2020年2月のM&A動向|高水準は続くもコロナウイルスで先行きは不透明

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2020年2月のM&A最新動向をお知らせします。

1月に入り、昨年の勢いが続くM&A市場。

2月後半からはコロナウイルスの拡大も広がり、世界経済全体の雲行きが怪しくなりましたが、M&A市場はどのような動きを見せたのでしょうか。

本記事は、上場企業に義務づけられた適時開示のうち、経営権の異動を伴うM&A(グループ内再編は除く)を、M&A仲介のストライク(M&A Online)が集計したデータをもとにしています。

2020年2月のM&A概況まとめ!

2月のM&A件数は前年同月比1件減の77件でした。

2月として2010年以降の過去10年間で前年に次ぐ高水準。1月に比べると8件増えている状況です。

海外M&Aは16件(海外子会社の売却を含む)。国・地域では英国、ドイツ、カナダが各2件、アジア関連が中国、タイ、ベトナムなど7件。米国は今回ゼロという結果に。

取引金額100億円超の案件は8件。国内の事業会社同士では、サツマイモ加工卸のポテトかいつか(茨城県かすみがうら市)の全株式を139億円で取得するカルビーの案件が最も大きく、サツマイモ領域に本格参入する見通しです。

【取引金額100億円超の案件一覧】

社名取引金額内容
総合メディカルホールディングス763億円MBOで非公開化
大王製紙、丸紅584億円ブラジルの衛生用品大手Santherを子会社化
オーデリック306億円MBOで非公開化
META Capital208億円澤田ホールディングスをTOBで子会社化
ツムラ187億円漢方製剤用原料の中国「盛実百草」を子会社化
共英製鋼155億円カナダMCアルタスチールの電炉事業を取得
タムロン144億円創業家の資産管理会社ニューウェルを子会社化
カルビー139億円サツマイモ加工卸のポテトかいつかを子会社化

日銀による金融緩和などを背景に、2020年もM&Aへの意欲はおう盛。ただ、先行きは新型コロナウイルスの感染拡大を受けて世界経済に不透明感が強まる中、先行きには買い手側の企業が慎重姿勢を強める可能性もありえます。

ここでは、2つのトピックスをご紹介します。

メディカルホールディングスのMBOが金額首位

金額首位は、調剤薬局展開の総合メディカルホールディングスがMBO(経営陣による買収)で非公開化する案件で、買付代金は最大763億円。

経営陣の要請で投資会社ポラリス・キャピタル・グループがTOB(株式公開買い付け)を行い、全株取得を目指します。

海外案件では大王製紙と丸紅がブラジルの衛生用品大手、Santherを584億円で買収する案件が最大。大王51%、丸紅49%出資の特別目的会社が6月末に全株式を取得します。

国内案件で目立ったMBO

その他、国内案件で目立つのはMBOです。

総合メディカルのほか、住宅用照明器具のオーデリック、住宅用給排水器具のミヤコが非公開化を発表しました。

3件とも創業家の意向に基づき、抜本的・機動的な意思決定を可能にする経営体制を構築することを狙いとしています。

MBOは1月発表の2件と合わせて今年すでに5件と、昨年1年間の6件に早くも並ぶ勢い。

【最新コラム】M&A関連サービスが新たに登場!

M&A仲介大手のストライクは3月に入り、新たなM&A関連サービスを展開しました。

会社の売り手を見つける「プレマーケティングサービス」

企業が、買収したい企業の業種や規模、地域などを特定して申し込むと、ストライクが電話や面談などで対象となる複数の会社に連絡してM&Aの可能性を探るサービス。

基本料金のほか、売買が成立した場合は別途手数料がかかります。

日銀の金融緩和などを背景に急増している企業の買収ニーズに応え、売却を希望する企業とのマッチングをより強化する狙いがあります。

これまで一部の顧客企業に対してテスト運用していましたが、3月から全企業に対象を広げて本格展開し、100社以上からのサービス申し込みを目指します。

買収を検討する企業が地域や業種、従業員数、売上高の規模などの希望を伝えれば、ストライク側が各種データをもとに、対象となりうる企業のリストを作成。

同リストをもとに同社の専門部隊が企業譲渡のニーズを探索し、最終的にはM&Aの成約をサポートします。

申し込んだ場合、電話や面談のほか、ストライクが約3万部発行している広報誌、同社のウェブ上のM&Aマッチングサービス「SMART」にも企業買収ニーズを掲載するなどして対象企業を見つける仕組みです。

上場企業の主要株主異動情報をツイッターで即時配信

ストライクは3月2日、上場企業の主要株主の異動情報を記事形式で即時配信するサービスを始めます。

料金は無料。大量保有報告書に基づいて記事を作成し、ツイッターで即時に配信する仕組み。

株式を取得したファンドなどが「アクティビスト(もの言う株主)」と見なされる場合、注意を促すキャラクター付きのアイコンも表示するシステムです。

敵対的買収の増加などに伴い、株主異動情報への関心が高まっていることを受けてサービスを拡充する背景があります。

株式市場では、個人や法人が発行済み株式数の5%を超えて取得した場合、5営業日以内に大量保有報告書を提出しなければなりません。

これまでは銘柄、投資者、出資比率などの一覧表のみを送るにとどまっていましたが、3月からは大量保有報告書の中から必要な情報を読み取り、定型文として記事を自動作成。

短文のわかりやすい文章でツイッターやメールを通じて速やかに配信する。記事中に株式の保有目的なども掲載します。

「もの言う株主」による新規の株式保有や追加取得などの動きを知らせる機能も設け、大量保有報告書の保有目的欄に「重要提案行為等」の記載がある場合は、記載内容に応じてアクティビストと見なすこととし、異動情報に独自のアイコンを表示。こうしたサービスは国内でも初めて試みとみられます。