介護に関わる国の補助金まとめ!受給条件・申請方法・金額を解説

今や介護サービスを受けている人は500万人近くにも上るという、介護大国の日本。

今は大丈夫でも、将来的に両親を介護することになったり、さらには自分が介護される側になることは、可能性の低い話ではありません。

そして、介護をすることになろうが、されることになろうが、介護には何かとお金がかかるものです。

介護の際にもらえる補助金や助成金は、国からもらえるものから、企業やハローワークからもらえるものまで、多種多様な種類があります。

介護が始まってから補助金や助成金について調べるのは、何かと大変なので、今のうちに介護に使える補助金を確認しておきたいですね。

今回は、介護の際にもらえる補助金・手当の紹介と支給要件や申請方法、支給額を紹介します。是非最後までご覧ください。

介護で使える補助金・手当一覧!

介護の補助金の詳細に行く前に、どんなものがあるのか簡単に確認しておきましょう。

POINT!

  • 介護保険→様々なサービスが受けられる。要介護状態になったら全員必須!
  • 高額療養費制度→多額の医療費を払った人向け。医療費が返ってくるかも。
  • 高額サービス費制度→多額の介護費用を払った人向け。多額の還付金があることも
  • 高額医療・高額介護合算制度それでも医療費と介護費用が高い人向け。最終手段です。
  • 介護休業給付金→介護で会社を休むと、給料の7割弱保障される。在宅介護の人向け。
  • 家族介護慰労金介護サービスを利用せずに在宅介護している人が対象。年間10万円ほどもらえる。

介護保険の対象やサービス内容、認定・申請方法の解説

40歳から強制加入させられる介護保険は、要介護状態なったときに、施設に入所できたり、介護リフォームの補助などのサービスが受けられます。

要介護状態となったら、必須の制度です。

対象となるのはどんな人?年齢制限もあるので要確認

悔悟保険の被保険者には、40歳~64歳の「第2被保険者」と、65歳以上の「第1被保険者」の2種類があり、介護保険が適用される条件がそれぞれ異なります。また、40歳未満の方は介護保険が適用されません。

【介護保険の対象となる場合】

  • 0歳~40歳:適用されず
  • 40歳~64歳(第2号被保険者):加齢が原因で起こる16種の特定疾病になった場合
  • 65歳~(第1号被保険者):「要介護認定」や「要支援認定」を受けた場合

なお、第2号被保険者の条件である「加齢が原因で起こる16種の特定疾病」とは、以下の通りです。

【加齢が原因で起こる16種の特定疾病】

  • 末期がん
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 後縦靭帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗しょう症
  • 初老期における認知症(アルツハイマー病、脳血管性認知症等)
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症(ウェルナー症候群等)
  • 多系統萎縮症(シャイ・ドレーガー症候群等)
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患(脳出血、脳梗塞等)
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎等)
  • 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

どんなサービスが受けられる?介護リフォームの補助も!

介護保険のサービスは以下の通りです。

サービス名サービス内容
支援サービス
  • ケアプランの作成
  • 家族の相談の対応
居宅サービス
  • 買い物や調理などの家事支援
  • 訪問看護
  • 施設で行う日帰りのリハビリや訓練(通所型)
施設サービス
  • 特別養護老人ホーム(特養)に入居
  • 老人健康保健施設(老健)に入居
  • 介護療養型医療施設(療養病床)に入居
介護用具のレンタルサービス
  • 介護ベッドや車いす、ポータブルトイレなどのレンタル
介護リフォーム費用の補助
  • 手すり設置やバリアフリー化などのリフォーム費用を最大20万円まで補助。利用者はそのうち1割~3割を負担。

認定手続きの申請方法まとめ!

介護保険を受けるには、介護保険の対象者であると認められなければなりません。(要介護認定

では、要介護認定の認定申請の流れを紹介します。

①必要書類の提出

お住いの市区町村役場の介護保険窓口に行って、書類を提出します。必要書類は以下の4点です。

  • 要介護(要支援)認定申請書
  • 介護保険被保険者証(申請者本人が40歳~64歳ならば 健康保険証)
  • マイナンバーが確認できる書類
  • 顔写真付き身分証明書

要介護(要支援)認定申請書は窓口や、自治体のホームページから入手できます。

また、書類の提出時に訪問調査の日程を調整します。自分や家族のスケジュールを把握しておきましょう。

②訪問調査

市区町村の担当者やケアマネージャーが自宅に来て、家族構成や生活状況について調査します。

③要介護状態にあるかの判定

判定には1次判定と2次判定の2つがあります。

1次判定は訪問調査の結果をもとにコンピューターが分析・判定を行います。その結果が主治医に送られ、主治医が作成した意見書などの要素を総合的に判断して2次判定が行われます。

④要介護認定の通知

要介護認定がされると、認定証介護保険被保険者証が自宅に郵送で送られてきます。

郵送されるまでの期間は一定ではないですが、申請から1か月以内には判定と通知が行われるようです。

高額療養費制度の限度額や申請方法は?

保険を適用してもなお、医療費の自己負担額の負担が大きすぎる場合があります。そうなった場合は、この高額療養費制度により、所得により定められた限度額以上の支払いが免除されます。

高額な医療費を支払った人は要チェックです。

自己負担上限額はいくら?

高額療養費制度の自己負担上限額は、70歳未満の方と70歳以上の方で違います。

【70歳未満の自己負担上限額(2015年1月診療分から)】

 所得区分 自己負担限度額
①区分ア

  • 標準報酬月額83万円以上の方
  • 報酬月額81万円以上の方
 252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
②区分イ

  • 標準報酬月額53万円~79万円の方
  • 報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方
 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
③区分ウ

  • 標準報酬月額28万円~50万円の方
  • 報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方
80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
④区分エ

  • 標準報酬月額26万円以下の方
  • 報酬月額27万円未満の方
 57,600円
⑤区分オ

  • 被保険者が市区町村民税の非課税者等
 35,400円

【70歳以上の自己負担上限額(2018年8月診療分から)】

所得区分自己負担限度額
外来(個人ごと)外来・入院
(世帯ごと)
①現役並み所得者現役並みⅢ

  • 標準報酬月額 83万円以上
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% 
現役並みⅡ

  • 標準報酬月額 53万~79万円
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% 
現役並みⅠ

  • 標準報酬月額 28万~50万円
80,100円+(総医療費-267,000円)×1% 
② 一般所得者(①・③)以外の方18,000円
(年間上限14.4万円)
57,600円
低所得者住民税非課税世帯8,000円24,600円
住民税非課税世帯

  • 年金収入80万円以下など
15,000円

ともに全国健康保険協会ホームページより作成

自己負担限度額は細分化されているので、自分がどれに入るのか、入る可能性があるのかをしっかり確認しておきましょう。

また、

  • 入院中の食費や居住費
  • 患者の希望によってサービスを受ける差額ベッド代
  • 先進医療にかかる費用

は高額療養費制度の対象にはならないので、注意しましょう。

申請方法の流れを紹介!

高額療養費制度の申請方法は、事前申請事後申請の2通りがあります。

事後申請の場合だと、一時的に自分で高額な医療費を立て替えておく必要があるため、できることなら事前に申請したほうが良いでしょう。

事前申請をする場合

事前に申請をする場合には、加入している保険者から「限度額適用認定証」というものを受け取らなくてはなりません。

限度額適用認定証を申請する際には

  • 領収書
  • 保険証
  • 印鑑
  • 振込口座のわかるもの

の4点が必要です。

そして、医療機関の窓口に限度額適用認定証を提示することで、診察後、自己負担限度額のみの支払いをすることになります。

事後申告をする場合

事後申告をする場合は、一度自分で医療費を立て替えなくてはなりません。

医療費を支払った後、1か月の自己負担上限額を超えていた場合は、加入している保険者に申請しましょう。

申請する際には、こちらも

  • 領収書
  • 保険証
  • 印鑑
  • 振込口座のわかるもの

の4点が必要です。

加入している保険者によっては、自動で高額医療費の超過分が払い戻されるということもあるようです。

また、70歳以上の方は、手続きをしなくても自動的に窓口での支払いが自己負担限度額までになります。

ただ、70歳以上でも、所得区分が低所得者の場合は、「限度額適用認定・標準負担額減額認定証」が必要となりますので、注意しましょう。

高額介護サービス費制度の限度額や申請方法は?

高額療養費制度の介護保険版です。介護保険を適用しても自己負担額が大きい場合、限度額以上の支払いが免除されます。

こちらも高額な介護費用を支払った人、要チェックです。

自己負担上限額はいくら?

高額介護サービス費制度の自己負担上限額は以下の通りです。

所得の区分利用者負担上限額
現役並み所得者44,400円(世帯)
市区町村民税課税世帯44,400円(世帯)
市区町村民税非課税世帯
  • 合計所得金額と課税年金額の合計が年額80万円を超える人
24,600円(世帯)
  • 老齢福祉年金の受給者
  • 合計所得金額と課税年金額の合計が年額80万円以下の人
15,000円(個人)

24,600円(世帯)

生活保護受給者15,000円(個人)

「現役世代並みの所得者」というのは、課税所得145万円以上で、同一世帯内の第1号被保険者の年収が

  • 第1号被保険者が1人のみの場合:年収383万円以上
  • 第1号被保険者が2人以上の場合:年収520万円以上

の人を指します。

また、

  • 要介護度ごとに決められた利用限度額を超えた自己負担分
  • 住宅改修費の1割負担
  • 福祉用具購入費
  • 入所・入院(ショートステイ)の食費・居住費(滞在費)、差額ベッド代、日常生活費

などは、高額介護サービス費制度の対象にはならないので注意しましょう。

申請方法を紹介!

高額介護サービス費制度の申請方法はいたってシンプルです。

介護費が大きくなり、高額介護サービス費制度の対象となると、2~3か月以内にお住いの地方自治体から申請書が届きます。

申請書が届いたら、その申請書に必要事項を記入して、返送するだけです。

場合によっては介護費の領収書が必要になることもあるので、無くさないように保管しておきましょう。

高額医療・高額介護合算制度の自己負担限度額や申請の流れ

高額療養費制度と、高額介護サービス費制度の還付を受けてもなお、1年間に支払った医療費と介護費用の合計が一定額を超える場合は、超過分が払い戻しされます。

この制度は医療費と介護費用についての最終手段ですので、それらの費用がかさみそうな方は確認しておくことをお勧めします。

自己負担限度額はいくら?

高額医療・高額介護合算制度の自己負担上限額は、70歳未満と70歳以上で異なります。

【70歳未満の方(2015年8月診療分から)】

所得区分自己負担上限額
①区分ア

  • 標準報酬月額83万円以上の方
  • 報酬月額81万円以上の方
 212万円
②区分イ

  • 標準報酬月額53万~79万円の方
  • 報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方
 141万円
③区分ウ

  • 標準報酬月額28万~50万円の方
  • 報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方
67万円
④区分エ

  • 標準報酬月額26万円以下の方
  • 報酬月額27万円未満の方
 60万円
⑤区分オ

  • 被保険者が市区町村民税の非課税者等
 34万円

【70歳以上の方(2018年8月診療分から)】

所得区分自己負担限度額
①現役並み所得者現役並みⅢ

  • 標準報酬月額 83万円以上
212万円 
現役並みⅡ

  • 標準報酬月額 53万~79万円
141万円 
現役並みⅠ

  • 標準報酬月額 28万~50万円
67万円 
② 一般所得者(①・③)以外の方56万円
③低所得者住民税非課税世帯31万円
住民税非課税世帯

  • 年金収入80万円以下など
19万円

医療保険・介護保険のサービスを両方とも利用していて、自己負担の合計額が上の数値を超えると、その超過分が返ってきます。

申請の流れは?

高額医療・高額介護合算制度の申請には、自己負担限度額証明書が必要です。

自己負担限度額証明書は、お住まいの市区町村役場で交付を受けましょう。

そして、自己負担限度額証明書と、加入している保険者が指定する申請書に必要事項を記入して、保険者の窓口に提出しましょう。

なかなか複雑な制度ですので、介護保険の窓口などで相談することをお勧めします。

介護休業給付金の支給要件と支給金額、申請方法は?

介護休業を取ると、給料の7割近くが保障されるというありがたい制度です。

在宅介護をするという人は、絶対にチェックしておきましょう。

支給要件と支給額は?

介護休業給付金を受け取るためには、3つの条件があります。

  • 雇用保険受給資格者であること
  • 過去2年間で、雇用保険への加入期間が1年以上あること
  • 介護休業開始時、1年以上同じ事業主の元で勤務していること

以上の条件を満たしたうえで、障害により、2週間以上にわたって常時介護が必要な家族を介護するために休業すると、介護休業給付金が支給されます。
また、介護をする対象となる家族は以下の通りです。

【介護休業給付金の対象となる対象家族】

  • 配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)
  • 父母(養父母を含む)
  • 子(養子を含む)
  • 配偶者の父母(養父母を含む)
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

受給額のシミュレーション

介護休業給付金の支給額は

  • 休業開始時賃金日額×支給日数×67%

という式で求められます。

休業開始時賃金日額とは

休業開始時賃金日額は、原則として、介護休業開始前6ヵ月間の総支給額を180で割った額です。総支給額とは、保険料等が控除される前の額で、賞与は含みません。)

例えば、休業開始時賃金日額が1万円(額面約30万円)で、30日間介護休業した場合は、支給される介護休業給付金の額は以下のようになります。

支給額=休業開始時賃金日額×支給日数×67%

支給額=1万円×30日×67%

支給額201,000円

また、介護休業中に会社から給与をもらっていた場合は、介護休業給付金の額も減額されることがあります。

申請方法

介護休業給付金の申請は、基本的に事業者(会社)が行います。

従って、介護休業をする本人は特にすることはありませんが、以下の2点の書類を事業主に提出しなくてはなりません。

  • 住民票などの、介護対象者との続柄がわかるもの
  • 介護休業申出書

これらを受け取った事業者が、必要書類をハローワークに提出します。

介護休業給付金の支給が決定すると、介護休業給付支給決定通知書が届き、支給決定から約1週間程度で指定した口座に振り込まれます。

家族介護慰労金の支給要件と支給金額、申請方法を紹介!

介護サービスを利用しないで、一定の要件を満たして同居家族を介護している方に支給されます。

支給される条件はなかなか厳しいですが、家族の介護は絶対自分がしたいという方は、チェックしてみてください。

支給要件と支給額は?

家族介護慰労金の支給要件は以下の3点です。

  • 要介護4~5に認定されている要介護者を1年以上自宅で介護していること
  • 要介護者および介護する人と生計を共にする世帯全員が市区町村民税非課税であること
  • 過去1年間で介護保険サービスを利用していないこと((通算7日以内のショートステイなど一部例外あり)

また、自治体によっては、「市内に1年以上居住している」「1年以上入院していない」などの条件があるところもあるようです。

支給額は、これもお住いの地方自治体によって異なりますが、1年間10万円前後のところが多いです。

詳しい支給要件や支給金額は、お住いの自治体の問い合わせるかホームページをご覧ください。

申請方法

家族介護慰労金の申請方法は、こちらも自治体によって異なります。今回は世田谷区を例に紹介します。

  1. 各総合支所保健福祉課地域支援、または介護保険課保険給付係へ「家族介護慰労金支給申請書」を提出する
  2. 申請後、担当の総合支所保健福祉課の職員が介護の様子の実態を調査に来る
  3. 支給が決定すると「家族介護慰労金支給決定通知書」が送られてくる
  4. 支給決定から3か月~5か月後に、指定した口座に振り込まれる

多少の差はあれど、どの自治体も大方このような流れになります。

介護問題は今後日本において、さらに大きな問題となるであろうことです。

また、自分にとっても他人ごとではないですので、あらかじめ活用できる補助金を確認しておきましょう。

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