九州・中部エリアを中心に氾濫や土砂災害などの多大な被害をもたらした令和2年7月豪雨。
数十年に一度の大雨と言われ、河川の決壊、家屋の浸水、道路の陥没などの被害が各所で相次いでいます。
このような異常気象による大雨・洪水などの水害被害にあった場合に国はどのようなサポートをしてくれるのでしょうか?
本記事では、自然災害を受けた時に利用できる補助金・助成金などの支援制度をまとめました。
土砂災害・浸水など、被災者が利用できる様々な支援制度
水害被害にあった場合に使える支援制度には以下があります。
- 被災者生活再建支援制度
- 災害援護資金
- 災害障害見舞金
- 災害弔慰金
- 災害減免法
- 雑損控除
各制度の支援内容や申請先などを詳しく解説していきます。
①:被災者生活再建支援制度
誰が? | 自然災害によりお住まいが被災された方 |
いくら? | 全壊:上限300万円 半壊:上限250万円 |
申請先は? | 市区町村役所 |
申請には必要なものは? |
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申請の期間は? |
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被災者生活再建支援制度は、自然災害により10世帯以上の住宅全壊被害がでたエリアを対象にした制度です。
住宅が全壊または半壊した世帯や長期間住宅に住み続けることが難しい世帯などが利用できます。
補助金額は、住宅の被害程度に応じて決まる「基礎支援金」と住宅の再建方法によって決まる「加算支援金」の合計金額となり、全壊世帯は上限300万円、半壊世帯には上限250万円が支給されます。
申請時には、被害状況を確認するための罹災証明書が必要です。
罹災証明書は、市区町村の担当部署で申請・発行を行います。
証明書は様々な支援制度を受ける際に必要になりますが、申請には被害を受けた自宅の写真が求められますので、落ち着いたタイミングで自宅の外観、室内の写真を撮影してください。
ただし、家屋倒壊の恐れがある場合は無理に室内に入ることは避けてください。
②:災害援護資金
誰が? | 自然災害によって重大な被災をした世帯 |
いくら? | 貸付限度額:350万円 |
申請先は? | 市区町村役所 |
金利や返済期間は? |
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自然災害で怪我をしたり、家や家財に被害を受けた人が低金利で貸付を受けられる「災害援護資金」。
限度額は350万円で最初の3年は無利子で借り入れが可能です。
利用にあたっては、以下の所得制限があります。
世帯人員 | 総所得金額 |
1人 | 220万円 |
2人 | 430万円 |
3人 | 620万円 |
4人 | 730万円 |
5人以上 | 1人増えるごとに730万円に30万円を加算 |
備考 | 住居が無くなった場合は1,270万円 |
③:災害障害見舞金
誰が? | 自然災害によって重度の障害を負った人 |
いくら? | 上限250万円 |
申請先は? | 市区町村役所 |
申請に必要な書類は? |
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災害障害見舞金は、自然災害によって負傷や疾病にかかり、完治した後にも精神・身体に後遺症が残ってしまった方へ支給される支援金です。
具体的には、両眼失明、要常時介護、両上肢ひじ関節以上切断等の重度の障害が対象となります。
家計を支えていた方が障害を負った場合には250万円、その他の方の場合は125万円を上限に支給されます。
④:災害弔慰金
誰が? | 自然災害で亡くなった方の遺族 |
いくら? | 上限500万円 |
申請先は? | 市区町村役所 |
申請には必要なものは? |
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支給対象となる遺族の範囲は? |
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自然災害で亡くなった方の遺族が受け取れる一時金です。
生計を担っていた方が亡くなった場合には500万円、その他の方が亡くなった場合には250万円が上限となっています。。
地震、津波などの直接的な原因だけではなく、被災によるショックなど二次的な要因による死亡も対象になります。
⑤:雑損控除
誰が? | 災害、盗難などで生活に必要な資産に損害を受けた人 |
いくら? | 所得税の控除 |
申請先は? | 管轄税務署 |
災害、盗難、横領などによって資産の損害を受けた方は、その損害分を所得から控除できます。
以下2つの内、金額の多い方を控除として利用します。
- 損失額 – 所得額の10分の1 – 保険で補填された金額
- 災害関連支出額 – 5万円
災害関連支出額とは、災害によって被害を受けた住宅や家財の取り壊し、除去にかかった支出のことを指します。
雑損控除を使って確定申告を行うことで所得が減るため、会社員の方は、所得税の還付が受けられて、翌年の住民税も安くなるというメリットがあります。
⑥:災害減免法
誰が? | 災害で生活資産に損害を受けた人 |
いくら? | 所得税の控除 |
申請先は? | 管轄税務署 |
災害減免法は、雑損控除と同様に災害を受けた時に利用できる控除の1つです。
災害減免法は所得1,000万円以下で損害金額が住宅、家財の時価の50%以上の時に利用することができます。
所得に応じて以下の通り税優遇が受けられます。
- 所得500万円以下・・・所得税全額免除
- 所得500万円超え750万円以下・・・所得税2分の1軽減
- 所得750万円超え1,000万円以下・・・所得税4分の1軽減
確定申告をする際には、災害減免法か雑損控除かどちらか自身に有利な控除を選ぶことになります。
保険は?現金は?大雨被害を受けた時に覚えておきたいポイント
ここでは、大雨被害を受けた時に覚えておきたいポイントを解説していきます。
保険の契約書類が流されてしまった場合は適切な窓口へ
大雨災害時には家屋の流失などで自身が入っている保険の内容や保険証券を紛失することもあると思います。
そうした場合には、「自然災害等損保契約照会センター(0120-501331)」へ連絡をすれば、損害保険会社との契約照会を行ってくれます。
同センターは災害救助法が適用された地域で発生した災害のみ対象となります。
災害救助ふの適用状況については、内閣府の防災情報ページよりご確認ください。
休業、失業をした場合にはハローワークへ失業手当の確認を
災害によって止むを得ず休業、失業しなければならなくなった際などで失業保険の特例措置が実施されるケースがあります。
例えば、平成30年の豪雨・暴風雨の際には失業手当の特例措置が発令され、災害によって休業したり、一時的に離職した場合にも雇用保険の失業手当を受給できるようになりました。
通帳・カード・印鑑を無くしても焦らない
災害で通帳、キャッシュカード、印鑑などお金へのアクセス手段を失った場合もまずは落ち着くことが大切です。
災害時には、本人確認ができれば現預金の引き出しに応じてくれるように金融機関が柔軟に対応してくれます。
東日本大震災、熊本地震の時にも多くの銀行が10万円までの引き出しに応じていました。
以上、今回は大雨・洪水・豪雨などの自然災害が発生した時に利用できる国の支援制度をご紹介しました。
災害中はまずはご自身やご家族身の安全を重視してください。国の支援制度は様々なものがありますので、状況が落ち着いてきたら、これらの制度を活用して生活再建への一歩を踏み出していただければと思います。
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