今までは週に2日程度パートとして働いていたけれど、お子さんも大きくなり、フルタイムで働こうか迷っている主婦の方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
「パートとフルタイムの税金や社保はどう違う?」
「フルタイムにしたら収入や保証って変わってくるの?」
「扶養から外れてしまうかもしれないけど大丈夫?」
このようなものがやはり悩みのタネになっているのではないでしょうか。
そこで、今回はパートとフルタイムの違いや、メリット・デメリット、もし扶養から外れてしまった場合について解説します。
扶養を考えると、働きたい分だけ働くことができないケースもあると思いますので、ぜひ本記事を参考にしてフルタイムにするか検討してみてください。
パートとフルタイムの違いとは?フルタイムは正社員と同じ?
まずは、「パート」と「フルタイム」の定義について知っておきましょう。
パートとは、「パートタイマー」や「パートタイム」の略称であり、労働法的には「短時間労働者(パートタイム労働者)」と呼ばれます。
これは「1週間の所定労働時間が、通常の労働者に比べて短い労働者」を意味しています。
一方で、フルタイムとは、勤めている会社で決められている1週間の労働時間が、同じ会社の正社員と同じ場合の労働者のことを指します。
つまり、「フルタイム=正社員」ではなく、フルタイムは雇用形態とは関係ないことになります。
例えば、正社員と同じ時間働くパートがいるとすれば、「フルタイムパート」と呼ばれることになります。
主婦がフルタイムパートで働くメリット・デメリット
では、主婦がフルタイムで働くメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
大きな違いは、フルタイムではあるけれど、正社員ではない点にあります。
メリット
最も大きなメリットは、社会保険に加入できることでしょう。
パートやアルバイトをメインにしている方からすると、デメリットとして捉えられがちな社会保険ですが、実は非常に手厚い保障となっています。
下記のいずれか条件を満たせば、正社員同様に「傷病手当」「出産手当金」「出産育児一時金」などが支給されます。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 勤務期間が1年以上見込まれること
- 月額賃金が8.8万円以上
- 学生以外
- 従業員501人以上の企業に勤務
また、正社員に比べ、パートの方が働き始めるハードルが低いことがあげられるでしょう。
一般的には、正社員とパートでは、持たされる仕事の責任の重さが違います。
パートの場合には、ノルマや会社の事情による転勤等もなく、基本的には働きたいときに働くことが可能です。
中には、パートやアルバイトなどで働き始め、そのまま自分のスキルを磨いていき、正社員として登用されるというケースもあります。
初めての業界や職種だけれど興味がある、というような場合には、パートで始めてみて、その後にフルタイムや正社員を目指してみるというのも一つの選択肢かもしれません。
デメリット
次に、フルタイムで働くことのデメリットをみてみましょう。
まずは、追加で税金や保険料が発生してしまうことがあげられます。
配偶者特別控除を差し引いた後の妻のパート収入が年収38万円以下となる場合は、所得税を課税されないという法律があります。
つまり、年収が103万円以下の場合には所得税がかからず、年収100万円以下であれば住民税もかからないのです。
また、もし103万円を超えてしまったとしても、130万円以下であれば所得税や住民税は発生しますが、社会保険料を負担する必要はありません。
しかし、もしフルタイムで働いた場合には、上記の収入をオーバーしてしまうケースが大半で、住民税や所得税がかかり、さらに社会保険料も支払う必要があります。
パートタイムを掛け持ちした時に税金・社会保険については以下をご覧ください。
フルタイムパートで夫の扶養から外れるとどうなる?扶養内パートと比べて手取りは増える?
夫の扶養内で働く場合
そもそも夫の扶養内で働く場合には、どれほどの収入を得ることが可能なのでしょうか。
先ほど述べたとおり、所得税や住民税がかからないのは、年収が103万円以下の場合です。
よって
103万円÷12ヵ月=85,833円
を月に稼ぐ金額の目安とすれば良いことになります。
時給1000円で考えたとしても、フルタイムで働くことは難しそうです。
夫の扶養から外れた場合
では、扶養から外れるケースを具体的に考えてみましょう。
時給1000円で1日8時間、週に5日、フルタイムで働くとします。
1,000円×8時間=8,000円(1日の収入)
8,000円×5日=40,000円(1週間の収入)
40,000円×4週間=16,0000円(1ヶ月の収入)
16,0000×12ヵ月=192,0000円(1年間の収入)
上記からわかるように、1年間の収入ははるかに130万円を超えています。
そのため、所得税や住民税、さらに社会保険料を負担する必要が出てきます。
一般的には、これらの所得税、住民税、社会保険料の支払いで20〜30万円程度がかかります。
つまり、130万円を少し超える程度の収入の場合には、103万円以下に抑えるよりも手取りが額が少なくなってしまう可能性が高いのです。
今回の例の場合には、年収が192万円ですので、103万円以下に抑えるよりも手取りがくは増えていますが、一般的には、おおよそ150万円以上が損をしなくなるラインだと言われていますので、注意してください。
フルタイムパートから正社員になるメリットはある?
では、フルタイムでパート・アルバイトとして働く状態から、正社員になることのメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
大きなものとしては、以下の4点があげられます。
①:年収が上がる
最も大きな点としては、年収が上がる可能性が高いことがあります。
具体的には、昇給、賞与(ボーナス)、住宅手当などがあるため、時間あたりの稼ぎが増加するためです。
②安定した雇用
パートタイム労働者は、雇用期間が決まっていることが多く、契約が更新されない場合もあります。
しかし、正社員は雇用期間が決まっておらず、雇用が安定しています。
雇用が安定していることで、住宅ローンが組みやすくなるなど、社会的信用力の増加に繋がります。
③退職金をもらえる
退職金は、基本的には正社員しか受け取ることができないケースが多いです。
ただし、退職金を支払うことは会社に義務付けられているものではなく、全ての会社で退職金を期待できるわけではない点に注意してください。
④年金を多くもらうことができる
正社員であれば、厚生年金に加入できるため、老後に支給される年金額が増えます。
厚生年金は、労働者だけでなく、その雇用者である会社も保険料を支払っているため、自分だけで負担する国民年金に比べて、より多くの保険料を収めているので、年金支給額が多いという仕組みになっています。
以上、パートとフルタイムの違いを解説してきました。
収入を増やして家計の助けにしたいという気持ちはあると思いますが、どれくらい働くとどれだけ手元にお金が残るのかを踏まえ、各世帯の状況(扶養人数や各種所得控除)などを加味して慎重に判断してください。
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