マイホームを購入すると必ず火災保険に加入しますよね。
内閣府の調査によると、火災保険の加入率は82%と高い割合です。
しかし、自身が加入している火災保険が高い方なのか、安い方なのかを理解している人は少ないと思います。
日々の生活で色々な出費があり、保険料の支払いも馬鹿にはできません。
「火災保険に入らなきゃいけないけど、どれくらいの補償でどれくらいの保険料がちょうど良いんだろ?」
「火災保険をもう少し安くしたいけど何か方法はないかな?」
そんな風に思われる方もいると思います。
今回は、一戸建てとマンションにおける火災保険の相場と火災保険を節約する方法をご紹介します!
住宅購入を検討している方から、現在加入している火災保険の料金を見直したい方に役に立つ内容になっています。ぜひ最後までご覧ください。
持ち家ではなく、賃貸にお住まいの方は、以下の記事をご覧ください。
そもそも火災保険料ってどうやって決まってる?
保険料は大きく分けて6つの項目によって決められています。
1.建物の種類・構造
火災保険料金を決める建物の構造は「M構造・T構造・H構造」に分けられます。
以上の構造の違いは次の章で詳しく解説するので、ご自身の家はどの構造に当てはまるのかをそちらを参照してご確認してください。
2.床面積
床面積が広くなれば補償の範囲も広がるので、保険料が高くなります。
参考までに「2018年度ふらっと35利用者調査」によると、住宅形態別の住宅面積は以下の通りとなっています。
住宅形態 | 全国平均 | 首都圏 | 近畿 | 東海 | その他 |
注文住宅 | 126.8 | 125.3 | 127.5 | 128.1 | 127 |
建売住宅 | 100 | 97.4 | 102.3 | 105.5 | 106.4 |
新築マンション | 68.3 | 64.4 | 70.7 | 73.4 | 76 |
中古戸建て | 111.7 | 103.3 | 109.3 | 122.5 | 122.1 |
中古マンション | 65.9 | 62.9 | 70.9 | 77.5 | 76 |
(単位:㎡)
床面積はエリアによって異なるので、都道府県別の平均を知りたい方は、国土交通省の「平成30年度 住宅経済関連データ:一住宅当たり延べ床面積の都道府県比較」が参考になります。
3.建築年月
建築年月が経つほど建物の耐火能力も下がるため、それに伴って保険料も高くなっていきます。
新築か中古かによって、火災保険料は変わります。
4.建築金額
建物の金額が高くなればなるほど保証する金額も高くなり、支払う保険料も高くなります。
5.補償範囲
火災保険では特約で多くの補償を付け足すことができます。
例えば、家具・家電製品を対象とした家財保険や、地震や津波を原因とする火災・損壊被害を対象とした地震保険は、火災保険の付随保険として契約することができます。
基本的な火災保険は、家事や落雷、風災(台風や大雪による被害)、雪災・ひょう災(雪やひょうによる災害)による損害をカバーしています。こちらは後ほど詳しく解説していきます。
6.保険期間
保険料は、契約する保険期間が長くなればなるほど月割り換算の保険料が安くなります。
火災保険の保険期間は1年から最長10年の間で選ぶことが可能で、長期契約になるほど割引率が大きくなります。
保険料は大きく分けて以上の6つの構造から決まっています。
お住まいの住宅構造や必要な補償内容などによって、保険料は異なってくるんですね。
火災保険の相場を確認する前に!住宅構造をチェックしておこう
保険料を決める要因の一つに「建物の種類・構造」があり、種類は、「M構造・T構造・H構造」の3種類です。
ご自身の家の構造がどれに当てはまるのかは『重要事項の説明書[土地建物の売買・交換用]』の書類右下部分の「(2)建物」欄内の「構造」という欄に記載されています。
では、これらの構造はどのようなもので、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?
すぐにご自身の家の構造がわからない方は以下の説明を読みながらご自身の家がどの構造に当てはまるのか確認してみてください。
M構造(マンション・アパートなどの共同住宅)
「M構造」は「マンション・アパートなどの共同住宅」のことを意味します。
「マンション」の頭文字の「M」を用いて「M構造」と呼ばれています。
M構造は以下のいずれかに該当する建物を指します。
- 共同住宅の中で柱がコンクリート造・レンガ造である
- 耐火建築物である
を言います。
※共同住宅・・・1つの建物に1世帯の生活単位となる戸室が2つ以上あり、各戸室または建物に炊事設備があり、玄関、階段、廊下を共同とする建物のこと。
※耐火建築物・・・主要構造部(柱・はり・床・屋根・など)が耐火構造であり、延焼を抑えるために火災を遮る設備を持っている建物のこと。建築基準法で定められている。
T構造(鉄骨構造の住宅、鉄骨造の一戸建て、耐火建築物の一戸建て)
「T構造」とは「耐火構造」を意味します。
「耐火構造」の「耐火」の頭文字の「T」を用いて、「T構造」という名前になっています。
T構造に該当するのは以下の3つの条件のうちのどれかに当てはまるものです。
- マンション・アパートで、耐火建築物でないが、柱がコンクリート、レンガ、石、鉄骨で造られているもの
- 一戸建てで、柱がコンクリート、レンガ、石、鉄骨で造られているもの
- 一戸建てで、耐火建築物、準耐火建築、省令準耐火建築物に該当するもの
※準耐火建築物・・・木造でも、外壁の開口部などを防火戸などにするなどの耐火構造になっているもの。
H構造(一般的な木造戸建)
「H構造」は「非耐火構造」のことを意味していて、「非耐火」の頭文字の「H」を用いて「H構造」とされています。
H構造に該当する建物は、
- 木造建築で特別耐火対策をしていない家
が該当します。
どうでしょうか、ご自身の家がどの構造に当てはまるのか分かって頂けたでしょうか。
次は確認した家の構造を元に本題である火災保険の相場を確認していきます。
火災保険の相場はいくら?家の構造別金額まとめ
今回は、以下のケースで建物構造別で火災保険料がいくら変わってくるかをご紹介します。
- 居住地・・・東京都
- 築年数・・・新築
- 住宅面積・・・一戸建て:100平米、マンション:80平米
- 建築保険金額・・・2000万円
- 保険期間・・・10年
算出の参考にした火災保険は、価格ドットコムにおいて火災保険の総合、マンション部門、戸建部門全てにおいて第一位を獲得した楽天損保の「ホームアシスト」です。
念のため、火災保険の補償を簡単にご説明すると、以下の3パターンに大別できます。
- 建物のみに補償をつけるもの
- 家財のみに補償をつけるもの
- 建物・家財両方に補償をつけるもの
今回は、「建物のみに補償をつけるもの」の場合についてのみ火災保険の相場がどれくらいであるのかをまとめています。
家財保険をつけると、各家庭の生活環境や家財の設定資産額によって保険料が大きく変わってしまうためです。
以下に火災保険の具体的な補償内容を簡単に解説しますので、参考になさってください。
基本or特約 | 補償内容 | 詳細 |
基本補償 | 火災・落雷・破裂または爆発 | 自宅からの出火、隣家からのもらい火、落雷・ガス漏れによる爆発などの損害 |
風災・ひょう災・雪災 | 台風、暴風、豪雪、雪崩、ひょうによる損害 | |
特約 | 水災 | 洪水により床上浸水、土砂崩れによる家屋倒壊などの損害 |
水漏れ | 水漏れ・漏水による家財・家具の損害 | |
盗難 | 空き巣などの損害や家財の盗難などの損害 | |
不測かつ突発的な破損・汚損等 | 日常生活の突発的な損害(ドアにモノをぶつける、家具を倒してしまうなど) |
マンション・アパート(M構造)
マンション・アパートの火災保険は3〜6万円が相場です。
具体的なマンションの火災保険料の相場は以下の表の通りです。
補償内容 | 保険料 |
(1)火災、落雷、破裂、爆発、風災、雹災、雪災 | 2万5000円(月額208円) |
(1)の補償+水災 | 3万7200円(月額310円) |
(1)の補償+水災+水漏れ・盗難 | 5万5800円(月額465円) |
(1)の補償+水災+水漏れ・盗難+破損、汚損 | 6万3400円(月額528円) |
耐火建築物(T構造)
T構造(鉄筋構造の準耐火建築物)の火災保険の相場は5〜10万円でした。
具体的な料金は以下の通りです。
補償内容 | 保険料 |
(1)火災、落雷、破裂、爆発、風災、雹災、雪災 | 5万200円(月額418円) |
(1)の補償+水災 | 8万400円(月額670円) |
(1)の補償+水災+水漏れ・盗難 | 9万8400円(月額820円) |
(1)の補償+水災+水漏れ・盗難+破損、汚損 | 10万6400円(月額886円) |
木造戸建(H構造)
H構造(一般的な木造戸建)の火災保険の相場は11〜22万円でした。
補償内容 | 保険料 |
(1)火災、落雷、破裂、爆発、風災、雹災、雪災 | 10万9400円(月額911円) |
(1)の補償+水災 | 19万7800円(月額898円) |
(1)の補償+水災+水漏れ・盗難 | 21万3800円(月額1781円) |
(1)の補償+水災+水漏れ・盗難+破損、汚損 | 22万1800円(月額1848円) |
上記からわかる通り、補償内容によって金額が大きく変わってきてます。
特に「水災」の補償をつけると9万円近く保険料が上がります。
内閣府の世論調査によると、自宅周辺で水害が起きないとの理由から、約3割の家計が火災保険に水災の補償をつけていないようです。
しかし、最近では台風19号による多摩川の氾濫など、二子玉、田園調布エリアなどで多くの家庭が被害にあいました。
実は、住まい周辺が水害注意区域ながら、それを知らずにいる世帯も少なくありません。気になる方は、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で周辺の災害リスクを調べてみると良いと思いますよ。
火災保険料を節約する4つのコツ
ここでは、火災保険料を減らす4つのコツをご紹介します。
①補償内容を見直す
火災保険の保険料を決める要因の中で一番節約しやすいのが、補償内容を見直して、ご家庭のとって不要な補償を外すことです。
例えば、
- 近くに川や山も無く、高台で水害や土砂崩れなどの災害の被害を受けにくいから水災の補償を無くす
- あまり高価な家財を使わず、リーズナブルな家具を定期的に購入しているので、家財特約を外す
などの例が挙げられます。
特に水災の保険は以上でも指摘した通り、一般的な一軒家であれば、約9万円、準耐火構造の家であっても約3万円多くの保険料がかかりますので、節約効果は高いといえるでしょう。
②無駄な特約を見直す
火災保険は地震保険をつけたり、水災や盗難等の補償をつけることができますが、これまでにご紹介したオプション以外にも様々な特約をつけることができます。
火災保険の特約に以下のようなものがあります。
- 施設賠償責任特約:建物の欠損などで他人に怪我をさせてしまった場合の補償
- 携行品損害特約:車などの身の回りの品の偶発的な事故の被害を補償
- 類焼損害特約:自身の家から出火して近隣の家に損害を与えた場合の補償
- 事故対応等家主費用特約:借家の場合に死亡事故を補償
- 事故再発防止等費用特約:事故再発防止のための費用を補償
火災保険の特約には以上のように様々な特約があります。
特約は補償の範囲を広げられるので、便利である一方で、特約をつけるに伴って当然保険料も上がってしまします。
そのため、特約が自身の生活の中で生じるリスクと照らし合わせて本当に必要なものか見直す必要があります。
③保険期間を長くする
保険期間は1年〜最長10年の間で選ぶことができます。
冒頭でも少し触れましたが、保険は保険期間を長くするほど、月割りで計算した時の保険料が安くなっていきます。
そのため、保険を他会社に変更したり、保険を途中で解約する予定などが無く、継続して長い期間特定の会社の火災保険に継続して加入するつもりであれば、保険期間を長くした方がお得です。
④自己負担額の設定料金をあげる
補償に自己負担額を設定すると保険料が安くなります。
しかし、自己負担額を増額すると、毎月支払う保険料は安くなりますが、その代わり、いざという時の手出しのお金が増えるので慎重に考える必要があります。
どういうことかというと、例えば、楽天銀行のホームアシストの場合、「風災・雹災・雪災」の自己負担額を「3万円から10万円」に増やしたとします。すると、保険料は「9000円」安くなります。
この時、「風災・雹災・雪災」が起きて、8万円の損害が発生したとします。
自己負担額が3万円の時は、8万円の損害に対して、3万円を自己負担、残る5万円を保険会社が保険金として提供してくれます。
一方、自己負担額が10万円だと損害総額8万円のうち全額を自己負担で支払わなければならず、保険会社から保険金は支払われません。
つまり、9000円保険料が安くなるだけで、もし災害で損害が生じた場合に自己負担で何万円も支出しなければいけなくなります。
目の前の保険料を下げるためだけに本当に自己負担額を設定しておくべきかどうか、最後にもう一度確認しておいた方が良いですね。
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