2019年7月のM&A動向|日本企業による今年最大の買収案件が発生!

ビルと青空

2019年7月のM&A(買収・合併)件数・金額データをまとめています。

2019年7月は、今年最大となる日本企業による買収案件が発生するなど、市場の注目を集めました。

今回は、M&A仲介大手のストライク社提供のM&Aデータをもとに、市場概況と7月のM&A金額ランキングTOP5社を発表します。

M&A金額ランキングでは、各社の買収背景なども合わせてご紹介していますので、ぜひ詳細をご覧になってください。

2019年7月のM&A件数と内訳

2019年7月のM&A(適時開示ベース)は、前年同月を6件上回る67件となりました。

今年月別では3月の82件、2月77件に次ぐ今年3番目(4月と同数)の結果となっています。

前月(6月)比では20件増え、上期(1~6月)のM&Aは394件と2009年以来10年ぶりの高水準でしたが、下期(7~12月)も好調な滑り出しといえそうです。

7月のM&Aの開示件数67件のうち、海外案件は17件。国別では、米国5件、英国4件で、両国で全体の半分を占める一方、中国はゼロでした。

2019年7月M&A買収金額ランキングTOP5

5位:日本取引所グループ 55億5000万円

日本取引所グループ(JPX)による東京商品取引所の完全子会社化を目的としたTOBが実施されます。

TOBとは・・・TOBは、「Take Over Bid」の略。予め、事前に価格・株数・期間を公開した上で市場を通さずに株式を買い取る手法のことです。

通常は、キャピタルゲインを目的に証券市場を通じて株式を売買しますが、TOBは企業買収・子会社化を目的に実施されます。

両社の経営統合により、現物の株式から穀物、原油・金などの先物商品まで一体的に取り扱う「総合取引所」が2020年夏頃に発足することになります。

欧米では一般的な総合取引所ですが、日本では、2000年代後半に構想が打ち出されて、10年越しにようやく実現する見通しです。

4位:ワコールHD 約91億8000万円

2019年7月30日、ワコールホールディングスがアメリカの女性インナーウェア企画販売会社Intimates Online(ニューヨーク)を子会社化しました。

株式取得額は91億円で業績次第で最大59億円を創業者に追加で払う契約となっています。

Intimates Onlineは、ミレニアル世代から指示を集めるしたぐブランド「ライブリー」を運営している会社です。自社ECを主要販路としつつ、ニューヨクやシカゴに直営店を持ち、SNS等でも顧客とコミュニケーションを深めてきました。

中長期計画の海外事業の拡大を加速させる目的での買収となります。

3位:ネクソン 約104億円

2019年7月1日にネクソンは、オンラインゲーム開発のベンチャー企業であるスウェーデン Embark Studiosの株式を追加取得し子会社しました。

Embarkは、ストックホルムに拠点をおき最新テクノロジーを活かしたオンラインゲームを開発しています。

ネクソンのライブ運用のノウハウとEmbarkの世界的ヒット作を生み出す開発力によって、長期的に愛されるゲームを提供していく考えです。

2位:大阪ガス 約650億円

大阪ガスは、2019年7月29日にアメリカ・シェールガス開発会社サビン・オイル&ガス・コーポレーションの全株式を取得しました。

日本企業による米シェールガス開発会社の買収は初めて。また大阪ガスの海外事業では過去最大規模の投資案件となりました。

この買収によりサビン社が持つ全ての鉱区を保有することになり、さらに同社が持つ開発やオペレーテジングノウハウを吸収しようとしています。

1位:アサヒグループHD 約1兆2096億円

2019年7月19日、アサヒグループHDは、豪ビール大手、カールトン&ユナイテッド・ブルワリーズ(CUB)を1兆2000億円の大型買収しました。

CUBの親会社は、世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)。今回買収したカールトン&ユナイテッドブリュワリーズは、オーストラリアで5割弱のシェアを持っています

アサヒは海外事業を拡大しており、事業利益の海外比率は買収で5割のぼり、多角化を評価する声も。国内ビール市場の高齢化やビール離れで縮小する中、本買収で海外収益基盤をさらに強化する狙いがあります。

過去の競合他社のM&AとしてはにサントリーHDのビーム買収はウイスキーの販路拡大に一躍を買い、キリンHDが3,000億円で買収したブラジル事業は、損失を抱え売却を余儀なくされる結果になりました。

アサヒHDの巨額買収の明暗が注目されています。

7月は海外の買収案件が目立つ結果に

7月はアサヒグループの巨額買収に加えて、上位4社全てが海外案件の買収となりました。

少子高齢化や人口減少による国内市場の縮小に伴い、様々な業界が海外へ活路を見出していることが分かります。

2019年下半期最初の7月は案件金額ともに好調な滑り出しとなり、以降の動きにも注目が集まっています。

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