リモートワークで離職続出!部下の心は何故離れる?心理学の視点で解説

藤田 耕司 経営心理士

「多くの企業がリモートワークへ移行してから数ヶ月、今多くの会社がリモートワークの課題に直面しています。」

そう語るのは、一般社団法人日本経営心理士協会の代表理事であり、公認会計士・税理士でもある藤田先生。

藤田先生は、人材育成や営業、マーケティング、労務、採用など幅広い経営課題に対して、心理学を活用した経営改善を行う経営コンサルタント。

これまで1,000件以上の経営相談にのり、そこで得た知見を体系化させた心理学の専門資格「経営心理士」の講座もやられており、北海道から沖縄まで、日本全国から多くの経営者や士業の方が受講されておられます。最近ではZoomで海外の方も受講されています。

今回は、多数の経営相談に乗られてきた藤田先生に、コロナ禍の企業が抱えるリモートワークの課題について、心理学的にはどういった分析ができるか伺ってみました。

後半では、藤田先生が心理学を学ばれたキッカケや経営心理士講座の内容についてもご説明頂きます。

藤田 耕司 先生|一般社団法人日本経営心理士協会 代表理事

早稲田大学商学部卒業後、2004年に有限責任監査法人トーマツに入社入所。2011年退所。

2012年 藤田公認会計士税理士事務所(現FSG税理士事務所)創設。翌年にはFSGマネジメント株式会社を設立し、経営心理と会計のコンサルティングを手がける。

2015年、一般社団法人日本経営心理士協会を設立。全国から受講者が集まり、次世代を担う経営者や士業の育成に尽力。

著書「リーダーのための経営心理学」(日本経済新聞出版社)は、Amazon2部門で1位を獲得。台湾、韓国で翻訳版も出版している。また、「経営参謀としての士業戦略」(日本能率協会マネジメントセンター)も同じくAmazon2部門で1位を獲得し、発売から1か月で増刷が決まる。

一般社団法人日本経営心理士協会

HP:https://keiei-shinri.or.jp/

リモートワークで人が辞める・・・、心理学の観点からみる原因と対策

-コロナ前と比較して増えた経営者からの相談はありますか?

藤田先生:最近は、コロナ関連の相談と取材が殺到していて、特に今問題になっているのがリモートワークです。

コロナが拡大した2020年の4月、5月くらいから各社リモートワークを本格的に導入し始めましたが、最初の内は「あれ?これオフィスなくてもいいよね」と問題はありませんでした。しかし、7月半ばくらいから、急に相談が増え始めたんです。

主な相談内容は、人がどんどん辞めていく、上司と部下の関係がギクシャクし始めた、部下のモチベーションが下がった、などです。

現在は、多くの会社がこのようなリモートワークの課題を感じていて、心理学的な説明が欲しいと雑誌や各種メディアから取材の依頼を頂いています。

リモートワークの課題は非言語コミュニケーションが無くなること

-経営心理学の観点からは、そのような問題をどう分析されるのでしょうか。

藤田先生:問題のタイプにもよりますが、上司部下の関係がギクシャクする、人が辞める、という事象のそもそも原因は何かというところから考え始めます。

リモートワークになって、多くの場合はコミュニケーションやメールだけになっているケースがよく見受けられます。

まずコミュニケーションというのは、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションの2つがあります

言語コミュニケーションは、言葉によるコミュニケーション。

非言語コミュニケーションは、表情や雰囲気、話し方、口調、身振り手振り、姿勢などから伝わる言語以外のコミュニケーションのことです。

人はこの言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションの両方から相手の意図や気持ちを把握します。

ところが、チャットやメールでは非言語コミュニケーションがなく、言語コミュニケーションだけになります。ただ、言語コミュニケーションだけでは相手の真意を捉えるのは中々難しいです。

例えば、上司から「もうこれゆっくりやっていいから、よろしく」とチャットがきたとします。部下からすると、「もう、って何?諦められちゃっているのかな?呆れてるのかな?」というニュアンスで解釈する可能性はあり得ますよね。一方、上司としては何の気無しに「もう」と打っただけかもしれません。

そこに表情や口調など非言語コミュニケーションがあれば、「もう」という言葉の真意が容易に伝わりますが、非言語コミュニケーションがないとそれが通じないので、段々とコミュニケーションにすれ違いが生まれてきます。

悪い方に考えてしまう人はどんどん悪い方に考えてしまうので「もしかして上司は怒っているのかも。仕事が遅いと思われているのかも。もっと頑張らなきゃ、早く終わらせなきゃ」となって、焦りながら必死で仕事をしたりします。

そうするとオフィスで仕事をしていた時より早く仕事が終わる。これを見て、経営者や上司は「リモートワークにして業務効率が上がった」と判断するわけです。

部下からしたらたまったもんじゃないですよね。でも、上司の感情が読めないので疑心暗鬼のまま朝から晩まで仕事をし続けることになる。これが2ヶ月、3ヶ月と続いくとメンタルがやられてしまいます。

このような問題が今各所で起きているんです。

-なるほど、経営者や上司が業務効率が上がったと喜ぶ一方で、現場は疲弊している可能性があるわけですね。

藤田先生:はい。問題は上司や経営者が現場の実態を把握しづらいということです。

対面だと優しく指示をしてくれる人でも、チャットやメールになると文面がそっけなかったり冷たかったりする人はいると思いますが、これって上司の側は悪気はないですよね。

でも部下からすると「対面では良い人なのに、文面は何かそっけないな・・・。実は冷たい人なのかな。それとも怒っているのかな」と関係がギクシャクし始めるわけです。

課題解決のポイントは、対面のコミュニケーションと雑談をすること

-こうしたリモートワークのコミュニケーション課題を解決するにはどうしたらいいのでしょうか。

藤田先生:要は、非言語コミュニケーションが重要ということです。ですので、Zoomなどオンライン会議ツールを使って表情や口調を伝えながらコミュニケーションをとる機会を1日1回は設けた方がいいと思います。

そしてもう一つ重要なのが雑談をすることです

人は雑談を通じて、人間関係の距離を測っているんです。業務と全く関係ない雑談が盛り上がると「この人とずいぶん仲良くなれたかも」と感じた経験はありませんか?飲みに行って上司と仲が深まったということもよくあると思いますが、まさにこれは雑談の効果です。

業務の話だけでは、この人間関係の距離が分からなくなってしまいます。オンライン会議で話す機会を設けるということ自体は良いのですが、いわゆる業務の内容だけを話すだけでは従業員の孤独感を解消するには物足りないと思います。

経営心理士講座をはじめた原体験は、大学時代の友達作り!?

-少し話は変わりますが、藤田先生が心理学を学び始めたキッカケは何だったのですか?

藤田先生:大学受験時代に記憶のメカニズムを勉強したら、劇的に成績が伸び、第一志望よりも上の大学に合格できた経験から、「脳や心など人間の仕組みを知っている人が勝つ」と確信しました。そこで、大学に入ってから心の仕組みを勉強しようと思ったんです。

実は私は高校3年間あまり友達がいませんでした。クラスでも浮いた存在で、寂しくて仕方なかった。だから、大学ではもうそんな思いするのは嫌だと思い、藁にもすがる思いで心理学を勉強したんです。

そして、学んだ内容を友達との会話で試してみると、友達の反応が目に見えて変わりました。そこから「心理学って面白い!」と思ってひたすらインプットとアウトプットを繰り返すうちに、意識しなくても自然と心理学に基づいたコミュニケーションができるようになりました。

そしたら、まあ友達が増えて。笑 弁当を食べる相手がいなくてずっと一人で食べていた高校時代の私がみたらびっくりですよ。

-実体験で心理学の凄さを感じたんですね。そこから、どのように現在の経営心理学に結びついていったのですか?

藤田先生:会計士に合格し、監査法人に入ってから、すぐやろうと決めてたことがありました。それが、経営者交流会を主催することでした。

六本木ヒルズの会員制バーの会員権を持っている社長と仲良くなったのがキッカケで、そこを貸し切って年に4回位のペースで経営者交流会を開催したんです。そうすると、経営者間で「六本木ヒルズで経営者交流会をやっている会計士がいる」という噂が広まり、色々な社長が参加して下さるようになりました。

仲良くなった社長にはご飯に連れて行ってもらったりしていたのですが、その時にポロっと経営のことも相談されるんです。

当時の私は経営のことは分からないですが、心理学は詳しかったのでその相談の解決に繋がる心理学の話をすると、社長が「そういうことだったのか!」とすごく喜んでくれました。

そうして、色々な社長の相談に乗っている内に「業種や規模は違えど、社長の悩みはどれも似ている」ということに気付き、その悩みの解決に繋がる心理学の知識と実際の解決事例をメモしていきました。そのメモの内容が今の経営心理士講座のベースになっています。

-リアルな社長の悩みが基になっているんですね。聞く側の納得度も変わりそうです。

藤田先生:はい。経営心理士講座の一番の売りは、事例の多さと悩みのリアルさといっても良いと思います。

講座受講後に部下との関係性が改善、売上も従業員数も倍増した

-経営心理士講座の受講前後で経営者の意識が大きく変わった事例があれば、教えてください。

藤田先生:毎週のように何十個もそのようなエピソードが生まれているので、本当に山ほどありますよ。

よく聞くのは、これまでやれと言っても動かなかった部下が自発的に動くようになってくれた、という話です。

要は、部下との接し方を変えたら部下が自分から動くようになってくれたということです。

人を動かすためには「何を言うか」という言葉の要素と「誰が言うか」という信頼の要素と2つがあります

多くの経営者は「どう言ったら部下は動くのかな」というように、言葉の要素ばかり考えてしまっています。

ですが、同じ言葉でも「誰が言うか」で言葉の持つ力は全然違ってくるんです。相手から信頼を得ていないと言葉を発しても、その言葉が人を動かすだけの力を持っていないので、人は動いてくれません。

この「誰が言うか」という信頼の要素は、普段の発言、行動、態度、振る舞いといった在り方から形成されます。この在り方がきちんとできている人に人は信頼を覚えます。

ですので、部下に動いて欲しいと思ったらまずは普段の自分の在り方を振り返り、改めるべきところを改めていくことが必要だと伝えています。在り方を正し、信頼を得ると発する言葉に力が宿り、相手が動いてくれるようになってくるんです。

経営者にとって時間の使い方は非常に重要です。自分一人で営業して、資料作って、接客して、と時間を使っていると、自分が使える24時間365日の範囲内でしか会社は大きくなりません。

もっと会社を大きくしたいのであれば、人の時間を使う必要があります。そのために人を雇う。そして部下が積極的に動いてくれるように信頼関係を築くことは事業成長における柱といっても過言ではありません。

例えば、経営心理士講座を受講してから売上も従業員も倍増した会社の社長がいたのですが、その方は、元々部下を怒鳴って威圧するタイプの人でした。でも全然部下が動いてくれないということで経営心理士講座を受講されました。

それが今お伝えした内容を実践したことで部下との関係性が改善改善され、今では怒鳴らなくても部下が全部やってくれると感激して頂いていますよ。

-最後に、経営心理学の受講はどんな人におすすめでしょうか。

藤田先生:売上をあげたい、部下との関係を改善したい、組織を大きくしていきたい、という思いを持った経営者の方、そういった経営支援をしたいという士業の方やコンサルタントの方、コミュニケーションを学びたいビジネスパーソンなどにおすすめです。

経営心理士講座は「セミナーを受けることに意味はない。現場と日常を変えることに意味がある」をコンセプトにお伝えしています。

セミナーを受けても現場で使えなければ意味がありません。受講した後、実際に現場や日常が変わり、成果が出てはじめてセミナーを受けた意味があると思っています。ですので、経営心理士講座では実践的で成果が出る内容であることに徹底的にこだわっています。

そのため、本当に多くの受講生が、「現場や日常が変わった」という成果の報告をして下さっています。

現在オンライン受講にも対応しておりますので、興味を持ってくださった方はぜひ一度HPをご覧になってみてください。

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