補助金や助成金を不正受給した場合のペナルティとは?

補助金 助成金 不正受給

会社や個人事業主の支援のため、税金や雇用保険料を財源として支給される補助金や助成金。

このような助成金等の話で必ず問題となるのが「不正受給」。

新型コロナウイルスの拡大に伴い、持続化給付金・雇用調整助成金・家賃支援給付金など様々な助成制度が国から打ち出されましたが、残念ながら、虚偽の申請を行って不正受給しようとする事業主が後を絶たないようです。

本記事では、不正受給を行った場合に受けるペナルティについて解説していきます。

不正受給になる行為って?お金を受け取らなくてもアウト!

不正受給とはその名の通り、実態と異なる書類を作成して申請を出したり、提出書類を偽造したりして、不正に助成金や補助金を受けようとする行為を指します。

例えば、

  • 休業させていた従業員を業務に復帰させたにも関わらず、引き続き休業していたように偽って助成金を受けようとする
  • 補助金の補助対象期間に合わせるために発注書の発注日を偽装する
  • 実際に支払った経費よりも高額な領収書を発行してもらい、経費を水増しして補助金申請をする

等の行為が挙げられます。

実際に給付を受ける受けないに関わらず、意図的に虚偽申請を行なった時点で不正受給となります。

不正受給をした場合に受ける罰則とは?

補助金や助成金を不正受給した場合には重いペナルティが課されます。

厳密な延滞金の利率などは制度によって異なりますが、基本的なペナルティ事項は以下の通りです。

①:事業所名・代表者名の公表

「事業者名」「所在地」「代表者名」「不正申請金額」「不正受給の内容」などが省庁HPに掲載されます。

具体的には、厚生労働省の「不正受給に関する公表」、経済産業省の「補助金交付停止及び契約に係る指名停止措置」のページ、各労働局HPなどで情報が公開されます。

②:全額返還+延滞金の発生

不正に得た給付金は全額返還することはもちろん、追加で延滞金が発生します。

細かい延滞金の利率等は制度によって異なりますが、例えば、持続化給付金の場合だと以下のようになります。

  • 給付金の全額返還
  • 不正受給の翌日から返還日まで年利3%の延滞金
  • 給付額と延滞金の合計にさらに20%の金額を加算した金額

これら補助金等の返還義務は、経営破綻した場合でも税金の次に優先度高く支払いに回されるお金になります。

また、自己破産したとしても、補助金等の返還義務は免責されないため、返還から逃れることができません

もし仮に詐欺罪で逮捕され5年間留置所に拘留されたとしたら、刑務所にいる間にも利息が積み重なり、出所後に膨れ上がった金額を返還しなければいけない、ということになりますね。

③:交付停止及び、公共事業等の指名禁止

不正受給をした会社は、その後、一定期間の間、助成金や補助金の交付を受けることができません。

例えば、助成金の場合には、5年間の間、雇用保険料を財源とした助成金を受けられません

また、国の公共事業などの委託先としての指名を受けられなくなったり、銀行から融資を受けられなくなったりします。

詐欺罪で刑事告発の可能性

悪質なものについては、詐欺罪などの容疑で刑事告発される可能性があります。

詐欺罪の場合は懲役10年以下の懲役と定められています。

実際にあった補助金・助成金の不正受給の事例

それでは、実際に起きた補助金や助成金の不正受給の例をみていきたいと思います。

全国初の逮捕は大学生!持続化給付金の不正受給

新型コロナウイルスで収入が減少した法人・個人事業主が最大200万円(個人100万円)の給付を受けられる持続化給付金。

持続化給付金の不正受給で全国で初めて逮捕されたのは、なんと大学生でした!

大学生は、実際には事業を行なっていないも関わらず、「衣服の卸・小売を営む個人事業主」であると偽って確定申告書や収支内訳書などの必要書類を用意

昨年は事業収入を得ていたが今年3月の収入が0円になったとウソの申請をし、100万円の給付を受け取っていました。

その後、大学生は、詐欺の疑いで逮捕となりました。

休業要請中に営業、国には虚偽報告。休業協力金の不正受給未遂

緊急事態宣言などで伴い、時短営業を実施した飲食店などに各自治体から支給された休業協力金。

愛知県名古屋市のスナック経営者は、休業要請期間中に経営するスナックを営業していたにも関わらず、休業したと虚偽の申請を行い協力金50万円を騙しとろうとしました。

書類審査は通過していましたが、匿名の通報により、給付前に事態が発覚しました。

総額1億2,000万円以上!?キャリアアップ助成金の不正受給

非正規社員の待遇改善をした会社が受け取れる「キャリアアップ助成金」。

全国でキャリアアップ助成金の不正受給が広まっています。

コンサルタント会社顧問の男らは全国で事業主相手のセミナーを開き、実際には行なっていない従業員の研修を実施したと申請書類に記載するように支持し、助成金額をかさ増しするために架空の人物などで申請を行うよう指南。

見返りとして給付額の2〜3割を報酬として受け取っていたとされています。

2019年10月に詐欺容疑の疑いでコンサル会社顧問の男らを逮捕。不正受給に関わった人物計30名を摘発しました。不正受給の金額は2013年〜2016年の3年間でなんと1億2,000万円にものぼるといわれています。

厚生労働省のデータでは、キャリアアップ助成金の不正受給は、2014年度に2件、2016年度に26件、2018年度に70件と急増している

審査を行う労働局の体制が整っていないことが原因に挙げられています。

新型コロナ関連制度に乗じた詐欺話に注意!

新型コロナウイルス関連の補助金や助成金が続々と打ち出されていますが、それに伴って、悪質な業者などから不正受給をもちかけられるケースが増えているといいます。

例えば、「サラリーマンや無職でも持続化給付金が受け取れる」と友人からSNSで勧誘をうけた、という相談が消費者生活センターなどに相次いでいるようです。

持続化給付金は事業者を対象としているため、サラリーマンや学生、無職の人は受給資格がありません。

その他、キャリアアップ助成金の不正受給の事例のようにセミナー等で不正受給を煽る団体などもあります。

たとえ騙されたとしても、申請者自身が罪に問われる可能性が高いため、安易な勧誘には乗らないように十分注意してください。