新型コロナが事業承継・M&Aに与えた影響は?経営者300人に聞いてみた

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新型コロナウイルス感染拡大によって、企業の業績への影響が注目されていますが、事業承継やM&Aにはどのような影響を与えたのでしょうか?

M&A仲介大手のストライクの調査によると、事業承継やM&Aの延期などの悪影響を及ぼすと考える経営者が5割超にのぼることがわかりました。

経済停滞による売上高の減少や将来不安などが、買い手、売り手双方の経営者の心理や行動に影を落としています。

ただ「中期的に事業承継やM&Aを再検討する」と答える経営者は7割近くにのぼっており、アフターコロナの世界では企業の合併や買収が再び盛んになりそうな気配もあります。

今回は、ストライクが実施した経営者311人へのアンケート結果を詳しくみていきたいと思います。

新型コロナ、「事業承継やM&Aに悪影響」過半数を超える

調査によると、「事業承継に影響がある」と答えた経営者は58%にのぼりました。

M&Aについても、売り手側で58%、買い手側で33%の経営者が「マイナスの影響がある」と回答。

実際に「コロナ禍のために内容を再検討することになった」経営者は、事業承継で43%、M&Aの買い手で40%、売り手で26%に達しましたた。

「計画そのものを取りやめた」経営者も事業承継で9%、M&Aの買い手で10%、売り手で26%いた。

内容を再検討したり、計画を延期したりした理由で最も多かったのは、事業承継やM&Aの売り手側企業では「売り上げが減少し、将来に不安を感じたため」

事業承継では70%、M&Aの売り手では52%の経営者がこの理由をあげています。

M&Aの買い手側の経営者が最も多くあげたのは「手元資金を潤沢にしておくため」(66%)でした。

中期的にはM&Aを再検討する経営者が100%

ただ、同時に、事業承継やM&Aの計画を延期したほとんどの経営者は、中期的には事業承継やM&Aを検討すると回答し、事業承継では60%、M&Aの買い手は100%、売り手は66%が検討する、という結果になりました。

再検討する時期に関しては、事業承継は「1年以上後」が43%と最も多く、一方でM&Aの売り手は「1年後」(46%)、買い手は半年後(37%)が最多となりました。

新型コロナでM&A市場はどう変わった?コロナ禍の件数推移

ここでは、実際に新型コロナウイルス感染が広まった3月〜5月のM&A件数動向を調べてみました。

【M&A件数】

3月4月5月
M&A件数86件50件69件
前年同月比4件増17件減10件増

5月は回復するも案件の小型化が顕著に現れる

コロナ禍の3ヶ月の件数推移をみると、3月は前年同月比4件増加で2009年以来の高水準をマークしました。

コロナの影響が顕著に現れたのは4月。緊急事態宣言が延長したこともあり、仕掛かり中の案件の資産査定が遅れたり、保留したりといった動きがあったことが予想されます。

5月に入り、案件数をみると前年同月比10件アップとなりましたが、M&A金額をみてみてると買収金額10億円以上の案件は7件と相場よりも少ない結果になりました。

海外の大型案件は姿を消し、国内案件も小規模なものが増えてきたことから、まだまだ各社大型のM&Aには慎重になっていることが分かります。

M&A市場が動きを取り戻すのは半年から1年後か

以上、今回は経営者アンケートをもとにM&Aや事業承継に対する新型コロナウイルスの影響をまとめました。

直近では、買収や売却の保留や金額の小型化といった慎重な姿勢が見受けられますが、完全にM&Aを取りやめたわけではなく、買い手・売り手共に中期的に検討を続けていることが分かりました。

新型コロナウイルスがいつ落ち着くのかは誰にも分かりませんが、いち早くMA&市場が活況を取り戻せるといいですね。

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