住宅ローン控除と繰り上げ返済、どちらを優先すべき?

住まい

マイホームの購入を検討されている方や、すでにローンの返済真っ最中の方の中には、「繰り上げ返済」と「住宅ローン控除」という言葉を聞いたことがある方は多いかと思います。

どちらも住宅ローンを返済する際に経済的にメリットのあるものですが、どちらを使うとお得なのか、どのように使うのが最善かを迷っているかたも多いでしょう。

そこで今回は、住宅ローン控除と繰り上げ返済のメリットを最大限受けられるようなお得な返済方法を解説していきます!

住宅ローン控除と繰り上げ返済はどっちを優先すべき?金利別にシミュレーション!

住宅ローン控除と繰り上げ返済をどのように行うべきかは、ローンにかかる金利によって変化します。

ここでは、35年ローン合計2000万円の借り入れを行った場合の、金利が1.5%のケースと、0.6%のケースでシミュレーションしていきます。

金利が1.5%の場合

ここでは、のちほど紹介しますが、住宅ローン控除の期間を踏まえて最初の10年間の繰り上げ返済と控除額のお得になる金額を比較していきます。

また、返済パターンとして、繰り上げ返済しない、10年間にわたって100万円ずつ繰り上げ返済する、10年後に1000万円を一気に繰り上げ返済するの3つを検討します。

①繰り上げ返済による利息の減少分②10年間の住宅ローン控除の減税効果①+②
繰り上げ返済しない0円約175万円約175万円
毎年100万円を10年間繰り上げ約371万円約116万円約487万円
10年後に1000万円を繰り上げ約271万円約175万円約448万円

金利が1.5%であれば、毎年100万円ずつを10年にわたって繰り上げしたほうがお得という事になります!

金利が0.6%の場合

では、金利が0.6%のケースを見てみましょう!

先ほどの3つの返済方法を比較すると以下の表のようになります。

①繰り上げ返済による利息の減少分②10年間の住宅ローン控除の減税効果①+②
繰り上げ返済しない0円約171万円約171万円
毎年100万円を10年間繰り上げ約137万円約115万円約252万円
10年後に1000万円を繰り上げ約102万円約171万円約273万円

金利が0.6%と低い場合には、10年後に一気に返済したほうがお得になる金額は大きくなるようです。

金利が高いケースではコツコツと、金利が低いのであれば住宅ローン控除を目いっぱい受けてから一気に返済、という方法がお得になるようです!

性格上早く返したい人は繰り上げ返済でも大丈夫!

返せるのにあえてゆっくり返すことに抵抗がある方もいらっしゃるかと思います。

ですから、なんとなく早く返したいという方は控除を度外視して早めに返すのも正しい方法だと思います。

お金を大事にするか、精神上の安定を大事にするかはひとそれぞれなので、必ず住宅ローン控除を受け取ってから繰り上げ返済をしなければならないというわけでは決してありません!

そもそも住宅ローン控除(減税)とは?どのくらいお得になる?

そもそも住宅ローン控除とはどんなもの?

住宅ローン控除とは、正式名称は「住宅借入金等特別控除」と呼ばれる制度です。

この住宅ローン控除というのは、あくまで賃貸ではなく住宅ローンを組んでマイホームを購入した人が受けることのできる税額控除の一種です。

その年の期末に残っている住宅ローンの残高に応じて、所得税から控除がなされ、お金が戻ってくるのです。

住宅ローン控除は、10年間という期間が設けられています。

住宅ローン控除を受けるとどのくらいお得になる?節税効果はどのくらい!?

住宅ローン控除の控除限度額は、1年目から10年目までの各年の期末時点において、

ローン残高×1%

として計算されます。

ただし、この計算式で40万円を超える場合には40万円分の控除に制限されるので注意が必要です。

つまり、1年目から10年目まで年末のローン残高が4000万円を超えている場合には、毎年満額の40万円分の所得税・住民税における控除が受けられることになりますね。

ここでモデルケースとして一つ考え方をご紹介します!

〜年収500万円で5000万円の住宅ローンを組んだ場合〜

  • 夫:年収500万円 妻:専業主婦のため年収はなし
  • 住宅ローン:5000万円

1年目の年末時の住宅ローン残高が5000万円のとき、残高の1%は50万円ですが、上限の規定により控除は40万円です。

東京都にお住まいと仮定すると、この世帯年収にかかる所得税や住民税はおよそ30万円です。

よって1年目だけでも所得税・住民税が30万円全額戻ってくるのです。

新築住宅で住宅ローン控除が適用される条件

  • 新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
  • この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であること。
  • 新築又は取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。
  • 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築又は取得のための一定の借入金又は債務があること。
  • 居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと。

中古住宅で住宅ローン控除が適用される条件

  • 建築後使用されたものであること。
  • 次のいずれかに該当する住宅であること。
  • 平成26年4月1日以後に取得した中古住宅で、上の2つのいずれにも該当しない一定のもののうち、その取得の日までに耐震改修を行うことについて申請をし、かつ、居住の用に供した日までにその耐震改修により家屋が耐震基準に適合することにつき証明がされたものであること
  • 取得の時に生計を一にしており、その取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係のある者などからの取得でないこと。
  • 贈与による取得でないこと。
  • 取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
  • この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であること。
  • 新築又は取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。
  • 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築又は取得のための一定の借入金又は債務があること。
  • 居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと。

住宅ローンの繰り上げ返済とは!?どんなメリットがあるの?

繰り上げ返済とはどんな仕組み!?

繰り上げ返済とは、住宅ローンの約定時に契約した金額よりも余分に返済をすることを意味します。

繰り上げ返済には二つやり方があり、一つ目は毎回の返済額を変えずに、残りの返済期間を短くする”期間短縮型”、二番目は、残りの返済期間を変えずに返済額を減らす”返済軽減型”があります。

日本ではよりメリットの大きな期間短縮型の繰り上げ返済が広く実施されています。

では、繰り上げ返済のメリットをご紹介します。

繰り上げ返済のメリット

  • 約定時に予想された利息より少ない支払いで済む!

利息は借りている金額に応じて変化するので、早く返していくことで借りている金額が減ると、利息もそれに伴って減額されます。

  • 働いている間にローンの完済が可能になることも!

40代の方が30年ローンなどを契約すると、働いている間に完済することはありませんが、繰り上げ返済をすることで、定年退職までにローンの完済をすることも可能です。

おわりに

今回は、住宅ローン控除と繰り上げ返済の上手な使い方をご紹介しました。

たかが控除と思っている人と、しっかりと勉強して有効活用する人では、同じマイホームを購入しても手元に残る金額は、大きく差がついてきます。

特にマイホームは一生に一度の大きな買い物なので、節約できる部分はしっかりと節約しておきましょう!

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