シングルマザーの資格取得支援とは?国の支援対象となる資格一覧

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シングルマザー、シングルファーザー、またはこれから離婚を控えていてひとり親家庭になる方は、今後の生活のためにも「安定した仕事に就職したい!」「就職活動のためにも有利な資格を取りたい!」と考えている方は多いかと思います。

ひとり親家庭は生活が苦しいと言われていますが、実際のところどうなのでしょうか?

こちらは、2014年度の調査発表による世界のひとり親家庭の相対的貧困率ランキングです。日本は先進国でもあるにもかかわらず、貧困率は50.8%と、世界と比べてとても高いことが分かります。

シングルマザー 貧困率世界でも日本は、シングルマザーの貧困率が高く、ひとり親家庭支援が早急に望まれています。

しかし、安定した職に就くには資格や専門学校を卒業していることが必須なことが多く、費用の面、そして普段の生活との両立が難しいという点から諦めていたかもしれません。

しかし、国のひとり親家庭の支援策を利用すれば、学費面や、通学中の生活費が給付されることも!今回は、公的な自立支援策についてくわしく紹介するので是非、役立ててください。

ひとり親家庭の現状と国による就業支援一覧

いま、日本のひとり親家庭の家計はどうなっているのでしょうか。

こちらは平成28年度全国ひとり親世帯等調査での、母子家庭・父子家庭の現状を表した表です。

母子家庭父子家庭
世帯数(推計値)123.2万世帯18.7万世帯
就業状況81.8%85.4%
正社員44.2%68.2%
自営業3.4%18.2%
パートアルバイト43.8%6.4%
平均年間収入243万円420万円
平均年間就労収入200万円398万円

80%以上とどちらもほとんどのひとり親家庭の方が、働いていることが分かりますね。しかし、母子家庭では正社員とパート・アルバイトの割合が半々となっていて、年収も父子家庭に比べると半分程度の収入だということがうかがえます。

育児との両立で、パートアルバイトを選択している方もいらっしゃると思いますが、子どもが大きくなったりなどでチャンスがあれば正社員や待遇の良い仕事を目指す方も多いのではないのでしょうか?

ひとり親家庭の就業支援の国の主な事業はこちら7つもの支援になります。

  • ハローワークによる支援
  • 母子家庭等就業・自立支援センター事業
  • 母子・父子自立支援プログラム策定事業
  • 自立支援教育訓練給付金
  • 高等職業訓練促進給付金
  • ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業
  • 高等学校卒業程度認定試験合格支援事業

ハローワークは耳にしたことがあると思いますが、母子家庭を対象にした「マザーズハローワーク」「マザーズコーナー」の支援サービス窓口があります。再就職や、子育てとの両立しやすい求人情報の収集や提供、相談が受けられます。

またこのような窓口から、自立支援のために、就業準備などに関するセミナーや資格取得のための講習会の開催など、市区町村ごとの自治体で行われています。

今回は、国の数ある支援策の中でも資格や職業訓練に関わる就業支援について、詳しく解説していきたいと思います。

こちらは、国の就業支援による就職件数とその内訳の年次推移を表したグラフです。平成15年から25年の10年の間に新たにひとり親家庭への就業支援策を増やしたりなどの結果、就職件数は急増したことが分かります。

シングルマザー 正社員 パート

現在は4000前後の方が国の制度を利用し、就職しているということになりますね。常勤の割合も増加し、いまは非常勤・パートへの就職と半々の割合となっています。子育てとの両立を考慮し、非常勤・パートを選択する方もいらっしゃるかと思います。

常勤、非常勤のどちらの選択にするにしろ、自分の生活とバランスのいい就職口を探すためにも資格が取れれば有利になりますよね。ここからは国が支援する資格取得の制度について説明していきます。

資格取得のための講座受講料60%が修了後、支給される

資格を取得するには、学校や通信教育などで講義を受けなくてはいけないものも多くあります。しかし、資格取得のための講座はタダではありませんよね。

そこで、地方公共団体が指定する教育訓練講座を受講したひとり親家庭の親に対して、講座終了後に、対象講座の受講料の6割相当額を支給される制度、「自立支援教育訓練給付金制度」を活用することができます。

対象者

自立支援教育訓練給付金制度は、以下の1から5までの要件を全て満たす方が対象となります。

  1. 母子家庭の母又は父子家庭の父
  2. 児童扶養手当の支給を受けているか、または同様の所得水準にあること
  3. 受講開始日現在において、雇用保険法による教育訓練給付の受給資格を有して
    いないこと
  4. 教育訓練を受けることが、適職に就くために必要であると認められるものであること
  5. 原則として、過去に訓練給付金を受給していないこと

自分が受ける講座がそもそも、支給対象の講座ではないこともあるのでよく確認することが重要です。

支給内容

こちらの制度での支給額は受講する講座によって異なります。また、支給されるのは受講後になるので注意してください。

支給額は地方公共団体が指定する対象講座の受講料の6割相当額、具体的には1万2千1円~20万円になります。

独自に支給額を上乗せしている自治体もあるので、まずはお住まいの市区町村役場の窓口に問い合わせてみましょう。

対象となる講座

自立支援教育訓練給付金事業の対象となる講座は、

  1. 雇用保険制度の教育訓練給付の指定教育訓練講座
  2. その他都道府県等の長が地域の実情に応じて対象とする講座

の2つです。具体的にはどんなものがあるのでしょうか?

前述のように、支給額は受講する講座によって異なります。厳密にはこちらの制度の支給額は受講料の20%、40%、70%の3つに分かれます。

支援上限費用別で、人気のある資格が取得できる講座を例にみていきましょう。

支援上限費用対象講座例
費用20%(上限年間10万円)支援
  • TOEIC
  • 簿記
  • Webクリエイター
  • インテリアコーディネーター
  • MOS
費用40%(上限年間20万円)支援
  • 車の免許
  • 行政書士
  • FP
  • 宅建
  • 介護職員初任者研修
  • 登録販売者試験
費用70%(最大224万円)支援
  • 看護師
  • 准看護士
  • 助産師
  • 介護福祉士
  • 保育士
  • 栄養士
  • 美容師
  • 社会福祉士
  • 歯科衛生士
  • 調理師 など

看護師や介護士など専門の技術などが求められる仕事になればなるほど、支給額は高くなっていますね。他の対象となる講座など詳しく知りたい方はこちらからご覧ください。

こちらの自立支援給付金の活用は例えば、元々働いている職場でスキルアップし、昇給を狙うまたは、看護師などの職業を目指すことができます。

【活用例① 現場でのスキルアップ】

  • 大型2種自動車免許取得講座を受講
  • 入学料、受講料合わせて20万円の支払い

→訓練終了後、受給要件を確認し、申請。4万円(20%)が一括で支給。

【活用例② 看護師を目指す】

  • 看護の専門学校に入学し、3年間通学
  • 入学料、受講料合わせて3年で180万円。

→事前に受給要件を確認し、申請。15万円が半年ごとに支給(計90万円 50%)

  • 更に、資格を取得し1年以内に再就職。

→20%分の計36万円が追加支給。

こちらの制度では、受講終了後に、支給されるので注意が必要です。手続きについては、遅くとも受講開始前までに申請受付をしなければいけないので余裕をもってお住まいの市区町村役場で相談や審査を済ませなくてはいけませんね。

なお、途中で学校をやめた場合は、支給されません。自立支援教育訓練給付金の支給の手続きには、学校の発行する修了証と戸籍謄本などの必要な書類を提出していただきます。

また、受講中にひとり親家庭でなくなった場合は、対象ではなくなりますので、支給されません。

資格取得中の生活費を支援

自立支援教育訓練給付金の中には、看護師などをはじめ様々な資格の取得が可能でしたが、あくまで受講後取得が完了したときに支払われる制度でしたね。

看護師や介護福祉士になるにはそれ相応の時間と費用がかかるため、これらの資格を受ける際には、「高等職業訓練促進給付金等事業」も利用することが可能です。

資格取得のために、アルバイトやパートに時間を割けずに生活費が普段よりも少なくなってしまう方はこちらの制度で家計を補うことができますね。

前述の自立支援教育訓練給付金では、資格を取得するための講座の受講費を給付してくれるものに対して、こちらの高等職業訓練促進給付金は、受講期間中の生活費の負担を軽減してくれる制度です。

具体的には、看護師などの経済的自立に効果的な資格を取得するために1年以上養成機関等で修学する場合に、生活費の負担軽減のため高等職業訓練促進給付金を支給、修了時には、高等職業訓練終了支援給付金が支給される制度です。

対象者

高等職業訓練促進給付金等事業の対象者は、以下の1から6までの要件を全て満たす人になります。

  1. 母子家庭の母又は父子家庭の父
  2. 児童扶養手当の支給を受けているか、また同様の所得水準にあること
  3. 養成機関において1年以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれること
  4. 仕事または育児と修業の両立が困難であること
  5. 訓練促進給付金については、原則として過去に訓練給付金を受給していないこと
  6. 修了支援給付金については、原則として過去に修了給付金を受給していないこと

所得水準や、育児と終業の両立が困難なことを示すには子どもの年齢や、パート先の就業規則などを証明する必要がありそうですね。

対象となる資格

就職に有利な資格であって、法令で2年以上のカリキュラムを修業することが必要とされているものになります。

自治体によって、対象となる資格は異なるのでお住まいの市区町村役場窓口で問い合わせましょう。

支給内容

高等職業訓練促進給付金等事業では、終業中と、修了時の2段階で支給されます。支給内容は以下の通りです。

  • 高等職業訓練促進給付金
支給対象期間修業する全期間(上限2年)
支給額月額10万円(住民税課税世帯は月額70,000円)
  • 高等職業訓練修了支援給付金
支給額2万5000円(住民非課税世帯は5万円)
支給期間修了後に支給

平成28年度では、高等職業訓練促進給付金等事業の支給件数は7,110件で、資格取得者数は2,475人そのうち就職者数は1,920人となります。

資格取得者数資格取得者のうち就業の結びついた人数
全体常勤非常勤・パート自営業・その他
看護師934823806161
准看護士1,1617826781013
保育士14211994232
介護福祉士61534670
作業療法士30282800
理学療法士23191621
歯科衛生士32262420
美容師19161321
社会福祉士104301
その他63504154
合計2,4751,9201,74915813

需要が高く、就職しやすい看護師・准看護士、保育士の資格取得者が多くなっていますね。高齢化が進めば、介護福祉士の資格取得者数も年々増加していきそうです。

申請には事前相談が必要ですので、必ず事前にお住まいの市区町村役場相談してください。

受給後5年間働くと貸付金の返済が免除に!

資格を取るためには、学校などで受講料、入学料を支払わなくてはいけません。また普段のパートやアルバイトの時間が削られるので、まとまったお金が必要!という方には、こちらの「ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業」の利用が可能です。

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業では、就職に有利な資格の取得を目指すひとり親家庭のために、高等職業訓練促進資金の貸付を受けることができます。ただし、貸付ということは借金となりますよね。

返還が必要となりますが、この制度の大きな特徴の一つとして、養成機関の課程を修了し、かつ資格取得した日から1年以内に就職し、取得した資格が必要な業務に従事し、5年間引き続き業務に従事した場合は、返還債務の全部の免除ができます!

例えば、保育士になるために専門学校に通い、卒業後1年以内に、貸付を受けた自治体のある住所の保育園に就職し、5年以上その保育園で働き続ければこの制度で借りた分のお金は返さなくていい、ということになります。

対象者

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業の対象者は、貸付を受ける種類によって異なります。

  • 入学準備金:高等職業訓練促進給付金の支給を受ける方
  • 就職準備金:高等職業訓練促進給付金の支給を受け、養成機関の過程を修了し、資格を取得した方

前述の受講中の生活費の支援が受けられる、高等職業訓練促進給付金等事業を受けている方が前提となっていますね。また、就職準備金は、修了かつ資格取得日から1年以内に就職した場合に限るので注意が必要です。

支給内容

こちらの貸付制度の支給内容は、入学準備金と、就職準備金の2種類があります。

  • 入学準備金:上限50万円
  • 就職準備金:上限20万円

連帯保証人を立てた場合、貸付利子は無利子です。連帯保証人なしの場合は、返済債務の履行猶予後は年1.0%となります。

前述したように、養成機関を修了し、かつ資格取得した日から1年以内に就職し、取得した資格が必要な業務従事し、5年間引き続き業務に従事した時は、貸付金の返済が免除されます。

ただし、この条件に該当しない場合は、貸付金を返還することになります。

申請期限は、入学準備金は、入学した月の翌々月の月末まで、就職準備金は就職した月の翌々月の月末までとなります。例えば4月に入学または就職する場合は6月30日までに申請しなければいけません。

なお、取得した資格で5年以上働き続けることが条件の貸付分の全額免除には、また別で申請が必要になります。必要書類は自治体や職種によって異なるので、お住まいの市区町村役場で確認しましょう。

保護者の学びなおしの支援、高卒認定

ひとり親家庭の親の約13.8%は中卒ということが調査結果で分かりました。

就職活動をする際に、高卒認定だけでも持っておきたい!と考えている方は、国の制度「ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業」を是非活用して、受講費用を減額させましょう。

ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業とは、ひとり親家庭の親または児童が高卒認定試験合格のための講座を受け、これを修了した時及び合格した時に受講費用の一部が支給される制度です。自分だけではなく、お子さんが高卒認定が取りたい場合も受講費用が一部支給されるそうですね。

自治体によってはこの制度を取り入れているかどうかの実施状況が異なります。お住まいの自治体では高卒認定試験は受験できても、支給制度は実施されていないこともあるのでこちらで確認してください。

対象者

ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業の支援対象者は、ひとり親家庭の親及び児童であって、次の要件の全てを満たす方になります。ただし、高校卒業者など大学入学資格を取得している者は対象外となります。

  1. ひとり親家庭の親が児童扶養手当の支給を受けている又は同等の所得水準にあること。
  2. 就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場などから判断して高等学校卒業程度認定試験に合格することがに就くために必要と認められること。

支給内容

支給内容は高卒認定のための受講費用の一部が支給されます。

  • 受講修了時給付金:受講費用の4割(上限10万円)
  • 合格時給付金:受講費用の2割(受講修了時給付金と合わせて上限15万円)

シングルマザー 高卒認定

受講終了時には、受講費用の2割、高卒認定試験で合格したら受講費用の4割が支給されるということですね。

手続きについては、市区町村役場または福祉事務所へお問い合わせ下さい。

育児と仕事の両立ができるか、就職後の生活のイメージも!

いかがでしたか?スキルアップのための支援は併用ができるのもあるので、まずはお住まいの市区町村役場で対象となる資格や講座などを確認しましょう。

また、就職までではなく、就職してからの生活を考えることも忘れずに。

離婚後の住まい、子どもの学校や保育園・学童保育・預け先、収入を得る手段としての仕事、できるだけ離婚後の生活を具体的にイメージして、問題はクリアにしておきましょう。