地方移住で使える補助金と自治体別の支援制度まとめ!

地方移住 補助金

都会の喧騒から離れて、どこか自然豊かな場所でのびのびと暮らしたいと、一度は考えたこともあるのではないでしょうか。

しかし、今の暮らしから地方へ移住するには、お金がいくらくらいかかるのか、また生活がどのように変動するのか不安ですよね。

そこで、国や市町村は地域活性化のためにも、地方移住をした方に補助金も出しているそうです。中には新しく家を買う方へ最大購入費の半額をも補助する支援も。

今回は、地方移住に際しての支援制度について詳しく紹介していきます。

地方移住を考える方が若者を中心に増加

地方移住と聞くと、定年移住といった、定年を迎えた方のセカンドライフで田舎に住むといったイメージがあるかもしれませんが、今若者を中心に地方移住の希望者が増えているそうです。一体、どういうことなのでしょうか。

というのも、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に地方移住に目を向ける人が増えているそうです。

内閣府の世論調査ではテレワーク経験者の4人に1人が移住への関心を高めていることが分かりました。

テレワークの普及により、地方にも生活拠点を構えて都会の自宅と行き来するスタイルにも挑みやすくなりましたよね。これまでは通勤という壁に阻まれていましたが、価値観の変化にテレワークの普及が重なり、住まい選びの幅が広がりつつあるそうです。

元々、興味があった地方移住を選択しやすくなったということですね。

2018年の移住・交流推進機構の若者の移住調査の結果レポートによると、移住に興味がある理由は以下の通りです。

順位移住に興味がある理由
1山・川・海などの自然にあふれた魅力的な環境
2子育てに適した自然環境
3子どもの教育・知力・学力向上
4都会の生活に疲れた
5実家がある

自然・子育てなどの環境に重きが置かれていますね。また、都会の生活に疲れたほかにも、生活コストがかかる、などの都会へのネガティブな理由も次にきました。

地方での暮らしに憧れているのは若者から定年後のセカンドライフを送る方まで幅広く存在することが分かりましたね。

実際に地方で暮らすとしたらどのような支援策を利用できるのでしょうか。具体的に支援制度を見ていきましょう。

地方移住で使える補助金などの支援制度一覧

地方での暮らしも、引っ越しや住居を構えるために決して安くないお金がかかります。

そこで地方創生のために国は地方移住の支援や補助金を打ち出しているので、地方移住する際に漏れなく活用できるようにしときましょう。

①:最大200万円の起業支援金と最大100万円の移住支援金

起業支援金とは、地方で起業を考えている人に対して、各都道府県が事業資金として最大200万円を支給してくれる制度です。

地域の課題解決につながる社会的事業とは例えば、子育て支援や地域産品を活用する飲食店、まちづくり推進など、幅広い事業が対象になります。

起業支援金の対象者は次の3つをすべてを満たす必要があります。

  1. 東京圏以外の道府県または東京圏内の条件不利地域において社会的事業の起業を行うこと
  2. 公募開始日以降、補助事業期間完了日までに個人開業届または法人の設立を行うこと
  3. 起業地の都道府県内に居住していること、または居住する予定であること

起業するだけではなく、起業地に移り住むことも要件に含まれていますので気を付けましょう。

移住支援金とは、東京23区内に住んでいた人が、東京以外の道府県や東京の過疎地域などへ移住する際に最大100万円を支給してくれる制度です。

具体的な条件は以下3つ全てを満たすことです。

  1. 【移住元】東京 23 区の在住者または通勤者(5年以上)
  2. 【移住先】東京圏以外の道府県または東京圏内の条件不利地域への移住者
  3. 【就業・起業】移住支援事業を実施する都道府県が、マッチングサイトに移住支援金の対
    象として掲載する求人に新規就業した方または起業支援金の交付決定を受けた方

気を付けてほしいのが、単に移住をすればもらえるということではなく、就業先が、移住先の都道府県が指定する求人ではなければいけない点です。(大企業や本店所在地が東京圏の法人や、官公庁等などは指定外)

起業支援金、または移住支援金の申請条件に全て当てはまる場合は、就業後3か月以上経った後、起業の場合は、公募開始後に申請します。移住の際には、住民票の移動も必須になるので注意してください。

②:安く家を利用・購入ができる!空き家バンク

空き家バンクとは、空き家の賃貸・売却を希望する所有者から提供された情報を集約し、空き家をこれから利用・活用したい方に安く紹介する制度です。

2020年 2 月時点で、全国の 603 自治体が全国版バンクに参加し、のべ 9,000 件を超える空き家などの情報が掲載されているほか、マッチングに至った物件数は、すでに累計で 1,900 件を超えています。

このように数多くあるので、希望の移住先にも空き家バンクがあるかもしれません。各自治体のHPで確認してみましょう。

地方移住 空き家

空き家バンクには、移住者にとって嬉しいメリットが大きく3点あります。

  • 安く空き家を利用できる
  • 自治体独自の補助金利用でさらに安く利用できる
  • 地域活性化につながる

まず、空き家バンクでは、仲介手数料が必要ない場合が多く、格安で物件を購入することが可能です。特に、地方の空き家の場合には、物件価格が相場よりも安く設定されている可能性もあります。

地方自治体によってはさらに補助金制度で安くなったり、建物の改修費用などを一部を補助してくれるところも。こちらは空き家バンクの補助金制度のある自治体の例です。

自治体制度名支援内容条件
駒ヶ根市(長野県)若者住宅取得補助制度住宅取得費用の2割以内の補助金(中古住宅:上限40万円
  1. 申請日時点で夫婦の年齢の合計が80歳以下
  2. 居住開始後5年以上居住する等
呉市(広島県)移住希望者住宅取得支援中古住宅を購入する方に基本額上限50万円(購入費の1/2)+加算額 【新婚世帯:3o万円】【子育て世帯:30万円】【親世帯と近居:10万円】など
  1. 呉市に5年以上定住すること
  2. 自治会に加入すること等

空き家バンクで、中古住宅に購入する方も購入費の一部を助成してもらったりなど、世帯によっては更に加算額があるところも。

自治体によって制度内容や、対象となる条件などが異なるため、移住希望の自治体の制度をよく確認してみましょう。

③:移住先で仕事が見つかる!地域おこし協力隊

地域おこし協力隊は、地域おこし活動の支援や農林業の応援などの「地域協力活動」に従事してもらい、その協力隊員の報償や活動費のうち一定額について国から特別交付税による措置がなされる制度です。

地域おこし協力隊はおよそ1年~3年の間、地方自治体から委嘱を受け、対象の地域で生活しながら地域協力活動(業務)を行います。

「とりあえず、地方に行きたいけれど就職先が見つからない!」 「ここに住みたいけど数年後も住み続けたいかは分からない」 といった方には、決まった期間働きながら暮らせる地域おこし協力隊は、おすすめかもしれません。

こちらは地域おこし協力隊と実施自治体数の年次推移です。年々どちらも増加していることが分かりますね。

地方移住 地域おこし協力隊

地域おこし協力隊の数はかなり増加していますね。勤務期間が明けたら、そのままその地域に住み続ける協力隊の方や、また違う地方で地域おこし協力隊に再び従事する方など進路は様々です。

地域おこし協力隊の活動費や月々の給料は自治体によって異なるため、事前に気になる自治体のサイトから調べることが重要になります。

こちらは、地域おこし協力隊の募集要項の3つの例です。自治体によって、地域おこし協力隊に求められるものは異なるため、様々な業務があります。

自治体業務内容勤務時間給与・賃金(月額)
四万十町(高知県)地域づくり原則:月124時間16万6000円
水戸市(茨城県)農作業支援原則:(月)~(金)週5日間勤務

1日あたり実働7時間(9:00~17:00のうち休憩時間を除く)

16万500円
長門市(山口県)ゲストハウスの女将として観光客の誘致の取組勤務日数:週5日

勤務時間:週31時間

16万4000円

農業や、女将が経験できるなど、業務内容も様々ですね。地方ならではのお仕事に、胸が躍る方もいるのではないのでしょうか。

交通費や休みなどの取り決めは細かく異なりますが、大体の月のお給料は16万円前後です。

20代の協力隊の多くは「生活していくうえで十分です」と答える一方、30代、40代と歳を重ね、結婚したり子どもができたりすると「協力隊だけの収入では厳しい」と答える人が多いようです。

地方移住に人気な地域ベスト5と独自支援制度

前述で紹介したように、国からの支援金は最大100万円(単独60万円)、空き家バンクや、地域おこし協力隊という制度で、住み家だったり、仕事を得ることもできますね。

ところで、地方移住を希望する方の多くは、どこの地域へ移住しているのでしょうか?

こちらのランキングは、認定NPO法人ふるさと回帰支援センターによる2017年~2019年の移住希望地のランキングです。

2017年2018年2019年
1位長野県長野県長野県
2位山梨県静岡県広島県
3位静岡県北海道静岡県
4位広島県山梨県北海道
5位新潟県新潟県山梨県

次からは、2019年度の人気移住先5つと、そこでの独自支援策のいくつかを合わせて紹介します。

1位:長野県

2019年の移住希望地ランキングでは、根強い人気の長野県が3年連続で1位。

長野県は77市町村と2番目に多い自治体のそれぞれの魅力を発信するため「出張相談デスク」をうまく活用し効果を上げていると考えられます。

また、長野県の移住を考えている方は「楽園信州ファミリー」という無料会員制度を利用できます。これは会員特典で、移住・二地域居住の前後に役立つ商品やサービスなどの優待や、移住に関する情報が得られる制度です。

対象地域制度・事業名内容
長野県全域楽園信州ファミリー特典
  • 不動産仲介手数料割引
  • 引越し料金割引
  • 自動車教習所での料金割引など
大町市移住定住協力店・協力者大町市での暮らしを教えてくれる「移住定住協力店・協力者」を紹介
定住促進アドバイザー移住への不安軽減や移住へのイメージが出来るように、7人の個性豊かな先輩移住者が、体験談を交えながら、移住相談
定住促進マイホーム取得助成事業大町市に住んでいる方・定住された方がマイホームを新築又は購入のため住宅を取得した場合に、助成金。令和2年度からは、子育て世帯に該当する場合の上乗せ助成額の条件を新設し、新築の場合は最大40万円、購入の場合は最大35万円を助成。
空き家改修事業補助金交付制度市外からの転入者、転入予定者がいる空き家を、市内施工業者により改修し、新たに入居して定住する際の改修工事費用の1/2以内(30万円限度)を助成
定住促進奨励事業大町市外から転入された方(Iターン)又は大町市出身で市外から転入された方(Uターン)が、定住を目的として市内に住民登録をした場合、市内店舗でご利用できる3万円分の商品券をお贈りします

2位:広島県

2018年6位だった広島県は2位に上昇しました。

広島県は、瀬戸内ライフ、新しい働き方、カープ移住や食をテーマにした移住相談会を開催するなど、広島の資源や魅力を再確認しながら多様な暮らし方の提案・発信を行い、若年層を中心に来場者を増やしています。

対象地域制度・事業名内容
広島県全域片道交通費支援制度次のうち、いずれか低い額。(上限1人あたり2万円

  1. 出発地(原則として自宅)から広島県内の最初の目的地までの交通費
  2. 広島県内の最後の目的地から帰着地(原則として自宅)までの交通費
尾道市坂ぐらし体験ハウス空き家対策のひとつとして、移住希望者や空き家の再生中の方に向けて用意した手頃な料金のレンタルハウス

1週間大人ひとり 15000円 (NPO会員は10000円)
*2人目から追加5000円
幼児無料 小学生〜高校生3000円

広島県では、東京圏にお住まいの方に、移住などのための下調べに要する片道交通費が支援されます。就職のための企業訪問も、交通費を請求できます。

まず調べる際にかかる費用のことも考えてくれているのは嬉しいですよね。

3位:静岡県

3位の静岡県も首都圏からのアクセスの良さもあってここ3年は、移住先の人気ランキングで高い順位を誇っています。

東京駅から新幹線で90分程度の静岡市にも移住の支援制度はたくさんあるのでここに紹介します。

対象地域制度・事業名内容
静岡市静岡生活体験プログラム付きお試し住宅静岡市への移住に意欲がある方を対象に、静岡生活体験プログラム付きのお試し住宅をオープン。

利用期間:3泊4日~2週間以内

利用料金:1日500円/1組あたり

結婚新生活スマイル補助金静岡市で新生活を始める新婚世帯を対象に、新生活に係る「住居費」や「引越費用」の一部を補助

【支給対象】

  1. 婚姻日において、夫婦がともに34歳以下
  2. 令和元年分夫婦の所得を合算した金額が340万円未満など

4位:北海道

北海道は、豊かな自然や広い土地に惹かれる方が多く、本州から離れていても、移住先の人気ランキング上位に入っています。

対象地域制度・事業名内容
北海道全域どさんこ交流テラス東京・有楽町での北海道庁の移住相談窓口。北海道への移住を考えている方からのお問い合わせに、専属の相談員が対応
北海道全域(受け入れ可能な市町村)ちょっと暮らし市町村が用意する家具・家電付きの住宅や長期滞在用施設を利用して生活体験できる制度

相談窓口を東京にも設けていたり、体験移住を取り入れた市町村も増えて来たりと、遠いからこそならではの制度が充実していますね。

また、移住の地として北海道で暮らす「本格移住」だけではなく、週末だけを北海道で過ごす「週末居住」、春から秋まで北海道で過ごす「シーズンステイ」を選択する方も多いそうです。

暮らしやすい気候に合わせて、季節ごとに住み家を変えるのも、魅力的ですよね。

5位:山梨県

山梨県も静岡県と同じく、東京圏へのアクセスが良く、加えて、山や湖など自然が豊かな土地で2014年から常に上位5位以内という不動の人気を誇る移住先となっています。

対象地域制度・事業名内容
山梨県全域ふるさと山梨定住機構移住・定住相談窓口で相談や問い合わせが可能。山梨県全体の相談OK
韮崎市お試し住宅1回の使用につきに 3日以上~14日以内

室料、水道光熱費など含めて無料 ※駐車場 有料

お試し住宅ができる地方自治体はいくつかありますが、無料で山梨県韮崎市での暮らしを体験できるというのは驚きですね。

地方に移住するには、いくらかかるの?

自然が豊かな点だったり、のびのび子育てをしたい方にとって魅力的な地方移住。

しかし、移住に際して気になるのが、やっぱり「お金」のこと。もらえる補助金や移住に際して支援策があるとはいえ、具体的にはどのくらいの収支となるのか考えておきたいですよね。

安心して地方暮らしを楽しむためにも、一度確認してみましょう。

地方暮らしにかかるお金

地方は食費などが低いものの、極端に割安な費目ばかりではありません。

地方暮らしで逆に増える支出があることもあります。温暖な地域や、寒冷な地域への移住であれば水道・ガス代、移動に車が必要になれば、自動車関連費など、移住先によっても前後する支出は様々ですね。

例えばこちらは、総務省家計調査2017年による、1世帯(2人以上の世帯のうち、勤労者世帯)あたり1か月の支出の和歌山市と東京の比較です。

和歌山市東京23区
食費6万円9万円
交通・通信費4万円4万円
水道光熱費2万円2万円
その他教養娯楽費など13万円17万円
保健医療5000円1万円
教育1万円4万円
税金・社会保険10万円12万円
支出合計約37万円約49万円

また、地方移住により、収入も下がりますので、地方に住めば大幅に家計が改善すると考えてしまうのは早計です。憧れの地方暮らしを実現するためにも、しっかりとお金の計画を立てて臨みましょう。

移住にかかるお金

移住するときは、引っ越し第や住居関連費用、自動車購入費、家具・家電の購入費など、さまざまな費用がかかります。

例えば、こちらは都会から地方都市に引っ越しをする3人家族と、夫婦の出費の例です。車や家具の購入の有無などによっても金額は変わりますが、100万円を超える費用がかかることも。

地方都市Aに3人家族で引っ越したAさんの場合地方都市Bに夫婦2人で引っ越したBさんの場合
引っ越し代(5月~2月の通常期の場合)12万円11万円
住居費用敷金9万円12万円
礼金9万円6万円
仲介手数料(1か月)4.9万円6.5万円
家賃(1か月)4.5万円6万円
火災保険料2万円2万円
自動車購入費(中古)80万円保有
その他(引越しまでの下見費用、家具・家電購入費用など)20万円30万円
合計約141万円約74万円

地方移住にあたって、車の購入が必須な地域も多いです。もし、移住前に車を保有していない場合は、車の購入費用をきちんと用意しておくことが重要になりますね。

地方移住には念入りなリサーチを。使える補助制度は活用しよう

地方移住は、移住前の準備やリサーチが重要であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。自治体の支援策には暮らしが体験できる制度もあるので移住前に、是非活用してください。

移住後の新しい生活に気持ちは高ぶりますが、準備は慎重かつ現実的に行うことが大切です。移住を考えるのであれば、収支や使える補助金の漏れがないように確認しておきましょう。

また、いきなりの地方移住が難しい場合は、2地域居住や、徐々に移住する2段階移住という選択肢にも目を向け、臨機応変に行動していくのもいいですね。

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