教育資金贈与の非課税、2019年3月以降も延長!しかし条件は厳しく

税金の支払い

2013年に改正された「教育資金贈与の特例制度」は当初2019年3月までの期間限定の制度とされていましたが、2019年の税制改正に伴い、3月以降も2年間の延長が決定しました。

教育資金を非課税で贈与することのできる便利な制度ですので、2年延長されると聞くと喜ばしく聞こえますが、一部の条件が厳しく変更されました。

これまでの教育資金贈与の条件と同じだと思っている方は要注意!場合によっては、非課税にならずに贈与税が課税されてしまうかもしれません。

今回は、教育資金贈与の特例期限延長に伴う改正内容をご説明します。これから子供や孫に贈与をしようと考えている方、両親から教育費用を貰おうと考えている方はぜひご覧になってください。

教育資金贈与が2年間延長!制度内容をおさらい!

教育資金贈与の特例制度とは

教育資金贈与の特例は、平成25年度の改正で導入された、一部の贈与税が非課税とされる制度です。

平成25年4月1日から平成31年3月31日までの間に、親や祖父母が30歳未満の子や孫に対して、金融機関を通じて1500万円を上限として贈与することができ、その資金が教育費として使われた場合には、贈与税が非課税とされます。

ただし、学校以外の塾や予備校などへの支払いについては500万円が限度とされています。

また、上限額の1500万円は受贈者一人当たりの受贈額をさしており、例えば祖父母から1000万円ずつの贈与を受けた場合には、計2000万円から1500万円を差し引いた500万円は課税対象になります。

平成31年3月31日で適用期限を迎える、この「教育資金の一括贈与非課税措置及び結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置」が、平成31年度税制改正により、2年の延長が決定されました

非課税対象になる教育資金は?

それでは、教育資金贈与の特例では、どのような資金が非課税の対象になっていたのでしょうか。

まず一つは、学校教育法で定められた学校等に対して支払われる金銭です。

ここでいう学校等には、幼稚園や認定保育園、保育所、小・中学校、高校、大学、外国の教育機関などが該当します。

もう一つは、学校等以外でも、社会通念上、教育を受けるために支払われる金銭と認められる、塾や予備校などです。

また、そのほかには、そろばん教室や水泳教室、野球、ピアノなどのスポーツや文化芸術に関する活動にかかる指導への費用が認められています。

先ほども述べましたが、本制度の上限額は1500万円ですが、「学校等に直接支払われる資金」の上限は1500万円まで、「それ以外=塾や予備校等」は500万円までが非課税対象の上限額となっていますので、注意が必要です。

2019年3月以降の教育資金贈与の特例、改正点を解説!

①受贈者の所得制限が設けられた

受贈者の合計所得金額が1000万円を超えるような場合には、本制度の適用を受けることができなくなりました。

つまりは、教育資金を受け取る人の所得が1000万円以上であれば、教育資金を贈与する側の年収にかかわらず非課税が適用されなくなってしまったのです。

おそらく、そもそもこの制度の適用者には金融資産の多い親や祖父母を持つ子や孫が多いため、格差がより広がってしまうことを懸念してのことだと考えられます。

②贈与から3年以内の相続が起きたら、相続税が発生

教育資金贈与を行ってから3年以内に、その贈与を行なった人が死亡してしまった場合、贈与した金額のうち、その人が死亡してしまった日までに受贈者が使わずに余っていた金額は、相続財産に戻して相続税が課されることになりました

少し複雑ですので例をあげると、例えば、祖父が1000万円のうち、200万円を教育資金として孫に贈与したとします。

そして、その1年後、祖父がなくなってしまったとします。

またこの時、孫は200万円のうち150万円を教育資金として使用し、50万円が余っているとします。

このような状況において、相続税は以下のように計算されます。

相続税の対象
亡くなった祖父の残り財産900万円+孫の手元の残り財産50万円=950万円が相続税の対象!

つまり、一度非課税で贈与された資金でも、贈与した人が亡くなってしまった日に余っていた金額分は、相続する他の財産に足し戻されて相続税の計算がなされるのです。

以前は制限がなかったため、余命が少なく、金融資産の多い人が子供や孫に1500万円ずつ教育資金として贈与し、贈与税額を減らすという節税が可能となっており、問題視されていました。

しかし、今回の改正によってこの方法での節税は不可能となりました。

③23歳以上の習い事は課税対象

教育資金贈与の一括贈与では、その資金は学校のほか、ピアノや水泳などの費用にも使うことが可能です。

そして、以前の制度では30歳まで、非課税が適用されていました。

しかし、今回の改正により、23歳以上の支払いにおいては、学校ではない習い事等の支払いについては、非課税の対象外とすることが定められました

つまり、23歳以上の人が、公認会計士や弁護士などの資格勉強をするための予備校などに通う費用は、適用外となってしまったことになります。

また、注意したいのは、2019年7月1日以降に支払った習い事費用から、非課税の対象外とされる点です。

この改正は、以前の制度の元で教育資金贈与をすでに始めてしまった人にも適用されてしまいますので、もし関係がある方は、一度見直してみることをお勧めします。

④30歳以降も在学してれば非課税が継続(条件緩和)

この改正では、30歳になった時点で、学校等に在籍している人、教育訓練給付金の対象となる教育訓練を受けている人に対しては、たとえその時点で受贈した資金を使いきれていなくても、贈与税を課税しないことになりました

改正前の制度では、贈与を受けた人が30歳になった時点で使いきれずに残っている金額に対しては、贈与税が課税されていました。

しかし、30歳時点で在籍している学校等を卒業した時に残っている金額には贈与税が課税されますので、注意してください。

また、その人が40になった場合には、その時点で残っている金額に贈与税が課税されます。

以上が平成31年の税制改正に伴う変更点になります。

緩和した面もありますが、贈与者の所得制限ができるなど、総じて条件は厳しくなったと言えるでしょう。

教育資金贈与税の特例は、上手に使えば大きな資産を子供や孫に非課税で渡すことができる嬉しい制度ではありますが、自分の贈与が適用するかどうか、必ず事前にチェックするようにしてくださいね。

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