特許や商標は大手企業がやるもの、そう思ってませんか?
「中小企業が特許、商標を取得するメリットは大きいです。」そう語るのは、中小企業向けのサービスを展開している原田国際商標特許事務所の弁理士・原田先生。
今回は、原田先生の独立までの経緯や事務所としての強み、中小企業が特許をとるメリットや活用のポイントなどを伺いました。
原田国際特許商標事務所 弁理士 原田 貴史 先生
1979年 福岡県北九州市生まれ。会津大学大学院コンピュータ理工学研究科修了。
カーナビメーカー、特許事務所を経て、弁理士として独立。原田国際特許商標事務所を立ち上げ。
パチスロ漬けの大学時代から一念発起。5年間365日勉強し、弁理士に。
インタビュアー:原田先生が弁理士を目指されたきっかけを教えてください。
原田先生:高校までは進学校にいたのですが、私はそこで落ちこぼれてしまって、希望の大学に行けませんでした。
その反動か、学生時代を一言でいうとパチスロ漬けの毎日。パチスロで飯を食ってたんです。
具体的には、打ち子のバイトを3人くらい雇って、さらに管理職役も店につかせて、私は大学から電話で指示出すだけという感じで、かなり組織化してやってました。時給2万円くらい稼いでいましたかね。
本業である学業には全く専念してなくて、本当に落ちるところまで落ちるんです。
さらに、ある日、パチンコ屋に行こうとした時に後ろからタンクローリーに衝突されて、そのままパチンコ屋に突っ込んで、左手を大手術するというかなり大きな交通事故にあいました。翌年は入院していたこともあって、留年することに。
そんな落ちこぼれた学生をリセットしようと、満を持して就活を始めるのですが、就職氷河期ということもあり、200社くらいにエントリーをしたものの、採用されたのはパチンコ屋だけ。
就職決まらない、やばい、人生終わったなって思ったんですけど、そんな中でとあるカーナビメーカーから何とか内定を貰うことができたんです。
といっても、こんな感じで内定をもらったところなので決して希望の就職先というわけではありませんでした。
そうした社会人生活を送っていたある日。ふと目を通した予備校のパンフレットに「弁理士の年収は800万円~,1200万円に多く分布しており、2,000万円以上の年収を得ている弁理士も数多く・・・」と書かれていました。
これは一発逆転だ!と思って、勉強を始めたんです。
そこから、毎朝5時起きで土日も勉強して、、そんな生活を5年間続けました。当時は死ぬ気で頑張りましたね。最終的に5年で弁理士試験に合格することができて、ようやく努力が報われたというわけです。
インタビュアー:ものすごい逆転劇ですね。
原田先生:と、思うじゃないですか。ですが、弁理士の数が20年で3倍になって、資格の希少性がなくなってしまったんです。
結果、何が起きるかというと、弁理士の価値が大暴落。独立したところで全然食べていけない状況だったんです。
予備校のパンフレットに騙されたと思いましたよ。笑
それで、まずは特許事務所に就職して修行を積むことにしました。
インタビュアー:そこからどういった経緯で独立に至ったんですか?
原田先生:その事務所では、主に大企業の案件を担当していました。大企業向けの案件って、要求が多い割に単価が安くて、すごく大変なんです。
しかも、相手は大手、こちらは業者なので完全に下請け扱いされる。それなら、中小企業からより感謝されるような仕事をしたいなと思ったのが独立のきっかけです。下請け業者じゃなく、同じパートナーとして支援をしたいと。
ただ、日本の特許出願の内、87%が大企業の出願なんです。大企業は、全企業の0.03%しかないのに、ごく一握りの大企業が87%の特許申請を占めている。つまり、従来の弁理士のビジネスモデルの勝ちパターンっていうのは、大企業をいかにクライアントに持つか、これに尽きました。
だから、一般的に考えたら特許申請をしない中小企業をターゲットに独立するっていうのは無謀なんですね。
ただ、私の中では、この大手と中小企業の力関係はゆくゆく逆転していくなという読みがあったこともあり、前職で3年経験を積んだ後、独立を果たしました。
独立当初は、人の3倍頑張ろうと決めて、365日毎日終電まで働いて、結果として独立3年で売上は独立当初の10倍まで増やすことが出来ました。
商標申請数2位、特許出願率は脅威の95.4%!原田国際特許商標事務所の強みとは?
インタビュアー:事務所としての強みや特徴を教えて頂けますか?
原田先生:商標申請数は全国2位の実績を誇っていて、こと対中国、小売業美容関係に対しては全国1位です。毎月300件くらいの商標申請を行っています。特許取得率については、業界平均が60%なのに対して、当社は95.4%と高い取得率が強みです。
また、中小企業のお客様だと、せっかく特許を取ってもそれをビジネスとして上手に応用できていないケースも多くあるので、特許を活用して収益が上がるようになるまでのコンサルティング等も行っています。
インタビュアー:特許取得率が業界平均と比べて非常に高いですよね。これはどういった理由があるのでしょうか。
原田先生:主に3つあります。
1つ目は、特許庁で働いていた元審査官とうちが提携している点。
特許審査は、特許庁の審査官という方がするんですけど、本来なら申請した後にしか受けられない審査結果を、元審査官と連携することで申請前に受けることができる。
野球に例えると、相手のピッチャーが投げる球種や球筋が分かる状態といえます。何も分からない状態よりは当然、打率は良いですよね。
2つ目は、反論ポイントを理解していること。
私は前職でひたすら特許庁とのやり取りだけをしていて、大体1年間で700件くらいの特許申請を扱っていたので、どういう反論をすればいいか、というポイントがわかっています。
普通の事務所の場合、反論案を作ってお客様から許可もらってOKだったら特許庁に提出という流れになりますが、うちの場合は、一度、特許庁に電話してFAXで送って、これで通してくれますかね?って確認を事前に取ります。
事前に大丈夫って言われたものは提出して、ダメそうなら再修正をする。普通は手間がかかるからやらないんですが、うちは地道にそういった手順を踏んでいます。
最後、3つ目は泥臭さです。私は、普通のエリート街道を歩んできた人と違うので、雑草魂というか、絶対諦めない精神なんです。どんな状態でも絶対に通すという強い意思ですかね。
インタビュアー:お客様からすると非常に頼もしいですね。
原田先生:お客様からはとても喜んで頂けますね。これまで、どの事務所に頼んでも通らなかったのに、初めて通りました!と言っていただけるとやはり頑張って良かったと思えますよね。
特許や商標は、これまでの努力の結晶。中小企業こそフル活用するべき
インタビュアー:これまでに印象に残ってるお客様とのエピソードを教えてください。
原田先生:静岡県にある建設業のお客様の話です。事業で失敗して自己破産寸前に追い込まれて、さらに、離婚もして。何もない状態で埼玉県でもう一度、建設業を始めた方がいたんですね。
その方が、とある施工方法で特許を取ったんです。
建設業界って相見積もりが当たり前の業界なんですよ。他社と比べられて、結果安く買い叩かれる。
でも特許をとってからは、「この施工方法は特許取ってるからうちしかできないです。」「じゃあ、御社に頼みます」ってカタチでとても営業が楽になって、さらに単価も大幅にアップすることが出来ました。
結局、埼玉県で再奮起して儲けたお金でビルを建てて、1,2階は会社にして3階を自宅にして、離れた家族も戻ってきて、本当にありがとう、と言って頂けたのは印象に残っていますね。
インタビュアー:特許がビジネスの大事な基盤になるということですね。他に中小企業が特許や商標を取得するメリットって何がありますか?
原田先生:一言、真似されないってことに尽きます。
例えば、加圧トレーニングって聞いたことがあると思いますが、あれも特許を取っているんです。
それで、加圧トレーニング協会を作って、加圧トレーナーを加盟させるんですが、その加盟金は250万円。さらに売上の何%かはロイヤリティとして協会に支払わなきゃいけないみたいなビジネスモデルで展開していたんです。
仮に加圧トレーニングの商標を持ってなかったら、他社から真似され放題。真似されると価格競争が起きますよね。
今まで単価100万円を100件受けてて、シェア100%だとしたら、売り上げは1億円ですよね。
これがシェア50%になると、50件、50万円になるじゃないですか。そうなると1億円あった売上が2,500万円になってしまう。
ちゃんと特許で縛っていれば、シェア100%を維持しつつさらに高単価で、値下げ競争されることなく受注できるってことですかね。
インタビュアー:なるほどですね。特許を取った後にビジネスに活かす際のポイントはありますか?
原田先生:まずは、ちゃんと外部に向かって発信すること。
セールストークをする時にも「特許を取っているので他ではできない」と伝えることです。
後は、中小企業の場合は、社員にもしっかりと伝えておくべきです。
社員が自社にプライドを持っていないってこともあると思いますが、特許が取れれば、それは世界で唯一の会社になる。これで社員の方も自分の会社は凄いんだと自信を持つことができますよね。
インタビュアー:社外にも社内にもしっかり告知することで特許を最大限に活かせるんですね。最後に、記事を見てる読者に対して、一言お願いします。
原田先生:特許や商標は、長年時間かけて努力を積み重ねて、それが結実して形になったものなので、いわば自分の努力と才能の結晶です。
自分のブランドやビジネスモデルをしっかり守っていく、ということは今後、大企業だけではなく、中小企業においてもますます重要になっていくのではないかと思います。
もし特許や商標申請を考えている方がいらっしゃれば、うちのビジネスで特許はとれるか相談したい、という温度感でも良いので、一度私たちのような専門家に相談してみることをおすすめします。
世の中には、「うちでは特許はとれない」と思い込んで、損をしている会社が多いように思います。そういった状況を改善して、特許や商標をビジネスに活かす風土作りに貢献できたらと思っています。
原田国際特許商標事務所
所在地:〒338-0003 埼玉県埼玉県さいたま市浦和区上木崎1丁目10-17三村K2ビル5F
HP:https://tokkyo-shinsei.com/
電話番号:048-829-9749
暮らしに役立つお金の情報を無料でお届けしています!