2020年に入り、いよいよ確定申告の準備を始めようという方も出てきたのではないでしょうか?
最近では、会社員の方の中でも副業をしたり投資による収入が出ることなどによって、確定申告をするケースが増えてきています。
本業で忙しく、その上手続きに慣れていないとなると、確定申告の期限に間に合わなかったり、手続きが不十分になってしまうという心配を抱えている方も多いのではないでしょうか?
何かと未経験者や経験の薄い方にとっては不安の多い確定申告について、今回は2020年の手続きの期限や万が一間に合わなかった場合、どうなってしまうのかなどを詳しくご紹介していきます。
初心者の方にも分かりやすいように、確定申告とはそもそもどんなものなのかもご紹介していきますので、ぜひじっくりと勉強していきましょう!
そもそも確定申告はどんな手続き!?必要な人と必要ない人の条件とは?
では、ここからは確定申告に関して簡単な知識をご紹介していきます。
そもそも確定申告とは?
確定申告とは、1年間に得た所得の金額を計算し、納税額を決定させることを言います。
一般の会社員の場合であれば、あらかじめ給与額から所得税や住民税が差し引かれているので年末調整だけで済むようになっています。
しかし、冒頭でも触れたように仮想通貨が普及したことで今までは給与以外にはお金を得ていなかった人も、確定申告が必要になっている場合があります。
大まかな確定申告の流れとしては、
申告書の作成→申告書の提出→税金の還付→納税 といった流れになります。
最近では、申告書は管轄以外の税務署でも簡単に受け取ることができたり、ネットからダウンロードできる書類もあるので申告書の入手自体にはそれほどハードルはありません。
申告書の作成ですが、これは自力でやるのは困難な部分も多いので会計ソフトを利用したり、国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用するのが手っ取り早い方法です。
申告書の提出は管轄の税務署へ郵送すれば良いので、しっかりと余裕を持った書類作成ができれば大丈夫です。
また税金の還付を受ける場合にはしっかりと振込先の口座情報を記入しなければ還付が受けられないので注意しましょう!
確定申告が必要となる人の条件や特徴
では、確定申告が必要となる人の条件や特徴について見ていきましょう!
確定申告が必要となるのは次のような条件に該当しているケースです。
- 自営業やフリーランスとして収入を得ている
- 400万円を超える年金を受け取っている
- 株やFXなどの取引で一定の収入を得ている
- 遺産の相続や不動産取引で臨時の所得が出ている
- 給与所得が2000万円を超えている
- 副業で年間20万円以上を稼いでいる
- ダブルワーク をしている
このうち、3つ目の株やFXでの収益を上げているケースに関して触れていきましょう。
これらの投資をしている場合には、自動的に源泉徴収が行われる源泉徴収口座を利用している場合や、税金の優遇が行われているNISAを利用する場合には、利益が120万円までであれば申告はしなくてもよいことになっています。
しかし、上記のような設定をしているわけではない場合には、自力で確定申告をする必要があります。
また、給与所得だけで生計を立てているとしても、年収が2000万円を超えているような高収入会社員の方の場合には、個人的に確定申告をしなければなりません。
会社員の方でもう一つ注意したいのが、副業をやっていて年間で20万円以上の収益を得ている方です。
この場合の収益というのは、売り上げから経費を差し引いたものですので、せどりなどを行っている場合には年間の売買差益の金額が20万円を超えると、確定申告が必要となります。
確定申告をする必要のない人の条件や特徴
続いて、確定申告をする必要のないケースをご紹介していきます!
- 事業での所得が38万円以下である
- 会社が年末調整をしている
- 副業の収入が20万円未満である
- 公的年金が400万円以下で源泉徴収がなされている
フリーランスや自営業であっても、年間の所得が38万円未満であれば確定申告の必要はありません。
副業をしている場合にも年間での所得が20万円に満たない場合には、確定申告の必要は同じくありません。
確定申告は義務ではいないが、するとお得になる人の条件や特徴
確定申告は納税額を決定するので、何かと損をするイメージがあるかもしれませんが、税金の還付によって納めたお金が戻ってきてお得になるケースもあるのです。
こうした還付手続きは義務ではないものの、次のような方の場合にはやった方がお得にはなります。
- 多額の医療費を払った人
多額の医療費を支払った人は医療費控除という控除を受けることが出来ます。
医療費控除は、所得税の納税者が、自分や生計を一にする配偶者や家族のために支払った医療費のうち、10万円を超えた分(最大で200万円)が医療費控除の控除額となります。
- 災害や盗難にあった人
災害や盗難にあった人は、こちらも所得控除である、雑損控除が受けられます。
雑損控除の控除額は、以下のいずれかの多いほうが適用されます。
- (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
- (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
- 寄附をした人(ふるさと納税など)
最近話題のふるさと納税を含め、学校法人や国などに寄付をすると、寄付金控除が受けられます。
寄付金控除も所得控除です。
寄付金控除の控除額は、以下のいずれか低いほうが、適用されます。
- その年に支出した特定寄附金の額の合計額-2,000円
- その年の総所得金額等の40%相当額-2,000円
- 仕事のために一定以上自腹を切った人
仕事のために一定以上自腹を切った人と言うと、わかりずらいですが、要は仕事のために資格を取ったり、スーツを買ったりする際に必要になる費用のことで、その費用のうち、一定額を超えた分が、所得から控除されます。
その控除を特定支出控除といい、対象となるのは、「通勤費」「転居費」「研修費」「資格取得費」「帰宅旅費」「勤務必要経費」の6つです。
また、一定額とは、その年中の給与所得控除額の半分です。平成30年の給与所得控除は以下の通りです。
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 | |
---|---|---|
180万円以下 | 収入金額×40% 65万円に満たない場合には65万円 | |
180万円超360万円以下 | 収入金額×30%+18万円 | |
360万円超660万円以下 | 収入金額×20%+54万円 | |
660万円超1000万円以下 | 収入金額×10%+120万円 | |
1000万円超 | 220万円(上限) |
- 住宅ローンを組んだ人
住宅ローンを組んだ人は、住宅借入金等特別控除という控除を、最大10年間受けることが出来ます。いわゆる住宅ローン減税です。
住宅借入金等特別控除は、上の3つと違い、所得控除ではなく税額控除です。
税額控除は所得税額から控除額を差し引くことができるので、還付金の額は税額控除額と等しくなります。
住宅借入金等特別控除額は以下のように算出されます。
- 年末の住宅ローン残高×1%=住宅借入金等特別控除額(上限40万円)
また、住宅借入金等特別控除を受ける際に、確定申告が必要なのは、1年目のみであり、2年目以降は年末調整で勝手に処理されるので、特にすることはありません。
- 副業が赤字の人
副業が個人事業で、赤字の場合は損益を通算することで、還付金を受け取ることが出来ます。
赤字額がそのまま所得控除となるので、赤字額が所得金額を上回れば、所得税は全額帰ってきます。
損益通算ができる所得の種類は以下の4つです。
- 不動産所得
- 事業所得
- 譲渡所得
- 山林所得
特に該当するのが多いのは不動産所得がある方でしょう。
確定申告の必要があるので忘れることはないかと思いますが、赤字の物件がある場合などはしっかりと合算して確定申告をしましょう!
- 株取引が赤字の人
株取引で年間を通して損失が出ると、源泉徴収されていた税金を取り戻すことが出来ます。
また、株取引によって生じた損失を、確定申告することにより、最大3年間繰り越して計算することが出来ます。(損失の繰越控除)
- 退社して年内に再就職しなかった人
月々給与から天引きされている源泉徴収は、その人が継続してその会社で働くことを前提にしています。
ですので、年の途中で退社して、年内に再就職しないと、想定されていた年間所得よりも実際の所得が低くなり、所得税額も想定より少なくなることがほとんどです。
そして、再就職しないと年末調整も受けられないので、自分で還付金を受け取るための確定申告(還付申告)をして、払いすぎた所得税を返してもらう必要があるんです。
2020年の確定申告の期限はいつまで!?期限に間に合わないとどうなる?
では、確定申告に関して簡単に解説したところで、2020年の確定申告の期限はいったいいつまでなのか、万が一手続きに間に合わなかった場合はどうなってしまうのか、を紹介していきます。
2020年の確定申告期間はいつからいつまで?
2020年の確定申告の期間は、「2020年2月17日から3月16日」となっています。
例年の原則的な期限は3月の15日になりますが、今年の場合はこの日が日曜日に該当しますので、翌日の16日までが確定申告の有効期限となっています。
よく疑問にもたれることですが、確定申告はいつからでもできるわけではなく、スタートの日も明確に決められています。
会計ソフトなどで自分なりに書類を作成したりすることなどはいつでもできますが、提出すること自体は今年ですと2月17日からということになりますね。
2020年の確定申告期間に間に合わなかったらどうなる?罰則やペナルティーは?
では、万が一上記の確定申告期間に手続きが間に合わなかった場合にはどうなるのでしょうか?
まず、最初にお話ししておきたいのは、期限に間に合わなかったからと言ってすぐに「脱税」となるわけではありません。
仮に期限内に間に合わなかったとしても、落ち着いて手続きを完了させましょう。
とはいえ、明確に決められている期限を守れないと以下のような罰則があります。
- 無申告加算税
読んで字のごとく、といった感じもしますがこれは確定申告が遅れたことで、追加で徴収される税金です。
納税額のうち50万円までの部分に関しては15%、50万円を超える部分に関しては20%の割合で上乗せされた課税が行われます。
例えば、納税すべき金額が100万円だった場合は、
50万円×15%+(100万円-50万円)×20%=17万5000円が無申告加算税となります。
かなり大きな額なので、確定申告に遅れないようにするのが一番ですが、もし遅れた場合でも税務署などからの注意がある前に自ら確定申告を行えば税率は5%に抑えられます。
上の納税額100万円ケースでは、
100万円×5%=5万円となるので、注意されてからやるか自分からやるのかでは12万5000円の差が生じるのです!
また申告が遅れた場合以外にも、納税するべき金額を過小に申告した場合や申告書類に隠蔽などが発覚した場合にも追加で税金が上乗せされることもあるので注意しましょう!
- 延滞税
これは納税に遅れた期間に発生した利息のようなものです。
簡単なイメージとしては、レンタルビデオ店でDVDやCD、漫画などを借りた場合に返却期限を過ぎて返却した時に支払う延滞金のようなものだと考えれば良いでしょう。
この延滞税は納税するべき期日を過ぎてから納税までの期間が2ヶ月を経過しているかどうかで計算方法が変わってきます。
まず、期限を過ぎて2ヶ月以内の申告の場合は、(本来納税すべき金額×延滞税の割合×延滞期間÷365)の式で求められます。
この場合の延滞税の割合は年「7.3%」と「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合を採用します。
2ヶ月を超えてしまった場合には、上の式で求められた税金額に加えて、(本来納税すべき金額×延滞税の割合×2ヶ月を経過した翌日から完納までの期間÷365)で求められます。
この場合の延滞税の割合は先ほどよりも上がって、年「14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となるので2ヶ月は絶対に超えたくないラインでもあります。
具体的な延滞税の割合に関しても、国税庁のホームページに掲載されているので、わからない人はぜひチェックして見てください。
- 刑罰
これは納税するべき金額が極めて大きな場合や、納税を怠るのに悪質な理由がある場合などに課せられる刑事的な罰則です。
脱税を行うと、「5年以下の懲役」または「500万円以下の罰金」が課せられるので甘く見ていると痛い目を見るので気をつけましょう。
とはいえ極めて特定な事例なので一般のサラリーマンや学生にはあまり関係がないかもしれませんが、会社経営者や仮想通貨で大儲けした人などは要注意なのでしっかりと税理士に相談の上で納税しましょうね。
確定申告の期限に間に合わなかった!そんな時の具体的な対処法とは?
今までも解説してきたように、確定申告が必要であるにも関わらず完了していない場合には過失の重さによって罰則が変わってきます。
その加湿の重さというのは、大まかにいうと「税金を納めていない金額」と「納めるまでにかかった延滞期間」の2つで概ね判断されます。
税務署も忙しいところですので、税金を納めていない金額が少ない人よりも多い人の方が、必死で税金を納めさせようとしますし、放置していた時の罰則も大きくしています。
また、うっかりミスで数日確定申告が遅れてしまった人よりも、督促が届いてから手続きをした人の方が重い判断を下します。
ですから、万が一確定申告の期限に間に合わなかった時の最善の対処法としては、「とにかく早く手続きを済ませる」ということになります。
自分ならバレないのではないか、このまま確定申告をする必要はないままやり過ごせるのではないか、と考えてしまいがちではありますが、そうした甘い考えは絶対にやめましょう!
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