2020年9月のM&A動向|ソフトバンクグループのアーム売却は歴代2位の金額

2020年9月 M&A

2020年9月のM&A動向を解説します。

ソフトバンクグループによるアメリカ半導体大手のエヌビディアへの売却(4.2兆円)の発表が大きなニュースとなりましたが、一方、市場全体では陰りが見え始めました。

本記事は、全上場企業に義務づけられた東証適時開示情報をもとに経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A仲介のストライク(M&A Online編集部)が集計した情報を参考にしています。

2020年9月のM&Aは8月に続き、前年比割れ

9月のM&A件数は、前年同月比8件減の61件となり、2カ月連続で前年を下回りました。

月間のM&A件数は8月に4月以来4カ月ぶりに前年比減となりましたが、9月も前年を下回り、2カ月連続でマイナスとなりました。

ただし、9月を過去10年でみると、今年の61件は5番目で一定の水準は保っていることが分かります。

前月比では7件減。新型コロナの影響下、1~9月の累計件数は605件と前年(604件)と同水準を維持しているものの、足元ではかげりが見え始めてきました。

また、金額面でも小型化の傾向が続いており、9月の取引金額10億円超のM&Aは12件。3カ月連続で10件を超えたが、コロナ以前の月間20件前後にはほど遠い結果となっています。

2020年9月のM&A取引金額ランキングTOP5

順位案件金額
1ソフトバンクグループ、傘下の英半導体設計大手アームを米エヌビディアに売却4.2兆円
2キリン堂ホールディングス、MBOを通じて株式を非公開化338億円
3フェローテックホールディングス、半導体ウエハー製造の中国子会社「杭州中欣晶圓半導体」を現地の地方政府などに譲渡296億円
4ヤマダホールディングス、注文住宅のヒノキヤグループの子会社化を目的にTOBを実施126億円
5川金ホールディングス、MBOを通じて株式を非公開化76.8億円

金額面で突出したのがソフトバンクグループの案件。

2016年9月に買収した英半導体設計大手アームの全株式を、米半導体大手のエヌビディアに最大4.2兆円で売却すると発表しました。日本企業によるM&Aとして歴代2位のスケール。

ソフトバンクグループは、この売却によって9000億円規模の差益を得ることになります。売却完了は2022年3月ごろの予定です。

金額2位は、MBO(経営陣が参加する買収)を通じて株式を非公開化するキリン堂ホールディングスで、買付代金は最大338億円。

同社は関西を本拠とするドラッグストア中堅。オーバーストアによる競争激化が進展する中、株価動向にとらわれず、大胆な事業構造改革を行いやすく狙いがあります。

MBOではほかに川金ホールディングスの案件(76.8億円)があった。MBOは9月末時点で、今年9件(2019年は年間6件)。2013年(年間10件)以来7年ぶりに2ケタ台に乗せる公算が大きくなってききました。

その他の動きでは、出版でも動きがみられました。

コミック配信サービス「まんが王国」を展開するビーグリーは「ぶんか社」「海王社」など出版社5社を傘下に持つNSSK-CC(東京都港区)の全株式を53億円で取得し、子会社化。コンテンツ販売の強化や成長が続く電子書籍市場での事業拡大につなげます。

その他のM&Aトピックス

ストライク、M&A無料セミナーを毎月開催で3倍増に

M&A(合併・買収)仲介大手のストライクは事業承継や事業買収・売却を目指す中小企業経営者を対象とした無料セミナーの開催を約3倍に増やす方針です。

セミナーは原則、3か月ごとに開いていたが、9月からは原則として毎月開催。

少子・高齢化や後継者難を背景として事業承継の需要は高まっており、また、日本政府からも中小企業の生産性の低さを指摘する声が出る中、企業の「選択と集中」や合従連衡が進む可能性が高まっています。

「コロナ禍は変化のチャンス」出井・ソニー元会長

クオンタムリープの出井伸之会長(ソニー元会長)は8月26日、M&A仲介大手のストライクのM&Aセミナーで講演し、新型コロナウイルスの感染拡大について「日本が変われるチャンスだ」と指摘しました。

同氏は「改革には技術革新やパラダイムシフトが必要で、日本はまだモノづくり(だけが得意な国)から脱することができていない」とも述べ、経済・社会の改革の必要性を訴えました。

出井氏は講演で、近代日本は、1945年の第二次世界大戦での敗戦、1985年のプラザ合意による円高と対外競争力の低下、2000年のインターネットビジネスでの出遅れという3つの敗戦を経験したと説明。

改革が進まなければ、「新型コロナショックは4回目の敗戦になりかねない。今こそ日本は変わらなければならない」と強調しました。

そのうえで、出井氏は「改革への脅威はpassive-aggression(面従腹背)だ。表面上は賛成するが、実際は変革に反対する人たちがいる」とも指摘。無形の情報資産の重要性も強調し、「独特なデータを集めてくる企業が成長していく」との見方を示しています。

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