ロケットの打ち上げ費用はいくら?宇宙開発にかかるコストとは

宇宙ロケット 打ち上げ 費用

宇宙開発の一環で、人工衛星や宇宙機を乗せるための打ち上げ用ロケット。ロケットのリフトオフには、思わず心が動いてしまいますよね。

このロケットの打ち上げ費用、はたしてどのくらいかかるのか、気になった方も多いのではないのでしょうか。

また、ロケットの打ち上げ費用のコストでの世界競争が過熱で、最近では打ち上げ費用を削減できるロケットも国内で開発されているようです。一体どういうものなのでしょうか。

今回は、軍事用のロケットではなく、宇宙開発でのロケットに着目して、国産ロケットの打ち上げ費用から、世界のロケット事情まで解説していきます。

ロケットの打ち上げにはどれ位のお金がかかってる?

ロケットを打ち上げるには、多大な日数や金額の準備期間が必要不可欠ですが、一体どのくらい費用がかかり、その内訳はどうなっているのでしょうか?

まずは、主に打ち上げられている国産ロケットを参考にみていきましょう。

打ち上げ費用はおよそ約85億~約120億円

日本が主に打ち上げているロケットは「HⅡ-Aロケット」と呼ばれるものです。

こちらは、2001年~現在2020年まで、41回もの打ち上げに成功している、国内の人工衛星打ち上げ用のロケットです。

結論から言うと、HⅡ-Aロケットの打ち上げ費用には、およそ85億~120億円かかります。ただし、搭載する人工衛星・探査機などの費用は含まないので、打ち上げの目的によっては、さらに費用が増加します。

とはいっても、ロケットの打ち上げ費用の相場がどれくらいなのかあまりピンときませんよね。各国の宇宙開発や費用の内訳はどうなっているのか見ていきましょう。

ロケット製造費以外にかかる費用は?内訳は?

徐々にロケットの打ち上げ費用は抑えられているとはいえ、まだまだ100億円前後もの費用がかかっていますが、そもそもロケットの打ち上げには、何にお金がかかるのでしょうか?

ロケットの打ち上げ費用の内訳は、大きく分けてロケットの製造費と運用費の2つに分かれます。

製造費
  • 材料費
  • 人件費
運用費
  • 射場の固定的な経費
  • 射場関係者の人件費
  • 燃料費

射場の固定的な経費には、ロケットの輸送、点検や維持費用などが含まれます。

参考までに維持費用としての平成29年度の政府がJAXAへの交付する予算額は、162億5100万円でした。人工衛星を打ち上げるには、ロケットの射場である種子島宇宙センターなどの設備の整備・向上が必要不可欠なのが分かりますね。

製造費、運用費のそれぞれの詳細な費用は公開されていません。

2007年から、打ち上げ作業を含めてH-IIAロケット打ち上げ関連業務のほとんどが民間企業である三菱重工に移管されたため、費用は非公開となっています。

JAXAではなく、天候判断を含む打ち上げ作業そのものが、三菱重工によって行われているのは驚きですね。

また、天候や点検を理由にロケットの打ち上げが延期されると、その分のロケットの運搬・維持費が延期費用としてさらにかかります。

中には、10億円もの延期費用がかかったロケット打ち上げの回もあったそうです。ロケットを打ち上げるには、維持コストがかなりかかっていることが分かりますね。

日本のロケット打ち上げ費用を海外と比較すると?

日本で主に打ち上げられているHⅡ-Aロケットは世界と比較するとどうなのでしょうか?

世界での打ち上げ費用はいくらかかっているのか、内閣府宇宙戦略室の資料を参考に見ていきましょう。こちらは、各国で主に打ち上げられているロケットを例とした各国のロケットの使用年数、打ち上げ費用、打ち上げ数の一覧です。

国名
ロケット名使用年数打ち上げ費用打ち上げ数(成功率)
日本HⅡ‐A2001~2023約85億~約120億円41/42(97.6%)
欧州アリアン51996~2023約110億円~約130億円98/102(96.1%)
ロシアプロトン1965~約72億~約74億円376/423
(89%)
中国長征3B1996~約74億円65/69
(94.2%)
米国ファルコン92010~ 約66億円87/89
(97.7%)

表にしてみてみると、いち早く宇宙競争に出たロシアアメリカは、打ち上げ費用をどこよりも抑えられているのが分かります。一方、日本のHⅡ‐Aの打ち上げ費用は世界と比較すると割高になっています。

ちなみに、アメリカのファルコン9を運営製造しているスペースXという企業は、スタートトゥデイの前澤社長が最初の搭乗客となる民間月旅行を計画したところです。打ち上げ用ロケットのプライスリーダーだけではなく、宇宙での民間ビジネスも広げている企業とは、驚きですよね。

また、ロケットの打ち上げ費用が他国に比べてコストのかかる日本のHⅡ-Aや欧州のアリアン5は2023年を目途に打ち上げロケットから退役予定です。

ロケットの打ち上げには、成功率などで見る安全性も求められる中、世界市場での競争に負けないようにと、どこもロケットの打ち上げ費用を安くするための研究や開発が行われているようですね。

日本の宇宙進出の歴史と今後の展望

いかがでしたか?日本のロケットの打ち上げには世界と比較してもお金がかかっていることが分かりました。

しかし、日本のロケットの打ち上げの成功率から、安全性にも一定の評価があるのも確かです。これは、ロケットの安全面や機能面を改良した賜物ですよね。

また、安全性を考慮しながらも、運搬・維持費などのコストカットができるような技術もまた発展し、ロケットの打ち上げ費用が昔と比較すると徐々に抑えられています。さらに、民間企業の参入で更なる低コスト化も!日本のロケット事情について詳しくみていきましょう。

これまでに打ち上げた衛星ロケットを振り返り

日本が宇宙ロケット事業に参入したのは1955年に超小型ロケットのペンシルロケットの開発成功から始まります。

1970年に日本初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げたラムダロケットを筆頭に、様々な衛星打ち上げロケットが開発されてきました。日本国内の衛星打ち上げロケットの一覧はこちらになります。

機関状況衛星打ち上げロケット(数字は打ち上げ成功数)
JAXA

(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)

現役
  • HⅡ-A (41)
  • イプシロン (4)
  • SS-520 (4)
退役
  • HⅡ-B  (9)
ISAS

(宇宙科学研究所)

退役
  • ラムダ  (22)
  • ミュー  (26)
NASDA

(宇宙開発事業団)

退役
  • N-Ⅰ (6)
  • N-Ⅱ (8)
  • H-Ⅰ (9)
  • H-Ⅱ (5)
ISASとNASDA共同開発退役
  • J-Ⅰ (1)

1955年のロケット開発成功から、現在まで様々な衛星打ち上げロケットが開発され、135機ものロケットが打ち上げられてきました。

2020年現在、現役なのは、JAXAが運営するHⅡ-AイプシロンSS-520の3種類の衛星打ち上げロケットのみとなっています。(2003年にISASとNASDAは統合し、JAXA に改組されたため、現在ではほとんどJAXAが中心に衛星打ち上げロケットを開発・運営しています。)

今までの日本の衛星打ち上げロケットの中でも、前述したHⅡ-Aロケットは41回の打ち上げ成功と、活躍が著しいです。技術者によって、より改良がされていっているのが明白ですね。

打ち上げのコストを半分にする国内ロケットの誕生!?

世界別の打ち上げロケット費用を見てもらうと、日本はまだまだ世界のロケット市場にまず費用の面で参入しづらい課題がありますよね。

そこで今JAXAでは、現在運用中のH-IIAロケットの後継機として「H3ロケット」の打ち上げを計画中です。

こちらのロケットは、機体・地上設備を一体とした総合システムの開発により、円滑になり、打ち上げ費用、設備などの維持運用費を含めたコストが大幅に低減される見込みです。

H3ロケットの総事業費は1900億円にものぼりますが、打ち上げ費用がロケット1機につき約50億円に抑えられる計画だそうです。

HⅡ-AH3(目標)
打上げ費用約100億円約50億円
維持コスト約170億円H‐IIAの半額を目指す
打上げ間隔53日H‐IIAの半分程度まで削減

打ち上げ費用だけではなく、ロケットの維持コスト、打ち上げにかかる日数なども半減される見込みだそうです。安全性を保ちながら、打ち上げ費用を削減することによって更なる宇宙開発が可能になります。

こちらのH3ロケットは、2020年(令和2年)度に試験機1号機で打ち上げられる予定。

他にも、ホリエモンが出資しているインターステラテクノロジズ(IST)では、2019年に、日本の民間ロケットとしては初めて宇宙空間への到達をしています。

また、ISTは2023年打ち上げ予定の超小型衛星打ち上げ用のロケット「ZERO」を計画中です。こちらは、ロケットの打ち上げ費用5億円を目標とするなど、実行されれば、ロケットの打ち上げ費用の異例の低コスト化が叶えられますよね。

JAXAだけではなく、民間企業も乗り出している宇宙産業。更なる低コスト化が見込められますね。