株式上場(IPO)の条件や基準、メリットをわかりやすく解説!

世の中の多くの起業を考えている人の目標の一つとして株式の上場、IPOがあるのではないでしょうか。

この記事を書いている時点で、2017年の8月にはヒカキンなどの人気タレントを擁するユーチューバー事務所のUUUM(3990)が上場し、9月には家計簿アプリのマネーフォワード(3994)が上場予定と、毎年数十社もの企業が上場しています。

一方で、世の中には例えばサントリーや小学館など上場していない大企業も多く存在します。

上場のメリットは何か、またどんなことに注意すればいいのかこの記事で解説していきます。

上場ってどれぐらい難しい?

そもそも株式上場ってよく聞くけどどのぐらい難しいしょうか。

上場とは何か

株式会社であれば、どの会社も設立時に株式を発行しています。その株式が証券取引所で自由に売買できるようになることを「上場」と言います。

また「株式公開」(IPO)とも呼ばれます。

上場に当たっては証券取引所による審査があり、審査には様々な基準が設けられています。

一例としてベンチャー企業の登竜門として知られる「東証マザーズ」の主な上場に必要な条件を見てみましょう。

  1. 株主数:200人以上
  2. 時価総額:10億円以上
  3. 流通株式時価総額:5億円以上

年間の上場した企業の数

言ってみれば一人前の企業として認められる企業の上場ですが、毎年何社の企業が上場しているのでしょうか?

以下年間のIPO件数をグラフにしました。

無題

出典:日本取引所グループのデータから作成

こうしてみると毎年上場できる企業の数はわずか数十社であることが分かります。

また年間の上場企業数には大きなばらつきがあることが分かります。

特に金融危機で株価が低迷していた2008年頃以降は上場数が激減しています。

近年はアベノミクスで株価が上昇していることもあってか上場企業数は金融危機以前の水準へと徐々に回復しています。

上場までにかかった年数

起業家であれば創業して何年以内に上場するという目標を決めている場合も多いのではないでしょうか。

では実際に上場企業の創立から上場までにかかった年数を見てみましょう。以下は2015年の数字になります。

無題

出典:日本取引所グループのホームページから作成

平均年数を見ると23年となっています。

大学卒業後22歳で創業し、経営が上手く行っても上場できるのが45歳になってしまうと考えると上場は決して易しいことではないと分かります。

ただこの数字を見て落ち込むのは時期尚早です。

ベンチャー企業が数多く上場するマザーズ市場を見ると上場までの平均年数は15年と短くなっています。

また実際に創業から一年未満、25歳で上場を果たしたベンチャー起業家もいるので、優れた経営者であれば数年で上場することも不可能ではありません。

上場のメリット

株式市場に上場するには厳しい基準をクリアする必要があることがわかりました。

ではそうしてまで上場を果たした時どんなメリットが得られるのかまとめました。

知名度・信用力の増大

日本の株式会社数は2016年で約380万社ありますが、上場企業数は約3500社程しかありません。

また、上場には厳しい審査を通過する必要があるため、上場することによって社会的な信用力を得ることができます。

信用力が高まれば、銀行からの融資が受けやすくなったり、取引先との交渉で優位に立てたり、さらには優秀な社員を確保しやすくなるなど様々な恩恵があります。

株式市場から資金調達できる

上場によって増資という新しく株を発行することよって資金調達ができるようになります。

また、融資とは違い調達した資金は返さなくてもいいので新規事業を行いやすくなります。

株式市場には莫大な資金が流入しているため、会社の更なる発展のために上場は非常に効果的です。

新しい資金調達手段が出来れば、銀行への依存度も減らすことができ、リスク分散にもなります。

創業メンバーに利益を還元できる

どんな大企業でも創業当時は数人で資金を出し合って小さな事業から始めることがほとんどです。

特に創業当初数年は利益もほとんど出ず、朝から夜遅くまで働いても少ない給料に耐えなければなりません。

上場することによってそうした苦しい時期を乗り越えた創業メンバーに利益を還元することができます。

もちろん創業者自身にとっても自分がゼロから切り開いた事業に対して相応の報酬が得られる機会でもあります。

上場に向いていないケース

メリット尽くしとも思える上場ですが、世の中には上場していない会社もたくさんあります。

ここでは上場に適していない場合をまとめました。

会社の経営を人に口出しされたくない場合

上場した企業は株主の意見を尊重しなければなりません。

なぜなら、会社法上企業は株主のものだからです。

最近では「モノ言う株主」と呼ばれる経営に意見する株主がどんどん増えています。

自分の会社なのに好きに物事を決められたくなってしまうことになるので、それが嫌な場合上場はやめた方がいいでしょう。

買収(M&A)されたくない場合

上場すると企業の株式は自由に売買されることになるので企業を買収されるリスクが高まります。

ご存知の方も多いと思いますが、株式の半分以上を買い占められると経営権を失うことになります。

会社や事業に深い思い入れがあり、絶対に買収されたくない場合はIPOは避けた方が賢明でしょう。

まとめ

今回はIPO(株式上場)について解説しました。

知名度も資産が同時に得られるベンチャー起業家にとってはメリットだらけの制度に見えるかもしれませんが、それだけを目的に上場することには同時に大きな危険性も孕んでいます。

最近では「上場ゴール」と呼ばれ、上場後に株価が低迷したために経営者が批判されるケースもあります。

メリットとデメリットを天秤にかけて慎重に判断する必要があるでしょう。

株式上場による資金調達は魅力的な制度ですが、利用できる企業は限られています。

実際には多くの企業での資金調達方法として銀行や金融機関から借り入れを行っています。

しかし、創業間もない企業にとって銀行から融資を受けるのはとても大変なことです。

そうしたベンチャー起業家におすすめな制度として「中小企業経営力強化資金」というものがあります。

詳しくは以下をご覧ください。

中小企業経営力強化資金とは?低金利・無担保で利用可能!

簡単に言えばベンチャー起業家を応援するための制度です。

起業家にとって上場までの道のりは長く険しいものですが、様々な制度を賢く利用して事業を拡大していきましょう!

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