2016年1月下旬に日本初となるマイナス金利の導入が決定されました。
言葉自体は聞いたことはあるけど、マイナス金利っていったい何だろうとお思いの方も多いでしょう。
そこでこの記事ではマイナス金利とは何か、マイナス金利による経済全体そして我々の日常生活への影響を分かりやすくお伝えします。
マイナス金利政策とは?どういう目的があるの?
マイナス金利政策とは?
マイナス金利と言われたら、みなさんは我々が銀行に預けているお金につく金利がマイナスになることを想像するでしょう。
しかし、これはマイナス金利の間違った捉え方です。
実際に、金利が低いことで知られるメガバンクの普通預金の金利はすべて0.001%(2018年12月10日現在)と限りなくゼロに近いもののマイナスにはなっていません。
また、ヨーロッパでは日本よりも大きなマイナス金利になっていますが、個人預金の金利はマイナスになっていません。
まず前提として、各銀行は日本銀行(日銀)と呼ばれる日本の中央銀行にお金を預けています。
2016年の1月までは銀行に預金すると金利がついてお金が増えるという、我々が常識だと思っていることが各銀行と日銀の間でも通用していました。
しかし、日銀が発表したマイナス金利政策によって、各銀行は日銀に預けているお金の一部に対して今までとは逆に0.1%の金利を支払わなければならなくなりました。
これがマイナス金利政策の本当の意味です。
どういう目的で導入されたの?
マイナス金利の意味だけ理解しても導入された背景を知らなければ本当の理解には繋がらないのでそれを理解しましょう。
日本の中央銀行である日銀は15年間続いてきたデフレを打破するために、2013年からインフレ率の目標を2%に設定するなど金融緩和に取り組んできました。
そもそもインフレとは物価の持続的な上昇のことをいい、デフレとはその逆で物価の持続的な下落のことをいいます。
物価が上昇するインフレは好景気と所得の増加を促すため一般的には好まれます。
マイナス金利政策によって、各銀行が日銀に預けているお金の一部に対して金利を支払うことが必要になった結果、各銀行は日銀に預けるよりは企業や個人にお金を貸して金利を得ることを好むようになります。
その結果、銀行は企業や個人に貸すローンの金利を低くすることを迫られ、設備投資などの企業活動や住宅・自動車などの高額財の消費が活発になるので景気は上向きます。
マイナス金利政策は要するに、日本の好景気を持続させて絶対にインフレ率2%を達成したいと考える政府及び日銀が行ってきた政策のうちの最後の砦なのです。
マイナス金利による影響は?
社会全体への影響は?
プラスの影響
マイナス金利は円安につながります。
その理由はマイナス金利で銀行に預金しても金利がつかないことから、円を売って他の通貨に交換する人が出てくるためです。
円安は自動車などの製造業が強い日本には有利に働くため、ここではプラスの影響としておきます。
また、円安になるとインバウンド需要が見込めるため、観光業界、旅行業界なども景気が良くなります。
マイナスの影響
マイナス金利によって最も痛手を被るのは銀行でしょう。
なぜなら、個人の預金の金利はマイナスにしにくい一方で、日銀に預けるお金の一部に対しては0.1%の金利を払う必要があるため利益がどうしても減ってしまうためです。
実際にマイナス金利が発表されてからそれを懸念した投資家の行動によってマイナス金利政策の発表後には銀行の株価が軒並み下がりました。
上記でヨーロッパでは日本よりもマイナス金利が高いにもかかわらず、個人の預金の金利がマイナスになっていないと述べましたが、日本では銀行の財政難により個人の預金の金利がマイナスになる可能性も考えられます。
我々個人への影響は?
プラスの影響
個人の住宅ローンや車のローンの金利がマイナス金利によって下がることによってローンが組みやすくなります。
例を挙げると住宅ローンの金利は下がり、10年固定で借りても1%以下になっています。
このローンの金利が低いメリットはローンを組む額が大きいほど大きくなります。
マイナスの影響
マイナス金利導入後に銀行の普通預金金利が0.02%から0.001%になりましたが、これからも下がる可能性は十分に考えられます。
しかし、これは100万円預金した場合の金利が200円から10円になっただけなので、ローンが安く組めるようになったメリットと比べると大したデメリットではないと思われます。
おわりに
この記事を読んでマイナス金利の正体、日銀がマイナス金利を導入した背景、そしてマイナス金利による影響を理解できたでしょうか?
マイナス金利は日本では初めて導入されたので、これからも予想通りの影響が出るのかは推測が難しいところです。
マイナス金利それ自体は我々には関係ないものであっても、そこから派生する影響には我々の生活に結び付いているものが多いので、これからの経済の動向には目を配らせておきましょう。
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