インターネットを使ったスタートアップの起業を考えている方は多いと思います。
そんな時起業で最初に考えることの一つとしてオフィスをどこにするかがあるのではないでしょうか。
パソコン一台で起業できる時代に本社をどこに置くかはそれほど重要ではないと思えるかもしれません。
家賃の高い都市部よりも田舎で起業した方が競争相手も少なく有利だと思う人もいるのでは?
しかし、世界を見渡すとアメリカのシリコンバレーのようにインターネット企業が集積している地域もあります。
この記事では実際に上場しているインターネット企業約120社を調査し、その立地の傾向を考察しました。
調査概要
対象:2016年4月時点で国内の株式市場に上場しているインターネット企業の時価総額上位120社に未上場(当時)で時価総額1千億円を超えるLINE、メルカリ、DMMを加えた123社
※ここでは自社でインターネットを通したサービスやアプリの開発を行っている企業をインターネット企業として定義しています。SI企業は除く(富士通、野村総研など)。2016年4月以降買収などで上場廃止になった企業も含む。他にもインターネット企業の定義には曖昧な部分も多いですが独断で選定しました。
調査方法:企業のホームページから本社所在地を調べ集計しました。
都道府県別の立地状況
まずは都道府県別の立地状況を円グラフにまとめました。
それでは結果を見てみましょう。
株式公開している主要インターネット企業の94%が東京に集まっていることが分かります。
皆さんの想像通りだったでしょうか?
あまりの一極集中ぶりにびっくりした方が多いと思います。
調査対象の123社のうち東京都に本社を置いていたのはなんと116社もありました。
次に多かった大阪府が3社なのでは文字通り桁が違いました。
残りは千葉、神奈川、愛知、京都にそれぞれ一社ずつ分布していました。
ちなみに千葉に唯一本社を置いていたのはZOZOTOWNを運営していることで有名なスタートトゥデイという会社です。
それにしてもこれほどの東京への極端な立地は他の産業と比べても際立っているのではないでしょうか。
なぜベンチャー企業は東京に集まるのか?
ではなぜこれほどまでに東京にネット企業が集まっているのでしょうか。
その理由をまとめました。
情報が集まる
ネットは質によるサービスの差別化が難しいという特徴を持っています。
「先行者の利益」と呼ばれる、一番初めにそのサービスを始めた企業が全てのシェアを独占しやすい構造になっている為、いかに新しいアイデアを思いつくか重要になっています。
そのため、最新の情報をいち早くキャッチするために東京に本社を置く企業が多いと考えられます。
優秀な人材が集まる
アイデアがあっても、それをサービスや製品として落とし込むには実際にアイデアを形にできる優秀な人材が必要不可欠です。
IT企業の場合これは優秀なエンジニアになってきます。
従業員にとって生活に便利な東京にオフィスを置くことで、優れたエンジニアを確保しようという狙いがあると考えられます。
東京にいながら全国にサービスを届けることができる
ネットサービスはインターネットさえ繋がる場所であれば全国各地に均質なサービスを届けることができます。
東京で開発されたサービスやプロダクトは、瞬時に日本全国どころか世界中の人々が利用することができます。
その意味でわざわざ地方にオフィスを設ける誘因が薄いと考えられます。
都内23区の立地分布
次に東京を本社を置く企業についてもっと細かく見てみましょう。
1990年代後半からシリコンバレーをもじって「ビットバレー」と呼ばれた渋谷には沢山集まっているイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。
それでは以下東京23区での立地分布になります。対象の内23区外に本社を置く企業は存在しませんでした。
港区と渋谷区に本社を置く企業で全体の過半数を占めることがわかりました。
意外にも渋谷区よりも港区に本社を置く企業が多いことが分かります。
港区
港区といえば六本木!成功したベンチャー起業家が集まるイメージがありますが、データでも裏付けられました。
なんと37社もの企業が港区に本社を置いています。
2017年8月に上場したユーチューバー事務所のUUUMも原宿から六本木ヒルズに本社を移したそうです。
グーグルなど外資系IT企業もたくさん集まっています。
六本木だけでなく、赤坂や新橋などにもオフィスビルが多く、たくさんのIT企業が集まっています。
主な企業:メルカリ、グリー、エムスリーなど
渋谷区
渋谷区は主に渋谷駅周辺と恵比寿駅周辺に33のIT企業が立地しています。
GMOグループの企業が6社も上場していることが数を押し上げています。
ベンチャー企業の拠点としての歴史が長いためか、歴史が古い企業と新しい企業が混在し、規模も大きな会社がいくつもあります。
主な企業:サイバーエージェント、Dena、ミクシー
その他
交通至便な新宿区にはLINEやセプテーニ・ホールディングスが本社を構え、第3位にランクインしました。
伝統的な大企業の本社が軒を連ねる千代田区・中央区はそれぞれ第4位と第5位になりました。
千代田区・中央区の主な企業としてヤフー、リクルート、ガンホーなどがあります。
ユニークなものとして、世田谷区唯一のネット企業として楽天が二子玉川に本社を構えています。
まとめ
インターネット企業の立地の傾向について調査しまとめました。
結果を見ると、日本のインターネット企業の半分以上が東京の港区と渋谷区に集中しているという驚くべき結果が判明しました。
ただ、今回は上場企業のみを調査対象としているので、雨後の筍の如く出てくる未上場のベンチャー企業も含めるとまた違った姿が見えるかもしれません。
今ネット関係のベンチャー企業のを設立を考えている方に対する示唆として、東京で創業しなければその後の発展は難しいと言えるかもしれません。
地方で創業した方がライバルも少なく発展しやすいという考え方はこの業界には当てはまらない可能性が高いです。
同業他社と時には競合しながら、人材の活発な交流を通じ切磋琢磨しながら会社を発展させることが求められているのではないでしょうか。
ベンチャー企業にとって立地も大事ですが、資金繰りも考慮しなければならない重要な要素です。
設立初期のベンチャー企業が銀行からお金を借りるには高い利子を受け入れる必要があるかもしれません。
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