2020年第1四半期のM&A市場動向|大型買収案件や取引金額を振り返ってみた

ビジネスマン

2020年第一四半期(1月〜3月)のM&A市場の動向をまとめました。

年明けから買収件数・金額ともに好調な滑り出しをみせたM&A市場ですが、3月に入り、新型コロナウイルスが拡大。多くの企業へ多大な影響を与えました。

経済情勢が大きく変わった2020年1月〜3月。M&A市場はどのような動きをみせたのでしょうか?前年度と比べて概要をまとめていきたいと思います。

なお、本記事の情報は、上場企業に義務づけられた適時開示情報をもとに、経営権の異動を伴うM&A(グループ内再編は除く)をストライク(M&A Online)が集計したデータをもとにしています。

新型コロナの影響が危惧されるも前年同期比よりM&A件数は増加

2020年第1四半期(1~3月期)のM&A件数は、前年同期比10件増の232件と2年連続で増加し、2009年(252件)以来11年ぶりの高い水準となりました。

日銀の金融緩和などがM&A市場の活況を後押しし、新型コロナウイルス感染拡大の影響が危惧された直近3月も86件と前年同月を4件上回り、09年(88件)以来の水準という結果に。

しかし、コロナ・ショックによる業績悪化などで企業マインドは急速に後退しており、政府の「緊急事態宣言」を受け、経済活動がさらに停滞することから、4月以降、国内M&A市場は縮小局面を迎えることが予想されます。

M&Aの取引金額は1兆1156億円(公表分のみを集計)で、前年同期の7279億円を5割強上回りました

5000億円規模に達する三菱商事・中部電力の大型案件があったのが主因。1000億円を超える案件は期間中、この1件のみでした。

2020年1月〜3月のM&A金額上位案件ランキング

順位取引内容金額
1三菱商事、中部電力と共同で、オランダの総合エネルギー企業エネコを買収5,000億円
2前田建設工業、前田道路をTOBで子会社化861億円
3総合メディカルホールディングス、投資会社ポラリスと組みMBOで非公開化763億円
4米投資ファンドのベインキャピタル、昭和飛行機工業をTOBで子会社化694億円
5大王製紙と丸紅、ブラジルの衛生用品メーカー大手Santher(サンパウロ)を買収
6ノーリツ鋼機、DJ・クラブ機器大手のAlphaTheta(旧パイオニアDJ、横浜市)を子会社化350億円
7豆蔵ホールディングス、国内投資ファンドのインテグラルと組みMBOで非公開化344億円
8オーデリック、MBOを受け入れて非公開化306億円
9グローリー、セルフ注文・決済機器大手の仏アクレレック・グループを子会社化242億円
10国内投資ファンドのMETA Capital、澤田ホールディングスをTOBで子会社化208億円

三菱商事・中部電力は3月、欧州で電力、ガスなど総合エネルギー事業を展開するオランダのエネコを買収しました。

欧州で普及する風力発電など小型分散電源の技術・ノウハウを取り込むのが狙いで、三菱商事80%、中部電20%出資の新会社が全株式を41億ユーロ(約5000億円)で取得。

両社は昨年11月に買収の優先交渉権を獲得しています。

その他金額上位案件をみると、海外案件はほかに、ブラジルの衛生用品大手Santherを584億円で買収する大王製紙・丸紅(5位)、フランスのセルフ注文・決済機器大手アクレレック・グループを242億円で買収するグローリー(9位)の2件。

昨年同期は上位10件中、8件が海外案件だったが、今年は様変わりし、国内案件が優勢となりました

国内案件は上位10件中、7件ライクインしたが、6件をTOB(株式公開買い付け)関連が占めます。

このうち総合メディカルホールディングス、豆蔵ホールディングス、オーデリックの3件はMBOと呼ばれる経営陣が参加する買収でした。

また、前田建設工業が前田道路の子会社化(保有割合51%)を目的に実施したTOB(3月に成立)はグループ企業の関係にありながら、今年第1号の敵対的買収に発展しました。

4月以降、M&A市場の衰退が予測される

以上、新型コロナの影響を受けながらも前年度と比較するとM&A件数、取引金額はともに増加する結果となりました。

しかし、本当に新型コロナウイルスの影響を受けるのは4月以降。国の緊急事態宣言や休業要請により、M&Aを検討していた多くの企業で取引の中止や延期がされることが予想されます。

経済情勢が今後どのように変化し、M&Aに影響を与えていくのか。お金のカタチでは、引き続きM&A市場の動向をお伝えしていきます。

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