2019年にドイツ銀行が大型リストラ!破綻した場合の影響は?

東京

最近、ネット上でドイツ最大の民間銀行であるドイツ銀行が今年(2019中)に破綻し、リーマンショック規模の不況が再来するのではないかという噂が広がっています。

本当にドイツ銀行が倒産したら、世界同時不況が起こり、私たちの雇用や給与などにも影響します。

ドイツ銀行破綻は全く他人事ではありません!

今回はドイツ銀行の破綻が噂されるようになった理由から、破綻したらどうなるのか、をまとめました!

ドイツ銀行の破綻は私たち個人の力で止められるものではありませんが、今後破綻しそうかどうかをチェックし、破綻した時に備えるために今から少しでも情報を集めておきましょう!

そもそも噂のドイツ銀行やデリバティブ、CDSとは?

本記事冒頭でも述べましたが、ドイツ銀行はドイツ最大の民間銀行で、世界的にも有数の規模の銀行です。

特にCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を代表するデリバティブ商品の取り扱い残高は55兆6000億ユーロ、日本円で7500兆円超大規模です。

日本のGDPは約500兆円、ドイツのGDPは約400兆円なので、日本のGDPの約15倍、ドイツ銀行の本国ドイツの約19倍の量のデリバティブを取引しています!

一銀行が国家の十数倍もの金融商品を取引しているというのは感覚的にはわかりませんね。

これらのデリバティブ商品は世界中の金融機関や企業に売られていて、ドイツ銀行が破綻するともなれば、これらの商品が不良債権化し、被害は世界中に及んでしまいます。

デリバティブやCDSなどの用語を聞き慣れない方も多いと思うので、以下に説明を加えておきます。

デリバティブとは?

デリバティブは別名、金融派生商品と言います。

金融商品は株式や債券、その他先物商品など様々な種類のものがあります。

また、それらの金融商品がとるリスクの種類も様々です。

デリバティブはこれらの商品を組み合わせ、別の金融商品にしたものです。

とるリスクの違う金融商品を掛け合わせることで、リスクを分散させることができます。

このように、複数の金融商品を組み合わせてリスクを分散させた商品がデリバティブです。

CDS(クレジット・デフォルトスワップ)とは?

CDSは「Credit Default Swap(クレジット・デフォルト・スワップ)」の略です。

CDSは一種の保険のようなもので、保険の対象は国や企業、各個人の住宅ローンにまで及びます。

例えば、企業の社債を買ったとします。

企業が倒産するとこの社債の価値は無くなってしまいます。

そこで、定期的に一定の保険料を銀行に払うことで、保有している社債の親会社が倒産した時にその社債分の資産を銀行が補償し、支払ってくれるという機能を持つ金融商品を開発しました。

この金融商品がCDSです。

ドイツ銀行株価の下落が止まらない

まず、なぜドイツ銀行破綻の噂が活発になったのかを確認しましょう。

以前から、経営悪化収益率の悪さが指摘されていました。

また、ロシア資金のマネーロンダリング介入疑惑、住宅担保ローンの不正販売の罰金支払いや元社員の脱税騒ぎなど問題が相次いで明るみになってきています。

そんな中、株価は下がり続け、上場以来の最安値を更新し、2019年6月現在6ユーロまで下落しています。

現在の為替相場で計算すると、一株約730円台です。

世界最大規模の銀行の一つであるドイツ銀行の株価がこれほどまでに下落し、また、上昇の目処も立たないところから、ドイツ銀行破綻の噂が熱を帯びてきました。

ドイツ銀行の株価の推移は以下のグラフの通りです。

ドイツ銀行チャート

リーマンショックは2008年9月15日のリーマンプラザーズの経営破綻から始まりました。

以上のグラフで縦に点線が引かれているところに2008年9月26日と表示されていますね。

この時がリーマンブラザーズ破綻直後のドイツ銀行の株価で、その後すぐに急落していますね。

一時的に株価は反発したものの、反発後は下落を続け、株価は現在の6ユーロ台にまで落ち込んでいます。

以上のグラフからわかる通り、ドイツ銀行はリーマンショック前の株価は50ユーロを超えていて、100ドルを超えている時期もありました。

リーマンショック以前に比べて、現在の株価は10分の1ほどまでになってしまっています。

なぜドイツ銀行の株価は下がり続けてる?

ドイツ銀行の株価下落は10年ほど前から始まり、ここまで株価の下落が止まらない理由は1つや2つなどの簡単なものではありません。

ドイツ銀行の株価下落には多くの要因が絡んでいますが、本記事ではそれらの要因を出来るだけ多く取り上げました。

株価下落には大きく6つの要因があると考えられ、それらを以下にまとめました!

①巨額の保険金支払いや不良債権の処理

ドイツ銀行は自身が発行したCDS債の巨額の保険金支払いを行わなくてはいけませんでした。

ドイツ銀行はギリシャのCDS債も発行していました。

これはCDSの書いてから保険料を受け取る代わりに、ギリシャが経済破綻した際に、不良債権化したギリシャの国債額を支払うというものです。

ドイツ銀行は2015年7月にデフォルト(債務不履行)し、ギリシャの不良債権50兆円の処理を請け負いました。

国が債務不履行になるなんてそうそうあることではありません。

その上、ギリシャは仮にもEU加盟国の一国でした。

EU加盟国がデフォルトとなれば処理しなければならない債券が高額になることはもちろんのこと、その他の金融商品にも悪影響があったでしょう。

そんな厳しい中、多額の債務処理をしなければいけないとなるとドイツ銀行は相当厳しかったでしょうね。

ドイツのCDSの保険料支払いはこれだけに止まりません。

ドイツ銀王は自動車メーカーが車のリコールに対してもCDSを発行していました。

自動車メーカーが保険料を払う代わりに、リコールが生じた場合にリコール費用を補償するというものです。

ギリシャのデフォルトと同年の2015年11月、フォルクスワーゲンが二酸化炭素の排出量を不正していたことが明らかとなりました。

これにより、以上のようにドイツ銀行は1兆3000億円の保険料を支払わなければならなくなりました。

まさに泣きっ面に蜂ですね…

②筆頭株主が保有ドイツ銀行株を大量売却

2016年、ドイツ銀行の筆頭株主に中国の海航集団(HNAグループ)がなりました。

筆頭株主が中国系になったことで、ドイツ銀行の中国への進出が進み、不動産価格の状況が続く中国の地方の不動産にまでモーゲージ債を発行しているという噂が出ています。

しかし、筆頭株主が海航集団に変わっても不良債権の処理ん苦労し、事業の収益化に苦労しているようです。

その結果、経費削減のため、世界でもっとも投資銀行市場が発達しているアメリカから、ドイツ銀行の一番の強みであるという投資銀行部門を撤退させなければならない事態にもなりました。

そんな中、筆頭株主である海航集団はドイツ銀行株を売却しました

bloombergによると、海航集団のドイツ銀行株売却によって、議決権が9.9%から9.2%に下落したそうです。

株は需要と供給で価格が決まります。

そのため、売られる株が多ければ株価が下がります。

筆頭株主が議席数を減らすほどの株を売れば、当然株価も大きく下落します。

ドイツ銀行の株価下落の勢いは、この筆頭株主である海航集団の株式売却も少なからず関係しているでしょう。

モーゲージ債とは?

モーゲージ債住宅ローンを担保に発行された債券です。

価格の上昇が続く不動産を所有していれば、将来的に不動産を持っているだけで実質的に所有資産は増えます。

このことから、住宅ローンを組んで、不動産を購入し一定期間後、不動産価格が上がった時に不動産を売却すれば利益が生まれます。

つまり、不動産価格が上がり続ける状況では不動産を持っていればいるほど資産が増えるのです。

そのため、住宅ローンを組んで不動産を所有しさえすれば、資産が増えます。

なので、この住宅ローンを資産の担保としてローンの貸付をするという債券が生まれました。

それがモーゲージ債券です。

しかし、このモーゲージ債、不動産価格が下落し始めると高い確率で不良債権化してしまう可能性が高いです。

なぜなら、モーゲージ債の担保である住宅ローンは住宅価格の上昇が前提で組まれているからです。

モーゲージ債とサブプライムローン

アメリカの不動産バブル時、モーゲージ債の理論を使って、経済的信用度の低い人でも高いローン金利を支払えば住宅を購入できるようになりました。

なぜなら、不動産価格が上がり続ける不動産バブルの中では、無理やりローンを組んだとしても、不動産を持っているだけで、持っていない時よりも資産が増えるからです。

これがサブプライムローンです。

以上でも言ったように、モーゲージ債同様サブプライムローンも住宅ローン価格が上がらなくなれば、不良債権化する可能性が高いです。

ましてや、経済力が無く、ローンで購入した不動産を担保としてローンを組んだ人がローンの支払いに耐え続けることはできません。

そのため、このサブプライムローンが大量に不良債権化しサブプライムローン問題となりました。

そして、そのサブプライムローン問題がリーマンショックの引き金となったのです。

③ドイツ銀行発行のCDSのレーティングが格下げ

2019年6月アメリカの大手総合情報サービスを行なっているブルームバーグによると、格付会社のフィッチ・レーティングがドイツ銀行の長期発行体デフォルト格付け(IDR)を「BBB+」から「BBB」に引き下げました。

格付けを行なったフィッチ・レーティングの公式ホームページによると、長期発光体デフォルト格付け(IDR)はそれぞれの企業に付与された発行体信用格付け尺度のことで、その企業が業界内で相対的に倒産しそうかどうかを表すものです。

フィッチ・レーティングは発表資料で今回の格下げの理由について、「収益性改善とビジネスモデル安定の面で進ちょくが限定的であり、困難が続く状況を反映」したと説明しました。

格付けが下げられたと言っても、「BBB」の格付けがどれくらいの評価なのかいまいち良くわかりませんね。

そこで、フィッチ・レーティングの公式ホームページに格付けの基準が載っていたので、その内容を以下で説明します。

ドイツ銀行が「BBB+」から「BBB」に引き下げられた長期発行体デフォルト格付け(IDR)と呼ばれる格付けは9段階から成り、評価が高い順から「AAA」、「AA」、「A」、「BBB」、「BB」、「B」、「CCC」、「CC」、「C」で表されます。

これらの評価がどのようなものなのか以下に表でまとめました!

格付け格付けの内容
AAA

最も高い信用力。

デフォルト・リスクが最も低いと予想していることを示す。金銭債務の履行能力が極めて高い場合に付与される。

予見し得る事由がこの能力に悪影響を与える可能性は、非常に低いと考えられる。

AA

非常に高い信用力。デフォルト・リスクが非常に低いと予想していることを示す。

金銭債務の履行能力が非常に高いことを示している。

この能力が予見し得る事由によって著しく損なわれることはないと考えられる。

A

高い信用力

デフォルト・リスクが低いと予想していることを示す。

金銭債務の履行能力は高いと想定されるが、経営又は経済環境

BBB

良好な信用力。

デフォルト・リスクが現在は低いと予想していることを示す。

金銭債務の履行能力は概ね十分にあると考えられるが、経営又は経済環境の悪化がこの能力を損なう可能性がより高い。

BB

投機的。

特に経営又は経済環境が時間の経過と共に悪化した場合、デフォルト・リスクに対する脆弱性が高まることを示す。

ただし、債務履行を支える経営又は財務の柔軟性は認められる。

B

非常に投機的。

重大なデフォルト・リスクが存在するものの、債務履行に関する安全性が限定的ながら残っていることを示す。

現時点では、金銭債務が履行されているものの、継続的履行能力は、経営・経済環境の悪化に対し脆弱である。

CCC

 相当重大な信用リスク。

デフォルトが、現実の可能性として認められる。

CC

非常に高い水準の信用リスク。

一定のデフォルトが起こる蓋然性が高い。

C

極めて高い水準の信用リスク。

デフォルトが差し迫っている、若しくは、不可避である、又は、発行体による債務返済が一時停止状態にある。

格付け変更後のドイツ銀行の格付けは「BBB」でしたね。

それぞれの評価の中でさらに細かい評価をするために「BBB+」、「BBB」のように「+」や「-」をつけているようです。

今回の格付けの変更で「BBB+」の「+」が取れて、「BBB」にみたいです。

では、「BBB」はどれくらいの評価なのでしょうか?

以上の表によると、「BBB」は「良好な信用力。デフォルト・リスクが現在は低いと予想していることを示す。金銭債務の履行能力は概ね十分にあると考えられるが、経営又は経済環境の悪化がこの能力を損なう可能性がより高い。」とあります。

「良好な信用力。デフォルト・リスクが現在は低いと予想していることを示す。」とあり、ひとまずはすぐに倒産する訳では無いとの評価ですね。

しかし、気になるのが、評価内容の後半部分の説明に「金銭債務の履行能力は概ね十分にあると考えられるが、経営又は経済環境の悪化がこの能力を損なう可能性がより高い。」とあります。

世界的な大手金融機関であるドイツ銀行は倒産すれば世界経済に大きなマイナス影響を及ぼすので、社会的に経営の存続に責任があり、 簡単に倒産することは許されません。

そんな世界的規模の銀行が「経営又は経済環境の悪化がこの能力を損なう可能性がより高い。」と評価されています。

実際、以上でも説明したように、大幅なリストラや事業縮小を行わなければいけないほどドイツ銀行の経営は次第に厳しくなってきています。

また、不況は一定サイクルで起こるものです。

そのため、経済環境の悪化は避けられないものです。

それらを考慮すると、ドイツ銀行の債務履行能力は厳しいものだと言えますね。

ドイツ銀行の格付けがどのようなものなのか理解するためにも、その他の世界的に有名な金融機関の格付けはどうなっているのでしょうか?

以下の表にまとめました。

金融機関名格付け
モルガン・スタンレーA
モルガン・スタンレー・チェースAA
JP.モルガンAA
ゴールドマン・サックスA
シティ・グループA
バンク・オブ・アメリカA+
BNPパリバA+
クレディ・スイスA
UBSA+

表を見ると、世界的に有名な金融期間は全てA以上の評価ですね。

ドイツ銀行は他の世界的な金融機関よりも2ポイント以上格付けが低いことになります。

ドイツ銀行の経営が相対的に厳しいことがこのことからも分かりますね。

格付会社のフィッチ・レーティングの発表によると、ドイツ銀行の収益率の悪さが指摘され、「経営パフォーマンスの悪さが改善されず、そのパフォマンスの悪さによって資金調達が困難になると判断すれば、さらなる格付けの降格もあり得る」と言っています。

大幅な経費削減を行っているドイツ銀行ですが、まだ非効率な費用があるようです。

事業規模が大きすぎて、事業を縮小させたり、撤退するのも難しいようです。

株価が最安値を更新し、破綻が噂され、社会的信用を失いつつあるドイツ銀行が追加的に株式発行や社債の発行で資金調達をすることは困難になりつつあります。

経営の危うさが噂される企業の株を買ったり、その会社にお金を貸す人はいませんよね…

もしかしたら、ドイツ銀行の格付けの引き下げもそう遠いことではないかもしれません。

④FRB(米連邦準備制度理事会)のストレステストで不合格

ブルームバーグによると、2018年6月、ドイツ銀行の米部門がアメリカの中央銀行の意思決定機関であるFRB(米連邦準備制度理事会)のストレステスト(健全性審査)で内部管理の不備を指摘され、不合格となりました。

FRBの声明によると、ドイツ銀行の米部門は「資本計画の慣行に幅広く重大な不備」が見られたと指摘し、ドイツ銀のリスク管理機能やデータ能力、ストレス下での対応を予測する際の手法と想定の脆弱(ぜいじゃく)さを挙げました。

2018年のストレステスト第二弾で不合格となったのはドイツ銀行の米部門だけでした。

第一弾のストレステストは35行全ての銀行が深刻な不況を乗り越えられると判断されていました。

アメリカの中央銀行から警告されるともなれば、ドイツ銀行の経営難の深刻さが見受けられます。

しかし、直近の6月27日公表のストレス結果では、ドイツ銀行含めた18行全てが合格しました。

⑤数々の不正問題、課せられる巨額の罰金

世間からの信用がより一層重要な金融機関にとって、企業イメージが悪くなるニュースが出るのは大きな痛手です。

ドイツ銀行は経営難に加え、元社員の脱税疑惑やロシアのマネーロンダリングへの加担疑惑など、不正に関する話が次々と上がってきています。

リーマンショック以前、ドイツ銀行は以上で説明取り上げたリーマンショックの引き金となった米国でのモーゲージ証券(住宅ローン担保証券)の不正販売をしていました。

このモーゲージ証券の不正販売に対して、米司法省はドイツ銀行に72億ドル(約8500億円)の支払いを命じました

⑥ドイツ第二の銀行との統合が破談

ドイツ銀行がドイツ最大の銀行であると言いましたね。

ドイツ銀行の経営が危ぶまれる中、ドイツ第2のコメルツ銀行という銀行がドイツ銀行と統合しようと交渉していました。

ドイツ銀行としては、事業の縮小や大規模リストラによる経費削減をしても経営の建て直しがうまくいっていないので、ドイツ第二のコメルツ銀行と統合し、経営再建を目指すという方向性は妥当であろうとも考えられていました。

しかし、結局、その統合交渉は破談となり、ドイツ銀行は現在の苦しい状況からの突破口をまたひとつ失ってしまいました。

このことで、余計に経営再建が難しくなったと見られています。

経営危機を迎えた欧州最大のドイツ銀行のウォール街の現状

ブルームバーグで取り上げられていたウォール街のドイツ銀行の社員の様子などが興味深かったので、ドイツ銀行の現状を把握するために本記事でもその記事の内容を取り上げさせていただきます。

ブルームバーグの記事の見出しは「昼からビール、不在デスクにダンボール箱-ウォール街ドイツ銀行の日常」です。

この記事には、ウォール街中心部のドイツ銀行米国本社では、46階の幹部オフィスのデスクにダンボールが積み上げられ、階下のトレーディングフロアでは午前半ばまで空席で、コンピュータも作動していないという閑散としたオフィスの情景が描写されています。

また、社内の行員は上司の前で堂々とライバル銀行への転職活動にいそしみ、上司はそれを黙認、若手トレーダーは平日の昼間からオフィス近くのパズでビールを飲んでいるのを幹部が目撃するなど、内部社員でさえドイツ銀行の先行きに絶望している様子さえその記事からは見受けられました。

ドイツ銀行が破綻したらどうなる?

ドイツ銀行の破綻についてここまで見てきました。

では、ドイツ銀行が下落すると、具体的にどのようなことが起きるのでしょうか?

大まかな社会の動きをまとめたので、確認しましょう!

リーマンショック以上の世界同時不況

欧州最大の金融機関が破綻するともなれば、それだけで世界的に大きな悪影響があることは何となく予想できますね。

ドイツ銀行は7500兆円分のデリバティブ商品を扱っています。

このデリバティブ商品とは複数の金融商品を組み合わせた金融商品でしたね。

ドイツ銀行が倒産すれば、このドイツ本国のGDPの20倍近くのデリバティブ商品が不良債権化してしまう恐れがあります。

そうすると、ゴールドマンサックスやモルガン・スタンレーなど世界的に有名な銀行が大きなダメージを受けるだけでなく、世界中の銀行や企業が不良債権、つまり、損失を抱えることになります。

世界中の金融期間がダメージを受けると、リーマンショック時のように世界同時不況に陥ってしまいます。

7500兆円と日本のGDPの約15倍ものデリバティブが不良債権化するとなると世界的に経済的大ダメージを受けることは免れません。

リーマンショックの引き金ともなったサブプライムローンの残高は2007年のピーク時に1兆3000億円(約130兆円)でした。

リーマンショックの際はこのサブプライムローンを使ったデリバティブ商品が不良債権化しました。

当時のサブプライムローン残高と比較しても、ドイツ銀行の扱うデリバティブ商品の額が莫大であることはお分かり頂けるでしょう。

リーマンショックの再来、世界同時株安

実際にドイツ銀行が破綻すれば、リーマンショックの時のような世界同時株安が起こります。

影響はドイツ銀行の金融商品を保有している世界中の企業や金融機関だけではありません。

日本の金融機関がダメージを受けることで、日本中の企業が借り入れなどが難しくなり、経営が悪化します。

これは他の国でも同じことがおきます。

経営の悪化の予想とその実態は株価にも反省され、世界の株式はほぼ全て下落するでしょう。

円高ドル安と貿易赤字

世界的な不況が起きると、円高ドル安になります。

円高ドル安になると、日本の貿易は輸出が減り、輸入が増えます。

すると、貿易赤字となってしまいます。

この状態は日本の製品が売れず、儲からないだけでなく、日本製品などの売り上げ以上に海外のものを購入していることになります。

貿易赤字は家計で言えば、収入が少ないのに、多くの支出をしてしまっている状況なのです。

日本のモノが売れなければ、日本の企業の利益も減ってしまい、日本企業の経営は悪化してしまいます。

なぜ円高になるのか?

世界的に「円は安全な資産だ」という認識があります。

これは、日本の多面的な信用力が「円」という貨幣に反映されているからです。

そのため、世界的な不況や紛争など世界的なネガティブイベントが生じると、投資家は他の貨幣よりも安全である「円」を保有しようとします。

これにより、結果的に「円高」となります。

なぜ円高になると、貿易赤字になる?

120円 /ドルは、1ドル120円であることを表します。

120円 /ドルは100円 /ドルと比べて円安、100円 /ドルは120円 /ドルと比べて円高であると言います。

一般的に円高とは、ドルに対して円の価値が強く、逆に円安は円の価値が弱いことを言います。

円の価値を符号で表すと、次のようになります。

100円 /ドル > 120円 /ドル

では、具体的に、1200円で買えるドルの量を計算してみましょう。

円高の100円 /ドルの時、1200円で12ドル買うことができます。

次に、円安の120円 /ドルの時、1200円で10ドルしか買うことができません。

もう少し分かりやすく言うと、以上の場合、1200円で円高の時には12ドル分の商品を買えて、円安の時は10ドル分の商品しか買うことができないと言うことです。

つまり、円高の時の方が海外のものを安く買えるので、沢山買おうとして、輸入が増えます。

海外の人からしたら、逆のことが言えます。

円高の時は日本のものは割高に、円安の時は日本のものが割安になるので、円高の時はあまり日本のモノを買おうとしなくなります。

結果的に、円高の時は輸入が増え、輸出が減り、貿易赤字になります。

多くの失業者の発生と賃金の下落

世界同時株安が起きれば、企業の経営悪化が起きることは確認しましたね。

当然、企業の経営が悪化すれば、リストラや給料の削減が行われます。

実際にリーマンショックの際に給料が減ったという方も多いのではないでしょうか?

ドイツ銀行の再建は可能?

結論から言うと、ドイツ銀行の再建は大変厳しいと考えられます。

ドイツ銀行を再建するにしても、大手金融機関との統合か、ドイツ政府が大きく介入する必要があるかも知れません。

ドイツ銀行を再建するにしても再建までにドイツ銀行自身だけでなく、統合先の金融機関やドイツ政府に大きな負担があることは間違いないでしょう。

2018年8月、ドイツ銀行のクリスティアン・セービング最高経営責任者(CEO)はフランクフルトで行なった講演で、「欧州で銀行合併への圧力は著しく高まるだろう」と発言しました。

ドイツ銀行CEOのセービング氏の以上の発言から、「この規模の経済を追求する世の流れで、銀行が生き残るには銀行同士の経営統合が必須だ」という意図が読み取れます。

セービング氏の発言からも、経営難が噂されるドイツ銀行が生き残るには他の大手金融機関との統合が必要でしょう

以上で説明したように、コメルツ銀行との統合が破談となってしまったため、ドイツ銀行としても有力な大手金融機関との統合を望んでいるところでしょう。

世界的な規模を誇るドイツ銀行が破綻してしまったら、ドイツ経済だけでなく、世界にショックを与えてしまいます。

そのため、ドイツ政府も簡単にドイツ銀行を潰させるわけには行きません

しかし、ドイツはEUの中心国の経済大国として、デフォルトしたギリシャや財政難が続くイタリアの財政再建に対して厳しい要求などをしてきました。

その手前、ドイツ銀行が倒産しそうになったからと言って政府が救済してしまっていては、EU諸国にメンツがたちません。

このことから、ドイツのメルケル首相はドイツ銀行が潰れそうになっても、「公的資金の注入などで救済することはない」と発言しています。

一方で、最近ではドイツ銀行救済に向けた予防線なのか、メルケル首相は2019年6月28日29日に行われたEU首脳会議で財政に苦しむスペインやイタリアへの融資の決定をするなど態度が軟化してきています。

ドイツ銀行の経営危機の具合を知る手段としても、ドイツ政府の経済政策への態度は今後も注目です。

ドイツ銀行の破綻はいつ?ポイントは中国経済

本記事冒頭で、ドイツ銀行の2019年中の破綻があり得ることは触れましたね。

具体的にどうのような時にドイツ銀行が最も破綻しやすい状況なのかを理由と共に説明します。

題目にある通り、ポイントは中国経済です。

中国経済が減速したり、不況に陥ると、ドイツ銀行が破綻する可能性が高まります。

主な理由は2つあります。

  • ドイツ銀行の主要株主が中国企業である。
  • 中国経済が減速すれば、中国企業だけでなく、世界的に経済が減速する。

ドイツ銀行の筆頭株主は中国の海航集団(HNAグループ)であることは言いましたね。

筆頭株主が中国企業であることから、中国経済の減速、景気悪化は筆頭株主の経営を直撃します。

筆頭株主の経営が悪くなれば、経営危機にさらされるドイツ銀行を支えることができなくなるかもしれません。

中国の経済成長はめざましく、中国のGDPは世界2位となりました。

世界的に影響力のある規模にまでなった中国経済が減速すれば、世界経済も停滞してしまうかもしれません。

中国初の世界経済不況はドイツ銀行の経営悪化に拍車をかけます。

これをきっかけにドイツ銀行が破綻してしまうかも知れません。

以上のことから、ドイツ銀行の破綻を予測する上で、中国経済に注目しておくことおは重要でしょう。

ドイツ銀行の破綻に備えてできること

株などの投資資産を売却する

不況になれば、当然株をはじめとする資産の価格は下落します。

不況が来る前に売却しておくのが無難かも知れません。

金などの安全資産に切り替える

金は一般的に安全資産だと言われています。

なぜなら、中央銀行の裁量次第でいくらでも刷って増やせる通貨とは違い、金は産出量が急激に増えることはなく、金の稀少性が薄れる可能性は低く、金自体の価値が下がる可能性も低くなります。

また、他の投資家も金は安全資産であることは知っているため、景気が悪化すると金に資産を移します。

すると、需給の法則から、不況になると金の価格は上昇します。

不況に本格的に入る前に金に資産を変えるのも一つの選択肢です。

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