パート主婦でも退職金はもらえる?仕組みや支給条件を解説

くしゃくしゃにしたドル紙幣

「退職金は正社員の特権。パートの私がもらえるわけない・・・」

と思い込んでいる方は多いのではないでしょうか。

実は、パートの方でも退職金を受け取ることは可能です。

特に、正社員と同様の仕事内容や勤務時間をパートでこなしている方は退職金は是非とも欲しいですよね。

そこで今回は、パートの方はどのような場合に退職金をもらうことができるのか、どのくらいの金額をもらうことができるのかを解説したいと思います。

退職金の仕組み、実際に退職金をもらった際の税金についても説明していますので、是非参考にしてみてください。

パート主婦は退職金を受け取れる?条件は?

退職金に関する規定は企業ごとに定められている

そもそも、退職金の制度は国によって会社が義務化されているものではなく、各企業がそれぞれ定めているものになります。

そのため、退職金を受け取ることができるかどうかは、お勤めの会社の「就業規則」を確認する必要があります。

そして、「就業規則」の中の「退職金に関する規定」の部分に、退職金の受給条件の記載がありますので、まずはパートにも退職金が支払われるかどうかを確認してください。

パートやアルバイトには退職金を支払わないという旨の記載がある場合には受け取ることはできませんが、そのような記載がない場合には、条件を満たせばパートでも退職金を受け取ることができるということになります。

もし「就業規則」に退職金に関しての規定が見つからない、ご自身で判断できないというような場合には、直属の上司に直接確認してみてください。

高裁で正社員ではなくても退職金を出すべきという判決が!

制度上は退職金をもらうことができると言っても、やはり正社員以外の方が退職金をもらうことができるケースはやはりまだまだ多くはありません。

しかし、最近では高裁が「正社員ではなくとも退職金をもらう権利がある」という判決を下しました。

東京メトロ子会社の元契約社員4人が、駅構内の売店で同じ業務をしていた元社員と賃金差があったのは不当だとして、差額や退職金支給などを求める訴訟を起こしました。

そして、川神裁判長は、東京地裁判決を変更し、子会社に対し、退職金を含む約220万円を支払うように命じたのです。

これまでには、このような非正規雇用であっても退職金を支払うべきだとした判決は例がほとんどなく、波紋を呼びました。

この判決から言えることは、職務内容やその責任、労働時間などの要素を正社員と比較し、同等と考えられる場合には、正社員同様の待遇をする必要があるということでしょう。

正社員と比較して遜色ないような仕事をされているパートの方は、退職金の有無や現在の待遇について考えてみた方が良いかもしれません。

そもそも退職金を支給している企業の割合は?

各企業ごとに定められている退職金ですが、どれほどの割合の企業が退職金制度を導入しているのでしょうか。

平成30年度の東京都の「中小企業の賃金・退職金事情」によれば、「退職金制度あり」と回答した企業は71,3%、退職一時金のみを採用している企業は75.9%、退職一時金制度と退職年金制度を併用している企業が20.6%、退職年金制度のみを採用している企業が3.4%となっています。

このように大半の企業が導入している退職金制度ですが、会社はどこから、どのように退職金を準備しているのでしょうか。

大企業の場合には、独自のシステムで退職金を準備していることもありますが、多くの中小企業は「中小企業退職金共済制度」を使い、退職金を計画的に積み立てています。

これは、1959年に国の中小企業対策の一つとして制定された「中小企業退職金共済法」によるもので、36万7千カ所の事業所・343万人の従業員が加入しています。

中小企業退職金共済制度とは?

この中小企業退職金共済制度は、独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部(中退共)が運営しています。

まずは、事業主が中小企業退職金共済事業本部(中退共)と退職金共済契約を結び、毎月の掛金を金融機関に納付します。

これは、全額事業主の負担になります。

そして、もしその会社の従業員が退職した場合に、その従業員に中小企業退職金共済事業本部(中退共)から退職金が直接支払われることになります。

パートの退職金はいくら貰える?シミュレーションで算出

実は、掛け金は非課税で、パートやアルバイトなど短時間労働者は一般の従業員よりも低い特例掛金を用意するなどの特典もあります。

通常、掛金月額は5000円〜30000円までの16種類ですとなってします。

しかし、パートタイマーの場合には、2000円、3000円、4000円と加入しやすいものであり、これらを元に退職金が計算されます。

週2日勤務・3年勤続の場合

週に2日勤務で3年勤続、掛け金2000円で考えると

退職金の支給額:72,000円

が退職金の相場となります。

フルタイム勤務・10年勤続の場合

フルタイム勤務者の場合には、正社員と同じ5000円〜30000円の中で掛金額を選びます。

掛金5000円で考えると

退職金の支給額:632,800円

が退職金の相場となります。

フルタイム勤務者の場合には、掛け金の幅が大きく、また、退職理由が会社都合か自己都合かによっても金額が変わってきますので、詳細な金額を知りたい場合には直属の上司または担当者に聞いてみてください。

パートの退職金にかかる税金は?

実は、退職金にも税金がかかります。

退職金は正式には「退職所得」と呼ばれ、「給与所得」とは別のものとして扱われます。

ただし、退職金には「退職金控除」と呼ばれる控除があり、退職金から「退職所得控除額」を差し引いたものが課税対象となります。

そして、「退職所得控除額」の算出方法は以下です。

退職所得控除額の算出方法

勤続年数が20年以下の場合:400,000円×勤続年数

勤続年数が20年を超える場合:800万円+70万円(勤続年数ー20年)

パートタイム金の場合、基本的には退職金額を退職所得控除額が上回るケースが大半だと思います。

そのため、パートをされている方が退職金を受け取ったとしても、税金の支払いは発生しないことがほとんどです。

ただし、退職金の受け取りの際に、事前に会社に退職所得の需給に関する申告書」を提出しておくことを忘れないように注意してください。

この書類を提出しておけば、もし仮に退職金に税金がかかったとしても、源泉徴収されるため、確定申告の必要はありません。

もし提出を忘れてしまうと、20.42%の税率で税金が徴収されてしまいますので気をつけましょう。

今回ご紹介したようにパート主婦の方でも会社によっては、退職金を受け取れる可能性があります。せっかく働くのであれば、退職金があった方がモチベーションにも繋がりますし、家計の助けにもなりますね。

勤め先の退職金制度をご存知ない方はこの機会に確認してみてはいかがでしょうか?

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