新型コロナウィルスの影響により、世界中に未曾有の経済ダメージが広がっています。
経済大国アメリカでは、コロナ自粛から6週間で新規の失業保険申請件数が合計3000万人を超えました。
アメリカの人口は約3.2億人、うち労働人口が約1.5億人ですので、労働人口における20%の人が失業保険申請を出したことになります。
日本でも経済への影響は深刻で、緊急事態宣言以降、コロナ自粛で経済活動が止まり、職場の休業や倒産により仕事を失った人や、給料が減った人は、後を絶ちません。
多くの業界・企業がコロナ自粛により業績低迷している一方で、コロナ自粛より、大きく伸びている業界も存在します。
今回はそんなコロナ自粛により、企業業績が伸びると予想される業界と、企業業績が落ち込むことが予測される業界についてまとめました。
コロナの影響で業績が上がっている業界は?
EC
EC業界は業績が好調です。
これまで店舗で買い物をしていた人が、インターネット上でショッピングをするようになったため、EC事業の売り上げが非常に伸びています。
もともと店舗で買い物していたものを、インターネット上で買い物するようになったという、既存ニーズだけでなく、自宅で過ごす時間が増えたことにより、売上が上がっている商品もあるようです。
例えば、家で髪を切るためのバリカンやすきバサミ、気分転換用に庭や室内におくテントは、平常時よりも売れ行きがいいです。
オンライン教育・通信教育
オンライン教育業界、通信教育業界もコロナにより業績が上がっています。
一斉休校により、学校で授業を受けられないことから、自宅で授業を受けられるオンライン授業や、家庭学習で自分のペースで勉強ができるタブレット教材や、通信教材を利用する家庭が急増しました。
これまで教室で直接授業をしていた塾や、家庭教師も、コロナ自粛以降はオンライン化をすすめているため、今後ますますオンライン教育は、スタンダードな存在になることが予測されます。
スーパーマーケット(小売業界)
不要不急の外出を控えるようになったことで、外食する機会が減ったことに加えて、子供の休校や、仕事の在宅勤務化が進んだ影響で、自宅で食事をする機会が増えた家庭の食材消費量が急増しています。
そのため、日々の食材を購入するため、スーパーマーケットの売上は非常に好調です。
食材宅配サービス、フードデリバリー
家庭での食事の機会が増えたことで、スーパーでの買い物需要が増えた一方、自宅にお子さんがいるため、主婦が買い物に行く時間が大変です。
また、買い物の量が増えたことで、重くて運べない高齢者が多数います。
そんな背景から、生協やコープデリを中心とした食材宅配サービスが人気を博しています。
またたまには外出気分を味わいたいというニーズや、もともと自炊をせず外出中心だった人々の中では、出前館やUber Eatsといったフードデリバリーの利用者数も増えてます。
ソーシャルゲームや動画配信サービス
自粛期間中、家で楽しめる娯楽として、ゲームアプリなどのソーシャルゲームや、NetflixやAmazon primeなどの動画配信を楽しむ人が増えており、ゲーム業界や動画配信業界の売り上げは好調です。
テレワーク・オンラインシステム
学校自粛で授業がオンライン化されたり、企業のテレワーク推進により、社内会議やクライアントとの打ち合わせがオンライン化されたり機会が急増し、オンライン会議ツールの利用者が急増しています。
有名なところでは、zoomやGoogle Meetなどがよく利用されてるオンライン会議システムが挙げられます。
授業や仕事の場だけでなく、最近では「zoom飲み会」といった言葉が生まれるくらい、プライベートでもビジネスの場でも、オンラインシステムの普及が急激に進みました。
zoomの利用登録者は、コロナ流行により、なんとたった20日間で世界で1億人増えました。
コロナの影響で業績が下がっている業界は?
飲食業界
緊急事態宣言以降、休業要請の出た飲食業界には壊滅的なダメージが出ています。
もともと飲食業の利益率は5%〜10%程度のため、現在単月売上が半減以下になっている多くの飲食店は大幅な赤字です。
打開策としてお弁当やデリバリー対応を始めている飲食店も増えましたが、デリバリーの客単価は、店舗での客単価より低く、販売数も限界があるため、赤字幅を補填できるほどのインパクトにはなっていないのが現実です。
また休業解除された後も、どれだけ客足が戻るかは分からず、資金余力の少ない個人経営の店舗はもちろん、多店舗展開されている大手飲食店も、売上がほとんどない中、毎月の家賃支払いなど固定費の負担が続いている状態です。
政府からの十分な休業補償がない中、このままでは多くの倒産企業がでるのではと危惧されている業界の一つです。
航空業界
世界各国が、海外への渡航や海外からの渡航者の受け入れを禁止している影響で、航空業界は致命的な大打撃を受けています。
物流の移動はあるものの、海外旅行や国内旅行による需要は激減しており、国際線・国内線ともに大幅な減便・運休をしています。
政府は、航空業界の「2.5兆円の支援パッケージ」を検討していますが、少なくともパンデミックが世界的に収束するまで、国を跨いだ人の移動は制限をされるため、航空業界の厳しい状況はしばらく続くと思われます。
観光業界
航空業界同様、旅行・ホテルなどの観光業界の売上も壊滅的なダメージを受けています。
海外からの外国人旅行者も、国内旅行者もほとんどなく、売上が9割ダウンしたところも珍しくありません。
とくに海外からのインバウンド需要に特化していた事業者は、かなり苦境に立たされています。
ただし、日本の観光市場26.1兆円のうち、8割が国内需要です。インバウンドに目が行きがちですが、緊急事態宣言が解除され、まずは国内旅行が出来る状態まで日本国内でのコロナ感染が落ち着けば、インバウンド需要に頼ることなく、徐々に観光業が回復していく可能性はあります。
政府としても、「国内に向けた観光需要喚起策」として1兆6794億円を予算計上をし、過去にない規模で、観光需要喚起にむけた支援を行い、観光地全体の消費を促進していくと発言しています。
美容業界
生活インフラである美容業界は、休業要請から外れた業界ですが、自粛休業や短縮営業をしている理美容店も少なくありません。
通常通り営業をしていても、不要不急の外出を控える消費者の理美容利用頻度は下がり、売上も悪化しています。
美容業界は、飲食業同様に莫大なテナント費用が発生するため、売上が順調だった人気店舗でも、赤字へ転落しています。
バリカンやすきバサミ、美容関連の機器などがEC販売で好調な背景には、理美容業界からの客離れがあると考えられます。
人材業界
景気のパロメーターとも言える人材業界も、コロナショックによる業績悪化の影響を受けている業界の一つです。
人材業界の売上は、クライアント企業の採用数におおむね連動するため、業績悪化により多くに企業が新規採用を止めている状況下、業界全体としても売上マイナス影響を受けています。
医療や教育業界など、コロナで業績があがっている業界に特化した人材エージェント会社を除き、人材業界全体としては、他業界の業績と連動して今後も推移していくことが予測されます。
広告業界
広告業界も、人材業界と同様に、他業界の業績に連動して推移していきます。
経済の先行きが不透明になったり、景気悪化する可能性が高い状況で、企業が最初に見直す出費が、広告費と新規の人材採用です。
そのため多くの企業が業績悪化をしている現状では、広告業界全体としての売上が悪化しています。
(新型コロナ感染症指定医療機関以外の)医療施設
少し意外ですが、コロナ感染症の指定医療機関以外のクリニックや病院の売上についても、現在2〜5割程度悪化しています。
理由としては、医療機関がクラスターとなって医療崩壊が起きないように、政府からも自宅療養を推奨されたこともあり、これまでであれば病院で受診していた症状でも、軽微だと自己判断すれば病院に行かず、自宅療養する人が増えたからだと思われます。
そのため、コロナの指定医療機関と、指定外の医療施設で患者数の二極化が進んでいる状況です。
コロナの影響で売上が伸びている・落ちている業界の違いは?
以上、コロナ自粛によって伸びている業界と衰退している業界についてまとめました。
コロナで売り上げが伸びた業界は複数ありましたが、伸びている業界に共通しているところは「自粛」「巣ごもり」関連の業界ということです。
人が移動できる社会では、商品・サービスを求めて人が移動できますが、自粛で人の動きが止まった今の社会では、人のもとへ移動できる商品・サービスが伸びています。
一方で、新型コロナウィルスの影響で業績が下がっている業績は、伸びている業界とは逆で、その場に行かなければ受けられない商品・サービスを扱う業界が中心です。
伸びている業界があるのも事実ですが、やはり経済全体で見ると、今回のコロナの影響は大きなマイナスです。
1日でも早くパンデミックが終息し、日本経済、世界経済が正常に戻る日が待ち遠しいです。
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