これは主に会社員向けのニュースでしたが、アルバイトやパートの方には2018年以前からダブルワーク(副業)をしている人も多いと思います。
ダブルワークをしている場合に困るのが社会保険・雇用保険の問題で、どちらの会社で加入すべきか分かっていない人も多いと思います。
この記事を読めばそんな疑問が解決できるようになっています。
そもそも社会保険(厚生年金・健康保険) と雇用保険の加入要件は?
そもそも社会保険と雇用保険の加入要件をしっかり理解できていない人も多いと思います。
ここでは、よく聞くけど完全に理解できている人は少ないであろう、年収による社会保険の壁や雇用保険の加入要件について説明します。
社会保険の加入要件!106万の壁と130万の壁とは?
よく103万円の壁と混同されることが多いのですが、社会保険には106万円の壁と130万円の壁があります。
これからそれぞれの壁についての説明をしていきます。
106万円の壁
社会保険に入ると、給料から厚生年金、健康保険料が天引き(あらかじめ差し引かれる)されることになります。
一定の条件でアルバイトやパートをし、年収106万円以上を超えると、社会保険(厚生年金・健康保険)に加入しなければならなくなります。
これがよく聞く106万円の壁ということです。
一定の条件とは、具体的には以下の条件のどちらかを満たすことです。
- 1か月及び1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上ある・・・①
正社員の労働時間は1日8時間、1週間5日勤務40時間と想定されるので、40時間×4分の3より、1週間に30時間、1日6時間以上働いている労働者が社会保険の加入対象者となります。
- 従業員が501名以上の会社で以下の条件を全て満たす・・・②
条件は以下の4つです。
- 収入が月88,000円以上
- 雇用期間が1年以上
- 所定労働時間が週20時間以上
- 学生ではない
130万円の壁
下記の2つ両方を満たす場合、自分で国民年金と国民健康保険に加入しなければいけません。
- 上記②に当てはまらないところでパートやアルバイトをしている
- 年収が130万円をこえた
上記②に当てはまらないところで働いていても、年収130万円までなら扶養の範囲内となり社会保険料約36万円は支払わなくてもよいですが、年収が130万円を超えると一気に年間約36万円の負担がのしかかります。
これが130万円の壁の意味です。
損益分岐点を考えると、年収130万円を超えて自分で国民年金、国民健康保険料を支払うのならば、180万円以上働かないと家族の手取りは減ることになります。
したがって、180万円を超えないのであれば年収を130万円以内を抑えるのが良いでしょう。
雇用保険の加入要件
労働者の雇い主は、雇用保険加入の対象となる労働者を必ず雇用保険に加入させなければいけません。
失業者の生活の安定のために用意されている雇用保険ですが、加入するには以下の3つの全てを満たしている必要があります。
- 勤務開始時から最低31日間以上働く見込みがあること・・・①
これは31日間以上雇用が継続しないことが明確である場合を除いてすべてなので、ほとんどのケースがこれに該当します。
- 1週間あたり20時間以上働いていること・・・②
ここでの20時間とは週20時間以上働いたことがあるという実績ではなくて、契約時に決めた時間で判断されます。
- 学生ではないこと(例外あり)・・・③
原則として学生は雇用保険には加入できませんが、通信教育、夜間、定時制の学生は雇用保険の加入対象となります。
しかし、この場合はもちろん①、②の基準を満たしている必要があります。
また、卒業見込み証明書を有する学生であって、卒業前に就職し、卒業後も同一の事業所で勤務することが予定され、一般労働者と同様の条件で勤務し得ると認められる場合には、雇用保険の加入対象者となります。
これは具体的例を挙げると、内定を貰った学生が卒業前から内定先で働く場合が考えられます。
学生の場合には、例外を含めて自分が雇用保険の加入対象者になり得るかどうかを確認すべきでしょう。
ダブルワークの社会保険加入手続きは、2社で行う!注意点は?
ここでは、ダブルワークしている場合の社会保険加入について、場合分けをして疑問を解決していきます。
申請は2社、ただし健康保険証はいずれか1社を選択
ダブルワークでいずれの会社でも適用要件を満たす場合には、両方の会社で申請を行う必要があります。
しかし、健康保険証はいずれか1社のものを選択することには注意をしましょう。
手続きはの詳細は以下のようになります。
- 提出期限:要件を満たした日の翌日から10日以内
- 届出書名:健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・2以上事業所勤務届
- 提出先:選択事業所(後で記載)欄に記入した勤務先を管轄する年金事務所
この他にも、新たに被保険者(所定の保険給付を受ける人)となる人は、被保険者資格取得届を提出する必要があります。
健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・2以上事業所勤務届と被保険者資格取得届は日本年金機構からダウンロードすることができます。
また、すでに全国健康保険協会の被保険者である人は、健康保険被保険者証を提出する必要があります。
届出書には、メインとなる事業所を選択事業所欄に記入し、それ以外の事業所を非選択事業所欄に記入します。
届出をすると、健康保険証が選択事業所から発行されます。
各勤務先の収入が106万円未満、合算106万円以上の場合は?
各勤務先の収入が106万円未満の場合は、合算で加入条件となる106万円以上であったとしても社会保険に加入することはできません。
したがって、社会保険の加入義務もありません。
どちらも加入要件に満たない、または1ヶ所のみ満たす場合は?
どちらも加入要件を満たさない場合にも、社会保険に加入することはできません。
1か所のみで満たす場合には、満たす会社のみで社会保険に加入します。
手続きは1か所のみで働いている場合と同様です。
ダブルワークの雇用保険加入は1社のみ!どちらを選べばいい?
ダブルワークで両方の会社の雇用保険加入の資格を得ていても、雇用保険は1社のみしか加入することはできません。
この場合には、主たる賃金を受け取る会社(給料が多い方の会社)において雇用保険に加入することになります。
給与が多いほうの会社の雇用保険に加入したほうが良い理由は、後の失業保険等も考慮するとそちらの方が都合がよいからです。
雇用保険に加入していない方の会社には別の会社で雇用保険に加入していることを伝えましょう。
もし伝えなければ2重で加入することになってしまいます。
パート・バイトの掛け持ちや副業では、税金にも注意!
2箇所以上から給与収入があり掛け持ちでパート・アルバイトをしている場合にも、1箇所でしか年末調整はできません。
入社したときに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出した勤務先で年末調整を行います。
また、パートやアルバイトで年末調整をしていない方の給料、会社員の副業などが20万円を超える場合には確定申告の必要があることにも注意しましょう。
ダブルワークOKかどうかは会社によって異なる
最近では副業が認められてきていますが、ダブルワークを禁止している会社は多いです。
しかし、それはあくまでも会社の就業規則に定められているというだけであり、就業規則に法的拘束力はありません。
したがって、基本的にはダブルワークをするかどうかは個人に委ねられているということです。
ただ、中には就業規則が効力を発揮する副業もあるので下で2つ例を挙げます。
- 勤め先の会社と同業(競合)他社での勤務
これは会社に損害を与えかねない行動です。
- 1日の半分以上を本業とは別の仕事に費やしている
これは本業に対する悪影響が大きいと考えられます。
上記のようなダブルワークの場合には、就業規定が効力を発揮し会社から解雇される場合もあり、実際に裁判所が解雇は妥当だとする判決を出した例もあります。
このように解雇が妥当かどうかは本業に対する影響力、会社に損害を与えているかという基準が重要になっているのです。
上記では裁判にまで至ったケースがあると書きましたが、実際には裁判にまで発展するケースは非常に珍しく、多くの場合には和解で終わります。
申し出ることで後で揉めるのを避けようとする手もありますが、そもそも申し出の義務はありません。
社会保険と雇用保険の加入条件を理解しておこう
社会保険は2社とも加入要件を満たす場合には両社で加入する必要があります。
両社の年収を合算してやっと106万円をこえる場合には社会保険に加入する必要はありません。
雇用保険はダブルワークの場合でも1社のみしか加入することができないので、受け取っている給与が多い方の会社で加入するようにしましょう。
また、ダブルワークの場合にはどちらかの会社で年末調整をしてもらい、税金に注意しましょう。
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