夫婦間のお金の受け渡しにも贈与税は発生する?そもそもバレる恐れはある?

結婚生活の中で、夫婦間で日頃の生活費の受け渡しは頻繁にあると思います。

 

一般的に他人に高額な現金等の資産を受け渡すと「贈与税」が発生しますが、夫婦間のお金のやりとりにもこの贈与税は適用されるのでしょうか?

 

結論からお伝えすると、夫婦間でも贈与税がかかってしまうケースがあります。

 

生活を共にしていることからお互いの資産の区別が曖昧になり贈与という認識をあまり持てない方は多いと思います。なんとなく夫婦間でお金のやりくりをしていたら後から税務署から贈与税の請求がくるという事態にはなりたくないですよね。

 

今回は夫婦間でどのような時に贈与税がかかってしまうのかご説明します。万が一のケースに備えて、しっかりと知識を身につけておきましょう!

夫婦間で贈与税はかかる?かからない?

税金

そもそも、贈与税は110万円以下の贈与にはかかりません。また、贈与が110万円以下で贈与税がかからない場合には申告の必要もありません

 

また、どのような名目で資産を受け渡しするかによって贈与としてみなされるかどうかも変わってきます。そこで、日頃の生活費や教育費は贈与に当たるのかどうかということから確認していきましょう。

 

生活費や教育費に贈与税はかからない

結論から言うと、夫婦間の生活費や教育費のやりとりに贈与税はかかりません。

 

夫婦や親子、兄弟姉妹などの家族にはお互いに扶養義務があります。扶養義務のある人が扶養対象を養うために生活費など日常生活に必要な費用を被扶養者に資産を譲渡してもそれに贈与税はかかりません。

 

日常に必要な費用としては結婚式の費用、家具の購入、自家用車の購入(ただし、高級車などには課税される可能性あり)などが挙げられます。

 

ただし、株式や不動産など生活に必要でないものの購入に扶養者からの資産を充てた場合は贈与税の課税対象となります。

 

<離婚後の養育費などの受け渡しについて>

離婚後に財産分与や慰謝料、養育費の受け渡しをすることがあると思います。

 

離婚後であっても財産分与や養育費など本来所有するべき相手に財産が分けられたり、必要な費用として払われるものなので、贈与税はかかりません。

 

夫婦の口座間でお金を移動させたらどうなる?

夫婦間で日頃のお金の管理の都合上、お金をお互いに渡すことがあると思います。多くの方はこの夫婦間のお金のやりとりにも贈与税がかかってしまうのかと心配になることと思います。

 

しかし、夫婦間で口座のお金を移動させても贈与税はかかりません。贈与税はお金の所有者が実質的に誰なのか、ということによって課税されるかどうかが決まります。

 

そのため、例えば、夫のお金を夫の口座から妻の口座に移動させても、お金の保有者は夫のままなので贈与税はかかりません。

 

ただし、双方の合意のもと、夫の財産を妻の財産にするためにお金を夫婦間の口座で移動させる場合は贈与税の対象となってしまいます。

 

そのため、夫の口座から移動した資産を用いて株式などの購入のために資産を使うと課税対象となってしまいます。贈与税はその資産の保有者が変わる時に課税対象となってしまうので、そのことに注意しましょう。

贈与税の対象にならなくても相続税の対象となってしまう場合もある

相続などにより資産を取得した人が相続があった年に被相続人(亡くなって、財産を残す人)から贈与によって財産を取得して場合、贈与税ではなく、相続税がかかります

 

贈与税の対象となるケースは?

相談

 

夫婦間でも贈与税がかかってしまう場合を具体的なケースと重ねて確認していきましょう。

参考として、贈与税の税率表を下に記載します。*贈与税額=(A)×(B)-(C)

基礎控除後の課税価格(A) 税率(B) 控除額(C)
200万円以下 10%
200万円超300万円以下 15% 10万円
300万円超400万円以下 20% 25万円
400万円超600万円以下 30% 65万円
600万円超1000万円以下 40% 125万円
1000万円超1500万円以下 45% 175万円
1500万円超3000万円以下 50% 250万円
3000万円超 55% 400万円

 

高額なプレンゼントには贈与税がかかる

夫婦であれば記念日に高額なプレゼントをあげることもあると思います。

 

残念ながら、夫婦のお祝いのためのプレゼントについても贈与税の基礎控除の110万円を超える部分については贈与税がかかってしまいます。

例えば、200万円のダイヤモンドの指輪を夫から妻にプレゼントしたとします。

 

この場合、200万円-110万円(贈与税の基礎控除額)=90万円について贈与税がかかってしまいます。90万円の贈与いついては税率10%がかかるので、この場合は贈与税9万円になります。

マンションの贈与にも贈与税がかかる

高額なプレゼント同様マンションの譲渡についても贈与税がかかってしまいます。

 

例えば、以下で扱う配偶者の居住用不動産に係る贈与税の特例を利用しない場合、夫から妻に2500万円のマンションをあげた時はどうなるのか考えてみましょう。

 

2500万円(マンション代)-110万円(贈与税の基礎控除)=2390万円について贈与税がかかってしまいます。

 

贈与税額は2390万円×50%(税率)-25万円(控除額)=945万円となります。

 

贈与税は相続税などよりも税率が高いので注意が必要です。高額の贈与ともなると資産の半分ほどを贈与税として支払わなければならない状況になってしまいます。

 

ただし、夫婦間の居住用の不動産と居住用不動産を取得するための資金の受け渡しについては特例があります

 

婚姻期間が20年以上の夫婦に限り、1生に一回だけ2000万円まで基礎控除とは別に贈与税が控除されます。

 

この特例を利用すると、以上のケースのとき、

 

2500万円(マンション代)-110万円(贈与税の基礎控除)-2000万円(配偶者の贈与税控除)=390万円 について贈与税がかかります。

この時、贈与税額は390万円×20%(税率)−25万円(控除額)=53万円 となります。

以上のように、配偶者の贈与税の特例を使えば贈与税を大幅に節約することができます。

 

下記の豆知識のトピックで「贈与税の配偶者特別控除」について再び取り上げるので、しっかりとご自身が対象となるのか確認してみてください。

夫婦が覚えておきたい贈与税の豆知識

電球

内縁関係は夫婦として認められる?

 

贈与税について内縁関係にある男女の生活資金の受け渡しは基本的には贈与税はかかりません。ただし、同居をして法的に内縁関係が認められなければ、贈与税はかかってしまいます。

 

法律的に内縁関係はほとんどの場合において婚姻関係同様に扱われることが多いです。法律的に内縁関係と認められるには同居をして生計を一にする必要があります。

 

同居をして生計を一にすると法律的に内縁関係は認められ、生活費の分担義務というものが生じます。この生活費の分担義務が生じるとお互いに生活費を出し合う必要があり、贈与税の生活費の非課税対象となります。

 

逆に別居をして生活を一にしなくなると、その時点で生活費の分担義務が解消され、贈与税の生活費の非課税対象から外れてしまい、課税対象となるので、注意が必要です。

 

夫のお金で貯めたへそくりに贈与税はかかる?

本記事の冒頭でも指摘した通り、贈与税がかかるかどうかは、「そのお金が誰のものなのか」ということがポイントとなります。

 

どういうことかというと、夫が生活費として提供していた資金をへそくりにした場合、例え、妻の管理下であっても夫がへそくりの存在を認めない状況であれば、そのへそくりは夫の財産であり、夫から妻へ贈与があったとは認められません。

 

つまり、へそくりは贈与税の対象とはなりません。

 

しかし、夫が亡くなった場合、夫が認めていなかったへそくりなどの資産は夫の財産のままであるので、相続税の対象となってしまいます

 

ただし、夫が生活として妻に提供した生活費が余った場合、そのお金をそのまま妻のお小遣いにして良いと夫が認めていた場合は贈与税の対象となってしまします

 

夫婦間の住宅資金の贈与は2000万円まで非課税

以上で見てきた通り、夫婦間であっても生活費以外の資産を基礎控除110万円/年以上贈与すると贈与税がかかってしまいます。

 

しかし、配偶者への居住用不動産または居住用不動産取得のための資金の贈与については、基礎控除110万円とは別に2000万円が控除される特例があります。

 

以上で例に挙げた通り不動産などの高額の贈与を行う場合、贈与資産の半分近くを贈与税として納めなければならなくなる場合があります。

 

この特例を使えば、贈与税を大幅に節約できます。

 

贈与税の配偶者控除の要件

  • 婚姻期間が20年以上
  • 居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与であること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住を開始し、そのあとも引き続き居住し続ける見込みがあること

 

ポイント

  • 同じ配偶者との間では一生に一回しかこの特例を適用できない
  • この特例を利用するためには贈与税額が0円の場合でも申告書の提出が必要
  • 投資用のマンションの受け渡しについてはこの特例を使うことはできない

 

ただし1点、注意点として、贈与税の配偶者控除の特例を利用して居住用不動産を贈与すると余計に費用がかかる可能性があります。

 

その余計にかかる費用とは、不動産取得税登録免許税です。不動産取得税は不動産を取得した際にかかる税金で、登録免許税は不動産を登記する際にかかる税金です。

 

なぜ費用が余計にかかるのかというと、相続した場合に比べ、贈与によって不動産を取得した場合は以上の税額が多くかかるからです。不動産取得税は相続で不動産を取得した際にはかかりません。

 

一方で、贈与によって不動産を取得した際は宅地に1.5%、家屋に3%の税金がかかります。

 

登録免許税は相続の場合の税率は0.4%、贈与の場合は2%かかります。贈与によって不動産を取得すると、相続の時よりも3%以上も多くの税金を払わなくてはいけなくなる可能性があります。

 

例えば、2000万円の不動産の場合、60万円も多く税金を払う計算になります。不動産を贈与によって受け渡すのか、相続によって受け渡すのかは、ご自身の状況とすり合わせて慎重に検討してください。

そもそも夫婦間の贈与税は申告しなくても家庭外からわからないのでは?

指差すビジネスマン

 

厳密には法律的に贈与税がかかってしまっている場合でも、「お金の流れがわかりにくい夫婦間のお金のやりとりで生じた贈与税の支払いは申告しなくても税務署にバレないのでは?」と考える人がいます。

 

しかし、贈与税の支払い義務があることは基本的にバレてしまうと考えておいた方が良いでしょう。

 

なぜなら、相続税の申告の時に税務署は被相続人(亡くなって資産を相続してもらう人)が収入のわりに相続財産が少なくないかを確認するからです。

 

この時に税務署が財産の収支が怪しいと考えた場合、税務調査が行われ、過去の口座の入出金履歴、収入・支出額等を細かく調べられます。

 

この時に贈与税の申告漏れが税務署にバレてしまう可能性が高いです。

 

夫婦間の、例え現金のやりとりであったとしても贈与税の基礎控除である年間110万円を超えるお金の受け渡しは大きなお金の流れとなります。

 

そのため、税務署からしても税務調査を行えば贈与税の申告漏れを発見するのはそれほど難しいことではないかもしれません。申告漏れが発覚すると、延滞税などが余計に加算され、最悪の場合、刑事罪に問われることがあります。

 

発覚時のリスクを考えればしっかりと贈与税の支払い義務の有無を確認し、支払い義務が生じた場合、しっかりと納税しましょう。