退職金の平均相場はいくら?税金の計算方法などを解説!

札束を出す男性

退職金は、長きにわたって勤め上げたサラリーマンたちのご褒美として、また老後の大切な資金源として日本では大切にされてきた文化の一つです。

最近では、日本企業の伝統的な仕組みでもある終身雇用や年功序列という企業文化が見直されてきており、退職金のために1つの会社に勤め上げるというサラリーマンは少なくなってきたかもしれません。

 

しかし、老後には2000万円という金額が年金以外にも自分で用意しておく必要がある、というニュースがTwitterなどでもトレンド入りするなど、サラリーマンの老後の資産形成に関して関心が多く寄せられるようになりました。

今回は、退職金の相場がいったいいくらくらいなのかをご紹介するとともに、気になる税金の計算方法や税引き後の退職金はキャッシュとしてどのくらい残るのかをわかりやすく解説していきたいと思います。

 

退職金の平均はいくら?大企業&中小企業別に学歴や勤続年数ごとに解説!

では、さっそく気になる退職金の相場を調べていきましょう。

退職金の金額は会社都合か自己都合で大きく変わる!

退職といっても、「自分の意思で会社を辞めること」「会社の都合で退職を強いられること」では大きく扱いが変わります。

前者は、例えばヘッドハンティングされたために他の会社へ転職する場合や一念発起して起業するために退職する場合が該当し、後者であれば人件費削減のためにリストラされる場合などが考えられますね。

 

ここでは、読者の方にもわかりやすいように「定年によって会社を退職した場合」「自己都合によって会社を退職した場合」ではどのくらい退職金の金額が変わっていくのかを比較して記載していきます。

 

定年退職したときの退職金の平均相場はいくらになる!?

では、まずは定年退職をした場合にもらえる退職金の金額を見ていきましょう。

今回使用するのは、大企業の退職金データとしては中央労働委員会による賃金事情等総合調査(退職金・年金及び定年制事情調査)、中小企業に関しては東京都(産業労働局)による中小企業の賃金・退職金事情をもとに比較していきます!

 

※調査対象について

  • 大企業:資本金5億円以上、従業員数1,000人以上の企業から独自に選定した380社
  • 中小企業:従業員数300人未満の企業から抽出した995社

 

 

定年退職をしたケース

まずは、定年退職をした場合の退職金事情についてみていきます。

こちらの場合には、学歴(大卒or高卒)や企業規模(大企業or中小企業)の2つの軸で退職金を算出していきます。

 

学歴 企業規模
大企業 中小企業
大学卒 2489万円 1139万円
高校卒 2268万円 1083万円

 

最も退職金の金額が多いのは、大学卒の大企業勤務の方で平均額は2489万円となっており、最も少ない高校卒の中小企業勤務の場合と比べると、1400万円近く高いことがわかりました。

退職金で2500万円近くもらえるとなると、先ほど紹介した老後2000万円問題も解決できますので、やはり大手企業の安心感はありますね。

 

定年退職以外ののケース

続いて、自己都合や会社都合での退職をしたケースに関してみていきます。

ここでは、企業規模別(大企業or中小企業)という指標と、学歴別(大学卒or高校卒)という指標の2つから検証していきます!

 

  • 大学卒のモデルケース

大学卒のサラリーマンの方が、大企業を退職する場合と中小企業を退職する場合の退職金のモデルケースは以下の通りとなっています。

 

<大企業のケース>

 

勤続年数 年齢 自己都合 会社都合
3年 25歳 34万円 70万円
5年 27歳 65万円 120万円
10年 32歳 192万円 316万円
15年 37歳 422万円 605万円
20年 42歳 812万円 978万円
25年 47歳 1290万円 1471万円
30年 52歳 1942万円 2112万円

 

定年退職の場合には約2500万円ということだったので、やはり途中でやめてしまうと勤続30年で会社都合で退職した場合であっても、退職金は2100万円ほどとなっており、それほど遜色はない印象ですね。

最近では、管理職の方を対象にリストラを行うことも増えてきていますから、50歳を前後にセミリタイアする場合には、この辺りの退職金事情を把握しておかなければなりませんね。

 

<中小企業のケース>

 

勤続年数 年齢 自己都合 会社都合
3年 25歳 24万円 38万円
5年 27歳 44万円 63万円
10年 32歳 115万円 153万円
15年 37歳 225万円 285万円
20年 42歳 381万円 458万円
25年 47歳 563万円 647万円
30年 52歳 749万円 856万円

 

続いては、大学卒&中小企業勤務のケースです。

この場合には、勤続30年であっても退職金は700万円〜850万円ほどとなっており、やはり大企業の退職金の半分くらいとなるようですね。

中小企業の特徴は会社都合の場合と自己都合の場合ではそれほど金額が変わらないというところが特徴ですね。

 

  • 高校卒のモデルケース

続いて、高校卒の方の退職金のモデルケースを見ていきます。

 

<大企業のケース>

 

勤続年数 年齢 自己都合 会社都合
3年 25歳 27万円 50万円
5年 27歳 52万円 92万円
10年 32歳 142万円 227万円
15年 37歳 294万円 421万円
20年 42歳 605万円 746万円
25年 47歳 978万円 1132万円
30年 52歳 1356万円 1528万円

 

大企業の場合には高校卒の方であってもかなり30年間勤務をした場合には、1000万円を超える退職金がもらえるということになりますね。

こうした点でも大企業の福利厚生の良さというものが光りますね。

 

<中小企業のケース>

 

勤続年数 年齢 自己都合 会社都合
3年 25歳 16万円 26万円
5年 27歳 32万円 47万円
10年 32歳 91万円 122万円
15年 37歳 175万円 226万円
20年 42歳 298万円 362万円
25年 47歳 445万円 524万円
30年 52歳 617万円 704万円

 

高校卒で中小企業のケースでは、退職金はかなり少なくなってしまいますね。

中小企業とひとことでいっても、様々な企業がありますから、もっと退職金がもらえるところとそうではないところがあるでしょう。

 

退職金に税金はかかる?所得税・住民税の金額の計算方法を解説!

メモ帳

ここからは、退職金に関する税金周りの情報をお伝えします。

「そもそも退職金に税金はかかるのか?」「かかる税金の計算方法はどうなるのか?」の2点をわかりやすく解説していきます!

 

退職金にも税金はかかる!所得税や住民税に注意!

退職金と聞くとなんだか、会社に長く勤めたことを労うためのボーナスのようなイメージを持っている方も多いと思います。

ですから、退職金には税金はかからないと思っている方も多いかと思います。

 

しかしながら、残念なことに税務上の扱いとしては退職金は”退職所得”として扱われ、普段のお給料とそれほど変わらない扱いを受けることになります。

 

これはどういったことかというと、退職金は特別に一時的に渡された賃金の一種という位置付けがなされています。

つまり、当然のように普段の給与所得同様、退職金にも税金はかかってくるので、全額手取りとなるわけではないということになりますね。

 

加えて、定年退職であろうと、勤めていた会社が倒産して未払賃金建て替え制度を通して国から受け取った場合でも、同様に退職所得に分類されます。

 

また、定年退職後などに再雇用という形で同じ企業で働いている場合には、給与所得ではなく退職所得と分類されるので、注意が必要です。

 

ここまで読むとわかるように、基本的に退職金に関する税金の考え方は普段の給与所得に関するものとほとんど違いはありません。

そのため、退職金には大きく分けて所得税住民税の2つの税金がかかります。

この辺りは普段のお給料に関わる税金と同じですね。

 

所得税は年間の所得に応じて、国に収めるべき税金で、日本の国税の根幹をなしている税金でもあります。

一方、住民税はお住いの地域の自治体に対して支払うものであり、所得割均等割という二つの項目から成り立っています。

所得割や均等割に関しては以下の記事で詳しく紹介しているので、よくわからないという方はぜひご参照ください!

 

 

退職金にかかる所得税と住民税の計算方法をわかりやすく解説!

 

では早速、退職金にかかる所得税や住民税の金額の計算方法をみていきましょう!

退職金の税金の計算式は、通常の給与所得のものとは若干異なるので、どこが違うのかをよく確認しながら読んでみてくださいね。

 

  • 退職所得にかかる所得税の計算方法

まずは、退職金の課税額を決定するために必要な所得控除の金額を求める方法を解説します。

 

退職金の場合には勤続年数によって控除額が以下のように決定されます。

この辺りは、普段のお給料にかかる所得税では出てこない控除の計算方法ですので、初見の方は多いでしょう。

 

勤続年数 退職所得控除
20年以下 40万円×勤続年数(ただし、80万円未満であれば80万円)
20年以上 800万円+70万円×(勤続年数×20年)

 

例えば、勤続年数が11年2ヶ月といった年度の途中で退職した方の場合には、勤続年数は切り上げて12年となります。

 

この場合には、勤続年数は20年以下なので、退職所得控除は、40万円×12年=480万円となります。

勤続年数が40年にのぼるベテランの方の場合には、800万円+70万円×(40年−20年)=2200万円が退職所得控除の金額となります。

 

退職金にかかる所得税は、他の所得とは別個に計算されます。

また、退職金の支払い時に「退職所得の需給に関する申告書」を勤務先に提出した場合には勤務先が税金を計算して源泉徴収するため、個人的な手続きの必要はありません。

 

しかし、この申告書を提出しなかった場合には、退職金支払額の20.42%の所得税および、復興特別所得税が徴収されますが、確定申告をすることで清算することも可能です。

 

では、申告書を提出して場合の退職所得の所得税率や税額の求め方を紹介していきます。

所得税率に関しては、国税庁のHPより引用した以下の図表を参照しましょう。

 

 

課税対象額(=A) 所得税率(=B) 控除額(=C) 税額(A×B−C)×102.1%
195万円以下 5% なし (A×5%)×102.1%
195万円以上330万円以下 10% 97,500円 (A×10%−97,500円)×102.1%
330万円以上695万円以下 20% 427,500円 (A×20%−427,500円)×102.1%
695万円以上900万円以下 23% 636,000円 (A×23%−636,000円)×102.1%
900万円以上1800万円以下 33% 1,536,000円 (A×33%−1,536,000円)×102.1%
1800万円以上4000万円以下 40% 2,796,000円 (A×40%−2,796,000円)×102.1%
4000万円以上 45% 4,796,000円  (A×45%−4,796,000円)×102.1%

 

課税対象額は、(収入金額−退職所得控除)÷2という式で求められます。

例えば、勤続年数が20年で源泉徴収前の退職金の金額が1,500万円の人の課税対象額は、

 

(1,500万円−40万円×20年)÷2=350万円
 

となります。

 

この場合、適用される税率は20%になるので、税額は

 

(350×20%−427,500円)×102.1%=278,225円
 

 

となります。

 

  • 退職所得にかかる住民税の計算方法

住民税の計算方法は所得税に比べて比較的簡単です。

 

まずは、所得税同じ退職所得控除を計算し、課税額を(収入金額−退職所得控除)÷2という式で算出します。

その後は通常の所得税と同様の計算式で計算ができます。

 

先ほどの例をもとに、東京と在住で勤続年数20年で源泉徴収前の退職金の金額が1,500万円の人の方の住民税を計算してみましょう。

課税対象額は、350万円でしたからこれをもとに住民税を計算していきます。

 

・都民税所得割: 350万円 × 4% = 14万円

・特別区民所得割: 350万円 × 6% = 21万円

・都民税均等割:1500円

・特別区民均等割:3500円

 

都内在住であれば、所得割と均等割で上記の4項目を徴収されますから、合計金額は35.5万円が住民税の徴収額となります。

 

退職金だけでは足りない!?老後資金を用意するためにオススメの資産運用は?

タブレット

ここまでみてくると、どうやら退職金だけでは老後資金は足りなくなってしまいそうだ、という方もいらっしゃるでしょう。

そこでここからは、視点を少し変えて老後の資産を安定的にしっかりと築いていくためにオススメの資産運用の方法をいくつかご紹介していきます。

 

投資というとなんとなく不安な人も多いかもしれませんので、投資初心者の方であっても比較的取り組みやすいものを厳選してご紹介していきます。

 

その1:個人型確定拠出年金(iDeCo)

個人型確定拠出年金(以下iDeCoと表記)は、簡単に言えば自分でお金を拠出して将来に備える年金のことです。

年金といっても、厚生年金や国民年金、企業年金などは給与からあらかじめ天引きされていますが、iDeCoの場合には自分で給与の中から拠出する金額やタイミングを決めて、準備することができます。

 

ただし、拠出できる金額には加入者の属性によって以下のような上限があるので、お金が余っているからといって好きなだけ年金を積み立てるということはできないので注意しましょう。

 

加入者 拠出限度額
①自営業者 81万6000円/年(6万8000円/月)
②厚生年金の被保険者 他の企業型年金も確定給付型の年金も実施していない(中小企業などの勤務など)場合 27万6000円/年(2万3000円/月)
他の企業型年金のみを実施している(大企業勤務など)場合 24万円/年(2万円/月)
確定給付型の年金を実施している場合 14万4000円/年(1万2000円/月)
公務員等 14万4000円/年(1万2000円/月)
③専業主婦等 27万6000円/年(2万3000円/月)

 

iDeCoを利用することのメリットは、単に老後の資産を形成できるだけでなく、節税効果があることも人気の理由です。

まず、毎月拠出している金額は所得税の控除にカウントされるので、大企業に勤務しているようなサラリーマンの方が、上限一杯にiDoCoにお金を拠出した場合には、年間で24万円の課税所得の減少となり、実際に5万円近い節税になるのです。

 

また、通常の投資では運用して生じた収益に対して20%ほどの税金がかかりますが、iDeCoの場合には運用益にも税金はかからないので納税の義務もなければ、確定申告の必要もありません。

 

「投資の運用利益+節税効果」という2つのお金のメリットを受けられるのがiDeCoの強みと言えるでしょう。

最近ではテレビCMなどでも目にする機会が増えてきており、国としてもい一押しの資産運用の手法となっています。

FXなどのデイトレードとは異なり、チャートを分析する必要などは全くないので、仕事で忙しいサラリーマンの方でも気軽に始めることができます。

 

 

その2:つみたてNISA

iDeCoに並んでサラリーマンの方にオススメなのが、つみたてNISAというものです。

つみたてNISAとは、年間の投資上限金額が120万円までであれば、20年間という長期間にわたって、非課税となる新たな資産運用制度です。

つみたてNISAは20年という上限つきではあるものの、投資の利益に対する税金がかからないため、iDeCo同様に節税効果があります。

 

また、つみたてNISAでは金融庁が許可した投資信託やETF(上場投資信託)のみが投資の対象となりますので、怪しい銘柄を掴んでしまう心配は少なくなっています。

ただし、通常のNISAとの併用ができないことに注意が必要です。

 

積立NISA(ニーサ)とは?現行制度との違いとメリットを解説

 

”投資=ギャンブル”という意識を変えて行こう!これからは資産運用の時代!

やはり日本人は貯金が大好きな国民性を持っていますよね。

昔は多少の利子はついていましたが、今では銀行にお金を預けていても全くといっていいほどお金は増えません。

 

もちろん、ある程度のお金を貯蓄しておく必要はありますが、それ以外のお金は資産運用に回すことで長い目で見れば資産を増やすことができます。

資産運用をするのであれば早ければ早いほど有利になります。

 

投資には「複利効果」という投資の収益の発生の仕方が基本となっています。

 

仮に利回りが10%の投資をする場合に、1年後には110万円になります。

2年後には、110万円の元手で利回り10%の再投資を行うことになるので、121万円になります。

 

つまり、複利効果では年々元手となる金額が増えていくので、長く続ければ続けるほど、じわじわ資産が増えていくということになります。

ですから、必ずしも大きな金額を投資せずとも、若いうちから始めているだけで、投資では大きなアドバンテージになるのです。

 

はじめは不安な部分も多いかと思いますが、勇気を持って投資デビューは早めにしておくと、社会勉強にもなりますし、良いことばかりでしょう。