再就職手当の受給条件とは?申請手続きや支給額の計算方法も解説

計算機

失業保険の給付を受けている期間中に再就職先が決まると、嬉しい気持ちの反面、最後まで給付を受けたかったなと思う人も多いと思います。

この記事にたどり着いた方は知っているかもしれませんが、実は給付される予定だった残りの手当の一部を就職祝い金(再就職手当)という形で受け取れるのです。

この記事では主に主婦に向けて、再就職手当を貰える条件、手続きの流れ、よくある質問についてわかりやすく説明していきます。

せっかくある制度をうまく活用するためにもこの記事で理解を深めましょう。

主婦でももらえる!再就職手当(就職祝い金)をわかりやすく解説!

ここでは、就職祝い金(再就職手当)とは何か、それができた背景について説明していきます。

再就職手当って何?パートでももらえるの?

再就職手当とは失業保険の給付を受けている期間中で早期に再就職が決まった場合に支給される手当のことです。

具体的な「早期」の基準とは、就職予定日の前日時点で失業保険の支給残日数(残っている支給日数)が全体の3分の1以上であることです。

しかし、再就職手当を支給されるのは上記の日数のほかにも一定の条件を満たしている必要があります。

この制度は基本的には正社員に向けた制度でありますが、パートでも一定の条件を満たしていれば支給できます。

具体的な支給条件については下で記述します。

再就職手当はいくら貰える?

再就職手当の総額は年齢や前職の給与額などによって変わってくるので一概に言うことはできませんが、平均的には日額6,000円×支給残日数×給付率(60%あるいは70%)のような計算式になります。

給付率は支給残日数が給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上、3分の2未満なら60%となります。

ここでは実際に、「給付日数180日、基本手当日額6,000円、支給残日数130日」の場合の再就職手当金額のシミュレーションをしてみます。

支給残日数は給付日数の3分の2以上なので、給付率は70%となり、支給総額は「6,000×130×0.7(70%)=546,000円」となります。

再就職手当という制度ができた背景は?

この手当ができた背景には、せっかく失業保険が貰えるのなら全額受け取りたいと考える人が多いことが挙げられます。

そのように考え故意に再就職までの期間を延ばそうとする人への対策として、早期に再就職が決まった場合にもまとまった金額が受け取れる制度ができたと思われます。

逆にこのような制度がある以上は使わなければ損になってしまうので、しっかり活用するようにしましょう。

再就職手当を貰える条件とは?パートでも貰えるの?

ここでは、上述した失業保険の支給残日数が3分の1以上あることのほかに満たさなければいけない条件について説明します。

就職祝い金は以下の全てを満たしていなければ受給することはできません。

  • 受給資格決定(求職の申し込み)の前から採用が決まっていた事業所ではない
  • 再就職手当の支給決定の日までに離職していない
  • 離職した前の事業所に再び就職(復職)したものではない、また、離職した前の事業所と資本・資金・人事・取引面で密接なかかわりがない事業所に就職した
  • 自営業を開始した場合を除いて雇用保険の被保険者となっている・・・①
  • 1年を超えて勤務することが確実である・・・②

→契約期間が1年以下の契約社員や派遣社員でも更新する見込みがあれば支給の対象になります。

  • 失業保険の受給手続きの後に7日間の待期期間を経て就職、又は事業を開始した

→待期期間とは失業保険が支給されない7日間の期間のことです。また、ハローワークに通う前から再就職が決まっていた場合にも受給できません。

  • 過去3年以内に再就職手当、または常用就職支度手当の支給を受けていない

→常用就職支度手当は様々な理由により就職が困難な人に対して常用雇用を促進するために支払われる手当のことです。

  • 正当な理由がない自己都合退職や懲戒解雇によって待機(手当が貰えない)期間がある人は、受給申請をしてから待機期間満了後の1か月間は、ハローワークや人材紹介会社の紹介によって就職している

→自己都合や懲戒解雇による退職の場合でも、規定の1か月を経過した後は就職の方法によらずして就職祝い金を貰うことができます。

パート主婦でも条件次第で再就職手当が貰える!

再就職手当の受け取りに雇用形態は問われないため、上記の条件を満たしていればパートでも再就職手当を貰うことは可能です。

しかし、パートでは上の条件の①雇用保険への加入②1年以上の勤務見込みというという点がネックになってきます。

1、雇用保険は①1週間当たり20時間以上働いている、②勤務開始から31日以上働く見込みがある、③学生ではないの3つを満たしていれば、会社は必ず雇用者を加入させなければいけないことになっています。

しかし、その中で①の基準はパート主婦には少し厳しいのではないかと思われます。

2、パート勤務の場合には正社員とは違って、あらかじめ雇用契約期間を決めることは多くないため、1年以上の勤務見込みを証明するためには再雇用先から書類に記載してもらう必要があるでしょう。

ここでは詳しくは解説しませんでしたが、下の記事ではパート主婦の雇用保険に関する内容を詳しく述べています。

よろしければご覧ください。

再就職手当を貰うまでの手続きってどんな流れ?申請方法を解説!

ここでは就職祝い金を貰うまでの手続きについて時系列で説明していきます。

再就職が決まったとき(勤務開始日以前)

再就職が決まったら、勤務開始日の前日までにハローワークに報告をします。

必要な書類

  • 雇用保険受給資格者証
  • 失業認定申告書
  • 採用証明書など

採用証明書はハローワークで求職申込みをした日に貰う「雇用保険受給資格者のしおり」の後ろの方についており、再就職先の事業所で記入をしてもらい、提出する必要があります。

しかし、実際に勤務してからでないと書いてくれない会社も存在するため、その場合にはハローワークの職員に相談しましょう。

再就職の報告をした際に、再就職手当受給の条件に当てはまる人には再就職手当支給申請書が渡されます。

再就職手当の申請手続き(勤務開始日以降)

必要な書類

  • 再就職手当支給申請書
  • 雇用保険受給資格者証

上述した再就職手当支給申請書は勤務開始日の翌日以降にしか提出できません。

また、提出期限は勤務開始日の翌日から1か月以内なので、再就職先に事業主欄を記入してもらい、忘れずに提出しましょう。

上の二つのほかにも人によっては必要な書類もあるので、再就職の報告をした日に職員に聞いて準備しておきましょう。

再就職手当支給申請書は郵送でも受け付けているので、ハローワークに行けない場合には郵送で送るようにしましょう。

再就職手当はいつ貰える?

再就職手当支給申請書を提出してから約1か月後に、実際に勤務しているかの確認がされます。

この確認の後に支給決定通知書という書類が届き、それからさらに1週間ほど経つと口座に入金されます。

再就職手当についての疑問点・注意点について解説!

パート・アルバイト・派遣社員でも貰えるの?

再就職手当は雇用形態を問わず、与えられた条件を満たしていれば受給できます

しかし上述した通り、再就職手当をパート・アルバイト・派遣社員が貰うのは「1年以上の勤務見込み」と「雇用保険への加入」という条件を満たすのが難しいという点で障壁があるでしょう。

再就職手当と似た制度で就業手当というものも存在しますが、これは再就職手当よりも受給金額が低いため、条件を満たせるのであれば再就職手当を考えた方が良いです。

ここで触れた就業手当については下記で詳しく説明します。

寿退社などの自己都合退職の場合にも貰えるの?

結論から言うと、自己都合退職の場合にも再就職手当は貰えます

しかし、自己都合退職した人が7日間の待期期間満了後の1か月以内で就職する場合のみは、ハローワーク、又はリクナビ、マイナビなどの厚生労働省の許可を受けた職業紹介業者の紹介による就職であるという、特別な制約が課されます。

ここでの「紹介」というのはハローワークの場合には職員に紹介状を書いてもらう、職業紹介業者の場合には証明書を発行をしてもらうという意味です。

ですが、自己都合退職の場合にも待期期間満了後1か月以降であれば、上記の制約なく、自己都合退職ではない場合と同様の条件で再就職手当の給付を受けられます。

ハローワーク経由の再就職じゃないと貰えないの?

上述した、自己都合退職の場合の待期期間満了後1か月以内を除いては、どのような方法による就職であっても受給条件を満たしていれば再就職手当を受け取ることができます。

復職の場合にも貰えるの?

就職祝い金を貰える条件とは?の項目で説明しましたが、以前働いていた会社への復職の場合には再就職手当を受給することはできません。

補足:就業手当・高年齢再就職給付金・就業促進定着手当とは?

再就職手当は貰えなくても、条件次第で就業手当が貰える!

就業手当とは失業手当の受給資格者が臨時的に非正規で就業した際に受け取れる手当のことです。

就業手当は以下の条件を全て満たしている人に支給されます。

  • 就業前日時点で失業手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上ある
  • 関連事業主を含めて、離職前に属していた事業主への復職ではない
  • 7日間の待期期間が経過してから就業または自営業を開始した
  • 自己都合退職の場合、7日間の待期期間終了後から1か月の間はハローワーク又は特定の職業紹介業者の紹介で就業している

就業手当受給のハードルは再就職手当受給のハードルよりも低いため、貰える金額は少なくなることには注意が必要です。

高齢者の再就職には高年齢再就職給付金が貰える!

高年齢再就職給付金とは失業手当を受給していた人が60歳以降に再就職して、再就職後の毎月の賃金が前職の賃金(過去6か月の賃金の総額÷180)の75%未満に低下した場合に支給される手給付金のことです。

高年齢再就職給付金は以下の条件を全て満たしている人に支給されます。

  • 雇用保険の加入期間が5年以上ある
  • 60歳以上65歳未満で再就職をした
  • 1年以上の勤務見込みがある
  • 再就職する前に失業手当を受給し、その受給期間内に再就職し、かつ支給残日数が100日以上ある
  • 再就職する前に再就職手当を受給していない

再就職前後の賃金が、前職の賃金より低い場合には就業促進定着手当が貰える!

就業促進定着手当とは、再就職後の賃金が前職の賃金より低い場合に貰える手当のことです。

就業促進定着手当は上記のほか、以下の条件を2つとも満たしている人に支給されます。

  • 再就職手当を受給している
  • 再就職先に雇用保険の被保険者として6か月以上雇用されている

→自営業で再就職手当を受給した場合には、就業促進定着手当は受けられません。

今回の記事を読んで再就職手当についての理解が深まったでしょうか?

再就職手当やそれに類似する手当がある以上はそれらを活用しないのはもったいないです。

受給条件に当てはまる人は、それらについての理解を深め、賢く活用するようにしましょう。

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