家賃の減額交渉のやり方を具体的に紹介!いくらまで下がる?

住まいのお金

毎月の家計の出費のうち、最も多くを占めることも多い家賃の支払い

「住居費は手取り給料の3割ほどが目安」なんてことも言われますが、できれば少しでも家賃は安いほうが嬉しいですよね。

とくに、今は新型コロナの影響で給料やボーナスが下がったり、仕事を失ったりする可能性もあります。そのリスクを考えると、毎月の出費は少しでも抑えておきたいところです。

そこで今回は、家賃の値下げ交渉について解説していきます。

この記事の筆者である私は、東京都内と神奈川県にマンション1室、アパート2棟(8室、6室)を所有していた元大家でもあります。元大家の立場から見て、当時これをされたら嫌だったなと思う家賃交渉術についてご紹介します。(現在は既に物件売却済みなので、当時言えなかったことを、惜しみなくお伝えできます)

入居からこれまで家賃交渉を一度もしたことがない人や、過去に家賃交渉を失敗した方に、ぜひ読んで頂きたいです。

家賃の値下げ交渉がしやすい時期や、大家側の気持ちを知っておくことで、家賃交渉を上手に進められるかもしれません。

家賃の値下げ交渉は、誰に対して行えばいい?

まず、そもそも家賃の値下げ交渉は誰にすればいいのでしょうか?

これは、基本的には貸主である物件オーナーです。

ただし、オーナーは物件管理を自分で行わず、管理会社に任せているケースもあります。その場合は、管理会社を通じて、オーナーと家賃交渉進めていくことになります。

オーナーに連絡をすればいいのか、管理会社に連絡をすればいいのかは、賃貸契約時に渡された賃貸契約書に記載があるので、そちらを確認してみてください。

もし賃貸契約書が見つからない場合は、現在の部屋を紹介してくれた不動産仲介の店舗に連絡をして、「貸主と話をしたいことがあるので連絡先を知りたい」と伝えれば、連絡先を教えてくれます。管理会社に委託されている場合は、管理会社の連絡先を聞きましょう。

家賃の値下げ交渉をする前に、知っておくべき3つの事前知識

①家賃の値下げはNGでも、更新料の値下げはOKな場合がある

定期借家契約を除く、通常の賃貸契約の場合、2年毎に契約更新が発生するのが一般的です。

その際に更新料として家賃1か月分が発生するケースが多いかと思います。

これから家賃の交渉をするにあたって、家賃の値下げを断られても、すぐに諦めてはいけません。

家賃の値下げはダメでも、更新料の一部値下げ、もしくは全額免除をOKしてくれる可能性は十分にあります。少し不思議な気がしますが、これには理由があります。

投資用物件を所有している物件オーナーにとって、最も避けたいことの一つが物件の利回りが下がることです。

物件の利回りとは、不動産投資において最も重要な指標の一つです。

賃料が安くなると、物件利回りは下がり、賃料が上がると、物件利回りは上がります。

物件利回り=年間満室想定賃料÷物件購入価格×100

この物件利回りが高いほど、この投資用物件を売却したい時にすぐに売れたり、高く売却したりすることができます。

そのため、物件オーナーは物件利回りが下がることをすごく嫌がるのですが、じつはこの利回りの計算式に、更新料は含まれていません。

つまり、更新料の免除は、物件オーナーにとって一時的な収入は減るものの、物件利回りには影響が出ません。

一方で、家賃の値下げは収入の減りに加えて、かつ物件利回りにマイナス影響が出るため、オーナーとしてはここはできれば死守したいと考えます。

これが、家賃の値下げはNGでも、更新料の値下げはOKな可能性があるカラクリです。

入居者からすれば、トータルの支出が下がれば家賃が下がっても、更新料が下がっても、名目はどちらでもいいと思いますので、この更新料の値下げを交渉することをお勧めします。

なお、入居時の礼金も同じ考えです。入居時も家賃より礼金の値下げだったり、最初の1ヶ月をフリーレントにしてもらう等の交渉の方がしやすいです。

②管理会社は、値引き交渉の味方になってくれる可能性がある

管理会社はなんとなく貸主であるオーナーの味方な気がしますが、実は必ずしもそうではありません。

これは管理会社の報酬体系を知ると、分かりやすいと思います。

管理会社の報酬は、入居時の毎月の賃料の5%前後をオーナーからもらうことが一般的です。

この管理費用は、空室時には発生しません

例えば、家賃10万円の部屋だった場合、管理会社に毎月入る報酬は5%にあたる約5千円です。

もし家賃値下げの結果、家賃が10万円→9万6千円と4千円下がったとして、管理会社のダメージに換算すると、その値引き額の5%にあたる、わずか200円です。

管理会社からすれば、毎月5千円の安定収入を失うリスクを負うくらいなら、200円の値下げに応じて、安定収入を確保したいと考えるケースも少なくありません。

その場合、管理会社は貸主であるオーナー側ではなく、むしろ借主である入居者側にたって、一緒に家賃交渉をオーナーにしてくれるケースも多いです。

そのため、管理会社に対して、敵対感情を持って接するのはやめたほうが得策です。

むしろ、扱いづらい入居者として、オーナーに報告されたら、上手くいく家賃交渉も上手くいかなくなってしまいます。

③物件オーナーは個人のほうが、法人より値引き交渉しやすい傾向にある

物件オーナーが法人の場合、個人に比べて所有している物件戸数が多かったり、不動産以外にも本業で大きな収益柱があったりするケースが多いです。

その場合、所有物件の家賃設定や管理方法については事前に取り決めたルールのもとに実行し、一つ一つの所有物件の家賃交渉には一切応じないことも少なくありません。

一方で物件オーナーが個人の場合、法人に比べて所有物件の戸数が少なかったり、不動産の収入が収入の柱であったりするケースが多いです。

その場合、一定のルールは設けず、その時の空室状況だったり、収入状況に応じて、都度判断する場合が多いです。そのため法人よりの値引き交渉に応じてくれるチャンスが多い傾向にあります。

もし賃貸契約書を見て、物件管理者が個人の名前が記載されていたり、もしくは管理会社を通じて物件オーナーを確認する際に、法人名義ではなかったら、家賃交渉に少し期待が持てます。

家賃をいくら安くしてもらいたいか、家賃減額の希望額を決めよう!

家賃交渉をする上でまず大事なことは、値引き希望額を明確にすることです。

本音としては、できるだけ多く値引きして欲しい。逆にいくらまでなら値引きできますか?とオーナーに聞きたくなるところですが、これは交渉の際に絶対に言わないほうがいいです。

貸主側からすれば、家賃はできれば1円も値下げしたくありません。それでも値引きに応じる理由は、値引きに応じなければ、借主が退去してしまうことを恐れているからです。

「●●●円、家賃を安くして欲しい」と入居者から言われると、希望家賃が具体的なため、断った場合にその希望額にあった家賃の家に引っ越してしまうのではないか?と物件オーナーは退去リスクを感じます。

一方で、「できるだけ値引きして欲しい」という言葉は、少しでも家賃を下げたいというただのお願いであって、これを断ったところでまだ具体的に転居することまでは考えていないだろうなと判断します。

つまり、値引き希望額を明確にすることは、物件オーナーに対して、退去リスクを感じさせ、交渉を有利に進めるための重要ポイントになります。

では、具体的にいくらの値引き希望額を出せばいいのでしょうか?それについてご説明します。

①まず、あなたが退去した場合に貸主が損する金額を計算しよう

あなたの家賃減額交渉に応じるかどうか、多くの場合、物件オーナーは合理的に判断をします。

つまり、家賃減額応じた場合と、退去されて新たな入居者を迎え入れた場合、どちらが得なのか(損する額が少ないか)を天秤にかけて、判断をします。

退去した場合の貸主が損する金額を知ることで、あなたが交渉可能な家賃減額の上限値をおおよそ把握することができます

入居者が退去した際に、貸主が負担する修繕費用は、

おおよそ家賃の約1〜2ヶ月分

新たな入居者が決まった場合に、仲介会社に支払う仲介手数料と広告料(通称AD)は

おおよそ家賃の約1ヶ月分〜3ヶ月分

退去後、室内クリーニング、修繕にかかる期間

おおよそ1ヶ月間

入居者が入れ替わることで、合計で家賃3ヶ月〜6ヶ月分、物件オーナーは売上毀損をします。

これに加えて、入居者募集中の期間が長ければ長いほど、本来入るはずだった家賃が入ってこないため、上記の金額に加えて、さらに損する額は増えていきます。

現在の家賃が月10万円だった場合、入居者の入れ替えで、約30万円以上は売上毀損します。

そうであれば、更新料1ヶ月分の家賃10万円を免除してくれるなら契約更新したいという入居者からの値引き交渉は、現実的なラインかと思います。

②周辺物件の家賃相場や、空室状況を調べてみよう

賃貸契約時の家賃のまま契約更新してしまうケースが多いですが、築年数が経った建物の家賃は基本的には緩やかに下がっているのが一般的です。

SUUMOやathomeなどの賃貸物件の検索サイトを使って、周辺の家賃相場がどの程度なのかを調べてみましょう。

賃貸物件サイトを使って部屋を探す際は、エリア、築年数、構造、階数、広さ、間取り、駅距離、風呂トイレ別などの各種条件を、可能な限り今の借りている部屋の条件に揃えて検索してみてください。

もし検索にヒットした周辺の家賃相場が、今の家賃に比べて安ければ、値下げの希望額が決めやすいですし、何より家賃減額交渉の強力な材料になります。

一方で、周辺の家賃相場が自分の部屋よりも高い場合は、家賃の値下げ交渉はしないほうがいいです。

むしろ大家からすると、ちょっと安く貸し過ぎてしまったから、どこかで値上げをしたいと考えているかもしれません。

そんな時に、家賃交渉が入居者側から来たら、いい機会だと捉えて、逆に値上げ要求をしてくるかもしれません。

最近電車の新駅ができたり、再開発で利便性が上がったり、大学などの大型施設ができたりしているエリアでは、家賃相場が上がる傾向にあります。

また、賃貸物件サイトで検索する際は、空室が何件ヒットするかも大事な情報です。

仮に周辺の家賃相場は今の家賃と同じくらいだったとしても、そのエリアの周辺物件に空室が多い場合は家賃交渉のチャンスです。

今回あなたが退去してしまったら、貸主は、次の入居者探しが大変だということです。

新たな入居付けをする際に、今よりも家賃を下げて募集をしなければいけなかったり、空室期間が長くなれば、その分の家賃の取りこぼしが発生したりしてしまうかもしれません。

周辺エリアに同一条件の空室物件が多数ある場合は、これも家賃減額交渉や、更新料の免除交渉の材料となります。

家賃の値引き交渉はいつ、どの時期にするのがおすすめ?

基本的に家賃の値引き交渉はいつでもできますが、下の2つのタイミングはとくに交渉が有利に進めやすい時期です。

①物件の契約更新タイミング

これまでに更新料の値引き交渉がおすすめとご紹介してきましたが、やはりこの時期が一番オススメです。

「契約更新料で家賃1ヶ月払うのもったいないから、このタイミングで引越しをしよう」と考える入居者は実はすごく多いです。

そのため、物件オーナーとしては、この2年に1度訪れる契約更新時期は、入居者からの退去連絡がくるのではないかと、とても不安に気持ちになります。

じつはこの1ヶ月分の更新料ですが、全額物件オーナーのもとに入るわけではありません。管理会社との契約内容によりますが、このうち半月分、場合によっては全額が管理会社に入ることもあります。(あくまで管理会社が入っている場合の話です。オーナーの自主管理の場合は、全額オーナーに入ります)

そのため、管理委託しているオーナーからすると、更新時期は退去リスクだけが高まり、ほとんどメリットがありません。

そのため、更新料の免除で、契約更新してくれるなら、喜ぶ貸主も少なくありません。

更新料の一部値下げや免除する場合は、入居者に変わって、物件オーナーが管理会社に更新料の半月分もしくは1ヶ月分を支払うことになります。

②7月〜8月のシーズン閑散期

部屋探しをする人の数は、1年を通して波があります。

最も引越しする人の数が多いのが1〜3月の繁忙期です。これは進学や就職を機に引越しをする人が多いためです。

この時期は、入居希望者も比較的簡単に見つけることができるため、大家側も家賃の値づけは比較的強気です。

この時期に家賃交渉するのは、タイミング的には少しもったいないです。

一方で、一年を通して、最も部屋探しする人が少ないのが7〜8月の閑散期です。

この時期に空室だと、次の入居者を見つけるのが大変なため、家賃の値づけは比較的弱気です。

実際に、繁忙期と閑散期では、同じ部屋の募集時の家賃設定でも数千円違ってくることはザラにあります。

そのため、家賃減額交渉をするなら、この7〜8月の閑散期を狙うのがおすすめです。

やらないだけ損!さっそく家賃交渉をしてみましょう!

いかがでしたでしょうか?

家賃交渉のイメージはつきましたでしょうか?

私の大家歴は10年程でしたが、これまで入居前に家賃交渉や敷金礼金の交渉、フリーレント交渉をされたことは多々ありますが、不思議なことに、入居後に入居者から家賃交渉をされたことは一度もありません。

周りの大家仲間と話をしていても、同様の話を聞きます。

もしかしたら、入居後に家賃交渉できないと思っているかもしれませんが、そんなことはありません。

むしろ大家の立場からすると、入居前の家賃交渉よりも、入居後の家賃交渉の方が断りづらいです。

理由としては、入居前は断っても特にマイナスリスクはないですが、入居後の家賃や更新料の減額交渉の場合、これまでにご説明した通り、退去されるリスクがあるためです。

ぜひ現在の家賃支払いに悩んでいて、引越しを考えている方や、生活の負担担っている方は、一度家賃交渉を検討してみてください。

家賃の減額交渉は成功したらもちろんその額だけ得しますし、もし失敗しても、何も損はありません。やらないだけ損ですよ。

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