2018年度の税制改革で森林環境税が創設されることとなり2024年度から住民税に1,000円が上乗せされることとなりました。
この森林環境税は県によってはすでに独自に導入されているのですが2024年度からは県にかかわらず1人当たり年1,000円を徴収すると言われています。
森林環境税とは一体どのような税金なのか、そして導入されるに至った背景には何があるのでしょうか。
1人あたり1000円の税負担?森林環境税とは
新しく導入される森林環境税とは?
森林環境税は地球温暖化防止であったり間伐や再造林などの森林整備等の森林吸収源対策を目的とした財源確保のために平成30年度の税制改革にて導入が決められました。
政府はそういった森林整備等の実施が必要と考えていますが、実施に必要な事業費の全てが確保できていないため安定的な財源の確保が課題となっていました。
この森林環境税では2024年度より現在個人住民税を納めている約6,200万人すべてが対象とされており、1人あたり1,000円の徴収とすると年間で約600億円の税収が想定されています。
森林環境税が始まるのは2024年度からとお伝えしましたが、これは復興特別税の徴収が終了した後に導入するためとされています。
復興特別税は東日本大震災の復興増税の一環として全国の地方自治体が学校の耐震化や避難路の整備といった防災工事のための費用として2014年の6月より個人住民税に1,000円が上乗せされてきました。
すでに森林環境税はある?
さて2024年度から森林環境税が導入されるとお伝えしました。
しかし森林環境税は名前は違うけれど目的は同じ森林整備の名目ですでに全国で独自に導入されている県があるのです。
もともと高知県が平成15年度に森林環境税を導入したのをきっかけに平成29年1月時点では全国36県・1政令市で導入されているのです。
高知県は平成27年度の決算で税収が1.7億円ということを報告しています。
また神奈川県でも同様に平成27年度の決算で38億円の税収があるとしています。
2024年度からの森林環境税と違う点は地方自治体では個人だけでなく法人からも住民税に上乗せして徴収しています。
個人住民税では均等割で400円~1,200円を上乗せしており、20県は500円を上乗せしているそうです。
法人の場合には均等割額の5~11%を上乗せし、20県は5%を上乗せしています。
こうして納められた税金は多くの自治体で基金化し森林整備や普及啓発等の県独自の事業に活用されているのです。
以下環境省の資料より現在森林環境税が導入されている県となっています。
環境省の資料より
所得税の計算方法を解説!自分の税率はいくらになる?
森林環境税の税収の使い道は?
想定されている税収
先ほど森林環境税による税収は約600億円とお伝えしたかと思います。
ではいったいその税収は何に使われるのでしょうか。
納められた税金は原則市町村や都道府県に配られることとなっています。
森林面積であったり林業従業者数に応じた分配とされており、自治体は森林整備をはじめ間伐や林業に携わる人の人材育成や公共建築物への木材利用促進などに使われる予定と言われています。
現在導入している各県の使い道
全国36県と1政令市で森林環境税が導入されているとお伝えしました。
おそらく2024年度以降の税収の使い道としては各自治体が現状取り組んで活動していることとそう大差はないのではないでしょうか。
主な使い道はやはり森林整備や普及啓発、森林環境学習、ボランティア支援、里山整備、県産材等の木材利用促進等となっています。
森林整備では荒廃したような森林を公的に管理したりして再生するなどの取り組みを行っています。
地球温暖化の普及啓発を行ったり森林環境教育のセミナーや体験学習を通じて自然の重要性についての教育の活動にも森林環境税が使われています。
環境省の資料より
では実際にどのような活動が行われているのでしょうか。
大分県の森林環境税の使い道
ここでは例として大分県の例を見てみましょう。
大分県では現在個人から500円、法人からは均等割額の5%で1,000円〜40,000円ほどを徴収しており毎年約3億2,000万円が森林環境税としての税収となっています。
納められた税金は「森林環境保全基金」に積み立てれられ第三者機関を設置することで適正な運用を行っています。
大分県でもやはり森林整備や再造林の促進などに使われることが多く毎年テーマを掲げ活動しています。
平成28年には「自然豊かな大分県の魅力を育む持続可能な森林づくり」というテーマのもと荒廃した森林を整備したり里山の整備、また森林ボランティア活動では5年間で約64,000人が参加することで森林整備が進められているのです。
大分県ホームページより
大分県の取り組みはあくまで一例であり他にも様々な県がこうした森林吸収源対策のために森林環境税を用いているのです。
森林環境税にはまだまだ問題点も
二重課税問題
2024年度から森林環境税が始まりますが、メディアではある問題点が指摘されています。
それはすでに独自に導入している県にとって2024年度以降森林環境税も上乗せされてしまう、つまり「二重課税」となってしまうのではないかということです。
そうした問題に対しても今後調整されていくと思われます。
また森林の管理の側面から前倒しを求める声もあると言われています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は2024年度に導入される森林環境税についてお伝えしました。
住民税の上乗せは所得に関係なく一律で1,000円徴収されます。
住民税の詳しい解説は以下でご覧ください。
住民税の計算方法を解説!いくら払うべきかと税金の使い道
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