所得税と住民税の違いとは?税率・計算方法・控除額を確認

毎年かかってくる税金である「所得税」と「住民税」の違いを解説します!

 

多くの会社員の方の場合、自分自身で確定申告はせず、年末調整等で会社が対応してくれているために、実は、いまいち何が違うかわからないという人も多いのではないでしょうか?

 

どちらも天引きされる税金であることには変わりませんが、それぞれの計算方法や税率は大きく変わります。また、扶養控除や配偶者控除(配偶者特別控除)、勤労学生控除、といった各種控除で利用できる控除額も所得税と住民税で変わってくるのをご存知でしたでしょうか?

 

そこで今回は、所得税・住民税の具体的な違いを徹底的に解説したいと思います。

 

この1記事で税金に関する知識はかなり身につくと思いますので、ぜひ一度お目通し頂けると嬉しいです。どのような仕組みになっているのか、自分の支払っている税金はどれくらいなのかなど疑問を解消しましょう。

所得税は国税、住民税は地方税に分類される!

税金

そもそも、所得税とは、収入から所得控除を引いた金額に対して、一定の税率で課される税金のことであり、給料から差し引く形で会社が代わりに「源泉徴収」をしています。

また、住民税とは都道県民税と市町村民税の二つを合わせた総称のことで、前年度の年収から税金額が計算されます。

 

そして、税金には、国に収める「国税」と地方に収める「地方税」があり、「所得税」は国税に分類され、その他には、法人税、相続税、消費税、酒税などがあります。

「住民税」は地方税に分類され、その他には固定資産税などがあります。

 

国税として徴収されたお金は「国家予算」に組み込まれ、主に「福祉・医療」「教育」「公共事業」に使われ、「税務署」が徴収全般を取り仕切っています。

 

一方で、地方税は「地方自治体」が徴収全般を取り仕切っており、さらに「直接税」と「間接税」に分類されます。

地方税の主な使い道としては、国税と同様、福祉や公共事業などとなっています。

 

所得税と住民税の違いを解説!税率・所得控除・納付時期

それでは、所得税と住民税にはどのような違いがあるのかを詳しく見ていきましょう。

税率の違い・控除額の違い・納税時期や方法の違いの観点で説明していきます。

税率の違い(早見表付き)

所得税には、所得が高くなるにつれて税率の高くなる累進課税が採用されています。

そして、それに応じて控除額も大きくなります。

1月から12月までの所得から計算されます。

 

控除とは

税率をかける必要のある課税対象金額を求めるために、収入金額から差し引く金額のことをさします。

所得ー所得控除=課税所得

 

所得税の税率は以下のようになっています。

課税される所得金額 税率 控除額(円)
195万円以下 5% 0
195万円超え 330万円以下 10% 97,500
330万円超え 695万円以下 20% 427,500
695万円超え 900万円以下 23% 636,000
900万円超え 1800万円以下 33% 1,536,000
1800万円超え 4000万円以下 40% 2,796,000
4000万円超え 45% 4,796,000

 

見れば分かる通り、収入が増えれば増えるほど、税率が高くなり、負担が重くなることがわかります。

 

次に、住民税の税率はどのようになっているのでしょうか。

住民税は「均等割」と「所得割」の二つの合計が徴収されます。

 

まず、「均等割」とは全ての納税義務者から均等に税金を徴収するものです。

近年の標準税率は、市町村が3,500円、都道府県が1,500円となっており、ほぼ全ての自治体がこの標準税率を採用しています。

そして、この標準税率に加え、環境保全等のため、森林環境税として、都道府県税に300円から1200円程度を追加している自治体が多くなっています。

均等割では、非課税の条件を満たさない限り、全員が一定の金額を納税します。

 

そして、「所得割」とは、納税義務者の所得によって住民税が決まるものです。

標準税率は、市町村税が6%、都道府県税が4%となっていますが、各自治体が自由に設定することが可能です。

大半の自治体は上記の標準税率を採用していますが、一部の自治体は減税等を実施しています。

控除額の違い

また、所得税と住民税では控除額も異なります。

表でまとめてみましたので、下記を参考にしてみてください。

所得控除【人的控除】

所得控除 住民税 所得税
基礎控除 33万円 38万円
配偶者控除 33万円 38万円
老人配偶者控除 38万円 48万円
配偶者特別控除 限度額 33万円 限度額 38万円
一般の扶養控除 33万円 38万円
特定扶養控除 45万円 63万円
老人扶養控除 38万円 48万円
同居老親等扶養控除 45万円 58万円
障害者控除 26万円 27万円
特別障害者控除 30万円 40万円
同居特別障害者控除 53万円 75万円
寡婦・寡夫控除 26万円 27万円
特別寡婦控除 30万円 35万円
勤労学生控除 26万円 27万円

所得控除【物的控除】

所得控除 住民税 所得税
生命保険料控除(新制度) 合計控除限度額7万円 合計控除限度額12万円
【内訳】一般・介護医療・個人年金分 限度額 各2万8千円 限度額 各4万円
生命保険料控除(旧制度) 合計控除限度額7万円 合計控除限度額10万円
【内訳】一般・個人年金分 限度額 各3万5千円 限度額 各5万円
地震保険料控除 合計控除限度額2万5千円 合計控除限度額 5万円
【内訳】地震保険料分 限度額 2万5千円 限度額 5万円
【内訳】(旧)長期損害保険料分 限度額 1万円 限度額1万5千円

◯所得税控除額と同じもの
雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除

参照:「住民税と所得税の違い」練馬区公式ホームページ

 

納税時期・支払い方法の違い

会社員の場合には、給与から天引きされ、会社が代わりに個々人の「所得税」「住民税」を徴収し、納付します。

しかし、個人事業主の場合には、個人で納付する必要があります。

 

まず、所得税の納付期限は確定申告の提出期限と同じ3月15日になります。

3月15日が土日の場合には、次の月曜日が納付・提出期限です。

 

支払い方法としては、金融機関から行う方法、インターネットから行う方法、税務署もしくは金融機関で現金で支払う方法があります。

もし期限内に納付できなかった場合には、延滞税が発生してしまいますので、納付期限までに絶対に納付するよう注意しましょう。

 

住民税は、納付書で一括または4期分割で納付します。

まず、確定申告の際に、申告書の住民税に関する項目を記入します。

そして、納付額が決定したのち、市区町村から個人へ決定通知書・納付書が送付されますので、6月から一括または4期分割で納付することになります。

4期分割の場合には、第1期の納付期限が6月末、第2期が8月末、第3期が10月末、第4期が翌年の1月末になります。

控除額が違う理由は?住民税の控除後金額には注意!?

住まい

住民税は行政サービスの負担を分担する役割を持つ

所得税で控除を受けるために、会社員の方は会社に申告し、場合によっては確定申告で税務署に申告されていると思います。

そして、住民税は、所得税の控除とは別で申告する必要はなく、所得税の申告の際の情報が勝手に反映され、控除額が決まります。

 

しかし、先ほど表で見たように、同じ条件であっても、所得税の控除額と住民税の控除額に差がある場合があります。

これはなぜなのでしょうか?

 

これは、住民税が「行政サービスの負担を分け合う性質を持つ」ためです。

私たちの生活の中で欠かすことのできない、教育や福祉、消防活動やゴミ処理などは地方公共団体が行なっており、住民税はこういった所に使われているのです。

そのため、行政サービスの財源は住民税であり、住民がその負担を分かち合うものとされています。

 

したがって、住民税における控除額は、所得税における所得控除の種類と金額の範囲内とされています。

住民税控除後の課税対象額で地域サービスの利用料に差が出る!

地方公共団体のサービスには、住民税控除後の課税対象額が基準となっているものがあります。

つまり、住民税控除後の課税対象額が多い(所得が多い)場合には、地方公共団体が提供しているサービスを安く受けることができない、または無料で受けることができない場合があるのです。

 

例えば、就学援助や児童扶養手当は金額に大きな差があります。

品川区では、以下のように認証保育所保育料助成制度について定めています。

〈定額助成〉

認可保育園標準時間保育料 所得階層 助成月額
A、B (生活保護世帯、保護者の当年度分区市町村民税非課税世帯) 40,000円
C、D1~D3 (保護者の当年度分区市町村民税所得割額の合計が68,500円未満) 30,000円
D4~D11  (保護者の当年度分区市町村民税所得割額の合計が252,900円未満) 20,000円
D12~D17 (保護者の当年度分区市町村民税所得割額の合計が370,000円未満) 10,000円
D18以上  (保護者の当年度分区市町村民税所得割額の合計が370,000円以上) なし

 

また、児童の助成金等に限らず、障害者福祉サービスも所得割額によって負担が生じることがあります。

自分や家族が障害を抱えつつ社会で働こうと就労移行支援サービスを受けようとする場合でも、市町村民税所得割額が16万円以上だと月に3万円以上の負担金が生じてしまいます。

 

また、就労移行支援事業所での軽作業で工賃を得ても、負担額に届かない場合には「お金を払って仕事をする」という状態なってしまうケースもあります。

 

つまり、住民税の納付額が高すぎると、福祉サービスを十分に享受しづらくなってしまっているのです。

年収によっては、所得税0円でも住民税は課税される恐れがある

実は、所得税が0円で一切かかっていないにも関わらず、市町村から「住民税の納税通知書」が届くケースがあります。

 

パートやアルバイトをされている方は、年収が103万円以下だったら税金はかからないと、なんとなく知っている方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、実際には、以下の住民税が非課税になる条件のいずれも満たさない場合には、所得税が発生していない人にも住民税は発生してしまうのです。

 

住民税が非課税になる条件

①:生活保護を受けている方

②:寡婦、寡夫、障がい者、未成年者で前年度の所得が125万円以下(給与だけの場合なら給与収入204万4,000円未満)の方

③:前年度の所得が各市町村の条例で定める金額以下の方

 

所得税がかかっていないにも関わらず、住民税がかかってしまっている時は、「均等割」が課税されている場合です。

「均等割」は、生活保護基準の級地区分を参考に区分されており、地域ごとにその非課税基準は異なります。

 

そのため、給与所得控除額と、地域ごとの「均等割」非課税基準を照らし合わせることで、収入がいくら以下であれば住民税が課されないかを判断することができます。

住民税が課されない収入額は、おおよそ93〜100万円以下になります。

 

所得税と住民税の計算方法をわかりやすく解説!

電卓計算

所得税の計算

所得税は、課税所得に税率をかけることで求めることができます。

 

所得税
所得税=課税所得(=給与所得)×税率ー税額控除額

そして、課税所得は以下の式で求めることがことが可能です。

課税所得
課税所得=総支給額(基本給・残業代・手当)ー非課税の手当ー所得控除

 

非課税の手当とは、通勤手当などを指し、所得税が発生しません。

所得控除については、先ほど「控除額の違い」で記載した表を参考にしてください。

 

その中でも注目したいのは、「給与所得控除」であり、給与所得者に経費の代わりとして与えられています。

以下のように給与所得控除額が定められています。

給与などの収入額 給与所得控除額
162万5,000円以下 65万円
162万5,000円超〜180万円以下 収入金額 × 40%
180万円超〜360万円以下 収入金額 × 30% + 18万円
360万円超〜660万円以下 収入金額 × 20% + 54万円
660万円超〜1,000万円以下 収入金額 × 10% + 120万円
1,000万円超 220万円

 

 

住民税の計算

住民税の計算方法は少々複雑です。

先ほど述べたように、住民税は「均等割」と「所得割」で構成されています。

 

ラベル名
住民税=均等割額+所得割額

 

均等割額は住んでいる地域によって異なります。

県民税、市民税、環境保全費用などの各自治体が定めた一定額の合算が均等割額になります。

ご自身がお住いの自治体のホームページ等で調べてみてください。

 

次に、「所得割額」は以下の式で求められます。

所得割額
課税所得×住民税率(10%)ー調整控除=所得割額

 

多くの人は、市民税6%、県民税4%の合算10%が住民税の税率となります。

課税所得の求め方については、所得税の求め方を参考にしてみてください。

 

最後に調整控除ですが、これは所得税の住民税の控除額に差があることから発生する控除のことを指します。

先ほど表でみたように、所得控除よりも住民税の控除額の方が小さい条件が複数あり、この差額分の住民税の負担を軽減するために、調整控除というものが設けられています。

 

 

いかがでしたでしょうか。所得税と住民税の違いはお分かりになりましたでしょうか?

 

ちょっとした税金の知識を身につけておけば、知らず知らずの内に損していたなんていう事態も防げると思います。

 

本記事が皆さんの生活に役立つことを願っています。