2020年1月M&A件数は2009年以来の高水準に!詳しいM&A動向を解説

東京

2020年1月のM&A動向をお届けします。

2019年は10年来でM&A件数が最高となった年となりましたが、2020年の初月はどういった動きを見せたのでしょうか。

M&Aの注目トピックスや金額ランキングなどをわかりやすくまとめています。

なお、本記事の情報は、全上場企業に義務づけられた適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A仲介のストライク(M&A Online)が集計したものを参考にしています。

令和元年1月のM&A件数は昨年の活況を引き継ぐ形に!

2020年1月のM&A件数は前年同月を7件上回る69件でした。

1月としては、2009年以来の高水準にのぼり、前年のM&A件数が841件と過去10年で最高となった流れを引き継ぐ形になりました。

日銀の金融緩和や企業間の競争激化を受けて企業の生産性向上への意識が一段と高まっていることが背景にあり、人手不足がM&Aを後押ししている面もあり、ビジネスチャンスが拡大する人材関連会社のM&Aも活発です。

69件の内訳は買収56件、売却13件(買収側と売却側の双方が開示したケースは買収側でカウント)。

このうち海外案件は売却9件、買収3件。取引金額が100億円を超える大型案件は4件ありましたが、海外企業の買収案件はグローリーがフランスのセルフ決済機器メーカーのアクレレック・グループを242億円で傘下に収める1件にとどまりました。

金額トップは前田建設による前田道路のTOB。前田建設は前田道路の株式を約25%所有し、持ち分法適用関連会社としていますが、TOBを通じて所有割合を51%に引き上げて子会社化するもので、1株3950円で1月21日から買い付け(3月4日まで)が始まっています。

これに対し、前田道路はTOBに反対し、前田建設が持つ全株式を自己取得して資本関係を解消することを求め、“身内同士”で真っ向から対立する様相となりました。

2020年1月のM&A金額ランキングTOP10を一挙紹介!

M&A金額ランキングTOP10社をご紹介します。

順位案件(金額)
1前田建設工業、前田道路をTOBで子会社化へ(861億円)
2米ベインキャピタル、三井E&Sホールディングス(旧三井造船)傘下の昭和飛行機工業をTOBで子会社化(694億円)
3投資ファンドのインテグラル、豆蔵ホールディングスをMBOで非公開化(344億円)
4グローリー、フランスのセルフ決済機器メーカーのアクレレック・グループを子会社化(242億円)
5イワキ、医薬品研究受託のスペラファーマ(大阪市)を子会社化(60億円)
6フジシールインターナショナル、包装材料製造のタイ合弁「フジエース」を子会社化(45.1億円)
7サン電子、デジタル証拠の収集・分析の米ブラックバッグ・テクノロジーズを子会社化(38.2億円)
8芙蓉総合リース、トラックリースのヤマトリース(東京都豊島区)を子会社化(36億円)
9ゼリア新薬工業、医薬品・健康食品販売の日水製薬医薬品販売(東京都台東区)を子会社化(33億円)
10TIS、モバイル決済ソフト開発の米Sequent Softwareを子会社化(28.5億円)
11前澤給装工業、住商メタレックス(東京都千代田区)のリビング・ソリューション事業を取得(15.5億円)
12JEUGIA、MBOを通じて非公開化(14.1億円)
13フィードフォース、インターネット広告運用代行事業のアナグラム(東京都渋谷区)を子会社化(12.5億円)
14MTG、ウオーターサーバー事業を萬楽庵(名古屋市)に譲渡(12億円)
15UTグループ、製造業向け材派遣事業のサポート・システム(大阪市)を子会社化(11.5億円)

2020年1月のM&A注目トピックスを解説!

1月のM&Aのうち、とくに注目のトピックスを3つご紹介していきます!

三井E&S、傘下の昭和飛行機を売却

米投資ファンドのベインキャピタルが三井E&Sホールディングス(旧三井造船)傘下の昭和飛行機工業を694億円で子会社化(非公開化)。金額ランキングでは、前田建設に次、第2位という形になりました。

経営再建中の三井E&Sは約66%を所有する昭和飛行機の全株式をTOBに応募し、事業構造改革を進める模様。昭和飛行機はTOBに賛成しています。

人材関連のM&Aは国内外で活発

業種別にM&Aをみると、人材サービス分野が4件あり、引き続き活発でした。

エンジニア派遣大手のUTグループは関西地区で製造業向け人材派遣事業を手がけるサポート・システム(大阪市)の子会社化を決めた。11億5600万円で全株を取得。

通販会社のベルーナはシンガポールで医療人材の紹介・派遣事業を展開するJOBSTUDIOを傘下に収めました。ベルーナはグループ会社を通じて2018年から国内で看護師紹介事業を始めていますが、海外展開に踏み出す形です。

クリーク・アンド・リバー社は持ち分法適用関連会社でテレビ・映像関連を中心に人材派遣を手がける韓国クリーク&リバーエンターテイメント(ソウル)の資本構成を見直し、連結子会社化しました。

また、エン・ジャパンは建設・不動産業界向け求人サイトを運営する中国子会社の英才網聨科技(北京)を売却する方向で検討を始めたと発表。事業の選択と集中の一環だといいます。

マツキヨ・ココカラが来年10月統合で合意

ドラッグストア大手のマツモトキヨシホールディングスとココカラファインは1月31日、2021年10月に経営統合すると発表しました。

売上高は1兆円規模となり、ツルハホールディングスなどを抜いてトップに立ちます。

共同持ち株会社を設立し、マツキヨの松本清雄社長が社長に就任。両社は昨年8月に、今年1月末までの基本合意を目指して協議を始めていました。

経営統合に先立ち、マツキヨはココカラの第三者割当増資を約383億円で引き受けて20%超を保有する筆頭株主となります。マツキヨ、ココカラのブランドは当面残す見通しです。

以上、1月のM&A動向をお届けしました。

ドラッグストア業界や人材業界など、M&Aに積極的な業種がいくつか見られました。2019年の活況は今後も続くのか。次回のM&A動向調査も気になりますね!

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