税金は少しでも払いたくないものです。
所得税・住民税を出来る限り少なくする方法を知っていますか?
それは様々な控除制度を利用することです。
給与所得控除や扶養控除・配偶者控除などを利用している人は多いと思います。
でも確定申告が必要だったりするなど意外と忘れてる控除ってあるものです。
この記事では様々な控除についてまとめました。
社会保険料控除、医療費控除、雑損控除、住宅ローン減税、ふるさと納税など…使いそびれている控除がないか確認してみてください。
社会保険料控除
社会保険控除は年金や健康保険などの支払った保険料に適用される控除です。
控除対象額:1月~12月までの1年間に支払った社会保険料の全額
課税所得の計算時、その年に支払った社会保険料の全額が控除できます。
結構大きいですよね。
社会保険の種類には以下のようなものがあります。
- 健康保険
- 年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
年金、健康保険だけでなく40歳以上になったら支払うことになる介護保険料や雇用保険も控除することができるのですね。
次に意外と知られていない社会保険料控除が適用される例を紹介します。
大学生の子供の国民年金保険料
子供が大学生になり、20歳を過ぎると国民年金保険料を支払う必要が生じます。
この国民年金保険料を親が代わりに支払っているとき、支払った金額の分だけ所得控除できるのです。
子供が一人暮らしをしている場合でも大丈夫です。
親が生活費の仕送りを続けている限り「生活を一にしている」とみなされ社会保険料控除を使えます。
親の後期高齢者医療保険料
75歳以上になると後期高齢者医療制度に加入し、保険料を支払うことになります。
保険料は基本的に親本人の年金から天引きされますが、代わりに家族の口座振替で払うことができます。
子供が親の保険料を負担することで所得控除を受けることができます。
基本的に子供の方が親よりも所得が高いので、控除対象を子供にした方が節税額が大きいでしょう。
生命保険控除
社会保険ではありませんが、近いものとして生命保険にも控除枠があります。
保険金をもらう人が保険料を支払う本人または配偶者や親族であれば、控除の対象になります。契約者が誰であるかは問いません。
例えば妻が契約者の保険料を夫が払えば、夫の控除対象になります。
ただし、妻が保険料を受け取るときは贈与税が発生する場合があります。
生命保険控除の金額は以下の表の通りです(公益財団法人:生命保険文化センターより抜粋)
所得税 | 住民税 | |||
区分 | 年間払込保険料額 | 控除される金額 | 年間払込保険料額 | 控除される金額 |
一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料(税制適格特約付加) | 20,000円以下 | 払込保険料全額 | 12,000円以下 | 払込保険料全額 |
20,000円超 | (払込保険料×1/2) | 12,000円超 | (払込保険料×1/2) | |
40,000円以下 | +10,000円 | 32,000円以下 | +6,000円 | |
40,000円超 | (払込保険料×1/4) | 32,000円超 | (払込保険料×1/4) | |
80,000円以下 | +20,000円 | 56,000円以下 | +14,000円 | |
80,000円超 | 一律40,000円 | 56,000円超 | 一律28,000円 |
医療費控除
医療費控除もあります。一年間に払った医療費の総額から民間保険の給付金や高額療養費などを引いた額が一定以上になると超過分を所得から控除できる制度です。
年間の医療費の基準は以下のようになります。
医療費が年10万円以上かかったとき
(所得が200万円未満の人:医療費が所得の5%以上になったとき)
所得が200万円以上の人は10万円を超えると対象になります。
医療費は自分だけでなく家族の分も合算でき、控除額の上限は200万円です。
控除額の計算は以下のようになります。
医療費控除額 =(医療費控除の対象になる医療費-保険金等で補てんされた金額)-10万円
(所得200万円未満の人:所得金額等 × 5%)
一人一人の医療費が10万円に満たなくても家族の分をまとめて一つにすることができます。
家族の中で収入が多く所得税率の一番高い人に医療費をまとめるのが節税の面でより効果的でしょう。
注意点として控除を受けるためには確定申告が必要です。
会社員で年末調整を済ませたという人も医療費控除を利用するには確定申告を申請しなければなりません。
申告の際は病院や薬局から受け取った領収書も提出するので普段から保管しておくようにしましょう。
医療費控除になる?ならない?
どんな場合医療費控除の対象になるのでしょうか。
基本的に「診療・治療」が目的の場合のみ医療費控除を利用することができます。
でも意外とその範囲は広いです。
例えば子供の歯の矯正は医療費控除の対象になります。
逆に大人ってからの矯正は医療目的でない限り控除の対象外です。
また市販の風邪薬も計算に入れることができます。
医療費控除の対象に | |
なる | ならない |
診療・治療が目的 | 予防、健康増進、美容 |
骨折の治療 | 美容整形 |
治療のための眼鏡 | 近視のための眼鏡 |
人間ドックで病気が見つかり治療 | 人間ドックで病気が見つからなかって場合 |
子供の歯の矯正 | 見た目のために歯の矯正 |
市販の風邪薬 | 市販のビタミン剤 |
通院時の電車代・バス代 | 美容整形 |
雑損控除
台風や地震などの災害で住宅や家財に損害を受けた場合、確定申告をすれば所得税の還付や減免が受けられます。
代表的なもの雑損控除があります。
自然災害の発生した年の所得から損害額などを差し引くのが雑損控除です。
雑損控除では差引損失額を計算します。家や家具の損害額に壊れた住宅の取り壊し費用や流入した土砂の除去費用などの災害関連支出額を加え、受け取った保険金などを引いたものです。
差引損失額から所得の1割を引いた金額か、災害関連支出額から5万円を引いた金額のどちらか多い方を所得から控除します。
台風や地震など最近自然災害が増えています。
万が一の場合にぜひ覚えておきましょう。
住宅ローン控除(住宅ローン減税)
住宅ローン減税(控除)は年末のローン残高の1%をその年の所得税から差し引く仕組みです。
例えばローン残高が2500万円なら所得税が25万円だけ安くなります。しかも税額控除の期間は10年間なので、節税額は合計で100万単位とかなり大きな額になります。
控除の対象になるローン残高は一般的な住宅なら4000万円が上限で控除は最大で40万円です。
所得税から引ききれない分は住民税から控除でき、住民税の控除額は最大13万6500円です。
住宅ローン控除を受けるには確定申告が必要になります。
制限として合計所得が3000万円を超える高所得者は対象になりません。また、住宅面積が50平米未満の場合も対象外です。
また住宅ローン控除制度自体もは2021年に終了する予定になっています。
ふるさと納税
ふるさと納税は実質2千円の自己負担だけで、一定額を所得税・住宅税から控除することができる制度です。
詳細は以下をご覧ください。
ふるさと納税とは?所得税・住民税が控除できるお得な制度
下の表が収入と一年に控除できる税金の対照表になります。
全額控除される金額 | ||||
ふるさと納税を行う本人の給与収入 | ふるさと納税を行う方の家族構成 | |||
独身又は共働き | 夫婦又は共働き+子1人(高校生) | 共働き+子2人(大学生と高校生) | 夫婦+子2人(大学生と高校生) | |
300万円 | 28,000円 | 19,000円 | 7,000円 | – |
400万円 | 42,000円 | 33,000円 | 21,000円 | 12,000円 |
500万円 | 61,000円 | 49,000円 | 36,000円 | 28,000円 |
600万円 | 77,000円 | 69,000円 | 57,000円 | 43,000円 |
700万円 | 108,000円 | 86,000円 | 75,000円 | 66,000円 |
800万円 | 129,000円 | 120,000円 | 107,000円 | 85,000円 |
900万円 | 151,000円 | 141,000円 | 128,000円 | 119,000円 |
1000万円 | 176,000円 | 166,000円 | 153,000円 | 144,000円 |
1200万円 | 242,000円 | 232,000円 | 219,000円 | 200,000円 |
1400万円 | 355,000円 | 343,000円 | 277,000円 | 267,000円 |
1600万円 | 424,000円 | 412,000円 | 396,000円 | 384,000円 |
1800万円 | 493,000円 | 481,000円 | 465,000円 | 453,000円 |
2000万円 | 564,000円 | 552,000円 | 536,000円 | 524,000円 |
2500万円 | 849,000円 | 835,000円 | 817,000円 | 804,000円 |
ただし住宅ローン控除や医療費控除を申請する際はワンストップ特例制度が利用できず確定申告をしなければしなければなりません。会社員は2015年に導入されたワンストップ特例制度でふるさと納税を利用する際に確定申告が不要になりました。
まとめ
様々な控除制度についてまとめました。
知らなかった使い道もあるのではないでしょうか?
活用できるものはぜひ活用して賢く節税しましょう。
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