今年は、インフルエンザが猛威を振るっていますね。東京都感染情報センターが2019年1月17日に流行警報を出してから、1月下旬には、推定患者数約228万人と過去10シーズンの最大数を上回りました。
インフルエンザ流行のニュースを聞いて、急いで予防接種を受けに行った方も今年は多いのではないでしょうか。場合によっては、ワクチンを2回接種する必要があったりなど、なかなか面倒ですし、費用もかかりますよね。
そんな中、確定申告時期が近づいてきて、医療費控除の存在を思い出した方も多いと思います。医療費控除は、1年間の内に一定額以上の医療費を支払った場合に税金の一部が還付されるという制度です。「もしかして予防接種も医療費控除の対象になる?」と気になるところですよね。
そこで本記事では、インフルエンザの予防接種は医療費控除の対象になるかどうかを解説します。
また、予防接種をしていると利用できる「セルフメディケーション税制」という医療費控除の特例制度についてもご紹介します。
セルフメディケーション税制を利用し、条件を満たせば、あなたが普段服用している市販薬の購入費用が控除できちゃうかもしれません。合わせてご覧ください。
POINT!
- 予防接種が医療費控除の対象になるかどうかがわかる!
- その他の医療費控除の対象になるもの・ならないものを具体的に紹介!
- セルフメディケーション税制の概要と、市販薬の購入費用を控除する条件を解説!
医療費控除の基本をおさらい!
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が、10万円(総所得金額200万円未満なら総所得金額等の5%)を超えたときに、確定申告(給与所得のみの方は還付申告)をすることで、税金の一部を取り戻すことが出来るというものです。
申請に必要な書類
- 確定申告書
サラリーマンなど給与所得のみの方は、確定申告書Aを、個人事業主や副業がある方は確定申告書Bを使います。
- 源泉徴収票(サラリーマンなど給与所得者のみ)
年末にかけて会社から配られます。
小さな紙なので、無くさないようにしましょう。
- 医療費控除の明細書
医療費控除の明細は、お近くの税務署か、国税庁のホームページからダウンロードすることが出来ます。
- 医療費の領収書やレシート(保管義務のみで提出の必要はない)
2018年度の医療費控除申告から、医療費の領収書やレシートの提出義務がなくなりました。
ただ、5年間は自宅で保存する必要があり、場合によっては税務署に提示をもとめられることがあるので、まとめて保管しておきましょう。
申告期間
医療費控除の申告期間は、給与所得のみのサラリーマンの方と、もともと確定申告が必要な個人事業主や副業をしているサラリーマンなどで違います。
- 給与所得のみの人
→医療費が発生した年の翌年の1月1日から5年間
- もともと確定申告が必要な個人事業主や副業をしているサラリーマンなど
→通常の確定申告期間(2月中旬から3月15日)
申請場所
医療費控除を含め、確定申告の提出・申請場所は、最寄りの税務署です。
提出方法は、直接出向く、郵送する、e-Taxを利用してインターネットで提出する、の3つです。
インフルエンザ・ロタウイルス等の予防注射は医療費控除対象に含まれない
先に結論を述べますと、インフルエンザに限らず予防接種は、残念ながら医療費控除の対象外となります。
インフルエンザの予防接種は、あくまで予防のためであり、直接の治療を目的としたものではないため、医療費控除の対象にはなりません。
治療目的の費用は対象になる
医療費控除の対象になるのは、以下のようなケースです。
- 医師、歯科医師による診療や治療費用
- 治療のためのあんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師などによる施術費用
- 助産師による分べんの介助費用
- 医師等による診療等を受けるための通院費(緊急時)
- 治療に櫃よな医薬品の購入費用
など
つまり、医療費控除の対象になるものは、明らかに治療を目的としたもの、というわけですね!
美容や予防、健康維持目的の費用は控除対象にならない
医療費控除の対象にならないのは、以下のようなケースです。
- 美容のための整形費用
- 通院用の自家用車の燃料代
- 自分できぼうしたベッド代の差額
- 眼鏡・コンタクト代
- 予防接種の費用
など
医療費控除の対象外となるものは、逆に、直接の治療目的でないものの費用ということになります。
医者の指示があれば予防接種も対象になる!(B型肝炎等)
インフルエンザの予防接種は、原則として医療費控除の対象とはなりません。
しかし、例外的にインフルエンザに限らず、予防接種が医療費控除の対象となるときがあります。
なお、例外として、医師が、罹患者の治療の過程において近親者に感染する危険性の高さを考慮しその医師の勧めによりワクチンを接種した場合は、その費用は医療費控除の対象になります。このような場合、確定申告の際、通常の領収書のほか、医師の診断書が必要となります。
MBK連合健康保険組合のホームページより
万が一、その病気にかかってしまったら、持病などが悪化し身体に悪影響を及ぼす場合や、何らかの理由により抵抗力が低下していて、その病気にかかりやすい状態である場合には、お医者さんがその病気の予防接種をすすめる場合があります。
そのようなケースの予防接種は、治療行為と同等と見なされ、医療費控除の対象になるんです。
具体例として、B型肝炎の予防接種のケースが挙げられます。同居の家族がB型肝炎ウイルスに感染していて、医師の判断によって接種が行われた場合のみ医療費控除の対象となります。
お医者さんの指示があるかどうかが、医療費控除の対象になるかのポイントです。
市販薬代が所得控除にできる!お得なセルフメディケーション税制について
セルフメディケーション税制とは、健康維持のための一定の取り組みを行う個人が、スイッチOTC医薬品を自分や家族のために購入した時、年間12000円を超える分(上限は88000円)が所得から控除されるというもので、医療費の特例という分類です。
スイッチOTC医薬品とは、医療用から一般用に切り替えた医薬品です。医療用医薬品と成分が同じですので、薬剤師によるしっかりとした服薬サポートが大切です。
医療費控除の特例制度「セルフメディケーション税制」の利用条件
セルフメディケーション税制を利用するには、健康維持のために一定の取り組みをしている必要があります。
健康のための一定の取り組みとは
- 保険者(健康保険組合等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】
- 市町村が健康増進事業として行う健康診査
- 予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】
- 勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
- 特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
- 市町村が健康増進事業として実施するがん検診
を指します。インフルエンザの予防接種も含まれていますね!
上記の取り組みを1つでもしていれば、セルフメディケーション税制の対象となります。
予防接種自体の費用は控除されないので注意
セルフメディケーション税制を利用するためには、予防接種などの健康維持のための取り組みが必要です。
ただ、予防接種などの取り組みは、セルフメディケーション税制を利用すための条件にすぎません。
つまり、いくらセルフメディケーション税制を利用できるからといって、予防接種なのど取り組み自体の費用は控除の対象にはなりません!
セルフメディケーション税制含めた医療費控除の目的は、上でも述べたように治療行為を控除することです。それは医療費控除の特例である、セルフメディケーション税制でも変わりません。
医療費控除と節税金額が大きい方どちらかを選択
また、セルフメディケーション税制は医療費控除と併用することは出来ません。
それぞれの控除額を計算して、より控除額が大きいほうを選択するようにしましょう。
手洗い・うがいをしてウイルスを防ごう!いざという時は医療費控除を忘れずに
今回は、今シーズン真っ盛りのインフルエンザの予防接種が医療費控除の対象になるのかということについて解説していきました。
残念ながら予防接種は医療費控除の対象にならないとのことでしたが、これだけ流行しているので、予防接種はしておきたいですね。
さらに、予防接種をしていれば、セルフメディケーション税制の対象にもなれるので、そういう面からも予防接種はしておくことをお勧めします!
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