2019年上期(1月〜6月)の調剤薬局・ドラッグストアのM&A動向をお知らせします。
普段、皆さんの生活の身近にあるドラッグストアや調剤薬局。実は今、当業界の淘汰・再編・統合が加速しているのをご存知でしょうか。
今回はM&A仲介大手・ストライク提供データをもとに、業界独自のM&A事情を分析してみました。
日常で何気なく使っているドラッグストアや薬局も、視点を変えてみると面白い発見があるかもしれません。ぜひ最後までご覧ください。
2019年上期のドラッグストア・調剤薬局業界のM&A件数と金額
2019年上期の調剤薬局・ドラッグストアのM&A(買収・合併)動向をまとめます。
業界大手企業によるM&Aが加速!金額は前年同期比の3.9倍に
2019年上期の調剤薬局・ドラッグストアのM&Aは計11件でした。前年同期を7件上回り、上期としては2012年を上回り、過去最高(2008年以降、当初発表ベース)を更新する結果となっています。
11件の内訳は、ソフィアホールディングスが4件、ツルハホールディングスが2件、アインホールディングス、ウエルシアホールディングス、キリン堂ホールディングス、ココカラファイン、スギホールディングスがそれぞれ1件ずつとなっており、業界大手各社によるM&Aが進んでいることが分かります。
とくに健康医療事業をはじめインターネット・通信事業を手がけるソフィアホールディングスが2018年上期から積極的に医療分野のM&Aを加速させている点が特徴的です。
調剤薬局・ドラッグストア業界のM&Aの取引金額は、前年同期比3.9倍の17億3600万円に増加したものの、ピークであった2017年の146億円と比べると8分の1ほどにとどまる結果となっています。
上期の金額のトップは、ソフィアホールディングスが泉州薬局(大阪府岸和田市)を子会社化する案件で、約10億1000万円でした。ウエルシアホールディングスなど他の企業が金額を非公表としていることから、2位から4位までをソフィアホールディングが占めました。
業界首位が入れ替わり?迫る大型再編
現在、業界で特に話題となっているのが、ドラッグストア業界6位のスギホールディングスと同7位のココカラファインが経営統合に向けて協議を始めると発表した案件です。
経営統合が実現すると、両社合計の売上高は9000億円に迫り、業界首位のウエルシアホールディングスを上回る形になります。
また、ココカラファインは業界5位のマツモトキヨシとの統合の検討も進んでおり、下半期も業界再編の大きなうねりがありそうです。
調剤薬局・ドラッグストア業界のM&A事情
近年の調剤薬局・ドラッグストア業界のM&A事情を振り返ってみましょう。
出店数増大も企業数は低下
全国ドラッグストアの店舗数と企業数を比べると、2001年以降店舗数が右肩上がりで増える一方で、プレイヤー企業数は、2004年以降右肩下がりで下落しています。
プレイヤーが減りつつある中、各社がシェア拡大のためにM&Aによる出店数確保の動きが加速しています。
また、出店数増加に伴い、1店舗あたりの商圏が狭くなったことで、ドラッグストア各社は化粧品や食品販売による来店頻度アップを試みています。
シェア拡大に向けて今後も業界の淘汰・再編が続くか
業界では、薬剤師不足や大手各社による競争激化を背景に再編が続いています。
M&A仲介サービス大手・ストライクの金田取締役は、ドラッグストア業界の動向について、「大手同士の経営統合が検討されるなど、業界の再々編化が進んでいる」と分析。「今後は地方都市の地域一番企業などを巻き込んだ業界再編が続くだろう」と予測しています。
売上高上位企業によるM&Aに今後も注目
2019年上期はドラッグストア・調剤薬局業界だけではなく、全業種でM&A件数が高水準となりました。
とくにドラッグストア業界のM&Aは今後もしばらく活性化する見通しです。
下半期は業界中位の企業による経営統合により、業界首位が入れ替わる可能性も出てくきます。今後も調剤薬局・ドラッグストア各社の合併・買収のニュースに注目してみましょう。
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