相続税を解説・申告漏れは巨額の追徴課税の危険も

自分や親がある程度の資産を持っている場合気になるのが相続税ではないでしょうか。

少し前までは相続税といえば多くの土地や財産を持つ資産家を対象とした税金でした。

しかし近年相続税の対象者と税額が大幅に拡大されています。

相続税を納めるのは残された家族の問題でもあります。

税額を用意できず先祖代々受け継いできた家を泣く泣く手放すことになる可能性もあります。

この記事では相続税の計算方法と税額を減らす方法にについてまとめました。

相続税とは?

相続税とは人が死んだ後に起こる配偶者、子供や親族への財産の移転に課される税金です。

相続税の基本理念は「富の再分配」です。

相続税がないと一部の人に資産が集中し、それが受け継がれることで貧富の格差が継続、拡大してしまいます。

逆に相続税が導入されると資産をたくさん持っているほど大きな打撃を受けます。

イギリスでは1970年代に相続税が導入されたため多くの貴族が没落しました。

日本でも相続税の課税が強化

日本では2015年から相続税の課税が強化されました。

背景となったのが、日本の場合高齢者に富が集中していることが挙げられます。

総務省の「消費実態調査」によると日本の富裕層7割が60歳以上との結果が出ています。

高齢者から若い世代への「富の移転」を促すため課税強化が行われました。

影響として2015年に亡くなった人の8%が相続税の対象となり2014年の約4%の2倍に拡大しています。

相続税の計算方法

相続税の計算方法について解説します。

遺産総額の計算

まず遺産総額を確定させる必要があります。

預金や株などはそのまま計上できるので簡単ですね。

問題となるのが不動産です。

土地の評価額についてですが「路線価」を基準にします。以下のように計算します。

路線価 × 土地の面積 = 相続税対象額

建物部分は「固定資産税評価額」で計算します。

具体的な評価額は自治体から送られてくる固定資産税の納付通知書を確認することで分かります。

こうして残された遺産の価格を計算し、合計することで遺産総額を確定します。

課税遺産の計算

遺産総額が決まった後は課税遺産を計算します。

課税遺産の計算方法は遺産総額から基礎控除を引いたものです。

基礎控除の額 = 3000万円 + 法定相続人の数 × 600万円

分かりやすくするため、これからは具体例をもとに説明します。

例:本人から残された遺産総額:1億5千万円

相続人:子供3人、配偶者はすでに死んだとする。

基礎控除 = 3000万円 + 3人 × 600万円 = 4800万円

課税遺産 = 1億5千万円 - 4800万円 =1億200万円

次がとても大事です。課税遺産を相続人のそれぞれの割合で分けます。

例えば子供3人で遺産を3分の1ずつ分けるとします。

一人当たりの相続額は以下のようになります。

1億200万円 ÷ 3 = 3400万円

この額を下の税率表にあてはめます。

課税遺産税率控除額
1000万以下10%
1000万~3000万以下15%50万
3000万~5000万以下20%200万
5000万~1億以下30%700万
1億~2億以下40%1700万

相続額は3400万円なので税率は20%になります。

一人当たりの相続税額:3400万円 × 0.2 ー 200万円 = 480万円

最後に3人分の相続税額を合算します。

相続税額 = 480万円 × 3人 = 1440万円

なぜ相続人で分けるのかというと、分けた方が税率を低く抑えることができるからです。

もし1億200万をそのまま計算すると税率が40%になってしまいます。

相続税の追徴課税に注意

税金はきちんと計算し、納税しないと申告漏れを指摘され追徴課税を受けてしまいます。

特に相続税は追徴課税の対象になりやすいので注意しましょう。

税務調査

税務署は「税務調査」をすることができます。

税務調査とは税金の申告漏れがないかを調査することです。

自宅を訪れて調査官が質問したり、現場で帳簿を検査したりする「実地調査」が中心になります。

相続税で税務調査が入る確率は約9%

 相続税贈与税所得税
実地調査件数約1万2千件約3600件約6万6千件
税務申告件数約13万件約51万件約2170万件
調査率9.2%0.7%0.03%
平均追徴課税額489万円136万円121万円

税務署の税務調査が実際どうなっているのか比較しやすいように税目別に表にしました(平成27年度)

まず実地調査件数をみると相続税が約1万2千件、贈与税が約3600件、所得税が約6万6千件となっています。

税務申告の件数全体は相続税が約13万件、贈与税が約51万件、所得税が約2170万件。

全体の内税務署の調査が入る確率を計算すると相続税9.2%、贈与税0.7%、所得税0.3%になります。

圧倒的に相続税が税務署に目を付けられやすいことが分かります。

一旦調査が入れば9割方申告漏れを指摘され、追徴課税を受けることになります。

相続税の追徴課税額は平均で500万円近くと他と比べて巨額です。

こうしたことにならないためにも生前から相続についてはしっかりと準備しましょう。

贈与を利用して節税を

相続税は2015年の改正に基礎控除が大幅に縮小され、相続税額は今までより大きく上がりました。

どうすれば税額を減らせるのでしょうか?

相続税を減らしたいと思ったときに利用できるのが生前の「贈与」です。

つまり生きているうちに資産を子供の世代に移すことです。

贈与にかかる贈与税は1年あたり110万円の非課税枠があります。

これを利用して毎年コツコツ資産を移すことで相続時の資産を小さくできるのです。

また贈与の非課税枠は一人ずつ利用できるので、例えば子供が二人いてそれぞれ結婚して更に孫が二人ずついるのなら、子供とその結婚相手と4人の孫の計8人に合計で毎年880万円を贈与できたりもします。

住宅資金や教育資金の贈与なら非課税枠が拡大

贈与でも住宅資金や教育資金など特定の用途に使う名目ならば非課税枠が大きくなります。

子供の住宅資金は1200万円まで、孫の教育資金のためなら1500万円まで非課税枠が利用できます。

アパートを建てるのも節税には有効

不動産の相続税額を減らすにはアパートを建てて人に貸すのも有効です。

不動産は現金に比べ相続の際の評価額が低い。さらに借家は評価額を割り引けます。

固定資産税も新築ならば低く抑えることができます。

ただいくら相続税の節税になると言っても、アパートを建てて住んでくれる人がおらず家賃収入がローンの返済を下回ってしまうと赤字になってしまい本末転倒です。

まとめ

相続税の計算方法から節税方法についてまとめました。

相続税をできる限り少なくするためには生きているうちからきちんと準備する必要があることが分かります。

しっかり対策して後悔がないようにしましょう。

国民年金の仕組みを解説・将来の受取額が減って損になる?
固定資産税の計算・住宅購入の軽減措置が2018年に終了!

暮らしに役立つお金の情報を無料でお届けしています!