日本が財政破綻しない理由とは?借金が過去最大なのに大丈夫?

日本の借金 財政破綻

日本政府の借金は世界でもトップクラス。こうした報道を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

財務省によると2020年6月末時点での国債や借入金、政府短期証券を合わせた国の借金は4年連続で過去最大を更新しました。

さらに、新型コロナウイルスの蔓延を受けて、3月以降、緊急財政出動が続き、2020年度末には過去最高の借金額を記録する見通しです。

これだけ聞くと日本は経済破綻するのでは?と不安に感じるかもしれませんが、借金の仕組みを知れば、実は日本の借金はさほど問題ではないことがわかります。

借金の現状や仕組みついて簡潔に分かりやすく解説していきます。

(ざっくり解説することを趣旨としているため、難しい箇所はなるべく省いていきます)

日本の借金総額はいくら?近年の推移やコロナの影響は?

日本の借金額は、財務省HP「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」で公表されています。

これによると、令和2年6月末時点の借金総額は1,159.0兆円。令和2年度末の見込み額は、なんと1,355.8兆円にのぼります。

項目令和2年6月実績令和2年度末見込み
普通国債887.8兆円963.6兆円
財投債93.9兆円134.1兆円
借入金、交付国債等60.0兆円60.0兆円
政府短期証券117.3兆円198.0兆円
合計1,159.0兆円1,355.8兆円

さらに、平成31年からの借金推移をみていくと次のようになります。

年度借金合計前期末に対する増減
平成31年3月末1,103.3兆円
令和元年6月末1,105.4兆円+2兆円
令和元年9月末1,104.9兆円-5,067億円
令和元年12月末1,110.7兆円+5.6兆円
令和2年3月末1,114.5兆円+3.8兆円
令和2年6月末1,159.0兆円+44.4兆円

コロナ対策として、持続化給付金、家賃支援、定額給付金など様々な財政支出政策を打ち出し、2020年度の補正予算に組み込みました。

このコロナ対策財源は、国の借金である国債によって賄われており、その金額は当初予算とその後に組まれた補正予算を合わせて90兆円。

令和2年度の歳出総額見込みが160兆円なので、50%以上を国債、つまり借金によってまかなっていることになります。

こうした影響により、コロナが本格化した3月〜6月にかけて国の借金が大きく増加したことが分かります。

借金が多い国ランキング!日本はGDP比率の借金世界1位

日本の借金が1,159兆円!と聞いても、金額が大きすぎていまいちイメージが掴めませんね。そこで、日本の借金は世界の中でどれくらいなのか、借金総額とGDP(国内総生産)に対する債務比率の2つからみていきます。

【世界の借金額ランキング】

借金総額対GDP比率
アメリカ約2,362兆円104.3%
日本約1,300兆円237.1%
中国約744兆円50.6%
イタリア約302兆円132.2%
フランス約301兆円98.4%
イギリス約270兆円86.8%
ドイツ約268兆円61.7%
インド約204兆円68.1%
ブラジル約181兆円87.9%
カナダ約169兆円89.9%

日本は借金総額では世界2位、GDPに対する債務残高比率では世界1位という結果になりました。

GDP比率237%ということは国内の生産価値全てを借金返済に回しても、2年以上かかるということです。個人に置き換えて考えると物凄い借金を背負っているように感じますね。

ちなみに、2010年に財政危機に陥ったギリシャの対GDPの債務残高は176%、2020年5月に国として9度目のデフォルト(債務不履行)をしたアルゼンチンの対GDP比は93%となっています。

ギリシャやアルゼンチンが財政破綻したのに、日本が破綻しない理由は?

日本よりGDPに対する借金割合が少ないギリシャやアルゼンチンが財政破綻し、日本が経済破綻しないのは何故でしょうか?

そもそも日本は誰からお金を借りている?

そもそも国はどこから借金を借りているかというと、その大半は「国債」です。

政府が国債を発行することでお金を借りているので、正確には国の借金ではなく、政府の借金ということになります。

では、国債は誰が買っているかというと、財務書の「国債等の保有者別内訳」によると、最も多いのが日本銀行で47.2%、生命保険損害保険等が21.1%、銀行・ゆうちょ銀行・証券会社等が14.4%、公的年金が3.9%、となっています。

私も日々の暮らしの中で、銀行にお金を預けたり、年金保険料を支払ったり、生命保険料を払ったりしていますよね。

つまり、そうしたお金が巡り巡って政府に回っていると考えると、政府がお金を借りているのは、国民ということになります。

よく借金に関する報道で、「国民1人あたり901万円の借金!」といった表現がありますが、政府の借金は、国民にとっては貸しているお金にあたるので間違いであることが分かります。

日本は国内から借金、財政破綻した国は国外から借金

経済破綻をしたギリシャやアルゼンチンとの違いも「誰からお金を借りているか」という点につきます。

日本政府が発行する国債の94%は日本人が購入しており、残り6%の外国人投資家も円で購入をしています。

つまり、100%日本円建て。自国で通貨発行権を持っているので、確実に償還できるということです。

これに対して、ギリシャやアルゼンチンの国債は、自国内だけでは消費ができず、他国に購入を求めました。これによって、通貨発行権を持たない外国からの借金が返済できずに破綻やデフォルトを引き起こしました

ギリシャの場合はドイツやフランスなどの近隣諸国に買い取ってもらったため、自国と同じユーロ建てでした。

ですが、ユーロの通貨発行権はギリシャにはなく、欧州中央銀行が持っているため、自国内の税収などでユーロを確保する必要がありましたが、歳入と歳出のバランスがとれずついに破綻をしたのです。

実際、IMF(国際通貨基金)が2018年に発表した各国の負債と資産のバランスを表したデータによると、日本は巨額の借金を抱えながらもその半数以上を政府機関が占めており、他の資産も考慮に入れるとほぼプラマイゼロになる、と公表しています。

国の借金、正しい仕組みを知ればニュースの見方も変わる

日本の借金が過去最大!といったニュースをみると、なんとなく不安を感じてしまいますよね。

日本の借金というと分かりづらいですが、政府の借金、国民の貸付金を分けて考えると、日本の借金はそこまで大きな問題にならないことが分かります。

過剰な報道に踊らされないように正しい経済・金融の知識を身につけてくださいね。

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