奨学金を返せないとどうなる?返済できない場合の対処法と相談先

困る男性

奨学金が返済できない場合には、まず放置をしないことが大切です。

今回は、奨学金を滞納した場合のリスクと適切な対処方を解説していきます。

2019年からは最長10年の返済猶予期間が順次終了したり、今年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大による収入減少したり、と奨学金利用者を取り巻く状況に大きな影響が出ています。

返済ができなくてつらいと思う方は、まず今できることを確認して実行してみてください。

奨学金が払えない。。返済を滞納した場合のリスクとは?

まずは奨学金の返済が滞った時に起きることをご説明します。

日本学生支援機構から請求・督促がくる

もし返済期日に残高不足などで奨学金返済の引き落としができない場合、日本学生支援機構または債権回収会社から文書や電話で督促の連絡がきます。

あなたと連絡がとれないと、連帯保証人や保証人、職場などに連絡がいく可能性があります。

延滞金が発生する

まず、返済期日までに支払いがない場合には、2.5%〜10%の延滞金が発生します。

延滞金は、が無利息の第一種か利息付きの第二種か、採用年はいつか、といった状況に従って、以下の通り定められています。

奨学金の種類採用された年貸与終了年度延滞金
第一種奨学金
(無利息)
平成17年3月以前・平成10年2月以前に貸与終了・年1回払込用紙で返還返還期日から6ヶ月間経過した期日が

平成26年3月31日までに該当→5%

平成26年4月1日以降に該当→2.5%

・平成10年3月以降に貸与終了返還期日から6ヶ月間経過した期日が
平成26年3月27日までに該当→5%平成26年3月28日以降に該当→2.5%
・平成10年2月以前に貸与終了・口座振替の手続きを行って返還
平成17年4月以降返還期日の翌日から返還した日までの日数に応じて
平成26年3月27日までは年(365日当たり)→10%平成26年3月28日以降は年(365日当たり)→5%
第二種奨学金
(利息付き)
・平成10年2月以前に貸与終了

・年1回払込用紙で返還

返還期日の翌日から返還した日までの日数に応じて
平成26年3月31日までは年(365日当たり)→10%平成26年4月1日以降は年(365日当たり)→5%
・平成10年3月以降に貸与終了返還期日の翌日から返還した日までの日数に応じて
平成26年3月27日までは年(365日当たり)→10%平成26年3月28日以降は年(365日当たり)→5%
・平成10年2月以前に貸与終了・口座振替の手続きを行って返還

ブラックリストに登録される

日本学生支援機構からの督促に応じず、滞納を続けると3ヶ月が経過した段階であなたの信用情報機関に滞納履歴が記録されます。

いわゆる「ブラックリスト」と呼ばれる状態です。

信用情報・信用情報機関とは

信用情報とは、個人のローンやクレジットカード、携帯電話の支払いなどの取引を示した個人情報です。各契約内容や返済・支払い状況、利用残高などが登録されており、金融機関やクレジットカード会社がその人の信用を判断するために利用されます。

そしてこの信用情報を管理しているのが信用情報機関です。

滞納や未払いといった金融事故は信用情報としてここに記録され、とくに悪質なものについては「異動」というステータスがつき、これがブラックリスト入りした、という状態をさします。

ブラックリストに入ると、新たにローン契約・スマートフォンの割賦契約・クレジットカード契約をすることが難しくなります。

信用情報は5年間記録されるので、その間はカードローンや住宅ローンなどローンやクレカの審査などに落ちる可能性が極めて高くなります。

訴訟・財産差し押さえされる

さらに、9ヶ月間滞納すると、借入残高や延滞金を含めた金額の一括返済を求められます。

返済ができなければ、裁判所の命令により、給料や財産を差し押さえられる「強制執行」が実施されます。

機関保証を利用している方、日本学生支援機構への一括支払いは保証会社が行ってくれます(これを代位弁済といいます)が、債権者が保証会社に移ったにすぎないので、保証会社から一括請求をされることになります。

奨学金をどうしても返せない時に使える2つの救済制度

収入が減った、急に高額な出費があった、ど奨学金の返済ができない時、日本学生支援機構では、減額や返還猶予などのセーフティ制度が用意されています。

現状、新型コロナウイルス拡大による特別制度などは各奨学金提供元からは発表がされていないようなので(2020/5/14)、これらのセーフティネットを検討してみてください。

具体的にどのような条件で利用することができるのでしょうか?

①:減額返還を利用する

減額返還制度とは、災害・怪我・経済的な困難・失業といった事業に合わせて、月々の返還金額を2分の1または3分の1に減らすことができる制度のことです。

具体的な条件は以下の通りです。

【経済的な困難の基準】

給与所得のみ場合年間収入金額325万円以下
給与所得以外の所得がある場合年間所得金額225万円以下

【収入・所得を証明する方法】

  • 源泉徴収票
  • 課税証明書
  • 住民税非課税証明書

源泉徴収票は会社から発行。課税証明書・住民税非課税証明書は、お住まいの自治体で取得。

【適用される期間】

最長15年。ただし毎年申請が必要。申請には日本学生支援機構の所定の用紙で、初回のみマイナンバーの提出が求められます。

こちらは、あくまで月々の返済金額を減額できるという制度で、「返済総額」自体を減らせるわけではないので注意してください。

また、前年度の収入が基準を超えているが、現在減収をしているという人の場合には、直近3ヶ月分の給与明細書のコピーで代用ができます。

②:返還期限猶予を利用する

返還期限猶予は、減額返還制度と同様に様々な事情で返還が難しい場合に、一定期間返済を先送りにすることができる制度です。

具体的には最長10年間延長ができ、1年ごとの申請が必要になります。返還猶予中は利子は発生しませんが、元金や利子自体がなくなるものではありません。

経済的な困窮を理由にする際には、以下の収入基準が設けられています。

【経済的な困難の基準】

給与所得のみ場合年間収入金額300万円以下
給与所得以外の所得がある場合年間所得金額200万円以下

収入証明の方法は、減額返済制度の場合と同様です。

もし途中で通常の返済に戻したい場合にはそれも可能です。その際には、所定の用紙で願い出をします。

奨学金の減額・猶予制度も利用できなかったらどうすればいい?

奨学金の減額制度や返還猶予制度の基準を満たせず、審査が通らなかった場合にはどうすればいいのでしょうか。

家族や友人、知人にお金を借りる

自分1人でどうしようもなければ、家族や友人、知人などに金銭的な援助を求めることも1つの手です。

あなたをよく知る近い関係の人物であれば、低金利、場合によっては無利子でお金を貸してくれるかもしれません。

ただし、お金のトラブルは大事な人間関係を壊しかねません。身内からお金を借りる際にはしっかりと返済を守るようにしてください。

債務整理を行う

債務整理とは、借金のある生活から解放されるための一定の手続きのことで、貸与型の奨学金も借金であることから、最終的には債務整理を検討するのも一案です。

債務整理には、「任意整理」「民事再生(個人再生)」「自己破産」の3つがあります。

  1. 任意整理・・・債権者と交渉することで将来発生する利息をカットし、総支払額を減額する方法です。ただし、奨学金の金利自体は0.2%などと微額であるため、奨学金のみの任意整理はあまり効果がありません。他に消費者金融やクレジットカードのリボ払いなどの高金利の借金があり、奨学金の返済にお金を回せないということであれば、奨学金以外の借金を任意整理して、浮いたお金を奨学金の返済に回すことは可能です。
  2. 個人再生・・・個人再生は、借金総額を5分の1に減らすことができる任意整理よりも強力な方法です。ただし、個人再生の場合に支払額を減額できるのは債務者本人だけで、保証人・連帯保証人がいる場合には、その人たちに請求が回ってきます。保証人が負担する債務額は、当初の支払い金額。そのため、保証人に親など家族になっている場合には家族が代わりに借金を負うことになります。もし機関保証を選び、保証会社等に保証を受けている場合には身内に請求がくることはありません。
  3. 自己破産・・・自己破産をすると奨学金だけではなく、自分が抱えていた全ての借金が0になります。ただし、こちらも個人再生と同じく保証人にしはり義務が移行します。また、家や車、生命保険などの財産は基本的に没収されてしまい、経済的にイチから再スタートすることになります。

債務整理は、借金を減額できるというメリットがある一方で、ブラックリストに載る、財産が没収されるといった生活への影響もあります。

あなたの状況で債務整理をするべきか迷ったら、一度、弁護士の無料相談をしてみるのも1つの方法です。

多くの弁護士事務所では、初回30分から1時間の無料相談を実施しているので、依頼をするしないは別にして一度プロからアドバイスを受けてみることが可能です。

奨学金の返済に困った時はどこに相談すればいい?

奨学金の返済に困ったら、まずは奨学金相談センターへ相談をしてみてください。

  • 奨学金相談センター

電話番号:0570‐666‐301

月曜~金曜:9時00分~20時00分

奨学金相談センターでは、返還の相談に対応しており、あなたが利用できる制度や支払いの延期について相談にのってくれます。

もし奨学金の猶予や減額もできなければ、前述の通り、借金の返済や債務整理に詳しい弁護士に相談してみても良いと思います。

放置はNG。返済がつらいと感じたら、早めに相談しよう

奨学金の返済に関して、最もいけないのは督促や請求を無視して、放置し続けてしまうことです。

強制執行が命じられてしまったらもう後戻りはできません。自分1人では解決の道が見当たらなくても適切な機関に早めに相談しておくことで、何かしら手を打てる可能性は出てくるかもしれません。

新型コロナウイルスの拡大で、経済状況も不透明ですので、つらいと感じたら早めに相談センターや弁護士、家族などに相談してみてください。