費用、医療費控除の対象に認められるものが多くあります。出産費用を医療費控除の対象として国へ申告すれば、支払った税金(所得税)の一部が還付されます。

今回は、出産関連費で多くの出費をした方もしくは、出費の予定がある方を対象に、医療費控除の基礎から計算方法、申告方法、注意すべき点を分かりやすく解説していきます!

節税を行い、還付金ももらうことで出費が重なる出産期にでも節約ができます!

POINT!

  • 医療費控除の対象となる出産費用を紹介
  • 医療費控除の計算方法を解説!
  • 出産費用の医療費控除でいくら還付金がもらえる?計算方法を解説!
  • 医療費控除の確定申告方法を解説!

また、出産タイミングで保険を見直すことで、無駄な保険料の削減、将来こどものために必要な保障加入などのメリットがあります。

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医療費控除とは

そもそも控除って?所得控除とは?

控除は所得控除、税額控除、基礎控除など合計5つに分類することができます。

医療費控除はその中でも所得控除の一種です。

所得控除とは、所得税の課税にあたって、所得からあらかじめ一定の金額を控除することをいいます。

病気や子どもの有無など、納付者の事情に合わせて、税金を負担する能力の差を調整し、全員の生活レベルを一定水準以上にすることが、所得控除の目的です。

医療費控除の還付とは?

医療費控除とは病気や怪我などによって、医療費負担があった場合に、その金額に応じて所得税の課税に対する控除が受けられるという仕組みです。

この医療費控除は、支払った医療費が戻ってくるというわけではなく、所得税の課税対象となる所得の金額を小さくすることで、所得税の金額を抑えられるという効果があります

このことに加えて、後ほど詳しく説明しますが、還付金という形でお金が一部戻ってきます

妊娠・出産時に医療費控除の対象になるもの・ならないもの

妊娠中の妊婦健診から産後まで対象は幅広い

医療費控除の対象となる医療費は次の通りであり、控除額はその病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされています。

  1. 医師又は歯科医師による診療又は治療費用
  2. 治療又は療養に必要な医薬品の購入
  3. 病院、診療所、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価
  4. 保健師、看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話の対価
  5. 助産師による分娩の介助の対価
  6. 介護福祉士等による一定の喀痰吸引及び経管栄養の対価
  7. 介護保険制度の下で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額
  8. あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価

出典:国税庁HPより

少し表現が難しいので、簡単にまとめると、「健康な状態に戻るためにかかった実費」が医療費控除の対象となります。

妊娠、出産時に控除対象となる出費には、不妊治療費、人工授精費、通院の際に発生した交通費、妊娠前の定期検診(妊婦検診)費、出産時のタクシー利用料、分娩費(普通分娩・無痛分娩・帝王切開全て含む)、入院費、入院中のパジャマ・寝巻き等のクリーニング代、産後一ヶ月検診費用、妊婦健診費、助産師による産後ケアや母乳指導(産褥入院・新生児の保険指導)、乳腺炎を防ぐための母乳マッサージ費用等があります。

マイカー通院や里帰り帰省費は対象外

病気を予防したり、綺麗になるための美容施術などは医療費控除の対象にはなりません。

例えば、妊娠前のインフルエンザ等の予防接種代や美容整形の費用などが挙げられます。

また、交通費は、通院に伴うバス・電車等公共交通機関の運賃やタクシー代が医療費控除の対象になります。

しかし、自家用車で通院した場合、その際に発生した費用に関しては控除の対象にはならないので注意が必要です。例えば、ガソリン代や高速道路利用料、駐車場代は医療費控除の対象にはなりません。

また、同じ交通費でも里帰り出産のための帰省費も対象外です。

他に個室利用をした際の差額ベッド代、医師・看護師・助産師への謝礼金等も医療費控除対象にはなりません。ただし、症状等の理由で病院側が個室を指定してきた場合・相部屋が使えない場合は医療費控除の対象になります。

医療控除の対象になる出産費用がどれか判断に迷った場合は、それが「治療・療養目的の費用かどうか」を基準にすると良いでしょう。ご自身で判断がつかない場合は、管轄の税務署に問い合わせてみてください。

医療費控除で戻ってくる金額はいくら?計算方法と振り込み時期

控除対象額の計算方法

医療費控除の対象となる金額は以下の式でもとめられます。

実際に支払った医療費の合計額 − 保険金などで補填される金額 − 10万円

出典:国税庁Webサイト

対象となる保険金や補助金は例えば、健康保険から支払われる出産育児一時金や高額療養費、家族療養費です。

これらの保険金は、公的機関からの支援金なので控除の対象からは外れます

しかし、健康保険組合から支給される「出産手当金は」入院中の休業に対する給与の補てんと見なされるので医療費から差し引く必要はありません。

そして、最後に一定額10万円が引かれます

ただし、その年の所得額が200万円未満の場合は、10万円の代わりに所得合計額の5%の金額が引かれます。

上の式から分かる通り、1年間の医療費の合計が10万円を超えると、医療費控除を受ける権利が得られます。

ただし、出産育児一時金などの補助金を受け取っている場合は、それらの金額も差し引かなければいけないので、医療費に10万円以上かかっている場合でも控除を受けられない可能性があります。

医療費控除額の上限は200万円です。

医療費控除の還付金はいつ振り込まれる?

基本的に毎年、所得税に関する確定申告は2月中旬から3月中旬までの約1ヶ月間です。

この期間に確定申告を済ませれば、申告の約1ヶ月〜1ヶ月半後に口座に還付金が振り込まれます。

【具体例】還付金の計算シミュレーション

それでは具体的な例をもとに実際にいくらの医療費控除が得られるか計算していきましょう!複雑な計算ではありませんので、肩の力を抜いて読み進めてください。

妊娠〜出産〜産後の期間で出産関連にかかった医療費の合計額が80万円、そして出産育児一時金(42万円)を受け取った場合でシミュレーションします。

《計算式》

80万円 − 42万円(保険金補填分) − 10万円 = 28万円

28万円が医療費控除額になります。

しかし、医療費控除額が実際に払い戻される金額ではありません。上記でもとめた医療費控除額に所得税率をかけた金額が還付金として払い戻されます。

還付金 = 医療費控除額 × 所得税率

上記ケースの出産家庭の課税所得(課税対象になる所得)が400万円だった場合

還付金 = 28万円 × 20% = 5.6万円

実際に払い戻される還付金は、5.6万円になります。

所得税を多く支払っている人ほど、多くの還付金が支払われます。

※累進課税表は以下のようになります。

課税所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万~330万円10%97,500円
330万~695万円20%427,500円
695万~900万円23%636,000円
900万~1800万円33%1,536,000円
1800万~4000万円40%2,796,000円
4000万円超45%4,796,000円

医療費控除の確定申告をする方法

サラリーマン・パート・バイトも確定申告の必要がある

医療費控除を受ける際に最も注意が必要なのは、自営業者とは異なりサラリーマン・パート・アルバイトのなど確定申告が必要なかった方でも、控除を受ける際には確定申告が必要となるということです。

配偶者控除や扶養控除とは異なり、年末調整だけで完了できないため若干ハードルは高くなってしまいます。

ですが、最近ではインターネット上で簡単に情報を調べることもできますし、何より医療費控除を受けることは家計の節約にも繋がります!

これから確定申告での医療費控除の方法をわかりやすく解説していきます!

申告の手順を解説!領収書集めから明細書の作成、税務署提出まで

確定申告書を作成し、税務署に提出することで医療費控除の申請は完了します。

以下の手順で医療費控除の申請をします。

  1. 1月〜12月でかかった医療費の領収書を用意
  2. 用意した領収書を各病院や薬局ごとに分類し、それぞれ集計する
  3. 2から医療費の明細書を作成
  4. 源泉徴収書から確定申告書を作成する
  5. 確定申告書と必要書類を税務署に提出する

医療費控除の申請の確定申告では領収書の保管は絶対です。

申告時に必要になるだけではなく、医療費控除の場合、申請後5年間自宅で領収書を保管しておかなければいけません

確定申告書は、税務署もしくは国税局のWebサイトから入手できます。

会社員やパート・アルバイトの方は、A様式、B様式のうち、A様式を使用します。

確定申告で必要書類は?マイナンバーや源泉徴収票が必須!

上記の手順で確定申告書と「必要書類」を税務署に提出すると説明しましたが、具体的に提出が求められる書類は以下のものです。

  • 医療費の明細書(Excel、手書きなど自ら作成)
  • 源泉徴収書(共働きの場合、夫婦共に必要)
  • マイナンバー通知カードのコピー
  • 免許証のコピー

2017年から確定申告の際に領収書を添付する必要がなくなりましたが、先ほど説明したように、5年間自宅で保管しておかなければいけませんので、誤って捨てないようにしましょう。

また、源泉徴収書は、共働きの場合、夫婦共に提出する必要があります。

医療費の明細書は、明確な作成基準があるわけではなく、各自でExcelを用いて、もしくは手書きで作成することになります。次の章で具体的な医療費明細書の書き方をご紹介します。

もし税務署に行くことが難しい方にとっては、「e-Tax」というインターネット上で確定申告ができるサービスの利用をオススメします。

インターネット上で全ての手続きができるので、忙しい人や税務署が遠い方はぜひ利用してみてください。

医療費の明細書の書き方!5つの記入項目別まとめ

ここでは、医療費の明細書の具体的な記入項目・記入内容を解説します。

医療費の明細書は、「Excel」または「手書き」どちらでも構いません。作成が初めての方は、国税庁の「医療費集計フォーム」と呼ばれるExcelフォーマットを使うのがおすすめです。

明細書を自分で作成する、と聞くと難しいような気もしますが、フォーマットに沿って作れば簡単にできちゃいます。

まずはお手元に年間でかかった医療費の領収書を準備しましょう。なお、健康保険組合・協会けんぽ等から「医療費のお知らせ」といった通知書を受け取っている方は、明細書の代わりにこの通知書を添付すればいいので作成の必要はありません。

医療費集計フォーマットでは以下の項目を記入します。

項目①医療を受けた人

医療を受けた人の名前を入力します。

ちなみに医療費控除は、生計を一にする夫・子供・親族にかかった医療費も合算できます。

出産費用以外に、世帯全体で使った医療費があれば個別に入力してください。

項目②病院・薬局等の名称

診療・診察で利用した病院・薬局の名称を入力します。

項目③医療費の区分

以下の4つの区分から該当するものを選びます。

  1. 診療・治療
  2. 医薬品購入
  3. 介護保険サービス
  4. その他の医療費

プルダウン式になってるので、該当箇所をクリックして「該当する」を選べばOKです。

項目④支払った医療費の金額

手元の医療費明細書をみながら合計金額を記入していきましょう。なお、通院に利用したバス・電車等の交通費は、領収書が発行されないケースがありますが、その場合は家計簿やメモに残しておけばOK。

領収書がないと忘れがちですが、明細書への記入も忘れないようにしましょう。

項目⑤左のうち、補填される金額

補てんされる金額とは、医療保険・損害保険等から支払われた保険金や自治体からの助成制度・補助金・手当などが含まれます。

支払った金額より受け取った保険金が多い場合は、支払った金額を上限にして記載します。対象となる医療費が複数行に渡る場合は、どこか一行を任意で選択して記入しましょう。

完成した確定申告書・医療費の明細書を郵送または税務署へ直接提出する場合は、印刷が必要です。

ご家庭のプリンターで印刷できない場合は、コンビニでプリントアウトすると良いでしょう。

例えば、セブン・イレブンのネットプリントサービスを利用すれば、ネットの専用フォームから印刷したいファイルをアップロードして、予約番号を受け取り、店舗のマルチコピー機でプリント予約番号を入力すれば、簡単に印刷できます。

お子さんが生まれたパパ・ママが医療費控除で覚えておくべき注意点4つ

注意点①申告を忘れても5年間遡って申請可能

妊娠、出産、産後の期間、ここまで説明してきたような少し複雑な手続きを行うことや一つ一つ領収書を保管することなどまで手が回らない場合があると思います。

また、そもそも医療費控除のことをあまり分からず、出産の年に申告ができなかった人もいるかもしれません。

このような方々でも、医療費控除の申告期限は5年間なので安心してください。

落ち着いた頃、もしくはこの制度の存在を知ったタイミングで申告することができます。

可能な限り早く、申告することに越したことはありませんが、落ち着いたタイミングでも申告できるので、大変な時期に無理をして申告する必要はありません。

注意点②医療費が10万円に満たない場合は、セルフメディケーション税制を利用

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)とは自主服薬の推進のために始められた新しい医療費控除の特例制度です。

医療用から転じた効き目の高い一部の市販薬を対象にその購入額が年間に12,000円を超えると最大で88,000円までの超過分が控除される制度となっています。

つまり購入総額が10万円までに限ってオトクな制度なのです。

医療費控除が10万円からと聞くとそんなに病院行くかなと考えてしまいますが市販薬を12,000円と聞くと自分にも当てはまるかもと思ってくるのではないでしょうか。

セルフメディケーション税制の対象となるのは薬局などで販売されている市販薬のみです。

しかしすべての市販薬というわけではなく、対象となるのは「スイッチOTC医薬品」と呼ばれるものだけです。実際にどんな薬があるのかというと、ロキソニンやボルタレンなど今までは病院で処方されていたような薬です。

このスイッチOTC医薬品は有効成分によって決められており2017年7月10日時点で有効成分は83種類、2017年11月16日時点で対象になっている薬は1,667品目となっています。

詳しくは厚生労働省のホームページからも確認できますが、1,667品目は非常に多いですよね。そこでスイッチOTC医薬品かどうか見分けるには「セルフメディケーション税 控除対象」と書かれたマークで確認することもできます。

次に対象となる人について解説していきます。

適切な健康管理下で医療用医薬品からの代替を進める観点から下の5つのうちのいずれかを受けている必要があります。(勤務先での定期健康診断なども含まれます)

  • 特定健康診査(いわゆるメタボ健診)
  • 予防接種
  • 定期健康診断(事業主健診)
  • 健康診査
  • がん検診

これらのいずれかを受けているということ以外にも大切な事があります。

それは従来の医療費控除制度と併用ができないという点です。

OTC医薬品の購入によりかかってくる医療費控除制度については、従来の医療費控除制度とセルフメディケーション税制のどちらを適用するかご自身で決めることとなります。

また所得税や住民税をきちんと納めていることも条件のひとつです。

セルフメディケーション税制を利用する際には確定申告が必要です。

確定申告の際には以下の2つが必要となります。

  • 健康診断結果通知書・予防接種の領収書
  • 対象商品のレシート・領収書

上で5つほど検査についてお伝えしましたが、それらを受けたという証明書がコピーで大丈夫なので提出が求められます。

それと同時に市販薬を購入した際のレシートが必要です。領収書でなくてもレシートで大丈夫です。

というのは、販売業者はレシートにセルフメディケーション税制の対象医薬品であることがわかるよう記載することが法令によって決められています。

なお、医療費控除とセルフメディケーションの併用はできません。そこで、ご自身にとってどちらの制度の方が減免措置を受けられるかを計算した上で選択することになります。

注意点③妊娠、出産、退院が年をまたぐと節税効果が減少

確定申告は1月1日〜12月31日分を申請するものなので、出産関連でかかった医療費が年をまたいでいる場合、年ごとに申請しなければいけません

この場合、合計で80万円の医療費がかかったとしても、前年に30万円、今年50万円がかかっている場合は、それぞれで申請する必要があります。

先ほど説明したように、医療費控除額は基本的に無条件で10万円引かれます。

そのため、分けて申告した場合は合計で20万円が引かれることになってしまいます。

また、最低でも10万以上の医療費がかかっていなければ医療費控除は受けられません。

年をまたぐことで各年の医療費の絶対額は小さくなるので、控除対象ではなくなる、もしくは限りなく小さい控除にしかならない可能性があります。

注意点④共働きの場合、所得が高い方が医療費控除の申告をした方がお得

医療費控除の申告は夫婦どちらでも可能です。

共働きの場合は、所得が高い人が申告した方がより多くの還付金を得ることできます。

先ほども説明したように、医療費控除額に所得税率をかけた額が還付金になるので、課税所得が多いほどより多くの還付金を得られます。

産前産後はお金がかかる!医療費控除を活用して賢く節税しよう

ここまで、出産時の医療費控除の詳細と計算方法、還付金はいくらもらえるのか、確定申告の方法、その他注意すべきことを解説してきました。

出産期は、控除を利用した節約まで手を回すことは難しいと思います。

そこで、妊娠中の方や妊娠の予定がある方は、余裕があるうちに医療費控除の申告に向けて準備を進めることをオススメします。

領収書の保存などは前もって制度の仕組みを理解しておかなければ難しいものです。

すでに出産を終えた方は、申告期限の5年を迎える前に可能な限り早く申告を済ませることをオススメします。

この記事を参考にみなさんが医療費控除の申告の準備を進め、最終的に少しでも多くの還付金を受け取ることができたら幸いです。

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